should not have to

日英翻訳の依頼がほとんどなのですが、たまに英日の仕事の依頼がきます。
その中で出会った表現について書きたいと思います。

should not have to… ネィティブには何てことはないフレーズです。しかし、日本人にはこのフレーズのニュアンスはわかりにくいと思います。日常英会話で使える人は日本人の中にいるんだろうか。使える方を私はとても尊敬してしまうのです。

そこで仕事で出てきた英文はそのまま出すとまずいので、ネットから例文を拾ってみました。
以下の英文は、車にマイクを取り付けるときの注意文です。

When you speak into the microphone, you should not have to change your driving posture. This may cause a distraction, taking your attention away from safely driving your vehicle.

問題の箇所は you should not have to change your driving posture のところです。まず、ここだけ残して訳してみましょう。

「マイクに向かって話しかけるときは <you should not have to change your driving posture> 運転姿勢を変えると気が散ってしまい、安全運転に注意を払うことができなくなるおそれがあります。」

この文脈で you should not have to change your driving posture はどんな意味になるんでしょうか。私の場合、こんなのが出てくると、恥ずかしながら一時的に頭がパニックになって処理できなくなるのです。

これが do not have to であれば簡単です。

you do not have to change your driving posture
あなたは運転姿勢を変える必要はありません

これを当てはめるとこうなります。
「マイクに向かって話しかけるときは、あなたは運転姿勢を変える必要はありません。運転姿勢を変えると気が散ってしまい、安全運転に注意を払うことができなくなるおそれがあります。」

あれ、これでも何だか意味が通じるような気がする。

なぜあえて should が使われているのだろうって思いませんか。

しかし、この場合は should not have to でなければダメなんです。
いや、ダメというよりも言いたいことが違うんですね。
直訳すると見えてきました。

you should not have to change your driving posture
あなたは、運転姿勢を変える必要があるべきでない。

おかしな日本語ですが、つまり have to change your driving posture(運転姿勢を変える必要がある)を should not(べきでない)で打ち消しているのです。

では「運転姿勢を変える必要があるべきでない」ってどういうことなのか。

逆に言えば「運転姿勢を変える必要がないようにすべきだ」ということです。
これでほぼわかります。

初めの方でも書きましたが、これは車にマイクを取り付けるときの注意文なんですね。運転姿勢を変えなければならない方向にマイクを設置すると、いざマイクに話しかけるときに目線を変えなくてはならなくなるので、注意散漫になります。そうすると危険なので、そうならないように正しく設置してくださいと述べている文です。「必要がないようにすべき」とは「必要がないように設置しておくべき」という意味です。

全体を訳し直してみます。
When you speak into the microphone, you should not have to change your driving posture. This may cause a distraction, taking your attention away from safely driving your vehicle.

「マイクに向かって話しかけるときには運転姿勢を変える必要がないように設置しておくべきです。運転姿勢を変えると気が散ってしまい、安全運転に注意を払うことができなくなるおそれがあります。」

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should not have to の使い方、私には今も難しいです。
今後も要注意なのだ。
Commented by RRExpress4 at 2019-12-08 00:47
ペンパルとの文通や雑談程度ならともかく、機械関係の取扱説明書の訳とか、素人の私が考えても大変そうだなと思います。
最近某大手通販サイト(日本でこれだけ稼いでおきながら、日本に税金全然払ってないという噂のところ。よく使うんですけど(笑))の、特に格安の電化製品やエレクトロニクス製品の商品説明が国籍不明の人の日本語になっているのをよく見かけます(「必ず快適な動作します」みたいな)。
ご本職に対して失礼な質問かも知れませんが、日→英訳って、出来上がったものがネイティブから見ていかに自然な言い回しになっているか、プロの方でも不安になったりしないものなのですか?
プロ同士でチェックするとか、ネイティブの方に見てもらって意見してもらったりなんてこともあったりするのでしょうか。
should not have to に関しては、なにも予備知識がない状態の私は「(それを)しなくてもいい」とフラットに訳したでしょう。その程度のレベルです。
が、Lady Satinさんがわざわざ「注意文です」の部分にアンダーラインを引かれたので、「もしかしたらこうだろう」と想像して読み進んだらその通りでした(笑)。
「あるべきでない」→「ないようにするべき」ですね。
Commented by ladysatin at 2019-12-10 20:42
RRExpress4 さん
全く失礼な質問ではないですよ。自然な疑問だと思います。日英翻訳が終わったら通常は、翻訳会社に納品するわけですが、そこから先は各翻訳会社の方針によって決定されます。翻訳会社にネィティブのチェッカーがいて、その人がチェックする場合があります。翻訳者との取引が長く、依頼元(メーカーなど)からの信頼が厚い場合は、ネィティブチェックまでかけずに依頼元に納品されることもあります。

>出来上がったものがネイティブから見ていかに自然な言い回しになっているか、プロの方でも不安になったりしないものなのですか?

不安な人はプロとして仕事をすべきではありません。自分の書く英語に自信がないのにこの仕事をしている人がいるとすれば、その人はお客様をなめていると思います。報酬をもらう資格はないと考えます。
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by ladysatin | 2019-12-03 00:17 | 英文法_English Grammar | Comments(2)