2013年 12月 08日
Hide Your Heart – KISS 訳詞考察
前回の詞のグリーンでハイライトしているところを解説しますね。
全訳はこちらにあります。
初めて読む方はここから読んでくださいね。(^^)
→ 訳詞の世界~Hide Your Heart – KISS
ではいきましょう。
★a street car named "Desire"
この映画を知っている人は年がばれるわね。( ̄ー ̄
「欲望という名の電車」まさしく読んで字のごとくです。
1951年の映画です。
私は。。。生まれてません。もちろん!
★His fate was sealed
この表現は、最初は文字通り読んで「彼の運命は決まった」としていました。
ちゃんと意味は通っていますよね。これはこれで正しいんです。辞書にもあります、
ジーニアス英和大辞典より
The arrival of the police sealed her fate.
「警官の到着で彼女の運命が決まった。」
しかし、この表現は、実は成句として存在していました。
同じくジーニアスより
seal one’s fate - <人・もの>に取り返しのつかないほどひどいことをする
なるほどね~。う~ん、やっぱりこっちが良さそう。
美しい彼女に一目ぼれしてしまったがゆえに、Johnny は自分の命を落としてしまったわけですから。
そう考えて私の訳はこうなりました。
「取り返しのつかないことが彼を待ちうけていた」
★It was no big deal
これはよく耳にする口語表現ですね。
big dealは「大したこと」という意味です。
It's no big deal. は「大したこっちゃない」って感じよね。
Rosa は Johnny を見て「あんたもあの嘘つきのやつらと同じでしょ。だからどうした。」って思ったんでしょうね。
英辞郎に big deal のいろいろな言い回しが載っています。
リンクを貼っとこう。
→ big deal
★She was his possession
この表現から Tito が Rosa をどんなふうに扱っていたのかわかりますね。
possessionは「所有物」、すなわち Rosa は Tito にとっては「品物」と同じなんですね。
★Better hide your heart, better hold on tight
hold on tight の訳は難しいです。
この場合の hold on はジーニアスにある「(難局や危険な状況で)頑張る、持ちこたえる」という意味があてられそうですね。ただ、これを歌詞にそのままあてはめるとちょっと待った~って感じがする。「頑張れ!」はなんともおかしいですよね。
そこで、危険をおかして三角関係に入ってしまった Johnny への言葉として、私は「しっかり地に足をつけろよ」という訳をつけました。「ばかなことやってるんじゃないよ。目を覚ませ。」という思いがこめられていると思いました。
ところで、Hide Your Heart という曲を聴いて、何となく BonJovi みたいと思った方もいらっしゃるかも。
それもそのはず。BonJovi の名曲の数々を作った Desmond Child さんが曲作りに参加しています。Bon Jovi がデビューした頃は KISS のオープニングアクトをやっていたんですが、Paul がJohn にDesmondに連絡したらって言って、Livin' on a prayer とか大ヒット曲が次々に出来上がったというのは結構有名なお話です。
さて、Livin' on a prayer が出たところで Hide Your Heart にも似た表現があります。
続きでグリーンでハイライトしているところを解説しますね。
★Say your prayers
「お祈りをする」という決まり文句です。
say a prayerとも言いますね。この表現を私が初めて知ったのは、Duran Duranの Save a Prayer という曲を聴いたときです。
こんなフレーズが入っていました。
Don't say a prayer for me now
僕のために今は祈らないで
Save it 'til the morning after
明日の朝までしまっておいて
いっときデュランのJohn Taylorに惚れていたので、これが入っている Rio っていうアルバムを買って聴きまくりました。
★you're playing with fire
文字通り「火で遊ぶ」から比ゆ的に使われますね。
英辞郎にこの表現がそのまま載ってました。
チェックお願いします。
→ You’re playing with fire
★She looked him in the eye
この表現は以前記事を書いていたのです~。
完璧にわかりますよ。
クリックどうぞ。→ Look Me In The Eye
★Rosa's messin' with someone
= Rosa is messing with someone
mess with は句動詞です。
ここでは「手を出す」という意味で使われていますが、「危険なことに関係する」という意味もあります。
Tito という彼氏がいながら Rosa は Johnny に手を出したという噂が立ったのですね。
私の訳は「いちゃついてる」としましたが、どうかな。
★with a vengeance
vengeance は「復讐、仕返し、報復、あだ討ち」という意味です。
なので、私は最初このフレーズは「復讐の思いをもって」と訳していました。
これでも良さそうです。
しかし、よく調べると with a vengeanceは「すさまじい勢いで、大いに」という意味の成句だったことがわかりました。そこで私は「狂ったように」という訳をつけました。やっぱり辞書は引いてみるものですね。
そこでひとつ疑問に思ったのです。
vengeance は不可算名詞なのに、なんで a がついているんだろう?
Longman も COBUILD も見たけど uncountable としかないです。
しかし with a vengeance が載っています。
抽象名詞に a が付く場合はいくつかありますが、この vengeance の a は今のところ謎です。
ところで vengeance という単語を初めて知ったのは、Carly Simon の曲、ズバリ Vengeance を聴いてからです。そんなに売れたわけではなかったのですが、すごくかっこいい曲でした。
ちなみに同じ「復讐」を指す revenge との違いは何でしょうか。
せっかくなので調べてみました。
リベンジはすでに日本語になっているかもしれませんね。
Longman にきいてみました。
revenge
- something you do in order to punish someone who has harmed or offended you
害を与えたり自分を怒らせた相手を罰するためにおこなうこと
- the defeat of someone who has previously defeated you in a sport
以前スポーツで負けた相手を打ち負かすこと
vengeance
- a violent or harmful action that someone does to punish someone for harming them or their family
誰かにまたはその家族に害を与えることを目的として、罰するためにおこなう暴力的および害を及ぼす行為
なるほど。同じ「復讐」でも、かなり内容は異なりますね。vengeance には殺意みたいなものが加わるようです。怖い単語です。o(*'o'*)o
★stand still
「じっと立っている、静止する」の意味でよく使われますね。
stand には「立つ」だけではなく be 動詞の代わりとして使うときもあります。
as it stands = as it is now 「現状では、今のところ」
★with nothing won
......and the blood was on her hands with nothing won
このwithは言うまでもなく付帯状況ですね。won は過去分詞です。
with nothing being won のこと。
直訳は「何も勝ち得ることはない状態で」
さてさて、長くなりました。
今日で Hide Your Heart のお話はおしまいです。
(3回シリーズを一つにまとめたのでとても長くなってしまった。)
ではまた。