近況

◆毎日フル回転

今年もよく働いています。このところ1か月に及ぶ日英の新規プロジェクトにかかりっきりでした。その納品が先日終わり、束の間の休日を少しばかり楽しんでいます。

以前も書きましたが、現在、フリーランスの翻訳者として3社と取引をしています。1社は、私の元の勤務先だった制作会社で、2社は翻訳会社です。フリーになってからは、取り扱う内容が多岐にわたるようになりました。主に海外展開している企業のお客様の取説や技術資料、企業哲学、CSRや行動規範、ホームページの記載文など、様々な仕事をお引き受けしています。

◆長期の仕事

このところの傾向として、ロボット関連の仕事が増えています。今、製造業のみならず食品業界などでもロボットの活用が急激に進んでいて、高精度のロボットが次々に開発されています。それに伴って、翻訳の需要も右肩上がりのようです。また医療機器関連も多いです。医療技術のめざましい進歩は翻訳の仕事をしていても感じます。先だっての1か月のプロジェクトは、X線関連の装置とソフトウエアが対象でした。

これまで2週間とか3週間の仕事はあったのですが、1か月に及ぶものは初めてでした。今回の仕事は今までやったことのない分野だったので、前準備が大変でした。当然ですが私は医療に関する知識はほぼないので、いきなり翻訳に入るなどという大胆なことはできません。

特殊な装置に関する文献は、専門職の方々が読むものなので、専門用語や機器のしくみなどのリサーチをしっかりしてから取り組みます。一体何をする装置なのか、それを使うメリットは何なのか、前機種との違いは何なのか、など出来る限りの調査をおこなった上で、翻訳を開始するようにしています。もちろんこの時点でもその装置に精通しているわけではありませんが、これだけ理解出来たら翻訳に取りかかって問題ないと思える瞬間があります。そのときが翻訳開始どきです(私の経験値)。

自分が取り扱ったことのない分野は、最初の頃は日本語の解釈を間違うことが多々あります。今回もどう解釈すればよいのか迷う箇所がいくつかありました。しかし、そこで悩みすぎると先に進めなくなってしまうので、一旦、仮翻訳を入れておきます。長年この仕事をやっていると、翻訳を進めていくうちに、大体の問題が解決していきます。問題がクリアになった時点で、あの解釈は正しかったとわかればそのままにしておきます。間違えていたら修正して対応します。

今回のように、自分が関わったことのない内容について翻訳するのは難易度が上がりますが、やりがいは大きいです。翻訳という仕事をしていなかったなら、知りえなかったことがたくさんあります。それに遭遇することへの不安は少しあるものの、わくわく感の方が大きいです。そして、その仕事が終わったときの達成感は何にも変えられません。これが翻訳の醍醐味かもしれません。

◆チェックの仕事いろいろ

日英翻訳のほかには、他の翻訳者の納品物をチェックする仕事もしています。誤訳、訳抜け、スペルミス、文法ミス、語法ミスなどのチェックです。私がチェックする場合、なぜこの表現では間違いなのかを詳しく指摘するので、報酬に対しての所要時間がかかりすぎになりがちです。翻訳コーディネーターからは「ここまで詳しく書いてくれる人は今までいませんでした」と驚かれるのですが、具体的に書いてあげないと、その翻訳者はまた同じ間違いをしてしまうことになります。フィードバックをもらった翻訳者はプライドが傷つくかもしれませんが、間違った翻訳で被害を受けるのはお客様なので、あえて率直に書かせてもらっています。

その一方で、修正すべき点が数か所しかなく、実に優秀な翻訳者に遭遇することがあります。そういう人の英語に接すると私自身が勉強になります。自分には思いつかないような表現がされているときなどは、目から鱗が落ちることもあります。そんなときは翻訳コーディネーターにも「この方は優秀です」とお伝えするようにしています。優秀な人にはもっと仕事を回すべきだと思います。

逆に、「この人は本当にプロの翻訳者なのだろうか」と思える人もいます。英語力が足らないというケースもありますが、全く見直しをしておらず、下翻訳の段階で納品しているのだろうと思えるものが納品されている場合もあります。誤訳や訳抜けが多いのが特徴です。プロとしての資質に疑問を感じます。

チェックの対象は日本人翻訳者だけでなく、ネィティブも対象です。日英翻訳では、日本語が読めるネィティブが翻訳する場合もあります。自然な英語という点では、やはりネィティブにはかなわない部分があります。そのネィティブの何をチェックするのかというと、主に誤訳です。ネィティブの翻訳者の場合は、日本語の解釈が間違っていることが多いのです。先日の例ですが、「賛同を取り付ける」に attaching agreement という訳をあてていました。おそらく意味がわからず直訳してしまったのでしょう。日本人ならこのような意味の取り違いはしませんが、ネィティブならよくおこるミスです。この場合の「取り付ける」は「得る obtain」の意味だよって指摘してあげました。

あともう一つ新たに加わった仕事があります。翻訳トライアルに応募してきた方のチェックと評価です。私一人で合格・不合格を決めるわけではないのですが、人の人生に関わることなので、あまり乗り気ではありませんでした。翻訳コーディネーターから「いつものように厳しく指摘してくれたらいいです。あとはこちらで判断します。」という言葉をいただいて、引き受けることにしました。

トライアルを受ける人の中には、TOEIC のスコアが900超えている人が結構いますが、プロの翻訳者として使えるレベルの人はなかなかいないのが実情です。英文は何とか読めても、英文を書くという練習が圧倒的に足りていないように思います。このあたりまた別の機会に書ければと思います。

◆評価と継続が励みに

私自身、翻訳者としてうれしいのは、お客様から高い評価をいただいていることを知るときです。翻訳コーディネーターから「XX社からご指名が来ているのでお願いできませんか」という打診があると、喜んでいただけているのだなと安心します。元の勤務先からは、よりダイレクトに評価がきます。先日は、「前回の質がよかったので、お客様から今後の日英翻訳の仕事は御社にすべてまかせたいと言われました」という言葉をいただきました。「どんな仕事の依頼でも全力を尽くし、質の高い翻訳を納品する」ことを念頭に日々仕事をしているので、評価をいただくことでそれが報われます。

ただ、こういった評価は毎回あるわけではありません。どんな仕事でもそうですが、プロとして仕事をしている以上、出来て当たり前の世界です。直接的な言葉による評価は、たまのご褒美くらいに考えておこうと思っています。一番の評価の指標は、「継続して依頼があるかどうか」になりますから、常に仕事が絶えないように自己研鑽に努めることが大切だと思います。

こんな感じで日々、忙しく過ごしています。もうちょっとペースダウンしたいのですが、まだまだフル回転の状態が続きそうです。

ブログを長くお休みしていたので、近況を書いてみました。
ではまた♪

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# by ladysatin | 2019-09-29 00:27 | 英語と私といろいろ | Comments(11)