2014年 09月 13日
同格の that 節がとれない名詞についての考察
同格の that 節 については高校英語で学習しますね。正しい英文を書くためには、きちっと押さえておくべき重要な文法項目です。しかし、先行する名詞の扱いについては、とっさに判断できないケースが多々あり、私自身、同格の that 節は曲者だと思っています。ちょっとそのあたりについて書きますね。
皆さんがお手持ちの文法書にも、同格の that 節についての記載があると思います。
ちなみにロイヤル英文法(P.809)では以下、6つのグループに分けて、同格の that 節を導く名詞の例があげてあります。
① fact グループ ・・・ agreement, conclusion, condition (条件), evidence など22名詞
② news グループ ・・・ information, rumor, report など10名詞
③ remark グループ・・・ comment, promise, explanation など15名詞
④ idea グループ・・・ belief, hope, view など12名詞
⑤ order グループ・・・ command, demand, suggestion など9名詞
⑥ feeling グループ・・・ assumption, fear, recognition など17名詞
このように分類して書かれてあると役に立ちますね。上記だけでもかなりの数ですから、これだけ覚えたらかなりカバーできるはずです。なので、これはこれとして必死で覚えたと仮定しましょう。
しかし...実際の運用となると、そう簡単ではなさそうです。というのも、これ以外の名詞で同格にできないものはどうやって見分けるのかが難しいんです。今日はそこに切り込みます。
まず、同格の that 節の用法とは「先行する名詞の内容を、それに続く that 節が説明する」というものです。だから「~という○○」のように訳すことが多いですね。
例)She concealed the fact that she was married.
彼女は既婚であるという事実を隠した。
この文は典型的な同格の that 節です。
ここからが問題なんですが、「~という○○」という表現につられて、同格にしてしまいそうな例が多々あります。最近、高校英語の問題で質問を受けまして、これが同格についてのものでした。
●問題 - カッコ内に入るものを1~4の選択肢から選びなさい。
There are many cases ( ) Japanese modesty causes a misunderstanding.
1) which 2) that 3) where 4) how
この問題の正解は 3) where です。そこで、質問してこられた方は、なぜ 2) that ではだめなのかわからないとおっしゃったんです。というのも「日本人の謙虚さが誤解を招くという場合が多くある。」という訳になるので、これはまさしく同格の意味ではないかと思われたんですね。
この着眼点は非常に重要だと思いました。
that 以下、すなわち「日本人の謙虚さが誤解を招く」が、cases のことを説明しているという解釈ができるのであれば、同格と判断し that でつなぐことができます。
私も考えました。何だか良さそうな感じもします。
「cases = that 以下」と考えてもよいのでは?
いや、cases は複数だから that 以下と合わないのでだめなのでは?
単数の case だったらOKでは?
などなど、いろいろ考えてみました。
しかし、問題はそういうことではないようです。
正解の英文をもう一度見てみましょう。
●There are many cases where Japanese modesty causes a misunderstanding.
ということは where を関係代名詞で書くとこうなります。
●There are many cases in which Japanese modesty causes a misunderstanding.
これを2文に分解してみましょう。
There are many cases
Japanese modesty causes a misunderstanding in many cases.
これでよくわかると思いますが、分解した2つ目の文は「多くの場合において、日本人の謙虚さが誤解を招く」となっています。そして、cases というのは「場合」ですが、前置詞 in の目的語になっていますから、突き詰めて考えると「場所」と考えることもできます。in the city, in school などと同じです。
つまり、Japanese modesty causes a misunderstanding が many cases の中にあるということです。逆に言えば、many cases は Japanese modesty causes a misunderstanding を抱え込んでいる 器の役割を担っている ということになります。
many cases は単なる器なので、Japanese modesty causes a misunderstanding は many cases の説明だと考えることはできないです。従って、この場合の cases は、同格の that 節にはできないということになるのだと思います。
このことは「case 場合」に類似する他の名詞にも当てはまります。
例えば「状況」を表す名詞も器の役割になります。
situation, circumstance は「状況」を表し、同格になりません。また、① fact グループの condition が「条件」ではなく「状況」の意味で使われるときも同格にはできません。scene についても同じように考えることができると思います。
このように見てくると、前置詞 in の目的語となる名詞は、同格の that 節を従えることが難しいと思われます。これについてはもう少し検討の必要性を感じていますので、すべてのケースに当てはまるとは断言しないでおきます。ただ現段階では、ひとつの考え方としては有力ではないかと考えています。
私自身もまだ同格構文を完璧に制覇しているとは言えません。その都度、名詞の果たす役割を考えながら同格でいけるかどうか考えて英文を作っています。実際、ネィティブでも間違える人が多いんです。それほど奥深い、難しい文法項目です。
もし読まれた方でご意見がありましたらお願いしますね。
同格については他にも考えていることがあるので、また書きたいと思います。
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余談ですが、同じ case を使ったこんな文をジーニアスで見つけました。
Is it the case that he has met with an accident?
この文は case に that 節がつながっていますが、正しい文です。
意味は「彼が事故にあったのは事実ですか?」となり、この場合の case は「真相・事実」の意味です。
いわゆる形式主語構文ですね。
ではまた。
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2014年9月17日の追記
昨日、下記のコメント欄にご質問をいただきました。
関係副詞の that という考え方はできないかとのご質問ですが、今回の場合、where の代わりに that を使うのは難しいと思います。確かに that を関係副詞として使うことはありますが、when の代用として使うことが多いですね。where の代用となるとかなり限定的な使い方になり、常に互換可能ではないと思われます。
★where の代わりに that を使うのは
先行詞が place や -where (anywhere, nowhere, somewhere など)の場合にほぼ限られるようです。
いくつか文献を比較しました。
まず文法書を見てみます。
●ロイヤル英文法
I will go nowhere that you cannot go.
(私はあなたが行けないようなところには行かないつもりです)
* anywhere, somewhere, nowhere や place などの場合以外はあまり用いられない。
●Forest
先行詞が place か somewhere のような –where のつく語の場合、that を関係副詞として用いたり、
関係副詞を省略することができる。
Do you know anywhere that I can find a taxi.
(タクシーを見つけられる場所をご存知ですか。)
●英文法解説
Do you know anywhere that we can get nice seafood?
(おいしい海産物が手に入る所をどこか知りませんか)
→この that は where に相当するが、anywhere where... とするのは語呂が悪い。
以上が文法書の例です。ただ、その他の場合に使ってはいけないという記載はありませんでした。
次に辞書を見てみました。
●ランダムハウス
(8)関係副詞の代用として ・・・ところの[時(所、様態など)]
These things occur anywhere that people congregate.
(こういうことは人の集まるところではどこでも起こる。)
ランダムハウスの例文も anywhere が使われています。
●ジーニアス
We see her everywhere that we go.
(私たちの行く先ざきで彼女に会う。)
※場所用法の先行詞は通例 ―where の語および place
ただし、現在では that を用いないのが普通
このように、文法書や辞書の見解はほぼ一致しており、place や -where 以外では、that を関係副詞の where の代用とすることは一般的ではないということのようです。中でもジーニアスは、一番踏み込んだ書き方になっていて、place や -where のときでも、現在では使わないのが普通とあります。
上記より、今回の例文で cases を先行詞として、where の代わりに that を使うのは、まず適切ではないと言えるのではないでしょうか。
whereの代用で関係副詞thatととることは出来ないのでしょうか。
①同格that、②関係副詞where、③関係副詞that
この②と③の違いを突き詰めないとこの問題答えは出ない気がします。
研究社の新英和中辞典などをみると例えばfactやconclusionについては+that節とあり,同格のthatが使えることが分かります.それでは,この記号が付いていないものは使えないのでしょうか.
使えそうで使えないというと,to不定詞の形容詞用法が使えない名詞,to不定詞の目的格補語が使えない動詞についても最近気づきました.
way to measureは良いけれど,method to measureは駄目です.また,The length was estimated to be 1 m.は良いけれど,The length was obtained to be 1 m.やThe length was evaluated to be 1 m.は駄目です.
中辞典を見るとwayには+to doの記号が付いていますがmethodには付いていません.estimateには目+to doの記号が付いていますがobtainやevaluateには付いていません.
さて,このようにして,同格のthat,to不定詞の形容詞用法,目的格のto不定詞補語は研究社の中辞典やOALDで判断できるでしょうか.付いていれば使えるわけですが,付いていなければ使えないと結論して良いですか.ご意見聞かせて下さい.
初めまして。コメントをありがとうございます。
大学の先生にコメントをいただくとは恐縮いたします
山崎さんのコメントの主旨は、「辞書に同格の that が使えるという記載があれば使えると判断し、ついていなければ使えないと結論づけてよいと思うか」ということですね。これは簡単に結論づけることはできないと私は思います。
私自身は、辞書を基準に判断することが多いです。しかし、辞書には全てが網羅されているわけではありません。辞書からは最大公約数的な答えは得られると思いますが、文法学者による意見の相違も多々あります。ですので、辞書に書いてあるからといって、それらをすべて真理とすることはできないというのが私の考えです。
私のアプローチの仕方は、辞書と文法書をよく読み、この名詞が同格の that をとることができないのは何故なのかと、その理由をさぐるというやり方です。例えば case や situation は、同格の that を取りませんが、考察を進めていくと、これらの名詞には広義の「場所」という概念があるということがわかりました。そこから、このグループに属すると思われる名詞は、同格の that を取らないという考え方ができるであろうと考えるに至りました。
しかし、簡単に説明できない名詞もあります。私はこのところ experience がなぜ同格の that をとることができないのかと考え続けています。これについてきちっと解説されている文献がありません。しかしこれも理由があるはずなので、もう少し考察を深めていきたいと思っています。
ご質問への回答は以上になりますが、一つの意見としてご参考になればと思います。
興味深い内容ですので、別途、記事にしたいと思います。
初めまして。コメントをありがとうございます。
吉プーさんのブログ、すぐにわかりました。同格の that に関する記事をたくさん書いてらっしゃるのですね。じっくり読ませていただきます。とても勉強になります。
先日、experience が同格の that 節をとれないのは何故なのかを考察してみました。読者の方からもいくつかご意見をいただき、参考にさせていただいています。同格の that 節は、本当に難しいですが、これからも考えていきたいと思います。読んでくださってありがとうございました。
動詞のexperienceの用法への疑問を検索中に、このページに行き着きました。よろしければお考えをお聞かせ下さい。
数研出版BIG DIPPER CEⅢの30ページに、振り込め詐欺防止のために一風変わった新聞広告を発案した人達の意図について、
Instead, they wanted readers to experience for
themselves that anybody can be deceived. (指導書の和訳:その代わりに、だれでもだまされるということを読者に自分自身で経験してもらおうと思ったのだ)
動詞のexperienceが、目的語のthat節を従えている文ですが、辞書をみても、名詞を目的語にとる例文ばかりで、目的語としてthat節が続けられるかどうかを確認することはできませんでした。名詞のexperienceが同格の接続詞thatを後ろにとれないように、動詞のexperienceも接続詞thatを続けられないのでは、と思いますが、ladysatin さんはいかがお考えでしょうか。
それと、もう一つ。ブログのこのページに、同格のthatが取れるかどうかについて、「dream や scene なども同じように考えることができると思います。」とありますが、これは、dream や scene もその表す意味によって、同格のthatを後ろに続けられたり続けられなかったりする、という意味だと解釈していいのでしょうか。dreamは、いつでも同格のthatを続けられるものと思っておりましたので、質問させていただきました。sceneについても、どの意味の時にthatを続けられ、どの意味では続けられないとお考えなのか、教えていただけるとありがたいです。
以上、勝手なお願いばかりで申し訳ありません。
お時間があり、ご興味の惹かれたときにでもお答えいただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。
初めまして。コメントをありがとうございます。
ご質問の件、少しお時間をください。
確認していることがございます。
今週中にはお返事できると思います。
よろしくお願いいたします。
ご質問をいただいた中の dream と scene の件について、まずお答えいたします。
dream については大変失礼しました。私の間違いです。おっしゃる通り、dream は同格の that をとることができます。私には dream は case と同じ考え方をするという固定観念があり、辞書で確認することを怠っておりました。そのため that ではなく where が適切なのだと思っていました。dream は where もとれますが、同格の that を従えることは全く正しい用法でした。ご指摘に感謝いたします。
Collins COBUILD に以下の例文がありました。
★I had a dream that I was in an old study, surrounded by leather books.
また、ジーニアス英和大辞典の dream(名詞)の欄に、[of doing, that 節, where [in which] 節] とありましたので、これら3つが表現のバリエーションになるようです。
次に、scene についてですが、これについては断言できませんが、私見として同格の that 節はとれないと考えております。こちらもいくつか辞書を調べて、COUBUILD に以下の例文を見つけました。
★I found the scene in which Percy proposed to Olive tremendously poignant.
この例文だけで、同格の that はとれないと結論づけることはできないかもしれませんが、scene は広義の場所という考え方のもとに、上記では in which (= where) を採用しているのではないかと思います。
なお、今回のご指摘を受けて「dream や scene なども」の箇所を「scene についても」と変更いたしました。scene について同格の that をとれる例をご存知でしたらご教示いただけると幸いです。その場合はさらに訂正させていただきます。
次に、experience を動詞で使った場合に、目的語の that 節をとれるか否かについてですが、意味によってはとれるようです。これについての詳しい結果を、数日後にお知らせいたします。もうしばらくお待ちください。
同格のthatが取れそうで取れない名詞については、一言で言い表せるルールというものを思いつけません。「広義の場所という考え方」ができる名詞はthatでなくwhereを用いる、という ladysatinさんの説明以上の基準が浮かびません。
日本語訳だけで考えると自動詞に見えて、実は他動詞、とか、逆に、他動詞に見えて実は自動詞といった動詞群がありますが、あれらを理屈で説明しようとしても無理があるので、そういうものとして覚えていくしかないんだな、と高校時代観念した記憶がありますが、同格のthatもそれに近いものがあるのではと思っています。
動詞のexperienceにthat節が続くか、ということについては、一応検定を受けた教科書の中の文でもあるし、どの程度の使用頻度がある表現かはともかくとして、完全に誤った表現ではない気もします。また、どこか他の文章中で、その使用例を見つけることがあるかもしれません。が、その一方で、動詞の形でthatが取れるのであれば、名詞として用いた場合、なぜ急にthatが取れなくなるのか、私にはなんとも説明が思いつきません。
ladysatinさんのご回答を楽しみにしております。
ありがとうございます。
動詞の experience が that 節を目的語としてとれるか否かについてですが、いくつかの辞書を調べたところ、ジーニアス英和大辞典で experience の他動詞用法のところに、以下の記載がありました。
★[…だということを] 経験により知る [ that 節]
例文は載っていませんでしたが、これをお示しの英文に当てはめて考えると、意味として成立するようです。
Instead, they wanted readers to experience for themselves that anybody can be deceived.
つまりこの文は、「その代わりに、誰でもだまされうるということを、読者に自分自身が経験することによって知ってほしいと思ったのだ」と解釈できると思います。指導書の和訳とも合うかと思います。
ただ、その他の英英辞書などではこの用法についての記載を見つけることができませんでした。そこで、もう少し裏付けをとるために WordReference.com というサイトで質問することにしました。
WordReference.com は、日本だと yahoo の知恵袋のようなものですが、このサイトについて、ある翻訳者の方から質が良いので使ってみてはと勧められていたいたので、いつか私も利用しようと思っていました。 nishi さんのご質問にも回答が得られるのではと思い、スレッドを立てました。その結果、有益な情報を得ることができました。
こちらを読んでいただければと思います。
https://forum.wordreference.com/threads/experience-that-clause.3314766/
(コメント欄に文字数の制限がありますので、以下分割して記載します。)
(1) I want you to experience that anyone can be deceived in their long life.
(2) I experienced that I saw something like a ghost yesterday.
3人の方から回答が付きました。nishi さん以外の方も興味があると思いますので、それぞれの方の主張の要点を以下記載します。
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Retired-teacher さん
(1)は正しく、(2)は誤り。ただし(1)は "I want you to experience the fact that anyone can be deceived during their life" の方がより自然である。(2)は "I experienced what I thought was something like a ghost yesterday." とするとよい。ただ、(1)については構造は良いが illogical である。というのは、他人が騙されるのを経験できる人はいないから。
これを受けて私が "I want you to experience for yourself that you can be deceived during your life."という文ではどうかと尋ねると、これならlogical だがやはり奇妙だと返事されました。
Retired-teacher さんは、experience + that-clause にしたいのであれば、"I want you to experience that life can be fun." のような文であれば、より意味を成すとのことでした。
kentix さん
(1)が何かの教訓として書かれているのなら意味を成す。ただし、Retired-teacher のコメント#2 にあるように、"I want you to experience the fact that anyone can be deceived during their life" に改良する必要がある。
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SevenDays さん
that 節には名詞節と形容詞節がある。(1)は名詞節を従えており問題ない。(2)が問題なのは、that が saw を補完しているように見えることだ。(関係代名詞の目的格のように見えるということかな?)
SevenDaysさんは文法的観点から詳しく説明してくれました。
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以上が3名の要旨です。私が最初に書いた例文 ”I want you to experience that anyone can be deceived in their long life.” の論理性に途中で話がそれたので、軌道修正しました。最後に Retired-teacher さんが書いてくださった "I want you to experience that life can be fun." であれば、ロジックも問題ないと思います。結論として、この3名とのやりとりから experience + that-clause は可能であると読みとれると思います。リンク先をじっくり読んでみてくださいね。
ジーニアス英和大辞典の dream(名詞)の欄に、[of doing, that 節, where [in which] 節] とありましたので、先に書いた COBUILD の例文 をパラフレーズし、違いを聞いてみました。
(1) I had a dream that I was in an old study, surrounded by leather books.
(2) I had a dream where I was in an old study, surrounded by leather books.
(3) I had a dream of being in an old study, surrounded by leather books.
リンク先はこちらです。
https://forum.wordreference.com/threads/usage-of-dream-as-a-noun.3315181/
2名の方から、(3)は文法的には正しいが自然ではないという共通意見が出ました。最も一般的なのは(1)で、その次が(2)のようです。
以上、長くなりましたがご参考にしていただければ幸いです。
追記)
それと言うまでもなく、数人のネィティブの意見を鵜呑みにする必要はないと思います。こういうサイトを上手に活用し、最終的には自分で判断するようにしたらよいのではないかと思います。
お忙しい中、お手間を取らせました。
ある単語が、ある構造や表現形式をとることができそうだ、ということが英和辞書の記述からわかっても、その構造を用いて私たちが作成した英文が、nativeの目から見て不自然だとか、自分だったら別の言い方をする、とALTの先生から言われ、理屈だけで考えてもnativeの語感の前には太刀打ちできないな、と感じることが結構あります。
「経験する」にthatが続けられるとの記述があれば、まず思いつくのが、「私は一週間前に~ということを経験した」といった日本語の英訳に、この表現を使えそうだぞ、ということですが、ご回答を読む限り、「経験した出来事」をそのままthatに続けることは無理なように思いました。ジーニアス英和大辞典の、★[…だということを] 経験により知る [ that 節]、という表記から想像すると、thatに続けられるのは、「経験を通して知った事柄」に限定されるのではないか、ということです。あくまでも想像ですが。
that節をとれるか取れないかという単純な問題だとありがたいのですが、英語の奥は、やはり深いですね。そこがまた、英語の面白さでもあると思います。詳しいご回答に感謝いたします。ありがとうございました。
>「経験した出来事」をそのままthatに続けることは無理なように思いました。
そうですね。私が作った(2)の文はまさにそれです。
(2) I experienced that I saw something like a ghost yesterday.
この文は不可だろうと思いながら書いたのです。I saw something like a ghost yesterday. と言えば事足りるのに、わざわざ I experienced をさらに足す理由が見当たりませんよね。
今回、nishi さんから貴重な問題提起をしていただき、私自身とても勉強になりました。また新たな知識も増えました。ブログの醍醐味はこんなところにあります。だからやめられません。(^_^)
この度はありがとうございました。
特許ですから発明の説明が主たる内容ですが、発明はある問題を解決するために行われます。
そこで、~のような問題、~という問題という表現が日本語原稿にしばしば出てきます。これを英語で表現すると、
a problem that ...
のような表現が浮かぶのですが、一説では problem は同格のthatをとらないといわれました。たしかにGoogleなどで見ると、主格、もしくは目的格の関係代名詞のthatはよくでてくるのですが、同格のthatは少ないように思います。日本の方の英語には、ほとんど際限なく出てきます。頻出です。
本当は、どちらが正しいのでしょうか? あるいは時とともに例外が普通の使い方になっているとか…。
ヒントをいただけると、とても助かります。
コメントをありがとうございます。
ご質問の件ですが、おそらく「problem + 同格の that 節」は、間違いではないと思います。
ジーニアス英和大辞典には以下の記載があります。
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problem - (解決すべき困難な)問題、疑問、難問; 〔…という〕問題 〔that 節〕
例文)
Besides, there’s the problem that he’s a foreign student.
そのうえ、彼が外国人学生であるという問題がある。
----------------------------------
上記のように、ジーニアスは「problem + 同格の that 節」は正という立場をとっています。ただ、辞書に載っているからといって、実際に使われているかどうかは別途、検討する必要があると思います。
私自身は problem を同格節と一緒に使うことに抵抗があります。その理由は、problem は日本語では「問題」と訳されますが、砕いて言えば「困難な状況」を指すと考えられるからです。このことは、英英辞典をみるとわかります。以下は Longman と COBUILD にある problem の定義です。
----------------------------------
Longman
a situation that causes difficulties
Collins COBUILD
A problem is a situation that is unsatisfactory and causes difficulties for people.
----------------------------------
このように、a problem = a situation ということです。そこで、situation について考えると、situation は「広義の場所」であるため、同格の that 節をとれません。このことから problem も同様に考えることができると思います。
では「~という問題」をどう表現するのかですが、関係副詞の where が使えると思います。
ジーニアスの例文は以下のように書けるでしょう。
Besides, there’s the problem where he’s a foreign student.
実際、problem + where は、Google で検索するとかなりの数値が出ます。
例えば “a problem where” では4,390,000件にのぼります。
一方、problem + that は関係代名詞の主格か目的格として使われているのが目立ちます。また、problem が極めて頻出度の高い単語であることを鑑みると、もし同格節がとれるのであれば、ロイヤル英文法の一覧に載っていなければならないと思いますが、ありませんでした。
まとめると、「ジーニアスは、problem が同格の that 節を従えることを認めているが、実際の用例はさほど多くない(全くないというわけではない)。むしろ関係副詞の where がよく使われる。」ということが言えるのではないかと思います。あとは、個人の判断になるでしょう。
なお、蛇足ですが、形式主語構文で It is a problem that… は使えるようです。以下は例文です。
The New York Times Thinks It is A Problem That Retirees Spend Down Their Savings
出典はこちらです。
http://cepr.net/blogs/beat-the-press/the-new-york-times-thinks-it-is-a-problem-that-retirees-spend-down-their-savings-yet-more-nonsense-on-social-security
以上になります。
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