Fields of Gold – Sting 訳詞考察(1回目)

今日は 詞の中身をじっくりみていきます。
今まで知られていなかった Fields of Gold の中身にぐっと迫りますよ。(^^)

初めて読む方はこちらから読んでくださいね
⇒ 訳詞の世界~Fields of Gold – Sting(和訳)

ところで今回、Fields of Gold を訳しながら思ったことは、英文を読むにはやはり背景知識が必要だということです。西洋の文化や地理についてのリサーチが今回は特に多かったです。

まず
Fields of gold (黄金の草原)= Fields of barley (大麦の畑)
ということになりますが、そもそも「何ゆえに大麦畑なの?」というところから。。。

実は Sting のお家の近くに大麦畑があり、そこからインスパイアされて書いた曲だということを、今回調べて知りました。それで、大麦ってイギリスではどうなんかな~と思ってWikiを調べてみました。

そしたら、2009年の生産高はイギリスは世界8位の680万トンで、9位のアメリカの490万トンを大きく上回る生産量ということを知りました。国土面積から見て、いかに大麦栽培がイギリスでは盛んかということがわかります。ちなみに日本はたったの19万トンです。

蛇足ながらイギリスと日本の国土面積は、イギリス 244.820k㎡に対し日本 377.914k㎡ということです。(私は同じくらいの大きさかと思ってました。。。σ(゚・゚*)ンート・・・)

つまり、イギリスは日本の国土の3分の2しかないのに、大麦の生産は36倍!

ということは、イギリス人には大麦畑ってかなり馴染みがあるということなんでしょうね。
ちょっと歩けば大麦畑?みたいな。だからきっとこの曲は、イギリスの人々にとっては、私たち日本人が感じるよりも、より日常の風景としてすうっと心に入りやすいということが言えるのでは?

では最初の部分からみていきましょう。

*************************************
You'll remember me when the west wind moves
Upon the fields of barley
You'll forget the sun in his jealous sky
As we walk in fields of gold

大麦畑を西の風がそよぐとき
君は僕を思い出すだろう
二人で黄金色に輝く世界にいる間は
僕らに嫉妬する空とそれを支配する太陽のことなど
君は忘れてしまうだろう
*************************************

★You'll remember me when the west wind moves upon the fields of barley

この文でまず注目したいのは、wind moves のところです。
普通は「風が吹く」というときは wind blows ですよね。
しかし、あえて wind moves を使い、「風が動く・移動する」という言い方になっています。
west wind は文字通り西風のことですが、秋風としてもよさそうですね。
私は気取って「西の風」な~んて表現してみました。

そしてその後ろに upon the fields of barley が続くのですが、ここで使われている upon にも注目しましょう。普通、upon は on と同義で文語体で多く使われると考えられています。しかし、違う意味もあります。

ランダムハウスで upon を引いてみると、1番目に次の意味がありました。

Upon
(動作の方向)・・・の上に(up and on)
He climbed upon his horse and rode off. 馬に乗って去った。


when the west wind moves upon the fields of barley
「大麦畑を西の風がそよぐとき」
ここで、on でも above でもなく upon がなぜ使われているのかという理由が、ランダムハウスの記載からわかりますよね。

この upon を説明したくて、Sting の言葉を引用したのです。
そ、前回説明しましたよね。風は男性で、大麦は女性。。。
ここの説明はこれでOKですね。" "(/*^^*)/ハズカシ

★You'll forget the sun in his jealous sky as we walk in fields of gold

さあ、ここの in his jealous sky の his は何なの?っていうところです。この his とても唐突に出てきましたね。

調べてみたところ、his は太陽のことのようです。

ギリシャ神話やエジプト神話では、太陽は、先史時代における神、すなわち太陽神として空を支配していたそうです。そして太陽神は男性の神です。だから、ここで男性をあらわす代名詞、he の所有格の his が使われているのだと思います。

普通だったら the sun in the jealous sky になり、素直に「嫉妬深い空の太陽」と短く訳出できます。
しかし、Sting はあえて the ではなく his にしたのです。
だから、ここはどうしても訳で表現したいところ。

ただ、難しい。とってもとっても難しい。(TwT。)
the sun in his jealous sky を直訳すると、「太陽が所有する嫉妬した空にある太陽」となり、ああ、まどろっこしいってことになるんですね。

ここはうまくおさめるために「僕らに嫉妬する空とそれを支配する太陽のことなど君は忘れてしまうだろう」と訳してみました。太陽が空を支配しているのであれば、太陽と空は一体化しているという解釈でいいだろうと思いました。これ以上、短くするのは無理みたいです。(;^_^A

★本日の締めは、Fields of Gold を語る上でどうしても外せないと私が思う
「定冠詞つきの the fields と 定冠詞なしの fields」についてです。

上の最初の文は the fields of barley とあり、下の文は fields of gold とあります。

なぜなのか?

それは、定冠詞付きと定冠詞なしでは、同じ fields でも内容が全く違うものを指しているからです。

field はそもそも可算名詞です。これを、田畑を表すために集合的に用いて the fields のように the を付けてよく使います。→ ランダムハウスの例 go out into the fields 畑へ出る

ここで、定冠詞が使われる根本的な状況を押さえておきましょう。。
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「英語の名詞部は、同定可能であると判断されるとき、the がつけられる。「同定可能」は、すでに述べられたものを前方照応的に指す場合だけでなく、文化的脈絡において聞き手/書き手は、a/anを用いるときは名詞部の情報が完結を表すことを一方的に述べるのに対し、the を用いるときは聞き手/読み手との共同作業を前提とするのである。」 ―「現代英語冠詞辞典(大修館書店)」より抜粋
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難しく書かれているけどこんな感じです。つまり。。。
Sting は the fields を「僕たちが過ごしたあの大麦畑」と明確に言っているのです。これから先も何回も the fields が出てきますが、終始一貫して「同じ大麦畑」を指しています。そして、私たち聴き手は「はいわかってます。あなた方が一緒に過ごした畑のことなんですよね。」って同定しています。これを共同作業と上の文献では言っているのです。

さらにこの the fields における the は、ここからここまでという「空間的な限定」を示唆します。

それに対し、無冠詞の fields は、聴き手が知るよしもない fields なんです。

fields を辞書で引いてみると、「界・場」という意味があります。おそらく、Sting がここで定冠詞なしで言っている fields とは「二人の世界」のことではないかと思います。そこで何をしていたのか、何をしているのか私達はわかりませんが、gold ですから素晴らしい世界だと彼は言っています。定冠詞がないのは、書き手からの一方的な情報だからです。

さらに、あとに出てくるのですが、「中で」という意味を表す前置詞も明確に区別して使われています。
among in のことです。

① among the fields of gold
② in fields of gold

① のamong は物理的位置を指すとき「(ある集合体に囲まれて)中に」という状況において使います。この場合の集合体とは、大麦のことです。大麦が生い茂っていてその中にいるから、the fields に対し among が適切に使われています。

② の in は「ある空間の中」を意味し、そこに何かの集合体があることを示唆しません。大麦畑であれば、among を使うでしょうが、使われていない。だからこの点から見ても定冠詞なしの fields は別の場所になると考えられるのです。

そんなわけで、私の訳はこうなりました。
As we walk in fields of gold = 二人で黄金色に輝く世界にいる間は

最初のところで長くなりましたが、ここが一番大切なところだったので力説してしまいました。
今回に限りませんが。~(=^‥^A

これ以降はスムーズにいくはずです。

しかし、冠詞の使い方は本当に難しいですね。
皆様、次回も来てくださいね。

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Sungha Jung 君の Fields of Gold です。

Fields of Gold の考察の続きはあと2回あります。
以下をクリックして読んでくださいね。
→ Fields of Gold – Sting 訳詞考察(2回目)
→ Fields of Gold – Sting 訳詞考察(3回目)

全訳はこちらです。
⇒ 訳詞の世界~Fields of Gold – Sting(和訳)
Commented by Yas at 2015-02-23 21:37 x
西風が嫉妬する大空の太陽すらも…と感じてました
Commented by Yas at 2015-02-23 21:50 x
こんにちは

〉さあ、ここの in his jealous sky の his
〉は何なの?っていうところです。この
〉his とても唐突に出てきましたね。
hisは太陽とのことですが、west windじゃないかと私は率直に感じましたが…ご指摘の通りblowsをmovesと人称化してる(とおもわれる)こともあり。
Commented by ladysatin at 2015-02-23 22:47
Yas さん
以前、Shape of My Heart にコメントいただいてありがとうございました。
Fields of Gold の記事は随分前に書いたので、もう一度最初から見直しますね、
また、後日コメントバックします~。(汗)
Commented by Yas at 2015-02-24 19:44 x
Ladysatinさん
昔、米国に単身赴任した時見てたTVドラマのニキータからLuk Bessonの作品に興味を持ちLEONのShape of my heratからstingのファンです。あまり英文学には疎い私にとって勉強になるありがたいサイトです。昔の話を今更蒸し返してのコメントすいません。
昨日のコメントは、詩の流れからでしか見てません。
Commented by Yas at 2015-02-24 20:07 x
すいません。私の理解不足のようです。2章目のin his の前にはwest windがありませんね。
Commented by ladysatin at 2015-02-25 21:57
Yas さん
とんでもないです。古い記事へのコメントも大歓迎です。
Sting の曲はやはり何と言っても Shape of My Heart のアクセスが多いのですが、Fields of Gold も毎日たくさんの方が来てくださるんですよ。

in his jealous sky の his は難しいですよね。
私と異なる解釈の方がいても不思議ではないと思っています。
私は his を太陽と思ったのですが、west wind は男性なので his にかかっていると考える余地はあるかもしれません。

以前、Shape of My Heart に Yas さんから質問をいただいて答えましたが、そのあと新たな意見を別の方からいただいて、そうだったんだと感激したんですよ。考えが深まるのってとっても楽しいですね。(^^)
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by ladysatin | 2013-11-08 21:24 | Music & English_2 | Comments(6)