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I Live Here

年齢を重ねると涙もろくなるというのは本当のことのようです。
若いときはテンションが上がっていた(笑)ので、涙とはあまりお付き合いがありませんでした。

ここ数年は、自分に直接関係のないことなのに、ほんのちょっとしたことで心が揺さぶられます。何故だろうと思いました。もしかしたら、人生の折り返し地点を通過し、死に向っていることを無意識のうちに日々感じとっているからかもしれません。

残りの人生をどう生きるのか。自分の生きた証を何かの形で残したい。そう思いながらも何もできていない自分に愕然とします。8月になるとその想いが強くなります。時代に翻弄され、無念な死をとげた人々に思いを馳せるとき、平和な日々のありがたさをかみしめると同時に、今の自分から一歩を踏み出さなくてはと思います。

被爆者である母は、よく原爆の話を聞かせてくれました。しかし、その話は断片的にしか覚えていません。今になって思います。もっともっと聞いておくべきだったと。今、「あの時の空はどうだったの?」と聞いても、「どうだったかねえ」と言うだけで、母は思い出すことができません。「お父さん今日はまだ帰ってこないね」と死んだ父のことをいつまでも待っているくらいですから。

戦争のこと、原爆のこと、遅いくらいだけれども、私はこのことに何らかの形で関わっていくことになると思います。
自分のできる範囲で。

さて、このところ毎週楽しみにしているドラマがあります。

「この世界の片隅に」

連続ドラマを見ることはめったにありませんが、このドラマは戦時中の広島が舞台ということで、最初から興味を惹かれました。実際に見て、大変丁寧に作られた良質のドラマだと思いました。毎週、涙なくしては見ることができません。

演じる俳優さんがすべてよく、安心して見ていられます。主人公のすず役の松本穂香さんを初めて知りましたが、素敵な女優さんでこの役にぴったりです。先日の第5話では、松坂桃李さん演ずる夫の周作と電車の中で喧嘩する場面があったのですが、そのシーンの微笑ましさに和みました。

個人的には仙道敦子さんの女優復帰がとてもうれしかったです。20数年ぶりということですが、ブランクを感じさせず、抜群の安定感です。第5話での号泣シーンは圧巻で、私も涙があふれました。

第6話では大変なことが起きるようなので、ますます目が離せません。

今回の記事は、このドラマについて書きたかったのです。というのも、こんなにいいドラマなのに、視聴率が10%ないみたいなんです(広島地区では20%いってるようですが)。なので、私のブログの読者の皆様には宣伝しておこうかなと思いました。TBS の回し者ではありませんよ (^^)

戦時中も普通の人々には慎ましやかな生活があったということ。
このドラマはそれを教えてくれます。

今日の記事のタイトル I Live Here は、「この世界の片隅に」に英語のタイトルをつけるとしたら…と考えたものです。




by ladysatin | 2018-08-14 22:17 | 英語と私といろいろ | Comments(11)

近況

今年に入り、次から次に仕事が舞い込んできて、収拾がつかない状況になりました。久しぶりに土日休めることになり、今ぼーっとしている状況です。

なんでこんなに忙しくなったのかは、取引先を増やしたのが理由なのですが、こんな状況になるとは思いもせず…。仕事をいただくのはありがたいことですし、自分を評価していただいていることも身にしみて感じているので、期待に沿うべく引き受けてきましたが、さすがに物理的に不可能なレベルになりました。

大体もっとセーブして、断るという選択をすればよいのですが、つい「次がなかったらどうしよう」という不安が頭をよぎってしまうのと、断るということ自体に罪悪感があって、つい引き受けてしまうのです。でも無理なものは無理。次がなかったら私なんてその程度だと割り切ってやっていこうと思っています。そうしないとストレスと疲労で押しつぶされてしまいそうですから。

このところこんな感じだったので、ブログの更新も難しい状況でした。

ストレスと言えば、このブログでもストレスが溜まっていることがあります。私が過去に書いたある記事に、色んなサイトに誘導する書き込みが頻繁に送られてくるようになったのです。コメントは全てロシア語で、サイトもロシア語のサイトです。それはいかがわしいものもあれば、単なるネットショップみたいなものもあります。IPアドレスの逆探知をすると、やはりロシアからのものです。

困ったことに、そのIPアドレスを拒否設定しても、別のIPアドレスから異なる誘導サイトの紹介コメントが来て、また拒否しても拒否しても同じことの繰り返しなのです。全てロシア、全て私のある特定の記事だけです。何なんだろうこれ?思い切ってその記事を削除してアップしなおそうかと考え中です。機械的に送られてきているような気もします。

さて、ばたばたしていたので、オリンピックもほとんどスルーしましたが、フィギュアスケートだけは見ました。もう遠い昔の話になってしまい、旬を逃してしまいましたが、ひとつだけ書きたいことがあったんです。金メダルをとったアリーナ・ザギトワ選手のエキシビションなんですけど、あの美少女がトラのつなぎで出てきたとき、私、とっさにある映画を思い出したんです。1980年代に当時の美人女優がでていた映画です。さて、その映画とは何でしょうか?

この話、エキシビジョンのあとブログに書きたかったんですが、今頃になってしまいました。つまんない話ですみませんが、わかった方、是非、コメントをお寄せくださるとうれしいです。(コメントが付かなかったらヒント出します~ 112.png

今日は、英語の話はなしで失礼します。Sorry…
次回は訳詞の世界でお会いしましょう。


音楽もあの映画の雰囲気...。

あっ、YouTubeでないと見れないみたい。
またまた Sorry...

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では正解を... 107.png

アリーナ・ザギトワ選手のエキシビションを見て、私が連想した映画は、1983年の Cat People という映画でした。たぶん誰も当ててくれないかなあと思っていましたが、Southern Man さんが当ててくださいました。テーマソングは David Bowie の Putting Out Fire です。YouTube で見つけたので貼りますね。


これ見ていただいたら、ザギトワ選手と何故リンクしたかわかっていただけるかも。



主演のナスターシャ・キンスキーが、3:40頃から黒豹に変身します。

このシーンは怖かった~。


上の動画ではナスターシャ・キンスキーがどんだけ綺麗だったかわかりにくいと思うので写真も貼り付けておきます。


このかたが、ナスターシャ・キンスキー。ドイツ人の女優さんです。

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絶世の美女です。


余談ですが、その頃私は Duran Duran の John Taylor に熱を上げていたんですが、John が、ナスターシャ・キンスキーが好みだと言っていたのを音楽雑誌で読んで 撃沈 でした。103.png


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この方が John Taylor

カッコよかったときの写真 104.png


by ladysatin | 2018-03-23 16:58 | 英語と私といろいろ | Comments(8)

Trial

間が空きましたが、前回の続きになります。

昨年、翻訳会社のトライアルを受けました。今、私はフリーランスとして3社と契約しているのですが、その中の2社は、このトライアルを受けて採用していただいたところです。初めて翻訳のトライアルというものを受けて、思ったことを書きたいと思います。これから翻訳会社のトライアルを受けてみようかなと思っている方に参考になるとよいですが。

実は私、プロの翻訳者の知り合いは皆無です。翻訳者の集まりとか研修会も行ったことがありません。以前は関西に住んでいたので、色んなイベントに行こうと思えば行けたのでしょうが、ああいうの好きじゃないんです。それと、元来色んな人と知り合ってネットワークを広げたいと思わないタイプでもあります。だからいつも手探り。何かあったら自分で調べて、自分で解決が基本です。

そこで翻訳トライアル。さてどこから始めようかなと思いました。まあ、とりあえず「在宅翻訳」で検索してみました。色々ヒットしましたが、最近CM でよく流れているサイトをのぞいてみて、在宅翻訳者を募集している企業がかなりあったので登録してみることに。

今思えばですが、得体のしれない会社が結構ありました。ホームページを載せている翻訳会社であっても、なんとなく胡散臭さを感じる会社もありました。しかし、初めての経験でもあり、油断していたのでしょう。私は胡散臭い会社3社に応募したのです。履歴書と職務経歴書を送ってくださいとあるので、それらの会社のホームページからオンラインでそれぞれ送りました。

私は何らかの返事がくるものと思っていました。当然ですよね。しかし、その中の2社からは、1週間たっても何の返事もありませんでした。私の翻訳経験も詳細に記載していたので、まず書類選考で落ちることは考えにくいと思っています。だから「失礼だね~」と思いました。

残りの1社はトライアルの材料をホームページからダウンロードして、それを付けて履歴書と職務経歴書を送ってくださいと書いてあったので、その通りにしました。すると翌日にメールで返事がきて、今100人を超える応募があるとのことでした。ゆえに、トライアルの採点が滞っており申し訳ありませんと。返事があっただけましな会社だと思いました。それにしても100人以上の応募って何なんですかね。

面白いことに、その3社はずーっと募集しているんですよ。どうも私が応募する随分前から掲載してあったようで、私が応募したあとも1か月以上は掲載されていたはずです。よく調べてみたら、そのサイトには求人募集は無料で載せられることがわかりました。だから、どんな企業でも経費の負担なく気軽に掲載できるんです。とりあえず載せておこうっていうノリなのかもしれません。

応募する側について言えば、英検1級とかTOEIC900以上など、少しばかり英語ができれば私も翻訳者にと考える人が多く、そういう人が色んな翻訳会社に簡単に応募できる。あのようなサイトはそういうところです。だから100人とか応募者が殺到することもありえるんでしょう。

私はこのサイトを使うことをやめました。どうもまともな会社が募集していないような印象をもったからです。返事をよこさなかった2社については問題外です。

今思うとあとの祭りですが、履歴書と職務経歴書をこれらの3社に送ったことを後悔しています。個人情報を安易に送ることはやめた方がいいです。悪用されないとも限りませんし。皆さんもこういう無料のサイトの求人に応募するときは、用心してくださいね。

さて、次に私がとった方法は、ある程度名の知れた翻訳会社を調べるというやり方です。2社に応募しました。その2社(B社とC社)と今、契約しています。

まずB社は、以前の勤務先で英語から多言語展開の際に使っていた会社です。多言語翻訳のレートが高かったので、途中から取引をやめた会社でしたが、レスポンスはよく大手でもありましたので、メールでコンタクトをとってみました。

すると、翌日には丁寧な返信メールをいただきました。やっぱりきちっとしているなと思いました。メールには、英日より日英の翻訳者が足りていない状況と書かれてあり、早速、履歴書と職務経歴書を送り、書類選考に合格しました。次にトライアルの課題を送ってもらいました。A4で1枚でした。特別難しい課題ではありませんでしたが、これで決まってしまうので、何度も読み直し、推敲に推敲を重ね提出しました。結果は無事合格。正式な契約を交わし、今順調に仕事をいただいています。

次にC社は、業界のトップ数社の中のひとつです。ここは敷居が高かったです。何と、今どきオンラインでの応募が不可なんです。かなり驚きました。トライアルを受けたい人は、郵便で履歴書と職務経歴書を送らないといけないのです。そして書類選考で受かった人だけ連絡しますとのことでした。

何でオンラインじゃないのかなと思ったのですが、おそらく本気度を試しているのかもしれません。オンラインだったら手あたり次第にどこでも送れますが、郵便だったらプリントアウトして、切手貼ってという手間がかかります。そこまでして応募するのは面倒だと思う人って結構いるだろうと思います。また応募する人からみたら、この会社は手ごわいぞという印象をもちます。私がそうでした。

C社に郵便で応募したところ、2日後にメールで返信があり、書類選考に合格しましたとのことでした。さすがにレスポンスが早いと感心しました。しかし、そのあとが長かったのです。

まず、トライアルを受けるにあたり、誓約書を書かせられました。トライアルの内容を決して外部に漏らしませんという約束が必要だったのです。その後トライアルを受けるわけですが、その内容もすごかったんです。

英日と日英の両方で、10分野ずつくらいあり、その中から3つだったか最低でも選ばないといけなかったんです。最低でもということはもっと選んでもよいわけで、暗にそれ以上選べと言われているような気がして…。結局、英日5個、日英5個を選んで受験しました。

トライアルの内容は、難しかった~。何でもいけますよとアピールしようと思い、今までやったことのない分野も、えいやっと選んでしまったのでした。それでも期限までに何度も読み直して、やっと提出できました。

結果を待つ間は、正直怖かったです。不合格なら、私のこれまでの経験すべてが否定されるわけですから。結果の通知まで2週間もあったんですよ。

やっと結果が来ました。「合格おめでとうございます」と書いてありました。何だか難関大学に合格したような気分でした。しかし、これで終わりではなかったんです。

役員との最終面接がありますって…。え~っと、合格したんですよね~。

何で面接までするんだと聞くわけにもいきません。が、おそらく人となりを見たかったんじゃないかなと思っています。つまり信頼できる人間かどうか。遠隔地で働くわけですから、きちんと納期を守ってくれる人じゃないと困りますもんね。

で、また数週間後に面接に行きました。そこは大手なのであちこちに支社があるんです。私の居住地から最も近い場所で、最終面接はありました。にこやかな役員の方と、ほぼ雑談みたいな感じ。この会話で人物評価をしてるんだな~と思いつつ、40分程度で面談終了。

久しぶりにスーツを着てパンプスをはいたら、えらいことになってました。疲れ果ててやっとのことで契約を交わしましたが、履歴書を送ってから契約締結まで2か月半かかりました。

今、A社、B社、C社の3社と仕事をしていますが、とても充実しています。仕事の引き受け方としては、依頼の早いものから順番に埋めていっています。同時期の依頼が重なると、遅い方を断らなければならず、それが申し訳ないという感じです。丸一日仕事をしない日は、今のところ月に2日あるかないかという感じなので、体力的にはきついです。でも頼まれると断れない性分です。やっぱり、お客様が私の翻訳を喜んでくださったというフィードバックをいただけると、調子にのってしまいます。

翻訳の仕事というのは、経験がものをいうので、年齢が高くても全く関係ないところがいいと思います。それが普通の会社員と違うところですね。私の年で企業が喜んで採用するなんてありえませんので。

この3社と気持ちよく仕事をしていけるのは、プロフェッショナルな会社だからだと思っています。翻訳会社は翻訳者を使う立場なので、上から目線の会社もあるでしょう。返事をしてこなかった最初の2社はそれです。とりあえず応募してきたから、こいつの履歴書をストックしておこうというスタンスです。そういう会社はこちらからお断りです。

質の高い会社は、翻訳者に対等な立場で接します。そのことが今回よくわかりました。応募してきた人に思いやりの気持ちがあれば、レスポンスも早い。返事を待っているだろうという気持ちがあるからですよね。

これは翻訳者の立場からも同じことが言えます。翻訳会社は、「こういう案件がありますが引き受けることは可能ですか?」と打診してきます。それに対してどう対応するか。私は打診があったら、30分以内に返事をします。これはA社のみと仕事をしていたときからの習慣です。

このレスポンスの速さが信頼関係の第一歩だと考えています。引き受けられない場合は、特に速さが重要です。翻訳会社は、とにかく翻訳者をおさえて先に進めなければなりません。第一候補がだめだったら、すぐに第二候補の翻訳者にアクションをおこさねばなりません。

翻訳会社も翻訳者もお互いを不安にさせないこと。遠隔地で仕事をする際に重要なことは、あたかも隣の机で座っているかのごとく、コミュニケーションが取れるか否かだと思います。これからもご縁のあった会社に満足していただけるような仕事をしていきたいです。

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次回は、また英語の話を書きたいと思います。
ではまた。182.png

by ladysatin | 2018-01-28 20:33 | 英語と私といろいろ | Comments(6)

社内翻訳者としての年月を経て、フリーランスになったのが約2年前のことでした。以前も書きましたが、退職後は元勤務先と在宅ワークの契約を交わし、以来ずっとお仕事をいただいています。この会社をA社としてお話したいのですが、A社との契約はちょっと面白いんです。

一般にフリーランスの翻訳者は、翻訳会社から出来高で報酬が支払われます。原文の日本語あるいは英語に対し、1文字あるいは1ワード何円で計算されます。客観的事実に基づく計算なので、文句の出ないやり方です。一方、私が契約しているA社の報酬は時間給なんです。

いただいた仕事に対して、何時間かかったかを自主申告して、私が請求書を発行して報酬をいただきます。これ言うとほとんどの方は驚くかもしれません。「それだったらごまかしがきくやん」って。

ええ、その通りです。1時間しかかかってないのに、2時間かかりましたと申告できるわけですからね。私の仕事を監督する人は誰もいないのです。しかし、この2年間、私の申告に対して疑義をもたれたことはただの一度もありません。

その理由はただ一つ。

信頼関係、それだけです。A社で仕事をしていたとき、私の仕事に高い評価をしていただいていたことが最も大きいのですが、上司や同僚との人間関係も極めて良好でした。私が姑息なことをして水増しする人間だと思われていたとしたら、そもそも時給契約など提示されないでしょうし、契約自体のオファーもなかったかもしれません。

これまでのところ、私は実際にかかった時間とほぼ同じか、やや少なめに申告しています。少なく申告するのは、調べものに時間がかかったときです。私より優秀な人はもっと要領よくできるのかもしれないと、ふと頭をよぎるとき、この時間は請求できないなと思います。

そんな感じでA社と仕事をやってきました。順調に推移してはいます。ただ、フリーランスは業務量に波があるのも事実です。この月は依頼が多かったけど、翌月は半分になったとか。年間を通して読めないのがつらいところです。

私はA社の他に、A社の関係取引先から仕事をいただいていたこともあるのですが、翻訳会社ではないので、常時依頼があるとは限りませんでした。そこで、もう少し仕事を増やしてもいいかなと思い、昨年の夏、翻訳会社のトライアルを受けたのです。

これは初めての経験でした。トライアルを受けて思ったことは、まともな会社は少ないんだなということです。今後のことを考えて、プロフェッショナルでない会社は No,thank you. です。そこで、まともな会社、まともでない会社ってどう見分けたらよいでしょうかということなんです。

この件について、別途記事にしたいと思っています。

ではまた。178.png

by ladysatin | 2018-01-10 01:13 | 英語と私といろいろ | Comments(4)

12月の中旬に大がかりなプロジェクトを引き受けて、昨日、やっと納品できました。B5サイズ・140ページのAV機器のマニュアルです。翻訳とDTPの一貫生産だったのでしんどかったですが、大きな仕事をやり終えたあとなので、今は充実感でいっぱいです。

その反面、ブログへのコメントバックは遅れるし、書きたい記事は書けないしで、フラストレーションがたまりました。特にコメントバックは遅くとも翌日中と決めていて、最近まで遅れたことはなかったのです。急に忙しくなったので、今後も遅れることがあるかも。だから返事が遅いなと思ったら、ladysatin は死にそうに忙しいんだと思ってくださいね。119.png

今日は年内に書きたかった記事です。

英語学習の SNS に入っているのですが(といってもほぼ幽霊会員)、そこである方と知り合いになりました。その方は米国在住の日本人です。めったにメッセージのやりとりをすることはありませんが、ある時、車を運転していたらラジオから流れてきたとのことで、すごく良い曲だから聴いてみてくださいとメッセージをいただきました。

それがこの曲 My Heart Got Caught on Your Sleeve です。Lucius というバンドですが、日本ではほぼ無名です。アメリカでも有名ではないみたいです。

曲が始まった瞬間にすっと引き込まれました。誰にも似ていないメロディ。優しく力強くただただ美しい。何よりも女性ボーカルの二人の歌声に引き付けられます。昨年は、仕事の合間に何度も聴いて、癒されていました。

ネットを探してもこのバンドについての情報があまりなく、この曲のバックグラウンドもわかりません。一応訳を付けてみましたが、難解です。雰囲気で味わいたい曲です。



まっさらな心に戻してくれるような歌声。
私の新年は、この曲で始まりました。
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My Heart Got Caught on Your Sleeve
Lucius

Don't know how to start this
No, I don't know what to say
They seem to fall out of the sky
Lost and found is all the same

どこから始めたらいいのかわからない
いいえ何を話せばいいのかわからない

空から降って来るよう
喪失と発見
どちらもなんら変わりはない

Trying to think of my heart as an ocean
Where there's room enough for things
To come up to the top
I'm counting on it sinking down again

私の心は広い海のようだと考えてみる
様々なものを抱え込むことが出来るほどの大きさ
水面にたどり着きたいと思いながら
私はまた沈んでいく

My heart got caught on your sleeve
I need it, please give it back to me
My heart got caught on your sleeve
Please give it back to me, please give it back to me

あなたに捕らわれた私の心
今必要なの
私に返してほしい
どうか…どうかお願い

Smoked another cigarette 'cause even though I quit
I'll do about just anything to pacify my own torment
The moon is full and I can hear him laughing
As he plays these tricks on me
Almost like he's cheering on my dueling joy and agony

煙草をもう一本吸ってみた
やめたとしても
私の苦しみを鎮めるためだもの
手段は選ばない

満月になると
彼の笑い声が聞こえる
私にいたずらをしかけながら
まるで私の心が
喜びと苦しみの狭間で戦っているのを励ましているかのよう

My heart got caught on your sleeve
I need it, please bring it back to me
My heart got caught on your sleeve
Please give it back to me, please give it back to me

あなたに捕らわれた私の心
今必要なの
私に返してほしい
どうか…どうかお願い

I am lost in my own home
I am lost
I am lost in my own home
I am lost

自分の家にいるのに
私は迷子になっている
私は途方にくれている

The guilt of just a thought
Can break your heart

ふとした思いへの罪悪感に
心が打ち砕かれることもある

Sometimes wish we never met
'Cause now I fear the best
Oh, I am captive in my thoughts
Surely this must be a test

私たちは出逢わなければよかったのに
そう思うときがある
最高の状態を今恐れているから

私は自分の思考にとらわれている
これは試練
そうに違いない

I hardly know your voice
And find that I am hanging on your every word
Burned inside my brain
And I must stop until we meet again

あなたの声はほとんどわからない
あなたが発するひと言ひと言は
頭の中で燃え尽きていくのに
私はそれに耳を傾け続けている
二人が再会するときまで
ここに留まらなくてはならない

My heart got caught on your sleeve
I need it, please bring it back to me
My heart got caught on your sleeve
Please give it back to me, please give it back to me

あなたに捕らわれた私の心
今必要なの
私に返してほしい
どうか…どうかお願い

Please

どうか…

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皆様の一年が良い年になりますように。

by ladysatin | 2018-01-04 22:32 | 英語と私といろいろ | Comments(6)

Falling in Love

明日の朝に納品予定の日英翻訳のお仕事が早めに終わり、一息ついています。今年は新たに翻訳会社2社と契約したので、仕事量が半端でなくなりました。ありがたい事ですが、もう少し余裕がほしいところです。私のブログは、翻訳に興味のある方が多く読まれているようです。翻訳のトライアルの受け方について、参考になりそうなことがあるかもしれませんので、近いうちに別途記事にしたいと思います。

さて、今日は不倫についてです。

今年も一年、芸能人や政治家の不倫の話が多かったですね。不倫は人の道に外れた行為です。故に、不倫が疑われた人は、一斉にバッシングの対象になります。空々しく「一線は超えてません」という人が多いですが、誰が信じるかいっちゅうねん。

ただ、人間って生れてから死ぬまで正しく生きている人なんていないと、私は思うんです。多かれ少なかれ、愚かな間違いをするものです。だから、不倫もいけないことなんだけど、若気の至りだったのであれば、もう2度としないと決意して、素敵な大人の女性になればいいと思います。2年前でしたか、女性のタレントさんがものすごく叩かれて一時期干されていましたが、また少しずつ出てきているようです。彼女はまだ大人になりきれてなかったんだと、個人的には大目に見てあげたいです。

それに比べて、50過ぎても不倫をする人がいます。先日の号泣会見の女優さんは56歳だとか。還暦近い年になってもこういうことをするとは、あなたは人生で何を学んできたんでしょうかと言いたくなります。日本人女性の平均寿命は、2017年時点で87.14歳なのだそうです。人生の折り返し地点をはるかに超えた年齢であるにもかかわらず、こういうことで話題になるのは、情けないことではないでしょうか。

説教くさくなってしまった。読んで下さっている方、ごめんなさい。

ここからが本題。不倫にまつわる英語の話です。

実はこういった不倫の話を聞くたびに、思い出す映画があるのです。

1984年の映画 Falling in Love です。邦題は「恋におちて」。ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープの映画です。一度だけ観たのですが、あんまり覚えていません。

あるシーンを除いて…。

そのシーンで話された言葉が頭に焼き付いています。

この映画の中で、主人公の Frank(ロバート・デ・ニーロ) と Molly(メリル・ストリープ)が恋におちます。二人とも結婚していているのでダブル不倫です。しかし、体の関係を持つことはなく、プラトニックでした。一方で、Frank の様子がこの頃変だと、奥さんの Ann は思っています。

ある日の晩に、Ann が Frank に「一体どうしたのよ」と問い詰めます。そして、Frank は Ann に、Molly のことを告白します。「ある女性に電車で出会ったが、何もなかった。もう終わったことだよ。」と。

そのときの Ann のリアクションはどうだったでしょう。

Frank は「何もなかった」と言ったのです。つまり「一線は超えてない」ということです。これに対し、普通の奥さんのリアクションとして考えられるのは、「そんなこと一体誰が信じると思ってんのよ」あたりでしょうか。

しかし、Ann は Frank の Nothing happened. に対し、こういったのです。

No, it’s XXXX, isn’t it?

わ~、と思いました。この XXXX にはある単語が一語入ります。

そこでクイズです。皆さんは何だと思いますか?
わかった方はコメント欄に書いてくださいね。
推測でもかまいませんので。

では、どなたか答えてくださることを願って、いったん終了。156.png

追記)そうそう、Ann はこの後、子供を連れてしばらく実家に帰ると言い Frank をひっぱたきます。

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2017年12月22日の追記です。

これまで5名の方にクイズにチャレンジしていただきました。
皆様ありがとうございます。

正解は... worse でした。

Nothing happened. と言った夫に対しての妻の返答は

No, it's worse ..., isn't it? 「何もないことの方がもっと悪いわ。そうでしょ。」

ふぅ...。どうでしょう皆さん。すごい言葉だと思いませんか。
彼女は、彼の身体を奪われることより、心を奪われることのほうがつらいと言っているのですね。
このシーンを思い出すと、昨今の芸能人の不倫の話題が、とってもばかばかしく思えるのです。

昔、Hall & Oates の曲に「身体はあげるけど、心はあげないよ」って歌ってた曲があったような気がします。何ていう曲だったか忘れました。

最後に、このシーンが入っている場面を見つけましたので、よかったらご覧になってください。
奥さん役の女優さん、演技がいいなあと思います。



0:40頃に Frank が家に帰った頃から見てください。上の台詞は3:30頃に出てきます。163.png


by ladysatin | 2017-12-17 14:15 | 英語と私といろいろ | Comments(28)

Hidden Subject

言葉を扱う仕事をしていると、ちょっとした表現に敏感になることがあります。

最近日本語について思ったことを少し。

日本語は主語を省略することが許容されています。たとえば、「今日、友達と喧嘩した」、「どこに行きたい?」、「おなかすいた」など、主語は「私は」「あなたは」ですが、主語を入れて話す必要がなければ入れませんよね。

それとは別に、主語の省略が可能であるという日本語の性質が、話者の発言に影響を与える場合があるのではないか、と思うことがあります。

主語を省略することで、行為者である主語が隠れることになります。もちろん聞き手には、主語が誰であるかはわかるわけですが、言葉として明示されない分、主語はオブラートに包まれ、半透明の状態になります。つまり、行為の主体が誰なのかという露骨さが軽減されるのではないかと思うのです。その結果として、大胆な発言を容易にする側面があるのではないでしょうか。

つい最近のことです。衆議院選挙での小池さんの排除発言については、皆さんも記憶に新しいでしょう。

小池さんはこう言いました。
「排除されないということはございませんで、排除いたします」

この発言がきっかけで希望の党は失速したといわれています。選挙の惨敗を受けて 小池さんは、「排除する」とした自らの発言について、「きつい言葉だったと思う」と反省の弁を述べました。それほど排除発言によるダメージが大きかったということなのでしょう。

さて、この発言の経緯ですが、記者の「公認申請すれば排除されない」という受動態の言葉を受けてのものでした。だから小池さんは、最初に「排除されないということはございませんで」と同じく受動態で返しました。受動態は行為者をぼかす効果があります。

そのあとに、小池さんはわざわざ一人称の能動態に変え、「排除いたします」と言いました。あえて能動態にすることで、自分自身が毅然と対応することを、印象付けたかったのかもしれませんが、ここで私が注目したのは、「私は排除いたします」ではなくて「排除いたします」だったことです。

この時の流れでとっさに出た発言だったのだろうと思うのですが、「排除」のようなインパクトの強い言葉を一人称の能動態で言い切ることは、いくらかの勇気を必要とするように思うのです。そこで「私は」という主語を入れるか入れないかで、話者の発言のしやすさが変わってくるのではないか、と考えてみました。

つまり、「排除いたします」の主語が「私は」であることは明確ではあるものの、発話する必要がないことで、小池さんの口から抵抗感なくとっさに出たのではないかということです。前述で、「大胆な発言を容易にする側面があるのではないか」と書いたのはこのことでした。

もちろん、話者の都合で「私は排除いたします」の代わりに「排除いたします」と言ったからといって、主語は「私は」であることは聞き手には明らかです。小池さんが「排除いたします」と言った瞬間に、聞き手は主語を察知するのですから、結果として強権的なメッセージとして多くの聞き手は受け止めてしまったというのが実態であったでしょう。

ただ、「私は」が表面に表れる表れないにかかわらず、聞き手が同じ印象をもつのかと言えば、それは違うように思います。主語である「私は」を明示することで、話者の断固とした決意が感じられるとともに、より強権的な印象を聞き手に植え付けるのではないかと思います。したがってニュアンスは大きく異なるだろうと考えます。

今回の小池さんの排除発言がメディアで取り上げられるたびに、なぜこうもさらっと「排除いたします」とおっしゃったのかなと思っていました。色々考えていくうちに、日本語における主語の省略もひとつの原因として考えられるかもと思った次第です。それをまとめておきたいと思い、この記事を書いたというわけでした。

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さて、もう少し考えたことがあります。

主語のあるなしで、ニュアンスが変わるだろうと述べましたが、英語ではどうでしょうか。

「私は排除いたします」を英訳すると、I will exclude them. になります。では、「排除いたします」はどうなるでしょう。英語では基本的に主語を省略することができないので、「排除いたします」にも同じ訳、すなわち I will exclude them. をつけるしかなさそうです。ということは、日本語におけるニュアンスの違いを英語に反映することはできなさそうに思えます。せっかく「私は」を入れずに「排除いたします」と言ったのに、英訳は「私は排除いたします」の訳になってしまいますね。

「排除されないということはございませんで、排除いたします」
It’s not that they will not be excluded. I will exclude them.

優秀な同時通訳者はもっと良い訳をされるでしょうが、拙訳で失礼します。このように、英語は主語を要求する言葉なので “I” は省略できません。省略できないことにより、排除する主体が言葉の裏に隠れることはできず、明示されてしまうのです。この “I” のインパクトは exclude という強い言葉を伴うことにより、聞き手に強烈なインパクトを与えます。I will exclude them. に “I” が存在する以上、意味としては「排除いたします」より「私は排除いたします」により近くなるように思います。

では、英語で “I” を明示しないで表現したいときはどうするかというと、受動態を使うしかなさそうです。このケースだと They will be excluded. です。It’s not that they will not be excluded. に続けて They will be excluded. はありかもしれません。この流れはスムーズです。

もっと柔かく言いたかったら、後半は excluded を使わなくてもすみますね。たとえば I’d say they will be. のように続けると自然な気がします。

It’s not that they will not be excluded. I’d say they will be.
「排除されないということはございませんで、そうなるでしょう」

I’d say they will be. に「そうなるでしょう」という訳をつけてみました。「そうなるでしょう」の中には「排除される」という受動態の情報が存在しますが、「排除の主体は誰か」という情報が無責任に葬り去られます。さらに「排除」という言葉はこの際省略することで、露骨さが軽減されています。省略した方がかえって自然。

小池さんは「排除いたします」なんて言わずに、「そうなるでしょう」と言えばよかったのかもしれませんね。言葉遊びをするつもりはありませんが、同じ意図を表現するにしても、選ぶ言葉遣いで聞き手に与える印象はかなり変わってくるように思います。

最後にうまくまとめたかったですが、深みにはまってしまいました。まだ考え中です。
アップしようかどうか迷ったけど、一旦アップしてみました。...119.png

by ladysatin | 2017-11-18 01:31 | 英語と私といろいろ | Comments(18)

filthy の意味

プチ復帰です。

今日、yahoo を見ていたら、ダルビッシュ投手の記事が載っていて、「この訳 OK なのかな?」と思ったことがあって書くことにしました。

記事はこちらです。


上のリンク先は、そのうち削除されると思うので、少しだけ引用します。
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(引用ここから)
敵地チェイスフィールドで“魔球”が冴え渡った。6-2で迎えた5回、先頭打者に四球を許したダルビッシュはAJポラックと対峙した。カウント2-2で迎えた5球目にダルビッシュが投げたのは、73マイル(約117キロ)のカーブ。大きく軌道を変えながら落下する魔球に、ポラックはあえなく空振り。この三振で勢いに乗った日本人右腕は、続くラム、ゴールドシュミットという中軸を連続三振で斬り、失点危機を免れた。

ドジャースの球団公式ツイッターは、この1球を動画で紹介。「あのダルビッシュのカーブは? えげつない」とメッセージを添えて絶賛すると、ファンも魔球にすぐさま反応した。

「まさに!」
「これは凄まじくえげつない
「ユウ、えげつない
「このカーブはいつもえげつないよね」
「なんて決め球なんだ」
(引用ここまで)
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このように「えげつない」が連呼されています。ここでの「えげつない」は褒めているようです。

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★えげつない(三省堂大辞林より)
① 度を過ごして露骨に表現するさま。露骨で,いやらしい。 「 - ・いことを言う」
② やり方に思いやりや人情味がない。情け容赦もない。 「商売のやり方が-・い」 〔もと関西方言。昭和期にはいり,次第に一般に用いられるようになった〕
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おそらく、この記事での「えげつない」はダルビッシュ投手の球は、打者への情け容赦もないほどすごかったと言いたいのだと思いました。あるいは、打者を翻弄するようないやらしい球だったという感じでしょうか。

では、実際は英語で何ていったのかなと思い、ドジャースのツイッターで確認しました。

どうもこれみたい。↓
f0307478_22495356.jpg















左上に Filthy と書いてありますね。この Filthy を yahoo の記事を書いた人が「えげつない」と訳したのでしょうが、ちょっと引っかかります。

filthy はそもそも「汚れた、不潔な、卑猥な、下品な」というネガティブな意味ですが、「えげつない」という訳はどうなんでしょうか。

ジーニアス英和大辞典で filthy を引くと、上の意味の他に「(米俗)すばらしい」という意味があるようです。へえ~。

俗語を調べるにときに活躍するのが Urban Dictionary です。早速 filthy を調べました。すると、最もポピュラーな定義は "A word originating in Seattle meaning dope, tight or cool" とか "Seattle area slang. Filthy means hot, really cool, or tight." というものでした。

このように、filthy はシアトルから始まったスラングのようです。dope, tight, cool, hot と同義ということですから、やっぱりこの線で訳す方がいいんじゃないかなと思いました。ドジャースの本拠地はロサンゼルスですが、シアトルと同じ西海岸ですから、この使い方がすぐ広まったとしてもおかしくありません。ということで、「えげつない」という訳は、はちょっと違うような気がしたのです。

私だったら...今風にカッコよすぎ~なんて訳すかな。あと「しびれるぅ~なんてのもよいかも。

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※2017年9月27日の追記
大学生の方から「えげつない」は「すばらしい」のニュアンスで使うとコメントをいただきました。そうなんですね。私の勉強不足でした。ただ、若者言葉として定着していたとしても、使ってほしくない部類の言葉かなと思います。別にいいじゃないと言う人もいるかもしれませんが、私は「えげつない」という言葉を何回も聞きたいとは思いません。

実は今日もこちらに、ダルビッシュの球がえげつないという記事が出ていました。発信元が同じなので、おそらく上の記事を書いた記者と同一人物だと思います。私の感想は省略します。117.png



by ladysatin | 2017-08-11 22:58 | 英語と私といろいろ | Comments(17)

一翻訳者としての思い

このブログを開始して4年近くになります。ブログを通じて自分自身が成長したと感じることが、たくさんありました。その多くは、コメントを下さる皆さんとのやりとりがあったからだと思っています。人々との交流の中で、自分自身を振り返ることが出来たことは、私にとって大きな収穫でした。

反対に、嫌がらせや皮肉を帯びたコメントは不快感しかなく削除したくなりますが、それに対し毅然とした態度で臨むことを、敢えて選択することも大切だと思っています。

今日は、最近あった出来事から考えたことを書きたいと思います。

★翻訳って何なのでしょう。日英翻訳って英作文ですか?

昨年の12月、ある人物(以下H氏)が私のブログに乱入してきました。

それは私にとって、聖域に土足で踏み込まれたのも同然のもので、実に不快なものでした。不快だと感じたのは、H氏の人を見下した書き方によるものです。この人物は私のブログに興味をもったらしく、4つの記事に続けてコメントを書いてこられました。そのすべてが尊大で、どれも私に教え諭すような上から目線のコメントでした。その後、この人は墓穴を掘ることになりますが、この人物ほど人を小馬鹿にしたコメントを書いてきた人はいませんでした。

根拠のない自信とは恐ろしいものです。

この時点でH氏を受信拒否にすることもできました。しかし、洋楽の記事2つについては、H氏の意見は正しいと思いました。これを認めないことは、私自身の汚点になってしまいます。この人のコメントの不快さは切り離し、主張の中身が正しいと思ったものについては、その正しさを認めました。そして、指摘されたことに対して感謝の意を述べました。

H氏は、私の翻訳に関する記事にもコメントを書かれました。しかし、これについては到底同意できるものではなく、その旨を返信しました。

それがこの記事です。H氏へ4回に渡り返信しています。ここに私の翻訳に対する考え方が凝縮されています。
お客様のための翻訳

この記事には、まずM氏がコメントをされています。M氏は技術者としての立場から、私の考え方に疑問をもたれました。私とは意見を異にしていたものの、良識あるM氏のコメントは参考になるものでした。

その次にコメントされたのがH氏です。この人物の尊大な物言いについては、その他の3記事へのコメントでわかっていましたが、今回は私の職業である翻訳者としての誇りを、いとも簡単に踏みにじるものでした。

それが説得力のある内容であれば、部分的にでも賛同したでしょう。しかし、H氏のコメントは、翻訳者としての幼稚さを露呈したものでした。プロの翻訳者といっても様々なレベルの人がいます。H氏のレベルは及第点に達していないと言わざるをえないものでした。

その根拠は、この人物が「翻訳=英作文」と考えていたのが明白だったからです。

H氏は、私の訳に「無理に」が欠落していることに目を付け、鬼の首をとったかのようなコメントを残しています。

確かに、高校入試か大学入試の英作文であれば、私の英文はバツになります。しかし、私がやっているのは翻訳であって、英作文ではありません。H氏は英作文と翻訳を同じと考えているので、全く私と話が噛み合っていないことが、記事のやりとりでおわかりいただけると思います。

★翻訳と英作文の違いは何でしょう?

それは、翻訳にはお客様がいるということです。英作文にはお客様はいません。これが違いです。

★では、翻訳者のお客様は誰ですか?

仕事をくれる業者でしょうか。違います。お客様とは必要があって訳文を読む人です。

プロの翻訳者であっても、この点をはき違える人がいます。仕事をくれるクライアントがお客様だと思ってしまう人が多いのです。その理由は簡単です。翻訳者は翻訳を読む人との接点がないからです。

一方、通訳者はお客様が誰であるかを間違うことがありません。通訳者は現場に行き、通訳を聞く人々、すなわちお客様と至近距離で接します。故に、通訳者の目は、常にお客様に注がれます。通訳をしているときに、仕事をくれた業者のことを考えるでしょうか。自分の通訳が、きちんと通訳を聞く対象者(=お客様)に伝わるようにと考えて、全力で訳をしているはずです。

翻訳も同じことです。訳文を読む人は海外にいることが多いでしょう。目に見えません。しかし、その人々が真のお客様なのだということを、常に認識しておかなくてはならないと思います。

私は主に取説の翻訳に携わっています。製品の取説を読むのは、ユーザーです。英語圏のユーザーに製品を正しく使っていただけるように翻訳をしています。翻訳元の文章がわかりにくい場合は、その文章を咀嚼し、ライターの意図が伝わる英文にして納品しています。

こんなことを言うと、こう返す人がいます。

「翻訳者は原文の通りに訳せばいいのであって、英語圏のユーザーがその訳文がわかりにくいと感じたとしたら、それは原文を正しく訳した翻訳者のせいではなく、原文を書いた原作者、つまりライターの質が悪いのである。その原文を翻訳者がいじるべきではない。」と。

この理屈は一見、正しそうに見えます。ライターにはライターの仕事があり、翻訳者には翻訳者の仕事があります。しかし、その考え方が一般的な翻訳者の常識としてあるのであれば、その翻訳者の方々は将来的に職を失うことになるかもしれません。何故ならば、機械翻訳の精度が上がっているからです。ただ字面を追いかけて、個々の単語が網羅されている英作文レベルの翻訳であれば、機械翻訳がやってくれる時代が近いうちに来るだろうと考えておいた方がよいと思います。

私はここで、プロの翻訳者が生き残る道について議論するつもりはありません。しかし、プロの翻訳者であれば、機械翻訳と同レベルでよいわけがありません。プロの翻訳者は生身の人間です。人間は考える力が無限にあります。そして、機械翻訳にはできないが、翻訳者にできることはたくさんあります。

★そもそも何のために翻訳しているのでしょう?

全てはお客様のためです。

そして、お客様のために仕事をしているのは翻訳者だけではありません。翻訳の元となる原文を書くライターもそうです。つまり、ライターも翻訳者も共通の目的をもって仕事をしているのです。

共通の目的とは、「お客様にわかりやすい取説をお届けする」ということです。そう考えたときに、ライターと翻訳者の仕事に垣根を作ってしまうことに意味があるのかと思えてきます。もっとお互いがお互いの仕事に介入してもよいのではないかと、私は思っています。

一言でいえば、「チームで働く」ということです。フリーランスの翻訳者の場合、現実的には、特定のチームを作ってライターと組むことは難しいかもしれません。しかし、「我々は同じ目的をもったチームである」という意識があると、良いモノづくりへの思考から行動に差が出てきます。

例えば、私が関わる取説は、必ずしもプロのテクニカルライターが書いているとは限りません。製品を作る技術者が書く場合も多いです。そういう方の書く日本語は、ご自身の視点から書くので、本人は全部わかっているのでしょうが、第三者が読んだときに何を言いたいのかわからない文が多いです。それを翻訳しなくてはならないときに、翻訳者がとる行動は2つ考えられるでしょう。

①なんて悪文なんだ。とりあえず直訳してしのいでおこう。直訳なら言い訳ができる。
②わかりにくい文だが、恐らくこういう意味だろう。申し送りをつけて納品しよう。

どちらが優れた対応でしょうか。言うまでもなく②ですね。

①の翻訳者には「お客様(ユーザー)」の姿は一切見えていません。②の翻訳者には見えています。申し送りをつけることで、依頼主はそれを元に原文を書いた人に確認するでしょう。しかし、②の翻訳者の解釈が間違っている場合もあります。その時は、書き直せばよいのです。この手間を一つかけるかかけないかで、結果は大きく変わります。お客様へのメリットはもちろんのこと、②の翻訳者への評価も上がるでしょう。

「原文の質が悪いからこの程度の翻訳しかできないのだ」という言い訳は、「私は与えられた文章しか訳しません」と言っているのと同じです。しかし、それは機械翻訳なら許せても、プロの翻訳者が言ってはならないのではないかと、私は思っています。

私は翻訳者として仕事をいただいていますが、気持ちは常に「チームの一員」です。私が訳した取説を手にしたお客様が「わかりにくい」と感じたら、その製品を使いたくなくなるでしょう。そうであってはなりません。翻訳が海を超え、外国にいるお客様にわかりやすいと感じていただけるように、そしてさらには、その製品を作っている会社の利益になるように、取説を書くライター、そして翻訳者である私は、共通の目的をもって動いています。

★翻訳は英作文ではありません。翻訳とは、書いた人が言いたいことを別の言語で表現することです。

私はそう思いつつ、日々、仕事に励んでいます。

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H氏の乱入は、私にとっては事件でした。プロの翻訳者であるにもかかわらず、言葉の使い方を知らない人がいることに驚きました。「文章には非常に強いコダワリがあります」と明言しながら、書く文章全てに渡り、小学生でも知っている「句点」がありませんでした。この時点で、この人の翻訳者としての資質に疑問を感じます。さらにH氏は、人を批判することに終始するだけで、「私ならこう訳する」という代替案を提示することさえ最後までありませんでした。

挨拶も何もなく人のブログを読み散らかしては、ここは突っ込めると思ったところに好き勝手にコメントをする。それはいかに自分が優れているかとのうぬぼれからくるものでしょうが、教養ある人のすることではありません。

しかし、私が詳細に反論をしていくうちに、この人は自分の過ちに気付いたと思います。最初の方は本当に馬鹿にした書き方をしていましたが、次第に言葉のトーンが変わってきたようです。結局、H氏は言い訳をつけて退散しました。私はこの人を今でも受信拒否にしていませんが、もうコメントを書きにこられることはないでしょう。

H氏の件がきっかけとなり、自分の翻訳者としての考えを今一度整理し、ここに記事として書くことは、このブログを継続していく上で、私にとって重要な意味をもちます。読者の皆様にも、一翻訳者としての私の思いを少しでも共有していただけたのであればうれしく思います。

最後に…

私にはいつも思っていることがあります。問題の記事の最後のコメントバックとして、私がH氏に宛てて書いた内容をここに転記し、本記事を終わることといたします。

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私のブログには毎日1000人を超す人が訪問されます。アクセス数ではなくて頭数です。その中には、プロの翻訳者もいれば、高校の英語教諭の方もおられます。さらには会議通訳者や同時通訳者の方もいらっしゃいます。私はそのような人々に接し、常々思っていることがあります。

それは、一流の人々は謙虚だということです。一流の人々は、他人から学びます。それは向上心からくるものでしょう。他人から学ぶことを恥ずかしいと思っていません。だから一流になるのです。私もそのような人々を目指していきたいと思っています。

つまらないプライドを捨て、他人から学ぶということ。自分の間違いを素直に認めること。それが当たり前にできる人こそが尊敬されるのです。
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終わり
by ladysatin | 2017-01-12 16:35 | 英語と私といろいろ | Comments(19)

ladysatin の近況

いつもブログを読みに来てくださる皆様、ありがとうございます。

先日のオバマ大統領のスピーチの記事には大変な反響があり、あれ以来、一日のご訪問者の数が1000名を突破しました。それまでは、Google Analytics の集計で900名前後だったのですが、オバマ大統領のスピーチには多くの方が興味をもたれていることがよくわかりました。毎日、怒涛の訪問者です。w(゚o゚)w

ネットで検索したら、このトピックについては実に色々と上がっていますが、スピーチの英文に特化した記事を書いているのは私だけでした。だからかもしれません。

このスピーチの英文は突っ込みどころが満載です。解釈や文法についての質問をいただくたびに、自分が鍛えられます。本当にたくさんのコメントをいただき感謝です。

このところオバマスピーチの記事と戦争の弧の記事へのコメントバックで忙しく、次の記事を書く余裕がありませんでした。やっとコメント欄が落ち着いた感じがします。次は Stairway To Heaven の考察です。これはお約束事なのでやらないと。近いうちにアップします。

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さて話は変わりまして、つい先日の6月24日のことなんですが、Culture Club のコンサートに行ってきました。大阪公演です。私が Culture Clubっつか Boy George をどんだけ好きかは、この記事をご覧くださるとわかるかも。(*^_^*)
訳詞の世界~Miss Me Blind – Culture Club

で、来日することを George の facebook で知って、これは絶対行かなあかんと思い、全速力でぴあのサイトにダッシュしたのです。そしたら S席15,000円…高っ。SSもありました…25,000円。信じられん。こんなんぼったくりやで~と思いましたけど、見たいよ George が~。

私はもう関西にはおりませんゆえ、後方の席で見るくらいなら新幹線に乗ってまで行きません。悩んだあげく、SS席を購入しました。これなら前から5列以内で見ることできますから。これが5万でも買ったかもしれません。本当に大好きなんです...。(。-_-。)ポッ

ほんでチケットをゲットして、ホテル予約して、切符も OK。ただひとつ心配なことが。

6月24日は金曜日なんです。私は現在、数社と仕事の契約をしているのですが、平日よりも土日をはさんでの仕事が多いのです。金曜日に仕事をもらって次の月曜日に納品の形です。でも今回は、24日に一泊しないといけないので、金曜日に仕事いただいてもどうすることもできません。それゆえ取引先には、24日と25日は不在でございますの連絡をしました。そしたら…。

ある取引先から23日の木曜日に大量の仕事が…。メールを見ると「無理だったらおっしゃってくださいね」と書いてあります。やられた…。この「無理」というワードは私が一番きらいな言葉なのです。ええい、25日に帰ってきてからやるわいと決意して、この仕事引き受けました。

そして25日の晩から26日は寝る間をおしんでパソコンに向かい、6月27日の夜中(つまり今日です)に納品しました。ハアしんど。若いころのように無理はできひんなあと思いました。

話は戻りまして Culture Club です。書きたいのです~。
あんまり寝てないんですが、頭がさえているときは筆がばりばり進みます。

24日は朝早く起きて化粧も念入りに。何着ていこうかなあ。やっぱフェミニンなワンピにしよう。そわそわでした。新幹線の中での Walkman はもちろん Culture Club です。時々 Whitesnake カバが入ります。

新大阪に着きました。コンサートまであと2時間ほどあります。ところでチケットは持ってきているのか?家を出る前に確認はしたものの不安がよぎり、このあと何回もお財布に入れていたチケットを確認することになります。

御堂筋線で淀屋橋へ。この日は小ぶりの雨。
「こ~ぬか~雨ふる~みどうすじ~」ああ、フィフィは今何をしているんだろう。

George への思いは募る一方です。「みどうすじ~はこいのまち~、もとい、こいのみち~」と口ずさみながら、一旦、梅田で時間をつぶします。梅ブラですね。かつての私の庭、ホワイティ梅田を歩き回って阪神百貨店をぶらぶらしているうちに、そろそろいい時間。

地下鉄に乗って淀屋橋へ到着です。目指すはフェスティバルホール。心の中は George への思いでいっぱい。その反面、本当に今日コンサートがあるんだろうかと半信半疑。今この地に George がいるということが信じられない感じでした。そしてフェスティバルホールに着いて、ロビーに Culture Club と書いてあるのを見て、ああ本当に今日なんだと感無量でした。

それからは心臓がバクバクです。どうしよう。コンサートは7時開始。私は6時半すぎに会場入りです。前から5列目です。あ~ん、ステージと近いよ~。フェスティバルホールって、ステージと1列目の客席がものすごく近いんですね。ジョーホールだと1メートルくらい距離があるんで驚きました。

ああ喉が渇く。ペットボトルのお茶を何度も口にします。7時になりました。ああ、時間になっても席を探してうろうろしている人多し。7時5分あたりでやっと全員着席。

コンサート始まりました。メンバーとバックミュージシャンが次々にお出まし。あとは George を待つばかり。

本物だ~ 

なんか泣きそう。George かっこいいよ~。近いから顔もばっちり見えました。新曲以外は全部そらで歌える。ノリノリで一緒に歌ってダンスしました~。

合間のしゃべりでは George は、普通にネィティブと話すスピードで英語でしゃべってました。日本人だからゆっくりとか易しい英語でとかいう意識は全くないみたいでした。たまに歌が終わって「ありがとうございました」って日本語で言ってかわいかったです。

2時間があっという間に過ぎていきました。まるで夢のようなひと時でした。今まで色んなコンサート見てきたけど、幸せを感じたコンサートは初めてでした。行ってよかったです。また仕事頑張らなくちゃって思いました。


これは今月のオーストラリアのコンサートの模様です。
83年の大ヒット Karma Chameleon です。

そうそう、7月11日(月)の SMAP×SMAP に Culture Club が出演するという噂がありましたが、違っていたみたい。いつ出るんだろう。楽しみです。

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ではでは。お付き合いくださいまして、ありがとうございます。001.gif

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※追記
曲の合間は George がおしゃべりで楽しませてくれました。私は George の顔を見ることに集中しすぎて話の内容をよく覚えていないんですが、σ(^_^;) 記憶をたどって思い出したことを書きます。

長い時を経て日本に戻ってこれたのは奇跡 (Miracle) だと言って、It’s a Miracle が始まりました。何て粋な George なんでしょう。

東京のときは喉の調子がよくなかったのかな。今日は調子いいよって言ってました。最前列の男の子をステージに上げて「あなたはコンサートに来た人の中で最年少だわよ」って言って喜んでました。George の優しさを感じました。

ペットボトルのお水をよく飲んでました。「こないだ55歳の誕生日だったのよ。こんなに歌うと大変だわ。水飲ませてちょうだいね。」なんて言ってました。仕草がいちいちかわいい George です。

Mikey の首のあたりに鼻を近づけて「Mikey っていい匂いがするわね」って言って、そのあとチューしてました。Mikey はいつものことだって顔で全く動じず、George に勝手にさせてました。面白かったです。

George が急に日本語で「そっちへいくな」「そのくるまにのるな」って Don’t Go Down The Street の日本語のパートのところを歌ってくれてとてもうれしかったんですが、そのあと「でも意味はさっぱりわからないのよ」って言っててずっこけました。

アンコールの Get It On の前だったと思うのですが、George が前から2列目の男性を指して「ここに70年代の素敵なファッションの方がいるわ」と言ったら、その方がジャケットを脱いで George にプレゼントしようとしたみたいでした。そしたら George が「あぶないよ」って(これまた Don’t Go Down The Street の日本語の歌詞)言って、しばし押し問答がありました。で、結局 George はジャケットを受け取ったんですが、そのジャケットは明らかに George には入らない幅でした。George は「アタシには無理ね」って言って、女性コーラスの真ん中の一番のナイスバディの方に「あなた着なさいよ」って渡してました。それが彼女にピッタリで、とってもカッコよかったです。George はその後もその男性には気を使っていて、Get It On の途中で何回かその人に語りかけるように歌っていました。George 優しい~ ❤

またほかにも思い出したら書きます。
by ladysatin | 2016-06-27 22:38 | 英語と私といろいろ | Comments(2)