カテゴリ:英文法_English Grammar( 47 )

should not have to

日英翻訳の依頼がほとんどなのですが、たまに英日の仕事の依頼がきます。
その中で出会った表現について書きたいと思います。

should not have to… ネィティブには何てことはないフレーズです。しかし、日本人にはこのフレーズのニュアンスはわかりにくいと思います。日常英会話で使える人は日本人の中にいるんだろうか。使える方を私はとても尊敬してしまうのです。

そこで仕事で出てきた英文はそのまま出すとまずいので、ネットから例文を拾ってみました。
以下の英文は、車にマイクを取り付けるときの注意文です。

When you speak into the microphone, you should not have to change your driving posture. This may cause a distraction, taking your attention away from safely driving your vehicle.

問題の箇所は you should not have to change your driving posture のところです。まず、ここだけ残して訳してみましょう。

「マイクに向かって話しかけるときは <you should not have to change your driving posture> 運転姿勢を変えると気が散ってしまい、安全運転に注意を払うことができなくなるおそれがあります。」

この文脈で you should not have to change your driving posture はどんな意味になるんでしょうか。私の場合、こんなのが出てくると、恥ずかしながら一時的に頭がパニックになって処理できなくなるのです。

これが do not have to であれば簡単です。

you do not have to change your driving posture
あなたは運転姿勢を変える必要はありません

これを当てはめるとこうなります。
「マイクに向かって話しかけるときは、あなたは運転姿勢を変える必要はありません。運転姿勢を変えると気が散ってしまい、安全運転に注意を払うことができなくなるおそれがあります。」

あれ、これでも何だか意味が通じるような気がする。

なぜあえて should が使われているのだろうって思いませんか。

しかし、この場合は should not have to でなければダメなんです。
いや、ダメというよりも言いたいことが違うんですね。
直訳すると見えてきました。

you should not have to change your driving posture
あなたは、運転姿勢を変える必要があるべきでない。

おかしな日本語ですが、つまり have to change your driving posture(運転姿勢を変える必要がある)を should not(べきでない)で打ち消しているのです。

では「運転姿勢を変える必要があるべきでない」ってどういうことなのか。

逆に言えば「運転姿勢を変える必要がないようにすべきだ」ということです。
これでほぼわかります。

初めの方でも書きましたが、これは車にマイクを取り付けるときの注意文なんですね。運転姿勢を変えなければならない方向にマイクを設置すると、いざマイクに話しかけるときに目線を変えなくてはならなくなるので、注意散漫になります。そうすると危険なので、そうならないように正しく設置してくださいと述べている文です。「必要がないようにすべき」とは「必要がないように設置しておくべき」という意味です。

全体を訳し直してみます。
When you speak into the microphone, you should not have to change your driving posture. This may cause a distraction, taking your attention away from safely driving your vehicle.

「マイクに向かって話しかけるときには運転姿勢を変える必要がないように設置しておくべきです。運転姿勢を変えると気が散ってしまい、安全運転に注意を払うことができなくなるおそれがあります。」

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should not have to の使い方、私には今も難しいです。
今後も要注意なのだ。
by ladysatin | 2019-12-03 00:17 | 英文法_English Grammar | Comments(0)

集合名詞だったのだ

八村塁選手の NBA ドラフト指名の場面は、テレビで何度も放送されました。
(かっこよかったねぇ)

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今回は、あのとき名前を呼んだ方(名前は存じません)が発した単語が気になって…というお話です。

The Washington Wizards (xxx) Rui Hachimura!

(xxx) で発した単語は何でしたか?

YouTube ですぐ聞けますが、原形の select? それとも 三単現の s ありの selects?

一体どっちだったのでしょうか?

答えは…

原形の select でした。

Washington Wizards ってグループ名ですよね。
つまり固有名詞。だったら selects になりませんか?

なのに select でないのはなぜ?

これはもしかして Wizards が複数形だからなのでは?
魔法使い(a wizard)が選手一人ひとりで、複数いるから Wizards でそれを受けるから原形の select なのではないかと考えてみました。

そういえば、The Rolling Stones The Beatles も複数形扱いです。
つまりThe Rolling Stones is… は間違いで、The Rolling Stones are… が正解。

そこで NBA のチームについて Wikipedia で調べてみました。
ほとんどのチームが複数形でした。
Boston Celtics, Chicago Bulls, New York Knicks などなど。

上の理屈から言えば、これらのチームの場合も select になりますし、YouTube の指名でも select と発音されていました。だから、単数複数の違いによって動詞が異なるだけだろうと思ったのです。

しかし、そうではなかったんです。

NBA のチームの中には、少数ですが単数形のチームがあります。
Miami Heat Orland Magic などは単数形です。

ではこれらのチームは selects になりそうなものですが…。
答えは原形の select なのです。
ドラフトで読み上げられた時の発音も select ですし、Google で調べた結果も select なのです。

"The Miami Heat select" 8,570件
"The Miami Heat selects" 284件

"The Orlando Magic select" 15,100件
"The Orlando Magic selects" 118件

ではなぜ単数の固有名詞なのに、原型の select が選ばれるのでしょうか?

その理由はあれしかない。

集合名詞

Miami HeatOrlando Magic集合名詞扱いなのです。

少しだけ集合名詞のおさらいを...。
集合名詞とは同じ種類のものの集合体を表す名詞です。大きく分けると可算の集合名詞不可算の集合名詞があります。詳しくは文法書を読んでいただければと思いますが、以下は概要です

★可算名詞として扱う集合名詞(人の集合体) 
①単数扱い・複数扱いの集合名詞 ・・・ family, class, committee, team, audience, etc.
集合体をひとつのまとまりとしてみる場合は His family is… その集合体の構成員に焦点を当てるならば His family are… が可能となります。

②複数扱いのみの集合名詞 ・・・ police, people, cattle, poultry, etc.
これらの名詞については is を使うことはありません。
The police are… はOKですが、The police is… はバツです。
一般動詞の現在形の場合は当然、原形になります。

★不可算名詞として扱う集合名詞(物の集合体)
③意味上は集合体でも常に単数として扱う集合名詞 ・・・ furniture, clothing, baggage, machinery, etc.
したがって、The furniture is… は OK ですが、The furniture are… はバツです。
また不可算名詞なので A furniture is… もバツです。

ここまで見てくると、なぜ Miami Heat と Orlando Magic に原形の select が使われたのかがわかります。
人の集合体なので、上記の①または②のケースと考えるのが妥当だと思います。

さらに NBA の公式ホームページでもこんな文言を見つけました。
The Orlando Magic are proud to celebrate inclusion and diversity during Pride Month with our community.

やはり、are が使われていますね。

今のところ①と②のどちらかには断定できていません。というのは、単数扱いのケースの有無まで調査できていないためです。いずれにせよ、集合名詞という考え方がわかりやすいと思います。

このように考えると、The Washington Wizards select の場合も、主語が複数形だから select という考え方よりも、Washington Wizards が集合名詞だから select なのだと解釈した方がすっきりすると思います。

以上、本論はここまでです。

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ここからはおまけです。

The Washington Wizards select Rui Hachimura!

ここでは select が使われています。
ところで同じ「選ぶ」でも choose は使えないのでしょうか?

実は人から聞かれたのです。私は「select はフォーマルな感じがする。この場合、choose は何かカジュアルすぎるんじゃないかな。それに select だと一生懸命選んだニュアンスがあるけど?」なんて答えたのですが、これまであんまり考えずに雰囲気で使い分けていたような気がします。

一度ちゃんと調べておこうと思いました。
現代英語語法辞典(三省堂)の説明がわかりやすかったです。

(1) choose: 物・人・コースなどのいくつかの選択の可能性のあるものの中から、どれにするかを決め、決めたものを実際に取ることを意味する。

(2) select: choose よりも選択範囲が広く、選ぶ際の慎重な価値の識別を含意する。choose より堅い語

(3) pick: select と同様慎重な選択を表すが、通例、個人的な好み・理由などによって選ぶことを含意する。また、慎重に考えずに選ぶことを含意することがある。


Longman によると
choose: to decide which one of a number of things or people you want

Select: to choose something or someone by thinking carefully about which is the best, most suitable etc

★上記から大体の感じがつかめると思います。select は choose よりもフォーマルで、「慎重に、最もよい・最も適しているものを選ぶ」というニュアンス、choose は「欲しいもの・好きなものを選ぶ」というニュアンスがあるように思います。

そう考えると、八村選手の場合はやっぱり choose ではなく select になるのでしょう。

読んで下さった皆さん、ありがとうございました。

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by ladysatin | 2019-06-27 00:23 | 英文法_English Grammar | Comments(11)

Why do you think he is angry?

まずこの文から。

Why do you think so?

意味は

何故、あなたはそう思うのですか?

ですよね。

では以下の文はどうでしょう?

Why do you think he is angry?

「この英文はどういう意味ですか?」と以前聞かれたことがあったのです。
皆さんはどう解釈しますか?

結論から言えば、2通りに解釈できるんですね。
以下の①と②の解釈が可能です。

①彼が怒っていると、何故あなたは思うのですか?
 →「あなたがそう思う理由」について聞いている。

②彼が怒っているのは何故だと、あなたは思いますか?
 →「彼の怒りの理由」について聞いている。

このように、全く異なる解釈が可能になります。
何故でしょうか?

元となる英文が違うにもかかわらず、同じ疑問文が出来上がってしまうからなんです。

①については、以下の会話で考えるとわかりやすいかも。
Aさん: I think he is angry. 私ね、彼は怒っていると思うの。
Bさん: Why do you think he is angry? 何で怒ってるって思うんだい?

元となる英文 I think he is angry. = I think that he is angry.
つまり I think が主節で、that 以下が従属節ですから、「私は that 以下であると思う」という意味になりますよね。

ここでは、実際に彼が怒っているかどうかは未確定です。Aさんがそう思っているだけのこと。それに対し、Bさんの Why do you think he is angry? というレスポンスは、「彼が怒っているとは限らないのに、何故Aさんはそう思うの?」って聞いているんですね。

②については、間接疑問文だと考えるとよいと思います。
たとえば What did he buy?(彼は何を買いましたか?)を do you think でつなぐ場合、以下の間接疑問文ができます。
→ What do you think he bought? 彼は何を買ったと思いますか?

Why の場合も同様に考えることができます。

Why is he angry?(彼は何故怒っているのですか?)を do you think でつなぐと、以下になります。
→ Why do you think he is angry?  彼が怒っているのは何故だと、あなたは思いますか?

元の英文 Why is he angry? は、彼が怒っている理由を聞いていて、それを do you think でつなげただけなので、②の解釈になります。①と違って、彼が怒っているのは事実です。

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このように、ひとつの疑問文が2通りに解釈されるわけですが、誤解のない表現にするにはどうしたらよいでしょうか。

①の意味を明確にしたかったら、以下のような言い方があります。
 What makes you think he is angry?
 What is it that makes you think he is angry?

①の意味で Why do you think he is angry? と言ったら、less respectful な感じがするというネィテイブがいました(WordReference.com の回答者の意見)ので、What makes you think…? の方がよい表現かもしれません。

②の意味を明確にするには、口語表現であれば
Why is he angry, do you think?
とするのが普通だ、というネィティブの意見がありました(これも WordReference.com の回答者の意見)。

以上です。今回のトピックは、私が結構大切だと思っている内容ですが、文法書では解説を見たことがなかったので取り上げてみました。

ではまた。156.png
by ladysatin | 2019-01-27 21:02 | 英文法_English Grammar | Comments(12)

so that が使えないとき

今日は、英文を書く上で登場回数が多い so that に関するトピックです。

まずはおさらいから。

ロイヤル英文法では、「目的を表す副詞節を導く接続詞」の項目に so that の記載があります。

例文を「ロイヤル英文法」P618より引用します。
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① I’ll give him a key so that he can get in any time.
彼がいつでも入れるように彼に鍵を渡しておこう

② Speak clearly so that the audience will understand you.
聴衆があなたの話を理解するように明瞭に話しなさい
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※so that の代わりに in order that も可。

このように「…するように…する」という日本語を表現するときに so that を使いますね。

その so that について、今日は私が過去にした失敗経験をご紹介します。
というのも、おそらく多くの人にとって間違いやすい箇所と思うからなのです。

ある取説を訳していたとき、こんな日本語に出くわしました。(少し中身は変えています。)

★電源プラグに簡単に手が届くように製品を設置してください。

この日本語を見た私は「これは so that の定番だ」と思いました。
「…するように…する」に当てはめて書けばよいだけの話。

そこで、私は以下の訳文を作りました。

★Install the product so that the hand can reach the power plug easily.

分解すると…
電源プラグに簡単に手が届くように - so that the hand can reach the power plug easily
製品を設置してください - Install the product


別に問題はなさそうに思います。
しかし、私は自分で書いておきながら、この英文にとても違和感をもったのです。
なんかおかしい。でも何故なのか説明できない。

納期が迫っていました。不本意ながら、私はこの英文を納品しました。
しかし、ネィティブのチェッカーからは何の指摘もありませんでした。
OKだったのかな。

いや、OKではないはず。この英文はおかしい。
それにしても何故、この英文が腑に落ちないのだろうとずっと考えていました。

そして、最終的に「この英文で so that を使うことはできない」という結論に至りました。

実はよく考えたらわかることでした。
「…するように…する」という日本語しか見ていなかったのです。

再度、ロイヤル英文法の①の例文を見てみます。
① I’ll give him a key so that he can get in any time.
彼がいつでも入れるように彼に鍵を渡しておこう

so that 節は主節の目的を表します。
「彼がいつでも入れるように」が目的で、そうなるように「彼に鍵を渡しておこう」ということです。

見方を変えると、so that 節は結果も表しています。
「彼に鍵を渡しておく」と、その結果「彼はいつでも入れるようになる」ということ。

つまり、so that 節は目的であり、結果を表さねばならない。
しかし、私が作った英文はそのようになっていませんでした。

★電源プラグに簡単に手が届くように製品を設置してください。
★Install the product so that the hand can reach the power plug easily.

この英文では、so that 節は主節の目的になっていません。
製品の設置をする目的が、「電源プラグに簡単に手が届くようにするため」でないことは明らか。
製品は「使う」という目的のために設置をするのですね。

また、この英文での so that 節は、結果も表していません。
「製品を設置した」結果、「電源プラグに簡単に手が届く」という理屈にはなりませんよね。

ではどうすれば正しい英文になるのか。

so that の代わりに別のフレーズを入れればよかったのです。
Install the product XXX the hand can reach the power plug easily.

XXXにいくつかの単語を入れると、ロジックが明瞭な英文になります。

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追記 2018/07/04

答えは in such a way that です。

Install the product in such a way that the hand can reach the power plug easily.

in such a way that は「that 以下になるように」でよいのですが、ここでの「ように」は「目的」ではなく「方法」を表しています。「that 以下が成立するようなやり方で」という感じです。

「…するように…する」と聞くと、すぐに so that を思い浮かべがちですが、短絡的に考えると失敗します。that 以下が「目的・結果」なのか、「方法」なのか考える必要があるということですね。

しかしながら、「一億人の英文法」には、「目的を表す、その他の表現(P633)」の項目に、in such a way that が記載されています。「such that よりも自然なやわらかい言い方です。way は「やり方・方法」」とあります。「やり方・方法」なら「目的」に入れたらだめだと思うのですが。さらに同書には、「such that は「やり方」が色濃く感じられます。単に「~するため」でなく「~となるようなやり方で」ということ。」とあります。

この本を読んだ限りでは、in such a way that と such that は同義で、アカデミックな論文では such that を使うことが多いということのようです。

一億人の英文法の例文
They presented the project in such a way that only the positive aspects were seen.
彼らは、よい面だけが見えるように企画のプレゼンを行った

上の例文も同じように考えてよいですね。「よい面だけが見えるように」は「よい面だけが見えるようなやり方で」の意味です。

もうひとつ「技術英語の冠詞活用入門」から引用します。
Factories were built in such a way that different activities were performed in different areas.
工場は異なった活動が別々の場所で実行できるように建設された。

★結論★
日本語が「…するように…する」だとしても、いつでも so that で表現できるとは限らない。

by ladysatin | 2018-07-02 15:46 | 英文法_English Grammar | Comments(7)

experience に関する一考察

以前、同格の that 節がとれない名詞についての考察 という記事を書きました。


この記事で私は、「case がなぜ同格の that 節をとれないのか」について考察しました。


今日は、もうひとつ、experience が同格の that 節をとれないのはなぜなのか」について、考えてみたいと思います。

これは、私にとって長年の疑問なのですが、なぜダメなのかを解説してある文献が、全くありません。


experience は同格の that 節をとれないのだと、機械的に覚えるのもよいと思います。しかし、ダメには何か理由があるはず。そう思うとやはり追求したくなります。

私は一技術翻訳者にすぎないので、この記事でその答えを解明するまでには至らないかもしれません。しかし、考える価値のある問題だと思います。何故ならば「experience + that 節」の誤用は至る所で見るからです。それほど違和感なく使われている(特に日本人の英語学習者の間で)といってよい思います。


この記事は、experience が同格の that 節をとれないのはこの理由ではないかと、私個人が考察した内容を記述するものです。皆様にも考えていただければ幸いです。


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同格について(ロイヤル英文法 P130 より引用)

名詞または名詞相当語句をほかの名詞または名詞相当語句と並べて補足的説明を加えることがある。この関係を同格と呼ぶ。(引用ここまで)

では、ここから具体的な英文を作ってみます。

「私は英語を5年間教えた経験がある。」を英文にします。
I have the experience of teaching English for five years. – 正 〇
I have the experience that I taught English for five years. – 誤 ×

が正しくは間違いです。
...をした経験がある」というときは experience of 動名詞 の形にしなくてはなりません。
しかし、
のようにexperience + that 節」の誤用は、実際多く見受けられます。

同格の that 節の用法とは、「先行する名詞の内容を、それに続く that 節が説明する」というものです。したがって、
が成立するには、the experience の内容を that 節が説明している必要があります。

そこで、私はこう考えてみました。

<②がダメなのは、the experience の内容を that 節が説明していないからだろう。これを証明できれば、 experience が that 節を従えることができない理由が導き出せるのではないか。>

そこで、experience の定義を、英英辞書で調べました。
そしたらちょっと面白いことがわかりました。

experience
には様々な用例がありますが、以下は、
の英文に当てはまると思われる説明文です。
いずれも不可算名詞 [uncountable] の用法です。

●Longman
の記載
experience: knowledge or skill that you gain from doing a job or activity, or the process of doing this
仕事や活動、またはこれを行なう過程から得る知識や技能

e.g.) You’ve got a lot of experience of lecturing.
e.g.) He had no
previous experience of managing a farm.

●Merriam-Webster
の記載
experience: skill or knowledge that you get by doing something
何かを行なうことで得る技能や知識

e.g.) She gained/acquired a lot of experience at that job.

●Collins COBUILD の記載
Experience is
knowledge or skill in a particular job or activity, which you have gained because you have done that job or activity for a long time.
experience
とは、ある特定の仕事や活動の中で、それらを長期間行ったがゆえに得た知識や技能のことである。


e.g.) He has also had managerial experience on every level.

以上が、辞書の定義です。

072.gifこれらを見て、英英辞典の記載に共通点があることがわかりました。

それは、experience
とは knowledge(知識)でありskill(技能)だということです。
しかも、gainする(得る)ものだということなのです。

experience
は日本語で「経験」と訳されますが、私達が「経験」というとき、「過去に自分がしたこと」と捉えがちではないでしょうか。少なくとも私はそうでした。しかし、今考えると、それは私が浅はかだったというより他はありません。なぜなら、日本語の「経験」にも「知識や技能」が意味として含まれているからです。

●広辞苑における「経験」の定義の一つにこう書かれています。
「何事かに直接にぶつかり、そこから技能・知識を得ること」

このように、英語の experience に対し、日本語の「経験」を訳語にあてることは全く正しいことがわかります。

そして、ここまで見てきてようやく私は思いました。
experience
は同格の that 節をとることはできないであろうと。

なぜならば、experience の中身を that 節で説明などしていないからです。
もう一度、
の文を見てみましょう。
I have the experience of teaching English for five years.

この文は「私は英語を5年間教えた経験がある。」と訳してかまいませんよね。

しかし、この文がもつ本来の意味は、「私は、5年間英語を教えたことから得た知識や技能をもっています。」ということです。これは、上の辞書の定義からも明らかであろうと思います。

つまり、ここで使われている the experience とは、「得たもの」すなわち「成果物」というとらえ方ができるのではないでしょうか。5年間英語を教えたことを通して、the experience が生じたということです。だから、同格になりようがないのではないかと、私は思うに至りました。

違う視点から見てみます。
以下は、同格の that 節を使った典型的な文です。

I was surprised at the news that she won the game.
彼女が試合に勝ったという知らせを聞いて驚いた。

that 以下(彼女が試合に勝った)は、 the news(知らせ)の内容を具体的に説明しています。

一方、
の文をもう一度見てみます。
I have the experience that I taught English for five years.

②の文は、that 以下は the experience を説明していません。that 以下は the experience を得るために行った内容です。つまり the experience をもたらした要素と考えることができると思います。だから、同格とみなすことはできない。故に、同格の that 節を使うわけにはいかないということではないかと、私は思うに至ったのです。

皆様はいかが思われるでしょうか。

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最後に、このサイトの記述を取り上げたいと思います。

→ http://www.ravco.jp/cat/view.php?cat_id=5022


(ここから引用)

○ Tom had the sad experience of losing her wife.
× Tom had the sad experience that he lost her wife.


同格の of は、「行為」「経験」「習慣」等の意味を表すような名詞の説明によく使われます。一方、同格のthat 節は、「伝達」「考え」「認識」の意味を表すような名詞の説明によく使われます(名詞節の同格の項を参照)。上記の experience 以外にも、下記の名詞は、同格のof を使用し、that 節は原則的に使用しません。(引用ここまで)

----------------------------------------------------------


このサイトによると experience は 同格の of を使い、同格の that 節は使わないと書かれています。しかし、私はこの記載には納得できないでいます。というのは、ここの記載は明らかに、「experience of 動名詞」を同格表現として説明しているからです。一方私は、experience は「of 動名詞」を要素とする成果物だと考え、同格表現とはとらえていません。理由は上に述べた通りです。


このように、この of は同格の of ではなく、[材料・構成要素]を表す of と考えるのが妥当ではないかと、私は思いました。


●ジーニアス英和大辞典で of を引くと、9a にあります。

[材料・構成要素] …で作った、・・・から成る

これに当てはめて考えると、①は「英語を5年間教えたことで出来上がった experience」のような感じです。


以上、experience について考察しました。


ご感想やご意見がありましたら、コメント欄にお願いいたします。075.gif



by ladysatin | 2017-01-29 16:22 | 英文法_English Grammar | Comments(10)

新幹線のアナウンス

以前勤めていたところでは、出張が多かったです。移動は新幹線がほとんどでした。フリーランスになってからは、新幹線に乗ることもさっぱりなくなりました。先日、半年ぶりくらいに所用で新幹線に乗りました。なんだかうれしかった。

その時久しぶりに聞いたアナウンスです。

We will be stopping at Shin-Kobe station before arriving at Shin-Osaka terminal.
「新大阪に着く前に、新神戸に停まります。」という意味ですね。

さて will be stopping に注目してみましょう。

We will stop でも We are going to stop でもない。
なぜ、We will be stopping なんだろうって思いませんか。

ここでは、未来を表すのに will be stopping と表現されているのです。

ということで、今日は未来表現について少しだけ書いてみたいと思います。

新幹線のアナウンスで使われている will be stopping は、形の上では未来進行形になりますが、ここに進行の意味はありません。

これについて現代英文法講義では、以下のように解説されています。
--------------------------------------------------
個人の意思とは無関係に、自然の成り行きで(as a matter of course)出来事が起こるという意味を表す。この場合は、進行相の含意はない。ひと口で言えば、<予定>を表すとしてもよい。(引用ここまで)
--------------------------------------------------

この記載でいえば「自然の成り行きで(as a matter of course)」というのがポイントかなと思います。

① We will be stopping at Shin-Kobe station before arriving at Shin-Osaka terminal.
この文では、Shin-Kobe しか書いていませんが、他にも駅名を入れることができます。

①’ We will be stopping at Kokura, Hiroshima, Okayama and Shin-Kobe stations before arriving at Shin-Osaka terminal.
つまり、新大阪に着く前に、小倉、広島、岡山、新神戸に、自然の成り行きで停車しますよということが言いたいのです。

では、その他の未来表現を使うとどうなるんでしょう。
思いついただけでもこれだけあります。↓

② We are stopping at Shin-Kobe station.
③ We will stop at Shin-Kobe station.
④ We are going to stop at Shin-Kobe station.
⓹ We are to stop at Shin-Kobe station.
⑥ We stop at Shin-Kobe station.

それぞれのニュアンスの違いを考えてみたいと思います。

② We are stopping at Shin-Kobe station.
この文は近接未来を表しています。「まもなく新神戸に停車します。」という意味です。

これについて現代英文法講義には、stop という動詞の性質に切り込んだ記載があります。

まず、動詞には、大きく分けて状態的動詞と非状態的動詞があり、非状態動詞は完結的動詞と非完結的動詞に分けられます。さらに、完結的動詞は瞬時的動詞と非瞬時的動詞に分けられます。そして、同書には、瞬時的動詞の例として jump、非瞬時的動詞の例として stop の例文が上げられています。

引用します。
----------------------------------------------
He was jumping for joy. (彼は喜んで(何度も)はね回っていた)[瞬時的]
The bus is stopping. (バスは止まりかけている)[非瞬時的]
----------------------------------------------

このように、瞬時的動詞と非瞬時的動詞は、進行形になったときに、明らかな意味の違いがあるんですね。瞬時的動詞の jump が反復を表すのに対し、非瞬時的動詞の stop は「…しかけている」という意味になります。

また同書には「非瞬時的動詞は進行形になったとき、「推移的」(transitional)な意味を獲得する」とあります。

②の文に戻ると、「新幹線は速度を落としながら、新神戸に到着しつつある」というイメージがわいてくるのではないでしょうか。

このように見てくると、①‘のWe will be stopping を We are stopping に変えると、意味が変わるというより非文になってしまいますね。小倉、広島、岡山、新神戸の4つの駅に同時に到着しつつあるという意味になってしまうからです。

③ We will stop at Shin-Kobe station.
will を使った文は中学生のときに習いますね。
単純未来と意志未来の二通りに解釈することが可能です。

●単純未来
話者や主語の意志に関係なく、未来に起こると予測される事柄を表します。
③の will stop には、will be stopping のように「自然の成り行きで」という含意はありませんが、①や①‘を will stop にしても文として成立しますね。また、ただ未来のことを言及しているにすぎませんから、必ずしも新幹線に乗っていなくても使えます。例えば、新幹線に乗るのが今日として、1週間前の発話でも問題ないと思います。

●意志未来
話者の意志と考えると、「新神戸に停まってみせる」のような感じでしょうか。

④ We are going to stop at Shin-Kobe station.
be going to の用法については、英文法解説の記載がわかりやすいと思いました。

引用します。
----------------------------------------------
A. 近い未来の予測
通例何かが起りそうな徴候があり、その徴候から判断して近い未来に「~しそうだ」という話者の予測を表す。

B. 前もって考えていた意図
日本語の「~するつもりです」に相当し、その場で思い立ったことではなく、前から考えていた意図・計画などを表す。
----------------------------------------------

ということは、④を A に当てはめて考えると、「新神戸に停車しそうな徴候がある」ということです。どんな時に使えるかな?例えば、本来は新神戸には停車しない新幹線だけど、台風が直撃し最寄りの駅に一時停止しなくてはならなくなった場合だと be going to が適切だと思います。

B に当てはめると「新神戸に停車するつもりです」となります。例えば、ダイヤ改正で新幹線の停車駅について協議をしている場面だったら、こんな発言が出てきてもおかしくないかもしれません。

⓹ We are to stop at Shin-Kobe station.
「be to + 不定詞」は一般に、取り決めを表しますよね。この文だと「新神戸に停車することになっている」という意味になると思います。

⑥ We stop at Shin-Kobe station.
現在形の stop を使うと、確定した未来になります。変更の予定がないとき、ほぼ確実にそのことがおこる場合に使いますね。

確定した未来については、過去の記事で取り上げたことがあります。
Guns N' Roses の Sweet Child O' Mine の有名なくだりで、Where do we go? が繰り返し出てきます。
この Where do we go? の正体こそ、確定した未来なのです。

よかったら参考までに。→ Sweet Child O' Mine - Guns N' Roses 訳詞考察(2回目)

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今回は、新幹線のアナウンスをきっかけに、未来の表現について考えてみました。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2016-09-25 20:12 | 英文法_English Grammar | Comments(4)

接続詞の where

久しぶりに文法のトピックです。

先日、知人から受けた質問なんですが、興味深いものだったので、皆さんとシェアしたいと思います。
よろしかったらお付き合いください

以下の英文が、何かの参考書に載っていたらしいです。
★We have to rent a car where we are visiting next week.
「来週の訪問地では、車を借りなくてはなりません。」

「ふむふむ。それでどうした?」って思ったのですが、知人から「この where は何なの?」と質問されました。彼女は最初、この where は「関係副詞の先行詞省略」だと思ったそうですが、馴染みのある先行詞省略の形じゃないというのです。例えば、This is where I live. とか Stay away from where a fire is occurring. などとは違うと。それで、関係副詞ではないのではと思ったというんですね。

皆さんはどう思いますか?

私の答え…

この where は接続詞では?

知人にそう言ったところ、「where が接続詞?」と驚いていました。それもそのはずで、高校英語では学習しないため、where に接続詞の用法があることを知らない人が多いんです。また文法書でも、where の接続詞の用法については、あまり詳しく書かれていません。Forest では案の定、スパッと割愛されています。この用法は、ちょっと盲点かもしれません。

実はこの問題における where の用法については、関係副詞という考え方と接続詞という考え方があります。私自身は、この where を関係副詞でないと断言することまではできないのですが、接続詞と考えるのが妥当だと思っています。というのは、接続詞と考えたほうが論理的に説明でき、また英語を学ぶ人にとっても納得しやすいと思うからなんです。

では、なぜ上の文の where が関係副詞の先行詞省略ではなくて、接続詞と考えるのが妥当だと思うのかを説明させていただきます。その前に関係副詞についてちょっとおさらいしますね。

関係副詞 where の例
a. This is the house where I was born. ここは私が生まれた家です。
この文では言わずもがな where が関係副詞で the house が先行詞です。
関係副詞の where で導かれる節 where I was born は、先行詞 the house を修飾する形容詞節ですね。

次に、関係副詞 where の先行詞が一般的な場所を示す the place のとき、先行詞を省略できることはよく知られています。
b-1. This is the place where I was born.
b-2. This is where I was born.
(先行詞 the place を省略した形)

b-1 = b-2 ですね。先行詞を省略しない b-1 では、where 以下の節は a の例と同じく形容詞節です。一方で、先行詞を省略した b-2 は、where 以下は名詞節となっています。

実はここが重要で、先行詞を省略した where 以下の節は名詞節になるのだということ。
ここをおさえておく必要があります。

最初の方で、私の知人が「馴染みのある先行詞省略の形」としてあげた、This is where I live. や Stay away from where a fire is occurring. なども、where 以下は名詞節になっています。

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●ロイヤル英文法 P657 より引用
先行詞が the time, the place, the reason などのときは、これらは一般に省略される。先行詞が省略されると、関係詞は名詞節を導くことになる。

●現代英文法講義 P201 より引用
when, where, why, how: <略式体>では、関係副詞の先行詞を省略することが普通である。このようにして派生された自由関係副詞節は、名詞節としての機能をもち、特に be 動詞の補語節、前置詞の目的語節として用いられることが多い。
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では元の英文に戻りましょう。
★We have to rent a car where we are visiting next week.

ここの where 以下は何でしょうか?名詞節という考え方はできないですね。We have to rent a car で一旦、文が完結していて、そのあとに名詞節がつながるという形はありえません。この時点で、この where は、いわゆる先行詞を省略した関係副詞でのルールに沿っていないといえると思います。

その一方で、関係副詞の先行詞省略だと主張する人もいます。つまり、先行詞を省略しない形は以下の文だという主張です。
We have to rent a car (at the place) where we are visiting next week.

なるほど at the place が省略されたものと考えたんですね。
しかし、これはよく見ると変ではありませんか?

この文の先行詞は the place です。しかし、その前に前置詞の at があります。この at は先行詞ではありません。確かに at the place が省略されているという考えには賛成です。しかし、これは先行詞の省略ではなく、「前置詞 + 先行詞の省略」になります。ということは、これも関係副詞の先行詞省略とはいえないと思います。

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●ロイヤル英文法 P658 より引用
He found his camera where he had left it. (彼は自分が置き忘れたところにカメラがあるのを見つけた)というような文では、where は in [at] the place where の意味で、<前置詞 + 先行詞>が省略されている。この場合は where 以下は場所を表す副詞節として働いているので、where を接続詞として扱うのがふつうである。
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上記検討してきた結果、以下のように考えられると思います。
◎先行詞が省略された where → 関係副詞
◎前置詞 + 先行詞が省略された where → 接続詞


もう一度英文を書きます。
★We have to rent a car where we are visiting next week.
この文の where の前には at the place (前置詞 + 先行詞)が省略されているため、where は接続詞と考えました。となると、where 以下は副詞節で、We have to rent a car が主節です。このことから where we are visiting next week は、文頭にもってくることが可能になりますね。以下の文です。

Where we are visiting next week, we have to rent a car.
「来週の訪問地では、車を借りなくてはなりません。」

where が副詞節を導く接続詞なので、このように前後を入れ替えても意味は全く同じです。

一方、先行詞を省略した関係副詞 where の文は前後を入れ替えることができません。
意味が変わるという以前に、文として成立しなくなります。
This is where I live. → X Where I live, this is. (非文)
Stay away from where a fire is occurring → X Where a fire is occurring, stay away from. (非文)


このように考察した結果、接続詞の where は、先行詞を省略した関係副詞 whereとは、別個のものだと考えるのが妥当だと私は考えます。

この文も接続詞 where の例です。
Where there is a will, there is a way.
意志あるところに道あり

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最後に、問題の文の where について、関係副詞という考え方もあると先に述べました。いくつかの文法書の記載例をあげておきます。

ロイヤル P658 では、「<前置詞 + 先行詞>が省略されている where は接続詞と考えるのがふつう」だと記載されてはいるものの、同書 P614 では、「where を、先行詞を含んだ in [at] the place where という意味の関係副詞とする見方もある」とも記載があります。

また、英文法解説では、この where を接続詞に含めておらず、関係副詞の項目の先行詞のない用法の中に「副詞節を導く例」として記載してあります。

現代英文法講義では、接続詞の章の P604 に「場所の副詞節」として分類されている一方、同書の P201 では自由関係副詞の項目の「副詞節を導く場合」にも記載があります。

このように where を関係副詞に入れているケースもあるのですが、ここで私が気になるのは「副詞節を導く場合」という表現です。関係詞というものは、そもそも形容詞節を導くものです。よって、例外として副詞節を導くものもあるという説明は、学習者を混乱させるだけだと思うのです。

英語学習については、できるだけ学習者の胸にストンと落ちる解釈であるに越したことはありません。そう考えると、where 以下が形容詞節の場合が関係副詞、副詞節の場合が接続詞と考える方が、すっきりと理解できるものと思います。

今回は、接続詞の where について考えてみました。

おわり 001.gif
by ladysatin | 2016-08-16 21:53 | 英文法_English Grammar | Comments(9)

関係副詞 where の盲点

関係副詞といえば、when, where, why, how がすぐに思いつきますね。
あと that も前述の関係副詞の代わりに用いられることがあります。

今日は関係副詞の where について書きたいと思います。

早速ですが、以下の文をちょっと見てください。
①Sometimes I have a moment where I feel happier than I used to.

意味は「時々、私は以前より幸せだと感じる時がある」となるでしょう。moment は「時」ですよね。

さて、この英文を見て皆さんはどう思いますか?
先行詞 a moment に対し関係副詞 の where が使われています。

ということで、またある人から質問をいただきました。
072.gifa moment は「時」を表していますが、なぜ関係副詞の when ではないのでしょうか。

ええ、確かに when でよさそうです。では、when を入れてみます。
②Sometimes I have a moment when I feel happier than I used to.

これも意味は「時々、私は以前より幸せだと感じる時がある」でいいでしょうね。
全くおかしなところはありません。

では、moment where は間違いなんでしょうか?

ちなみに moment when でググると 33,900,000件、moment where だと 3,570,000件という結果でした。moment when の方が圧倒的に多いです。しかし、Google の件数の差からどちらが正しいなどと、短絡的に結論づけることはできないです。意味に違いがあるときに件数で比較しても何の意味もありませんから。moment を「一点の時」と考えたら moment when しかありえません。ここで調べたのは、moment where がごく普通に使われている表現だということを知るためです。moment where の3,570,000件という数字はそれを物語っています。

ということは、①と②の英文はどちらも正しいといえると思います。ただ意味が違う。
その違いを探りたいと思います。

まず、when を使った場合は、まさに「時」を表します。
moment なので「瞬間」でもかまいません。「幸せと感じる瞬間」でも意味は通じます。

では where はどうでしょう。辞書を見てみます。
すると、関係副詞の where は「場所」以外を先行詞とすることができることがわかります。

ジーニアスより引用します。
●where
[制限用法;場所・場合、時に局面・時代などを表す語句を先行詞にして] ...するところの
《◆ in [at, to] which で置き換え可能》

例1)There are cases where no treatment can be of any avail.
どんな治療もまったくききめのない症例もある。

例2)We live in an age where traveler's checks and credit cards are the norms for most international travelers.
今やトラベラーズチェックやクレジットカードがたいていの国際旅行者の規範となっているご時世である。

moment についても調べてみました。こちらもジーニアスから。
●moment
[通例 a/the ~](特定の)時、次期;好機、大切な時期;(...する/...の)時、場合(to do/for)

このように、where で「場合」を表す語句を先行詞とするとあり、moment にはまさに「場合」の意味があることから、moment where は正しい用法であることがわかります。

moment を「場合」の意味で使っている例文がありました。
例3)There’s not a [one] moment to lose.
ぐずぐずしているひまはない。(=ぐずぐずしている場合ではない)

ではもう一度①を見てみましょう。
①Sometimes I have a moment where I feel happier than I used to.

初めに「時々、私は以前より幸せだと感じる時がある」と訳しましたが、上記の考察から、この英文は「時々、私は以前より幸せだと感じる場合がある」とした方がより適切だと思われます。

「より適切」としたのは、「幸せと感じる時」でも意味がとれると思うからです。つまり、この moment を「時間的な空間」と考えると、「時」という訳語を付けることに不都合はありません。かつ「空間」なので where を使ったというロジックも成立します。

<まとめ>
このように見てくると、moment に対し when を使うのは、「時」といっても「瞬時から比較的短い時間」に言及するときという考え方ができると思われます。一方の where は時間の概念は根底にはあるものの「さまざまな場面や場合(occasion)」に言及する際に使うというニュアンスの違いがあるように思います。

ついでながら、The Phantom of the Opera の中の The Point of No Return という歌の中に、こんなくだりがあります。
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You have brought me to that moment where words run dry,
to that moment where speech disappears into silence, silence...

あなたは、言葉が尽きてしまうその時へと私をいざなった
話された言葉が静寂の中へと消えていくその時へと...
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ここでも「時」という訳語をつけましたが、真意は「時間的な空間」なのだろうと思っています。

いずれにせよ、moment where はごく普通に使われる表現だということを知っておくとよいと思います。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-09-26 15:23 | 英文法_English Grammar | Comments(4)

今日は中学生から受けた質問を取り上げたいと思います。

これは父が私に買ってくれた時計です。

この日本語を「関係代名詞 which を使って英語にしなさい」という問題があります。
皆さんだったらどう書きますか?

英語が得意なマリコさんはこう書きました。
A) This is the watch which my father bought me.

しかし、解答を見てみるとちょっと違っていました。その英文がこれです。
B) This is the watch which my father bought for me.

ほぉ...解答では for が入っていますね。
この問題集には特に解説がなく、この解答だけ載せてありました。

これを見たマリコ子さんは、for が入っている問題集の解答が正しいのはわかったとのこと。しかし、自分の答えも正しいはずだと思ったそうです。というのは A と B は元になっている英文が違うだけで、表している意味は同じだというのが彼女の考えなのです。

つまりこういうことです。

関係代名詞は2つの文をつなぐ役割を果たしますよね。
A と B を関係代名詞を使わず、2文にしてみましよう。
するとこうなります。

A) This is the watch. + My father bought me the watch.
B) This is the watch. + My father bought the watch for me.


どうでしょう。どちらも正しい英文ですね。
ということはマリコさんの英文も正しいということでいいんでしょうか?

さて、皆さんはどう思いますか?早速、検討してみましょう。

A では後半が SVOO の二重目的語構文になっています。
B の後半は A を書き替えた形です。

学校英語では
My father bought me the watch. = My father bought the watch for me.
と習います。

ということは、関係代名詞でつないでも意味は同じになるように思われます。

しかし...

これはやはり問題集にあった B が正しく、A は間違い(もしくは非文法的)になるでしょう。

もう一度A を見てみます。
A) This is the watch which my father bought me.

この英文には二つの問題があります。

まず、関係代名詞節というのは、元の英文の一部が先行詞として前に出ているため、不完全文になりますよね。例えば This is the book which I bought yesterday. という文は I bought the book yesterday. の the book を先行詞として前に出した文です。よって、関係代名詞節の I bought yesterday は目的語が欠落しています。この欠落感というものが関係代名詞節にはあるんですね。

しかし、A の文の関係代名詞節は my father bought me となっていて、あたかも文が完結しているかのように見えます。実際に「私の父が私を買った」と解釈する人はいないでしょうが、見た目は SVO の形になっており、関係代名詞節に特有の欠落感がないということです。これが一つ問題だと思います。

もう一つの問題は、関係代名詞節における my father bought me の me は、二重目的語構文における間接目的語であるにもかかわらず、文が SVO で完結しているように見えるため、間接目的語であることが認知されにくいということです。言い換えると、与格が認知されにくくなっているということになります。

二重目的語構文においては、間接目的語と直接目的語が2つ並ぶことで、与格(~に)と対格(~を)という格付与がなされます。My father bought me the book. という文においては、me(私に)が与格、the book(本を)が対格です。しかし、This is the watch which my father bought me. においては、与格と対格の位置が分断されているため、この両者が見えにくいのです。その結果、my father bought me のところだけ見ると me は SVO におけるただの目的格のように見えてしまうのですね。これはちょっと問題かなと思います。

また、文の意味からいうならば、二重目的語構文では「間接目的語が直接目的語を所有する」という含意がありますが、A の文ではこの意図が伝わりにくくなってしまっています。

一方のBの文はどうでしょう。
B) This is the watch which my father bought for me

関係代名詞節には目的語が欠落しており、先行詞の位置に移動していることが明確です。
また、for を入れることで、me が受益者であることも明確です。

このように見た結果、A の文は不適切となり、B が正しいと判断せざるをえないと思います。

記事のタイトルにも書きましたが、言葉は方程式ではないということなんですね。
そのほんの一例を今回は取り上げてみました。

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さて、せっかくなのでもう少し考察を深めたいと思います。
二重目的語構文の書き替えについてです。

John gave Mary the pen という SVOO の二重目的語構文は、John gave the pen to Mary. というSVO の to 与格構文に書き替えることができると、学校英語で学びますね。しかし、この2つの文は本当に同じ意味なんでしょうか?

実はこの2文は言いたいことが少し違うようなんです。
疑問文にしてみるとその違いが見えてきます。
C) Did John give Mary the pen?
D) Did John give the pen to Mary?


普通はこれらの疑問文では文末が上がって発音されます。言い換えると、文末が強調されるということです。ということは、C においては the pen が、D においては Mary が疑問の対象となっていると考えることが可能です。

つまり、C の意味は「John が Mary にあげたのはペンなのか?」となり、D は「John がペンをあげたのは Mary になのか?」という違いがあることが明確になります。

このように考えると、単純に「二重目的語構文を to 与格構文に書き替える(またはその逆)」と安易に言えなくなるのではと私は思うのです。

皆さんはいかが思われるでしょうか?

あと、二重目的語構文でも与格構文にできない場合も多々あります。
これについてはまた別の機会に書きたいと思います。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-09-12 15:35 | 英文法_English Grammar | Comments(0)

主節が完了形で、それに since 節が続く場合、since 節の時制はどうなる?
おそらくほとんどの人が since 節は過去形になると習ったのではと思います。

たとえば...
He has been working since he left school. 学校を出て以来、彼は働いている。

この文では since he left school の箇所が過去形になっていますね。

そこで最近受けた質問です。
英検の準2級の過去問にこんな問題があったとか。

A: Has Julie phoned you recently?
B: No, it has been a month ( ). She must be working a lot these days.

上記の ( ) 内に以下の語群を正しく並べて入れます。
[her, since, from, heard, I've]

すると答えは since I've heard from her になりますね。
与えられた語群をすべて使うので、これ以外は考えられません。

★It has been a month since I have heard from her.

そこで、この文の since I have heard from her は正しいの?
since I heard from her と過去形にすべきなんじゃないの?という質問なんです。

さてこれはどう考えたらいいでしょう。
●ジーニアスを調べてみました。
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[it is C ~... ] ...してから...になる
《◆ (1) C は期間を表す語 (2) 通例主節は現在形で、since 節は過去形 (3) since 節は否定形不可》

例文)It is [has been] two years since I saw Tom last.

I haven't seen Tom for two years. との混同から、It is two years since I have seen Tom. のように
since 節に完了時制を使うことがある
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ジーニアスには since 節は過去形と明記されていますが、「完了時制を使うことがある」とあります。しかし、「混同から」というのは私は理解に苦しみます。混同だから完了形はやはり間違いと言っているようにとれますね。

●次に現代英語語法辞典を見てみました。It be...since...の構文を説明している箇所に以下の記載がありました。
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since 節では通例、過去形が用いられるが、since 節の現在完了形が過去から現在までの期間中に当該の事態が1度も起らなかったという否定の含みをもつ場合には、現在完了形が用いられる。

例文)It’s been a longtime since I’ve seen Gerald.(ジェラルドに会ってからずいぶん経つ)
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これも説明文がややこしいですが、ここで言っているのはこういうことでしょう。
例文の since 節を過去形にして書いてみます。

It’s been a longtime since I saw Gerald.

この文では、過去に私がジェラルドに何度か会ったとして、いつの時点からのことを言っているのかがはっきりしません。今年の3月1日、4月1日、5月1日に会ったとして、最後の5月1日から会っていないという意味になるとは限りません。3月1日からという解釈もできる文なのです。

普通は最後に会った5月1日からと考えるので混乱はないのでしょうが、英文として見たときに、不具合があるということです。よって、完了形にすれば最後に会った時からということが明確になるという訳ですね。そのことが書かれているのです。

では since 節は過去形では書けないのかというと、もちろん書けます。
最後に会ってからということが明確になればよいわけですから、last を付ければいい。

It’s been a longtime since I saw Gerald last.

これが一番、私たちが目にするパターンですね。

ということは、同じ意味を表すのに2通りの書き方ができるということです。
It’s been a longtime since I've seen Gerald.
= It’s been a longtime since I saw Gerald last.


英検の問題も同様に考えます。
It has been a month since I have heard from her.
= It has been a month since I heard from her last.


以上は、It is/has been ... since の構文の場合の例です。

ついでながら since 節が完了形になるのは、It is/has been ... since の構文以外にも多くあります。
それは、since 節の内容が現在まで継続している場合です。この例を見てみましょう。

Practical English Usage (Michael Swan) には「since 節は意味によって完了形や過去形になりうる」とあります。
例文を引用します。
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① I’ve known her since we were at school together.
② I’ve known her since I’ve lived in this street.

③You’ve drunk about ten cups of tea since you arrived.
④You’ve drunk about ten cups of tea since you’ve been sitting here.

⑤We visit my parents every week since we bought the car.
⑥We visit my parents every week since we’ve had the car.
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上の例文についての解説は載っていませんでしたが、こういうことでしょう。
①学校に通っていたのは過去のことであり、今は通っていないので過去形。
②今もこの通りに住んでいるので完了形。

③arrive は動作動詞で一時点の行為しか表さないので、過去形が使われている。
 これを完了形にすると arrive が現在まで続いていることになり意味をなさない。
④sit は状態動詞であり、since 節で完了形との共起が可能。

⑤buy も動作動詞で一時点の行為しか表さないので過去形。
⑥have は状態動詞であり、since 節で完了形との共起が可能。

このように、since 節は必ずしも過去形というわけではなく、完了形にせざるをえない場合も多々あるということがわかります。

ということで、今回は since 節の完了形の用法について取り上げてみました。

それにしても英検準2級の問題は侮れないですね。
ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-08-30 16:08 | 英文法_English Grammar | Comments(0)