Up Where We Belong 愛と青春の旅立ち - 訳詞考察

今日は Up Where We Belong の詞を考察してみたいと思います。

和訳はこちらです
→ 訳詞の世界~Up Where We Belong 愛と青春の旅立ち - Joe Cocker & Jennifer Warnes(和訳)

実は訳詞をアップしてから何度も書き直しています。(>-<)
というのも読めば読むほどに難しいところがあるから。
例の Love lift us up where we belong のくだりなんですが、ようやく自分なりに結論が出ました。
お正月の間、ずっと考えていたのよ~。(涙)

この曲は Will Jennings さんが作詞をしています。Celine Dion の My Heart Will Go On を書いた方ですね。それと Eric Clapton の Tears in Heaven の一部も Jennings さんによるものです。作詞家としてはすごい方なので、この曲も深いことこの上ないのです。

かいつまんで...と思っていましたが、どのフレーズも詳しく検討したいので、久しぶりに全部の詞を考察します。

では、最初からみていきましょう。001.gif

*********************
Who knows what tomorrow brings
In a world few hearts survive

明日が何をもたらすかかなんて誰にもわからない
心がくじけてしまいがちな世界では...
*********************

★Who knows what tomorrow brings in a world few hearts survive?
この導入部分は反語になっていますね。

●Who knows ~? 誰に~がわかるだろうか?誰にもわかるわけがない。
この形は口語でも頻出です。断定を強調するためにあえて疑問文にしてあるんですね。

●in a world few hearts survive
原義は「ほとんどの心が行き残ることのない世界では」となりますが、直訳ではあんまりかなと思い、「心がくじけてしまいがちな世界では」としてみました。もっと良い訳があったら教えてください。

注意したい点は、in the world でも in this world でもなく in a world となっているところです。またまた出てきた不定冠詞の a です。そう、不定冠詞だということは、特定のものではなく一般論として書かれているんですね。「私達が生きているこの世界」のことではなく、「ほとんどの心が生き残ることのない、そのような世界にあっては」ということです。冠詞は英文読解において常に注意を要します。

もうひとつの注意点ですが、この箇所は関係副詞の where が省略されているようです。
省略しない形 → in a world where few hearts survive

関係副詞 where の省略についてロイヤル英文法には、「where は省略不可とする人が多いが、くだけた言い方で、先行詞が place の場合に that が用いられ、それが省略されることがある。」とあります。ここでの先行詞は world ですが、world が場所を表しているのは一目瞭然ですから、place と同じように考えてよいと思います。

*********************
All I know is the way I feel
When it's real, I keep it alive

僕にわかるのは
自分の感じるがままにということだけなんだ
それが本物であるとき
生かし続けたいと思う
*********************

★All I know is the way I feel
the way I feel は直訳すると「私の感じ方」になります。おそらくinstinct(本能)のことだと思いました。

★When it's real, I keep it alive
ここでの it は前文の the way I feel を受けていますね。
「自分の本能が正しいと思う時は、それを大切にしていくんだ」と言いたいのではないでしょうか。

●keep ... alive
~を生かしておく、~を維持する、~を存続させる、(人)を延命させる (英辞郎より)

*********************
The road is long
There are mountains in our way
But we climb a step every day

その道は長くて
僕らの前には山が立ちはだかっている
だけど登っていくんだ
毎日一歩ずつね
*********************

この箇所はそんなに難しくないですね。

★There are mountains in our way
ここの in our way は文字通り「私達の行く道には」でいいと思います。
in the way と混同しないようにしたい。in the way であれば「山が邪魔をしている」という意味になるでしょう。

さてさてぇ...
次が泣きそうなほど難しかったところです。(T△T)

*********************
Love lift us up where we belong
Where the eagles cry
On a mountain high

愛が僕らをいるべき場所へと高めてくれたらと願う
そこは山高く鷲の声が響きわたるところ
*********************

★Love lift us up where we belong
う~ん、とうなってしまったのが「この文には何で三単現の s がついてへんの?」って思ったから。

Love が主語だから lifts じゃないの?って思いません?
私はこれてっきりタイポだと思っていたんです。実際にネットでこの歌の詞を検索すると lifts でも出てくるんです。

しかし... lift なんです。Joe と Jennifer の歌も、他の歌手がカバーしているのを聴いても lifts と発音していません。
lift です。

ということでこれは悩みまくりでした。lift でもロジックが成立するのはどんなときだろう?

可能性としてひとつ思ったのは、これって命令文じゃないの?っていうことでした。
Love は呼びかけだと考えられるかも。

命令文だと考えると...
Love lift us up where we belong 愛よ、僕らがいるべきところに高めてください

どうかなあ。でも命令文だとしたら、Love のあとにコンマが必要ですよね。でもコンマはどうもないみたいよ。

で、おそらくこれだと思ったのが祈願文
仮定法現在の用法で古い表現になるんですが、以下の文は誰でも一度は聞いたことがあると思います。
God bless you! あなたに神のお恵みがありますことを!
この文は 助動詞の may を使って書き替えることができます。→ May God bless you!

このように祈願文では、動詞は原形のままです。この考え方だとうまくつながりそうに思えて私の訳はこうなりました。
★Love lift us up where we belong - 愛が僕らをいるべき場所へと高めてくれたらと願う

訳のぎこちなさに不満はありますが、祈願文であることはおそらく間違いないんじゃないかと思っています。

ところでこの where の品詞は関係副詞?それとも接続詞?(・-・)・・・ん?

関係副詞だとすれば先行詞の to the place が省略された形と考えることができますね。
= Love lift us up (to the place) where we belong


一方、場所の副詞節を導く接続詞という考え方もできます。ジーニアスでは接続詞の範疇に入れています。安藤先生の現代英文法講義では、自由関係副詞(P201)という言い方がされています。

このように文献によってとらえ方は様々です。いずれにしても意味がきちんととれていることが大切かなと思います。

さて、その次の Where なのですが、私は関係副詞の非制限用法だと考え、以下のように訳しています。
★Where the eagles cry on a mountain high - そこは山高く鷲の声が響きわたるところ

*********************
Love lift us up where we belong
Far from the world we know
Up where the clear wind blow

愛が僕らをいるべき場所へと高めてくれたらと願う
そこは僕らが知る世界から遠く離れ
澄んだ風が吹くところ
*********************

この箇所も基本的に前述と同じ考え方で訳しています。

次です。
*********************
Some hang on to used to be
Live their lives, looking behind

昔の自分を拠り所にする人もいる
後ろを振り返って生きている人達
*********************

ここで大切なところは used to be が名詞として使われているところでしょうか。
●used-to-be  - 〈話〉盛り[全盛期・絶頂期]を過ぎた人[物]、過去の人 (英辞郎より)

●looking behind - 後ろを振り返りながら
付帯状況の分詞構文ですね。

*********************
All we have is here and now
All our life, out there to find

私達にあるのはこの場所
そして今という時だけ
生きているという実感
そのすべてを見つけたい
*********************

★All we have is here and now
この文を受けて下につながります。

★All our life, out there to find
ここは訳が難しかったです。構造は All our life, which is out there to find でしょう。
out there はその前の here との対比だと思います。私達にあるのは here だけど、生きているという実感は here にはなくて、「ほら out there - そこにあるのよ」って言いたいのではないかと思いました。

私の訳「生きているという実感、そのすべてを見つけたい」にその思いが表れているかどうか。直訳が基本の私ですが、かなり意訳気味になっているところがいまいちです。

**************
Time goes by
No time to cry
Life's you and I
Alive today

時は過ぎていく
泣いてる時間なんてない
人生とは君と僕のことなんだ
今日という日を生きているんだ
***************

この部分はとても力強いメッセージになっていますね。
注目したいのは Alive today のところ。Live today ではないんですね。alive は形容詞で live は動詞です。
We are alive today. と We live today. はどちらも「私達は生きている」という訳が成立しますが、伝えるニュアンスは大きく異なります。

live は「静」、alive は「動」。
つまりここで alive を使うことによって、活力のある、生き生きとした、喜びのある生を感じとることができます。

ふぅ~ 042.gif
Will Jennings さんの詞は、深すぎてめまいがした私でございました。
まだ読み込みが足らないところがあると思いますが、これにて一旦終了。

明日は仕事始めの方も多いかな。私もそうです。
また一年お仕事がんばりましょう。
& 今年もサテンのブログを宜しくお願いいたします。

(^_-)-☆
Commented by Yu at 2015-01-05 22:25 x
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。この曲は有名ですが、あまり歌詞を気にしていませんでした。難しい内容だったんですね。Love lift us up where we belongはなるほどと思いました。いつも分かりやすい解説をありがとうございます。年末年始にのんびりしていましたが、私もしっかりと勉強しようと思いました。
Commented by ladysatin at 2015-01-05 22:46
Yuさん
明けましておめでとうございます。
こちらこそ本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

先日のコメントバックはめちゃ遅かったので、今回は超特急ですよ~♪
Love lift us up where we belong はとっても難しかったです。
こうやって訳詞をすると、毎度のことながら思いがけない困難に直面します。
でも、ここを乗り切らないと次の記事に行けないので、いろいろ考えました。 

いつも読んでくださってありがとうございます。(^-^)
Commented by 似非無頼 at 2015-03-30 01:12 x
どうも、口の悪さは親譲り、似非無頼です(開き直ってみました)。

この曲はサビだけ知ってました。
で、いただいたコメントの中で仮定法現在の lift に言及されましたが、僕は全くピンと来なかったんです。
They lift us up... だから直説法でただの原形でいいんじゃないのかなあ...
聞き取りが間違ってた様です。
おまけに、Where the eagles fly と覚えてました。
しかし渋い声で歌うモンだなあ。
Commented by ladysatin at 2015-03-30 20:50
まいどっ。☆
似非無頼さんの口、悪くなんかないですよ。
ブログは私にはよくわからない難しい事が書いてあったりするけど σ(^_^;)
たまに出てくるユーモアは魅力的ですよ♪

They lift up と書いてあるサイトもあるんです。
それで、私も色んな人のバージョンを YouTube 聴いたんですが、
やっぱり Love lift up でした。
この詞のおかげで、お正月は悩みまくりだったんです。

Joe Cocker のことはあんまり知らないの。
この歌はあの映画が流行った時に、朝から晩までラジオで流れていました。
なつかしいわ~。私も年をとったわけね。(^w^)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by ladysatin | 2015-01-04 16:18 | Music & English_2 | Comments(4)