訳詞の世界~Company - Rickie Lee Jones

本日の訳詞の世界は Rickie Lee Jones の曲を選んでみました。

早く大人になりたかった私が、背伸びをして買ったのが Rickie Lee Jones のデビューアルバムでした。

1979年のこと。

どの曲もカッコよくて、毎日ターンテーブルに乗っていたことを思い出します。

その中から Company という曲をご紹介します。

この曲を聴くまで、Company に「会社」以外の意味があったことを知りませんでした。

辞書を引いて新たな意味と出会うことによって、私は英語へのさらなる好奇心をかきたてられました。

こんなことの積み重ねが今の私を作っています。



このサムネイルはアルバムのジャケットの写真です。
素敵だったなあ。

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Company
Written by Alfred Wayne Johnson / Rickie Lee Jones

I'll remember you too clearly
But I'll survive another day
Conversations to share
When there's no one there
I'll imagine what you'd say

あなたのことを忘れることはないでしょう
色あせることなく...
だけど私は日々を生きていかなくては

交わした会話
ひとりのときは
あなたの言葉に思いをめぐらすことでしょう

I'll see you in another life now, baby
I'll free you in my dreams
But when I reach across the galaxy
I will miss your company

生まれ変わってまたあなたに会いたい
私の夢の中で自由にしてあげるね

でも私が銀河を渡ってたどり着いたら
あなたがいないことを寂しく思うでしょう

Company
I'll be looking for company
Look and listen
Through the years
Someday you may hear me
Still crying for company

一緒にいてくれる人
そんな人を私は探しているでしょう
そうよ
年月が経ち
いつかあなたは聞くかもしれないわ
ひとりは寂しいって泣いている私の声を

So now you're going off to live your life
You say we'll meet each other now and then
But we'll never be the same
And I know I'll never have this chance again
No, not like you

今あなたは立ち去ろうとしている
あなた自身の人生を生きるために

また会うときもあるさって言うけど
私たちはこれまでと同じではなくなるわ
私にはもうこんな日々は訪れないとわかっているの
あなたといた日々のようには

So, I'll see you in another life now baby,
I'll free you in my dreams
But when I reach across the galaxy
I will miss your company

生まれ変わってまたあなたに会いたい
私の夢の中で自由にしてあげるね

でも私が銀河を渡ってたどり着いたら
あなたがいないことを寂しく思うでしょう

Company
I'll be looking for company
Look and listen
Through the years
Someday you may hear me
Still crying for company

一緒にいてくれる人
そんな人を私は探しているでしょう
そうよ
年月が経ち
いつかあなたは聞くかもしれないわ
ひとりは寂しいって泣いている私の声を...

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久しぶりに聴いたら泣けた...。

さて company という単語について少し解説。

「会社」という意味の company は可算名詞なのですが、不可算名詞の用法があります。
今回の company は不可算名詞の用法で、「仲間」とか「一緒にいること」の意味で使われています。

●Longman には when you are with other people and not alone とあります。
「あなたが他の誰かと一緒にいて、一人ではない」場合を指す言葉。
それが company です。

例文
Rita’s husband is away for the week, so I thought I’d go over and keep her company (=be with her so that she doesn’t feel lonely).
リタの旦那さんが一週間留守にするから、彼女が寂しくないように一緒にいてあげようと思った。

この文の keep her company には「彼女が寂しくないように = so that she doesn’t feel lonely」という思いが含まれています。

ジーニアス英和大辞典も調べてみました。

●company 不可算名詞の用法
1. (...) と同席すること、同行、付き合い、交際
I really enjoyed your company.
ご一緒(お話)できて本当に楽しかったです

She loves the company of children. (= She loves being with children.)
彼女は子供を相手にするのが好きだ

I’m never bored with my own company. (= I’m never bored (with) being alone.)
私はひとりだけでも(だれもいなくても)決して退屈しない

2. 仲間、友達、連れ(個人をさすこともある)
as company
仲間として、連れとして

get into [keep] bad company
悪友仲間に入る(と付き合う)

He is good [poor] company
彼は付き合って面白い(面白くない)人だ

●似ている単語に accompany があります。
accompany は動詞で「一緒に行く、同行する、付き添う」という意味です。
The boy was accompanied by his parents.
その子は両親に付き添われていた。

余談ですが、昔 Bad Company というバンドがいて、私はてっきり「悪徳会社」だと思っていたんです。へんてこりんなバンド名を付けたもんだと。それが Rickie Lee Jones の Company がきっかけで Bad Company は「不良グループ」の意味なんだって知りました。

ではこのへんで。

また次回お会いしましょう。

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Commented by Southern Man at 2022-05-23 17:39 x
ladysatin 様

Rickie Lee Jonesを取り上げられるのは二回目ですね。「Company」は“Love”や“Shine Your Light on Me”といった言葉が一度も出てこない、奥ゆかしいラブソング。“訳詞には訳者の心情が表れる”というのが私の持論ですが、ladysatinさんの“愛”対する所懐を垣間見たような気がします。

彼女がデビューして四十年余り。この曲を収録したアルバム以降は、メインストリームとは異なる場所での活動でしたが、その希有な存在感はアーティストを魅了するアーティストといわれていますね。ジャンルを問わないカバー・アルバムを四枚出していますが、私の好きなThe BandやNiel Youngの曲の解釈には驚嘆しました。

現在のお仕事の切っ掛けを作ったのが洋楽だったのですね。〈好きこそ物の上手なれ〉という諺がありますが、誰もがそうなることは出来ません。その努力に敬服いたします。お忙しいようですが、これからも細く長く、想い出の曲を取り上げてくださることを願っています。

さてお薦め曲ですが、前回気に入って頂けたので、今回もLarkin Poeにしました。十一月に発売する、『Blood Harmony』というアルバムからの先行リリース曲、「Bad Spell」です。甦り、炸裂する'70年代のリフに、肺腑を突かれます。ブルース・ハードロックを超えた、ヘビメタ・ブルースの降臨といった感じです。お楽しみ下さい。
Commented by ladysatin at 2022-05-26 00:37
Southern Man さん
コメントをありがとうございます。

Rickie Lee Jones のデビューアルバムは全曲素晴らしかったです。アルバムの邦題は「浪漫」でした。ジャケットの雰囲気にマッチしていて、よいタイトルだったなあと思います。

今の仕事のきっかけは確かに洋楽ですね。小学生の頃から聴き始めていて、中学生になって英語が教科に入ってから、私は初めて自分に自信が持てるものが出来ました。いつかは英語で食べていきたいと思っていましたが、大学卒業後は銀行員になったので、その時点で英語は過去のものになりました。めぐりめぐって、今、翻訳家として仕事が出来ているのは不思議な気がします。

Bad Spell を聴きました。本当に70年代にタイムスリップする感覚ですね。Larkin Poe が70年代にデビューしていたら、間違いなくスターになっていたと思います。前回も書きましたが、女性ボーカルの声が抜群にいいです。ロックボーカリストが憧れるような声の持ち主です。ちょっといないですね。この声は。まだ若いと思うので、これからもっとうまくなるでしょう。私も注目していこうと思います。
Commented by KK66 at 2022-07-01 00:36 x
Lovely translation, indeed! Thank you.
ありがとう
Commented by ladysatin at 2022-07-01 14:00
KK66 さん
Thank you for your heartwarming comment.
うれしいです。ありがとうございます♪
Commented by Southern Man at 2022-07-10 21:14 x
ladysatin 様

お久しぶりです。六月末の酷暑の後に鬱陶しい天気が続いていますが、お元気で活躍されていますか? 

週末、棚に並べたCDの後ろから、Diana Krallの『Wallflower』(2015年)という、封も切っていないアルバムが出てきました。聴いたことはある名前だけど、どんなアーティストかは見当も付かない。調べたらとても有名なジャズシンガー兼ピアニストでした。
収録曲に'60年代、'70年代のロックやポップスの曲が記されていたので、それに釣られた纏め買いの中の一枚だったのだろうと思います。

遣り繰りして購入したレコードの一枚一枚を、大切に聴いていた十代の頃を想い出して反省しました。人は豊かさや便利さを手に入れる度に、大切なものを失っていく。自分はそうなるまいと生きてきたつもりでしたが、行動の軌道修正が必要だと痛感しました。

今回の推薦曲は、その隠れていたCDの中の一曲「Operator(That's Not the Way It Feels)」です。原曲はJim Croceで、Carol KingやJoni Mitchellと同時代のシンガー・ソングライターです。想いを断ち切れない感傷が、映画の一場面のような歌詞で綴られています。中学生の時に、シングル盤を擦り切れるくらい聴きました。夜の電話ボックスで、好きな同級生の電話番号を書いたメモを握りしめていた。そんな想い出が蘇ってきます。結局、かけられませんでしたが……。
Commented by ladysatin at 2022-07-13 20:02
Southern Man さん
こんにちは。毎日暑いですね。
私の方はこのところ超多忙になってしまい、お返事が遅くなってすみません。

Diana Krall という歌手については、以前私のブログにどなたかがこの人の曲を紹介してくださったことがあって思い出しました。あまり印象には残っていませんが、ジャズシンガーだったのですね。90年代以降の歌手については本当に疎いので、この人については全く知識がありません。Wallflower というアルバムはカバーアルバムのようですね。私が知っている曲がいくつかありました。

Southern Man さんから教えていただく歌手やバンドは、半分は知らない人たちですが、Jim Croce も知らない人でした。本当に色んなアーティストをご存じですね。Operator も初めて聴く曲なのですが、なかなか風情があってよい曲ですね。時代を感じさせます。オペレーターとのやり取りの情景が目に浮かぶようです。
Commented at 2022-07-20 22:41 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Shira at 2022-07-25 17:54 x
黒いレコードが回るのを見ながら、できればぽうっとオレンジ色に灯る真空管のヒーターも見ながら聞きたい曲です。確か同じアルバムの On Saturday Afternoons in 1963 も好きです。
Commented by ladysatin at 2022-07-26 02:39
yasu さん
お久しぶりです。Diana Krall は普通です。あまり好んで聴きたい歌手ではないかもですが、コメントが難しいですね。Elvis Costello が旦那さんだとは知りませんでした。この人には良い印象がありません。その昔、Linda Ronstadt が Alison をカバーしたんですが、Linda のことをとても悪く言っていて、なんて狭量な人なんだと失望したことを思い出します。そんな印象なので、ほとんど聴いてないんです。でもせっかくアップしてくださったので聴いてみますね。いつもありがとうございます。
Commented by ladysatin at 2022-07-26 02:44
Shira さん
ご無沙汰しています。お元気ですか?
On Saturday Afternoons in 1963 もいいですね。ファーストアルバムは全曲素晴らしかったと思います。Night Train も好きでした。今聴いても古さを感じさせないですね。
Commented at 2022-07-31 13:41 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ジェシー at 2022-08-04 16:00 x
「カンパニー」の意味と対訳が知りたくて、来ました。ありがとうございました。このアルバムは対訳がついてなかったので。私も大好きなアルバム。これでリッキーリーの大ファンになりました。その後、彼女がアルバム「フライング カウボーイ」を出して来日したライブは二日間行きました。懐かしいなあ。
Commented by ladysatin at 2022-08-05 11:27
ジェシーさん
コメントをありがとうございます。Rickie Lee Jones のファンの方からのコメントとてもうれしいです。コンサートも行かれたんですね。うらやましいです。私も一度は生で聴いてみたかったアーティストです。独特の感性と表現力が素晴らしいですよね。また日本に来てほしいです。
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by ladysatin | 2022-05-06 00:59 | Music & English_3 | Comments(13)