2013年 12月 22日
Money can' t buy という表現
私も色々あるのですが、その中の一つに 「Money can't buy お金で買えない」という表現があります。
この表現を知ったのは、相当昔の話なんですが、The Firm というロックバンドがいまして、このバンドのLPを買ったときです(CDじゃないの >_< )。その中に入っていた曲のタイトルでした。The Firm は Jimmy Page と Paul Rodgers が作ったスーパーバンドでしたが、1枚を残してあっさり解散しちゃいました。
不思議なタイトルだな~と思って何年かたちまして、その後にまた出くわしました。
私の大好きな KISS の Uh, All Night という曲の中にもこのフレーズが出てきたんです。
...just one thing that money can't buy という箇所があるのです。
そしたら、またまた最近、Michael J. Sandel 先生の What Money Can't Buy という本を知り、Money can' t buy ってやっぱり使うんだなと思った次第です。この本の日本語版のタイトルは「それをお金で買いますか」となっていますが、このタイトルは「お金で買えないもの」が本来の意味ですね。
そこで、この表現が不思議だな~と思うのは Money が主語になっているからなのです。
たとえば「お金で愛は買えない。」という文を作りなさいと言われたら、日本人的発想では普通はこうなる。
●We can't buy love with money.
これって正しい英語ですよね。
しかし、Money を主語にした書き方にするとこうなる。
●Money can't buy love.
これを日本語に直訳すると「お金は愛を買うことができない。」となり、あたかもお金が、のこのこスーパーまで歩いていって、チョコレートとか野菜を買うようなそういう印象をもってしまいます。
しかし、実際に英語では Money を主語にした無生物主語構文が好まれるようです。
なんでかな~と思うのですが、上の二つの文の違いで言えば、ワード数が違うことはひとつ注目に値すると思います。
★We can't buy love with money.
日本語を正しく転換していてごもっとも。ただ、6ワード必要です。
★Money can't buy love.
日本語からの転換から言えばロジカルではない。しかし、上と同じ意味を表すために、4ワードですみます。
Money だけに限らず無生物主語の構文はいろいろな場面で出てきますが、人が主語ばかりの文章にエッセンス的に入れると、ぐっと引き締まった印象になります。シンプルでタイトな感じがします。
ただし、無生物主語の構文といっても、Money can't buy について言えば、無理やり無生物主語にしたのではなく、普通の表現として定着しているようです。
少し前にマスターカードのコマーシャルでも使われました。
「お金で買えない価値がある。買えるものはマスターカードで。」
この英文はどうなっているかなと思って以前調べたことがあります。
そしたら以下の文がマスターカードのホームページに載っていました。
●There are some things money can't buy, for everything else there’s MasterCard.
やっぱり...
英語の発想と日本語の発想の違いを垣間見た感じがします。
(*'ー'*)