Trial

間が空きましたが、前回の続きになります。

昨年、翻訳会社のトライアルを受けました。今、私はフリーランスとして3社と契約しているのですが、その中の2社は、このトライアルを受けて採用していただいたところです。初めて翻訳のトライアルというものを受けて、思ったことを書きたいと思います。これから翻訳会社のトライアルを受けてみようかなと思っている方に参考になるとよいですが。

実は私、プロの翻訳者の知り合いは皆無です。翻訳者の集まりとか研修会も行ったことがありません。以前は関西に住んでいたので、色んなイベントに行こうと思えば行けたのでしょうが、ああいうの好きじゃないんです。それと、元来色んな人と知り合ってネットワークを広げたいと思わないタイプでもあります。だからいつも手探り。何かあったら自分で調べて、自分で解決が基本です。

そこで翻訳トライアル。さてどこから始めようかなと思いました。まあ、とりあえず「在宅翻訳」で検索してみました。色々ヒットしましたが、最近CM でよく流れているサイトをのぞいてみて、在宅翻訳者を募集している企業がかなりあったので登録してみることに。

今思えばですが、得体のしれない会社が結構ありました。ホームページを載せている翻訳会社であっても、なんとなく胡散臭さを感じる会社もありました。しかし、初めての経験でもあり、油断していたのでしょう。私は胡散臭い会社3社に応募したのです。履歴書と職務経歴書を送ってくださいとあるので、それらの会社のホームページからオンラインでそれぞれ送りました。

私は何らかの返事がくるものと思っていました。当然ですよね。しかし、その中の2社からは、1週間たっても何の返事もありませんでした。私の翻訳経験も詳細に記載していたので、まず書類選考で落ちることは考えにくいと思っています。だから「失礼だね~」と思いました。

残りの1社はトライアルの材料をホームページからダウンロードして、それを付けて履歴書と職務経歴書を送ってくださいと書いてあったので、その通りにしました。すると翌日にメールで返事がきて、今100人を超える応募があるとのことでした。ゆえに、トライアルの採点が滞っており申し訳ありませんと。返事があっただけましな会社だと思いました。それにしても100人以上の応募って何なんですかね。

面白いことに、その3社はずーっと募集しているんですよ。どうも私が応募する随分前から掲載してあったようで、私が応募したあとも1か月以上は掲載されていたはずです。よく調べてみたら、そのサイトには求人募集は無料で載せられることがわかりました。だから、どんな企業でも経費の負担なく気軽に掲載できるんです。とりあえず載せておこうっていうノリなのかもしれません。

応募する側について言えば、英検1級とかTOEIC900以上など、少しばかり英語ができれば私も翻訳者にと考える人が多く、そういう人が色んな翻訳会社に簡単に応募できる。あのようなサイトはそういうところです。だから100人とか応募者が殺到することもありえるんでしょう。

私はこのサイトを使うことをやめました。どうもまともな会社が募集していないような印象をもったからです。返事をよこさなかった2社については問題外です。

今思うとあとの祭りですが、履歴書と職務経歴書をこれらの3社に送ったことを後悔しています。個人情報を安易に送ることはやめた方がいいです。悪用されないとも限りませんし。皆さんもこういう無料のサイトの求人に応募するときは、用心してくださいね。

さて、次に私がとった方法は、ある程度名の知れた翻訳会社を調べるというやり方です。2社に応募しました。その2社(B社とC社)と今、契約しています。

まずB社は、以前の勤務先で英語から多言語展開の際に使っていた会社です。多言語翻訳のレートが高かったので、途中から取引をやめた会社でしたが、レスポンスはよく大手でもありましたので、メールでコンタクトをとってみました。

すると、翌日には丁寧な返信メールをいただきました。やっぱりきちっとしているなと思いました。メールには、英日より日英の翻訳者が足りていない状況と書かれてあり、早速、履歴書と職務経歴書を送り、書類選考に合格しました。次にトライアルの課題を送ってもらいました。A4で1枚でした。特別難しい課題ではありませんでしたが、これで決まってしまうので、何度も読み直し、推敲に推敲を重ね提出しました。結果は無事合格。正式な契約を交わし、今順調に仕事をいただいています。

次にC社は、業界のトップ数社の中のひとつです。ここは敷居が高かったです。何と、今どきオンラインでの応募が不可なんです。かなり驚きました。トライアルを受けたい人は、郵便で履歴書と職務経歴書を送らないといけないのです。そして書類選考で受かった人だけ連絡しますとのことでした。

何でオンラインじゃないのかなと思ったのですが、おそらく本気度を試しているのかもしれません。オンラインだったら手あたり次第にどこでも送れますが、郵便だったらプリントアウトして、切手貼ってという手間がかかります。そこまでして応募するのは面倒だと思う人って結構いるだろうと思います。また応募する人からみたら、この会社は手ごわいぞという印象をもちます。私がそうでした。

C社に郵便で応募したところ、2日後にメールで返信があり、書類選考に合格しましたとのことでした。さすがにレスポンスが早いと感心しました。しかし、そのあとが長かったのです。

まず、トライアルを受けるにあたり、誓約書を書かせられました。トライアルの内容を決して外部に漏らしませんという約束が必要だったのです。その後トライアルを受けるわけですが、その内容もすごかったんです。

英日と日英の両方で、10分野ずつくらいあり、その中から3つだったか最低でも選ばないといけなかったんです。最低でもということはもっと選んでもよいわけで、暗にそれ以上選べと言われているような気がして…。結局、英日5個、日英5個を選んで受験しました。

トライアルの内容は、難しかった~。何でもいけますよとアピールしようと思い、今までやったことのない分野も、えいやっと選んでしまったのでした。それでも期限までに何度も読み直して、やっと提出できました。

結果を待つ間は、正直怖かったです。不合格なら、私のこれまでの経験すべてが否定されるわけですから。結果の通知まで2週間もあったんですよ。

やっと結果が来ました。「合格おめでとうございます」と書いてありました。何だか難関大学に合格したような気分でした。しかし、これで終わりではなかったんです。

役員との最終面接がありますって…。え~っと、合格したんですよね~。

何で面接までするんだと聞くわけにもいきません。が、おそらく人となりを見たかったんじゃないかなと思っています。つまり信頼できる人間かどうか。遠隔地で働くわけですから、きちんと納期を守ってくれる人じゃないと困りますもんね。

で、また数週間後に面接に行きました。そこは大手なのであちこちに支社があるんです。私の居住地から最も近い場所で、最終面接はありました。にこやかな役員の方と、ほぼ雑談みたいな感じ。この会話で人物評価をしてるんだな~と思いつつ、40分程度で面談終了。

久しぶりにスーツを着てパンプスをはいたら、えらいことになってました。疲れ果ててやっとのことで契約を交わしましたが、履歴書を送ってから契約締結まで2か月半かかりました。

今、A社、B社、C社の3社と仕事をしていますが、とても充実しています。仕事の引き受け方としては、依頼の早いものから順番に埋めていっています。同時期の依頼が重なると、遅い方を断らなければならず、それが申し訳ないという感じです。丸一日仕事をしない日は、今のところ月に2日あるかないかという感じなので、体力的にはきついです。でも頼まれると断れない性分です。やっぱり、お客様が私の翻訳を喜んでくださったというフィードバックをいただけると、調子にのってしまいます。

翻訳の仕事というのは、経験がものをいうので、年齢が高くても全く関係ないところがいいと思います。それが普通の会社員と違うところですね。私の年で企業が喜んで採用するなんてありえませんので。

この3社と気持ちよく仕事をしていけるのは、プロフェッショナルな会社だからだと思っています。翻訳会社は翻訳者を使う立場なので、上から目線の会社もあるでしょう。返事をしてこなかった最初の2社はそれです。とりあえず応募してきたから、こいつの履歴書をストックしておこうというスタンスです。そういう会社はこちらからお断りです。

質の高い会社は、翻訳者に対等な立場で接します。そのことが今回よくわかりました。応募してきた人に思いやりの気持ちがあれば、レスポンスも早い。返事を待っているだろうという気持ちがあるからですよね。

これは翻訳者の立場からも同じことが言えます。翻訳会社は、「こういう案件がありますが引き受けることは可能ですか?」と打診してきます。それに対してどう対応するか。私は打診があったら、30分以内に返事をします。これはA社のみと仕事をしていたときからの習慣です。

このレスポンスの速さが信頼関係の第一歩だと考えています。引き受けられない場合は、特に速さが重要です。翻訳会社は、とにかく翻訳者をおさえて先に進めなければなりません。第一候補がだめだったら、すぐに第二候補の翻訳者にアクションをおこさねばなりません。

翻訳会社も翻訳者もお互いを不安にさせないこと。遠隔地で仕事をする際に重要なことは、あたかも隣の机で座っているかのごとく、コミュニケーションが取れるか否かだと思います。これからもご縁のあった会社に満足していただけるような仕事をしていきたいです。

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次回は、また英語の話を書きたいと思います。
ではまた。182.png

# by ladysatin | 2018-01-28 20:33 | 英語と私といろいろ | Comments(4)

社内翻訳者としての年月を経て、フリーランスになったのが約2年前のことでした。以前も書きましたが、退職後は元勤務先と在宅ワークの契約を交わし、以来ずっとお仕事をいただいています。この会社をA社としてお話したいのですが、A社との契約はちょっと面白いんです。

一般にフリーランスの翻訳者は、翻訳会社から出来高で報酬が支払われます。原文の日本語あるいは英語に対し、1文字あるいは1ワード何円で計算されます。客観的事実に基づく計算なので、文句の出ないやり方です。一方、私が契約しているA社の報酬は時間給なんです。

いただいた仕事に対して、何時間かかったかを自主申告して、私が請求書を発行して報酬をいただきます。これ言うとほとんどの方は驚くかもしれません。「それだったらごまかしがきくやん」って。

ええ、その通りです。1時間しかかかってないのに、2時間かかりましたと申告できるわけですからね。私の仕事を監督する人は誰もいないのです。しかし、この2年間、私の申告に対して疑義をもたれたことはただの一度もありません。

その理由はただ一つ。

信頼関係、それだけです。A社で仕事をしていたとき、私の仕事に高い評価をしていただいていたことが最も大きいのですが、上司や同僚との人間関係も極めて良好でした。私が姑息なことをして水増しする人間だと思われていたとしたら、そもそも時給契約など提示されないでしょうし、契約自体のオファーもなかったかもしれません。

これまでのところ、私は実際にかかった時間とほぼ同じか、やや少なめに申告しています。少なく申告するのは、調べものに時間がかかったときです。私より優秀な人はもっと要領よくできるのかもしれないと、ふと頭をよぎるとき、この時間は請求できないなと思います。

そんな感じでA社と仕事をやってきました。順調に推移してはいます。ただ、フリーランスは業務量に波があるのも事実です。この月は依頼が多かったけど、翌月は半分になったとか。年間を通して読めないのがつらいところです。

私はA社の他に、A社の関係取引先から仕事をいただいていたこともあるのですが、翻訳会社ではないので、常時依頼があるとは限りませんでした。そこで、もう少し仕事を増やしてもいいかなと思い、昨年の夏、翻訳会社のトライアルを受けたのです。

これは初めての経験でした。トライアルを受けて思ったことは、まともな会社は少ないんだなということです。今後のことを考えて、プロフェッショナルでない会社は No,thank you. です。そこで、まともな会社、まともでない会社ってどう見分けたらよいでしょうかということなんです。

この件について、別途記事にしたいと思っています。

ではまた。178.png

# by ladysatin | 2018-01-10 01:13 | 英語と私といろいろ | Comments(4)