訳詞の世界~Summertime - Janis Joplin

この頃、サマータイムを導入するとかしないとかニュースになっていますね。
だからというわけではありませんが、いつか訳したいと思っていました。

Janis JoplinSummertime

私には歳の離れた兄がいて、その兄が洋楽を聴いていたのがきっかけで、自分も洋楽を聴くようになりました。Janis Joplin の曲を初めて聴いたのは小学生のときです。兄が Janis の Pearl というアルバムをもっていて、その1曲目は Move Over という曲でした。

ドラムから始まる Move Over は、それはそれはカッコよくて、衝撃を受けたことを覚えています。

兄は「もうこの人は死んでしまったんだよ」と言いました。
「なんで?」と聞くと「知らん」…と。
幼い私には彼女の死の理由を言いたくなかったのかな。

それ以来、Janis の大ファンです。本当に大好きで、女性ロックボーカリストで Janis を超えた人っていないと思っているくらい。というのも、あの声は唯一無二だから。あのビブラートは真似しようにもできない。天性のものだと思います。

さて、今回選んだ Summertime は、George Gershwin によって1935年に書かれた曲です。Porgy and Beth というオペラの中で挿入歌として歌われました。舞台は、アメリカ南部のサウスカロライナ州チャールストンにある町。アフリカ系アメリカ人が登場人物のほとんどを占めるオペラです。漁師の夫をもつ Clara が、自分の赤ちゃんの子守歌として歌っています。

Summertime は2000人以上の人がカバーしているとのことですが、Janis Joplin のバージョンは、異次元の迫力があります。27歳で死んでしまうなんて、あまりにも早すぎましたね。歌手としての活動の期間は短いものでしたが、いまだに多くのミュージシャンに影響を与え続けています。




Summertime
written by George Gershwin and Dubose Heyward

Summertime, time, time
Child, the living's easy
Fish are jumping out
And the cotton, Lord
Cotton's high, Lord so high

夏になるとね
坊や
生活は楽になるわ
魚は飛び跳ね
綿の木も大きくなる

Your daddy's rich
And your ma is so good-looking, baby
She's a-looking good now
Hush, baby, baby, baby, baby now
No, no, no, no, no, no, no
Don't you cry, don't you cry

あなたのパパはお金持ち
ママはとっても美人
だからいい子にして
泣いちゃだめ

One of these mornings
You're gonna rise, rise up singing
You're gonna spread your wings, child
And take, take to the sky
Lord, the sky

ある朝
あなたは立ち上がり歌い始める
翼を広げるのよ
坊や
そして空へと飛び立つの

But until that morning
Honey, n-n-nothing's going to harm ya

その朝が来るまで
あなたを傷つけるものなど何もないわ
パパとママがあなたを守るから

No, no, no no, no no, no...
Don't you cry, cry

だからお願い
泣かないで

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追記)2018年8月28日

パパとママがあなたを守るから
この箇所ですが、元の歌には With daddy and mammy standin' by your side というフレーズが入っているので訳しました。Janis は何故か歌っていません。

さて、Summertime について調べていて、いくつかわかったことがあります。

この歌の中に Cotton's high(綿の木も大きくなる)という箇所があります。何故 cotton なんだろうと思いました。調べたら、アメリカにおける綿花の生産は南部に限られているとのことです。Porgy and Beth の舞台は、まさに南部のサウスカロライナ州の町なんですね。アメリカ南部には「コットンベルト」と呼ばれる綿花地帯があります。

さらに cotton について調べると、Wikitionary で以下の記載を見つけました。
The term "high cotton" or "tall cotton" originates from the rural farming community in the antebellum (pre-Civil War) South when "high cotton" meant that the crops were good and the prices, were, too. The term has generalized to mean one is doing well or is successful.

また以下の記載もありました。
★high cotton (uncountable)
(US, Southern US, slang, idiomatic) the best of times; a time of well being
例文)We're in high cotton now.

ここまで読むと最初の節の意味がよくわかります。Cotton's high は「綿の木が大きくなる」という直訳のほかに、穀物が豊作で良い値がつくということ、だから「生活が良くなる the living's easy」ということなのです。

Fish are jumping out のところについてですが、夏は水温が高くなり酸素の量が少なくなるため、魚が飛び跳ねて、酸素を取り込もうとするそうです。よって、このフレーズは夏の暑さを表現しているのかもしれません。

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Porgy and Beth では、Clara という黒人の女性が自分の子に対して歌っていますが、この歌についての解釈は他にもあるようです。

黒人の女性の奴隷が、白人の雇い主の子を抱いて歌っているのだろうというものです。「あなたのパパはお金持ち、ママはとっても美人」のところは、白人の雇い主のことです。黒人である彼女の子は、どこかへ売られもう二度と会うことはできません。そんな悲しい情景が読み取れるという人もいます。

Summertime の記事はこれにて終わりです。

Commented by taekamede at 2018-08-25 15:10
はじめまして
年の離れたお兄様との思い出が素敵すぎます(^^♪
カッコいいお兄さんだったんですね~。

あどけない顔立ちのJanisさん、ハスキーな素敵な声ですね。
独特の世界を感じました。
音楽を聴きながら英語の勉強もできるなんて、とっても楽しいですね。
フォローさせてください♪
Commented by ladysatin at 2018-08-25 21:28
たえかさん
初めまして。コメントをありがとうございます。今ブログを拝見して、お名前を知りました。たえかさんは英語の日記を書いておられるんですね。三日坊主で終わる人が多い中、継続されていて素晴らしいと思いました。英語で書く習慣をつけることで、必然的に語彙が増えると同時に、英語での発信力も向上すると思います。無理しない範囲で楽しく続けるのがいいですね。

私が英語に興味をもったきっかけは洋楽でした。小学校の低学年でビートルズを聴きはじめたので、ませた子供でした。(^^)

ブログはたまにしか更新しないのですが、これからも細く長く続けていけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by Southern Man at 2018-09-02 22:46 x
別格の存在のJanis Joplinが、ついに『訳詞の世界』に加わりましたね。取り上げた曲は『Summertime』。彼女の歌唱力が光る、ladysatinさんらしい選曲だと思います。

〈あなたはあなたが妥協したものになる〉。彼女の言葉です。自分を幸せにしないものを受け入れない、抗う人生。その代償として、生涯まとい付く孤独と悲しみ。ランドマーク・モーター・ホテルでの悲劇は、起こるべくして起こったのかもしれません。お兄さんが「知らん」と言われたのは、彼女の心の痛みを分かっていたからではないでしょうか。

絞り出すような嗄れ声が、耳からというより皮膚から滲むように染みこんできて、やがて体中の細胞を哀しみに浸していく。彼女の曲を聴く度に、私はそんな感覚に包まれます。中でも『Maybe』は、ひときわ露わになります。彼女は夭逝するまで、自分にその言葉を叫んでいたような気がしてなりません。
Commented by tacaQ at 2018-09-05 00:11 x
ひさしぶりにお邪魔します。
ladysatinさんより
ちょっと遅く生まれた世代なので
残念ながらジャニスの楽曲に
あまり触れる機会がありませんでした。
ただ、それでも彼女と彼女の歌は
時代を象徴していることは
容易に想像がつきます。

彼女の悲劇的な人生にふれるたび
自分はベッド・ミラーのローズという歌を
思い起こします。

愛は、ジャニスにとって、川だったのか、
カミソリだったのか、
それとも、冬を乗り越える花の種子であったのか、と。



Commented by ladysatin at 2018-09-07 00:15
Southern Man さん
お返事が遅くなってしまってすみません。連日の徹夜仕事がやっと終わりました。

私は昔、Summertime は Janis のオリジナルソングだと思っていたんです。あとになってそうではなかったことを知り、様々な方のカバーを聴き、Janis の Summertime はかなりアレンジされていたんだと知りました。私は嗄れ声の歌手が苦手で好んで聴くことはありませんが、Janis は別格です。というか Janis の声は嗄れ声だと思わないのです。一言でいえば、魂が揺さぶられる声です。

Maybe もいいですね。私が一番好きなのは CHEAP THRILLS に入っている I NEED A MAN TO LOVE です。Janis の心の叫びが聞こえてきます。イントロのギターも最高に素晴らしいです。
Commented by ladysatin at 2018-09-07 01:29
tacaQ さん
ご無沙汰しております。コメントをいただきながら、お返事が遅くなってしまってすみません。

Bette Midler の The Rose は有名ですね。映画は1980年だったと思うのですが、ジャニス・ジョプリンがモデルとなっているということだったので、公開されてすぐに映画館で観ました。とても感動して、サウンドトラック盤を買いました。この映画の中の Stay with Me がすごく良くて、何度も聴いていた記憶があります。

Janis Joplin は27歳で亡くなりましたが、今もなお様々なアーティストに影響を与え続けています。
Janis はこれからも忘れ去られることのないアーティストだと思います。
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by ladysatin | 2018-08-22 22:40 | Music & English_3 | Comments(6)