More Than Words – Extreme 訳詞考察(2回目)

2回目の考察です。
今日はとっても 誤訳しやすい箇所 について解説しますね。

初めて読む方はここからスタート。
私の全訳を載せておりますので、クリックしていただき読んでいただければ幸いです。
→ 訳詞の世界~More Than Words - Extreme(和訳)

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More than words is all you have to do to make it real
Then you wouldn't have to say that you love me
'Cause I'd already know

君の愛が本物だと証明するには言葉以上のもの以外にないんだ
それがあれば、僕を愛してるなんて言う必要もなくなるだろうね
だって言わなくても僕にはわかるだろうから
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★More than words is all you have to do to make it real.
この英文はちょっとおもしろいです。

この形はひっくり返してもおなじ意味です。
やってみましょう。

→ All you have to do to make it real is more than words. となりますね。

この意味は、「あなたがしなくてはならないことのすべてはmore than wordsです。」
になりますから more than words はあたかも「動詞」のように使われています。
つまり do = more than words という関係になっているのです。
これはおかしな文だという意見が私の回りの何人かのネィティブからもありました。

おそらく正しく書くとするとこうなるでしょう。
All you have to do to make it real is do something more than words.

ね、これで意味をとっていこう。
といっても、これでもこの箇所をスムーズに訳すのは難しいです。

make it real は、it を real にするということ。
it = love のことでしょう。
すなわち「愛を現実のものとする」という解釈でよいと思います。

「そのために君がやらなくてはならないことのすべて」
それが「More than words 言葉以上のことをする」ということです。

これを日本語としてスムーズにするため、私の訳はこのようにしました。
君の愛が本物だと証明するには言葉以上のもの以外にないんだ

もう少し上手な訳にしたいところですが、今回はこれでいっときます。

★Then you wouldn't have to say that you love me
この wouldn’t は、「仮定条件を言外に含んだ帰結節(ランダムハウスより)」と考えることができるでしょう。
「そしたら、僕を愛していると言う必要もなくなるでしょう。」という意味です。

★'Cause I'd already know
この箇所がとっても大切。
誤訳しやすい箇所とは、このフレーズのことです。

‘Cause は Because のことでいいですね。
つまり、Because I’d already know となります。

これをどう訳す?
「だって僕にはすでにわかっているのだから」
という訳をされる方がとても多いのですが、これだと誤訳になります。

なぜなら、この僕はわかってなどいませんから

「えっ?」っと思います?

「僕にはすでにわかっているのだから」という訳が成立するのは、現在形のときです。
つまり、Because I already know であれば、この訳は正しい。

しかし、原文を見てください。
Because I'd already know

ほら、 I の後ろに申し訳なさそうに 'd があります。
'd が、「誰か俺を見つけてくれよ~」と言っていますよ。


そう、ここは
Because I would already know
のことですから、これも仮定法です。
これも同じく「仮定条件を言外に含んだ帰結」です。

まだ、僕はわかっていない。しかし
「愛していると言う必要もなくなるでしょう。そのときは、僕にはすでにわかるだろうからね。」
ということです。実現したときの話を彼はしています。

More than words をもう一度、CDでもいいしコンサートの動画でもいいし聴いてみると、Gary と Nuno がはっきりと 'd を発音しているのがきこえます。

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What would you do if my heart was torn in two
More than words to show you feel
That your love for me is real

僕の心が真っ二つに割れてしまったら君はどうするのかい?
君に教えてあげたい言葉以上のものっていうのは
僕に対する君の愛が本物って感じられるものだよ
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★What would you do if my heart was torn in two
ここにも仮定法過去が出てきましたね。

本当に高校英語って大切だなって思います。
前回も出てきましたが、仮定法過去がこの曲にはたくさん出てきますね。
ここは難しくないので、さらりと流しましょう。

次です。

★More than words to show you feel that your love for me is real

ここは死ぬほど難しくて悩みました。
とても不思議な文です。

なぜなら、人ではなくて「物」が主語になり、feel that 節が続くことなど普通はありえません。
困ってしまいます。こんな文が出てくると。。。( p_q)

なので、feel はひょっとして名詞で「感じ」という意味かもと考えてみました。
that 以下と同格になっていると考えるとこんな訳になります。
「僕に対する君の愛が本物だという感じを君に教えるための言葉以上のもの」

意味としても変ですが feel が名詞のときは、the feel か a feel のように冠詞が必要です。
となると、feel はやはり動詞なのです。

しかし、その場合、More than words が that 以下のことを 「feel 感じる」という訳など成立しません。

いろいろ調べてみて、私は、この場合の feel は自動詞だと解釈しました。
物を主語にした場合、こういう英文ならおなじみです。

This sweater feels soft.
このセーターは手触りがやわらかだ。(やわらかな感じがする)

It feels good to get a message from someone.
誰かからメッセージをもらうのは気分がいいものだ。(気分がいい感じがする)

では feel that においてはどうする?

まずは構文解析からです。
More than words to show you 主語(S)
feel 動詞(V)
that your love for me is real ここは私の解釈は主格補語(C)です。

<主格補語の例>
The problem is that he did not come.
問題は、彼が来なかったことだ。

今回の意味としては下記のようになるのではと思いました。

More than words to show you(S) --- 君に教えてあげたい言葉以上のこととは
feel (V) --- 感じがする
that your love for me is real (C) --- 僕に対する君の愛が本物だということ


このように考えるとS=Cが成立するではありませんか。
私の訳はこうなりました。
君に教えてあげたい言葉以上のものっていうのは、僕に対する君の愛が本物って感じられるものだよ。

あまりにも深すぎてめまいがします。[◎凸◎;]

実は次の箇所も深いの。。。

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追記)2015年2月9日

以下にコメントを下さった方から質問がありましたので、ここにお返事の代わりに追記します。
重要な点なので、皆様と共有しますね。

>All you have to do to make it real is do something more than words.
is と do は並んで居ても良いのでしょうか?

この場合は is と do は並んでも OK です。
実はこの文は to 不定詞の to が省略されているんです。

本来の文は以下です。
All you have to do to make it real is (to) do something more than words.

この文の to 不定詞は名詞的用法です。文の構造は SVC になっていて、C の補語にあたる部分が to 不定詞なのですが、この構造では to を省略することが多いんです。特に、All, The only thing, The last thing のように限定的な意味の強い語が主語にくるケースが多いです。

これをふまえた上で、動名詞を使って is doing something の形にできるかどうかですね。
All you have to do to make it real is doing something more than words.

この文は一見、良さそうにみえます。不定詞と動名詞は動詞によっては互換可能な場合がありますよね。しかし、ここでは動名詞は使えないです。というのはこれから先のことを言っているからです。

to 不定詞は未来志向だとよく言われます。

もっと簡単な例をあげますね。
Sheryl Crow の大ヒット曲 All I wanna do のフレーズに出てきます。

All I wanna do is have some fun. 「私はただ楽しみたいだけなの。」
この文も All I want to do is (to) have some fun. から to が省略されています。

All I want to do - 私がしたいことのすべて
is - は...です。
(to) have some fun. - 楽しむこと

「楽しむ」という行為はこれから先のことであって、未来の話です。今はまだ楽しんでいません。
今回のケースもこれと全く同じです。ゆえに is doing something を使うととても不自然になります。

動名詞は一般的な内容を述べるのであれば問題ありません。
たとえば My hobby is collecting stamps. はこれから先の話ではなくて、ただの事実です。
この場合は、不定詞より動名詞が望ましいですね。

ogawa さんの今回の疑問点は、不定詞と動名詞の違い、および SVC の C の位置に不定詞がきたときの、to の省略のケースという2つのポイントがありました。ご理解の一助となりましたら幸いです。
Commented by ogawa at 2015-02-08 07:45 x
こんにちは!
いつも興味深く読ませて頂いている英語超初心者です。
一つ質問させて頂きたいのですが、
All you have to do to make it real is do something more than words.
is と do は並んで居ても良いのでしょうか?
稚拙な考えで is doing something が頭をよぎったのですが
的外れな質問でしたら申し訳ありませんがご教授くださいませ。
Commented by ladysatin at 2015-02-09 11:47
ogawa さん
こんにちは。お久しぶりです。
英語の勉強、頑張ってらっしゃるんですね。
良い質問なので上に追記しました。
参考にしてください。
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by ladysatin | 2013-11-04 18:55 | Music & English_1 | Comments(2)