2013年 11月 21日
will が能力を表すとき
私のブログでは、こういうの大切なんだけど、あまり文法書や参考書に載っていないなあと思うものを書きたいと思っています。
will と言えば意志未来と単純未来なんていう言葉を思い出す人も多いかと思います。
学校では主に、この二つを習いますよね。
I will do it.だったら「私はやるぞ~。」という強い意志を表しますし、It will rain tomorrow.だと「明日は雨だろう。」で単純未来という説明をします。
今日はそれ以外によく使われる「能力」を表す will に注目してみました。
以前、以下の英文についてこんな質問がありました。
The AROMA coffee maker will make coffee and cappuccino.
ご質問者いわく
「どうして未来形(will make)が使われているのですか。現在形(makes)は誤りなのでしょうか。」
なるほどっ。(゚○゚)!
素晴らしい着眼点ですね。
現在形で書いてみると
The AROMA coffee maker makes coffee and cappuccino.
「AROMA社のコーヒーメーカーは、コーヒーとカプチーノを作ります。」
この英文と日本文には、何らおかしなところはないですね。
なぜ will make にする必要があったのでしょうか。
ということで will を辞書で引いてみます。
★ジーニアス英和大辞典を見るとwillの下の方にあります。
[能力]<物が>・・・できる(can)
例文)The hotel will accommodate five hundred.
「このホテルには500人が宿泊できる。」
★ランダムハウス英和大辞典も下の方にあります。
(能力)・・・できる(be capable of, can)
The back seat will hold three passengers.
後ろの座席に3人乗れます。
The tree will live without water for three months.
この木は水なしでも3か月は枯れない。
英英辞典もついでに見てみます。
★Collins COBUILDを調べていたら同じような記載がありました。
例文)This will cure anything.
そのように考えると以下のような意味になるのでしょう。
The AROMA coffee maker will make coffee and cappuccino.
「AROMA社のコーヒーメーカーでコーヒーとカプチーノが作れますよ。」
これを「…コーヒーとカプチーノを作るでしょう。」と訳したら誤訳になります。
will の下の方に出てくる用法だから、そんなに重要ではないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この用法は頻出ですので、是非、注目していただきたいと思っています。
ついでながら、この will の用法では主語に「人」は普通はきません。
Collins COBUILDには"someone or something"とありますが、ジーニアスには「物が」と明記されています。
典型的な「無生物主語構文(物主構文)」を作る will の用法と考えてよいかと思います。
元に戻って、人を主語にして書くと以下のようになります。
We can make coffee and cappuccino with the AROMA coffee maker.
「無生物主語構文」は日本人がとても苦手とするものですが、論文やエッセーなどを書く際に、「物」を主語にした書き方に慣れると、タイトでしまった文章にすることができます。
洗練された英文を書くのはとても難しいことですが、私は英文を書く際に、常に「物」を主語にできないかなと考えます。「あ、これは物を主語にできるね。」という発見をすることもまた楽しいものです。
では。