rewarding の意味

これまでも何度か書いていますが、知っているつもりの単語でも改めて辞書を引いてみると、「こんな意味があったなんて」と驚くことがあります。何十年も英語の旅をしている私ですが、語法の勉強が一番奥が深いと感じます。

さて、本日のテーマ rewarding は名詞の reward から派生した形容詞です。

reward -(奉仕・功労などに対する)報酬、報奨、報い、ほうび
これはジーニアスからの引用ですが、他の辞書も概ね同じ内容かと思います。

ということは、形容詞の rewarding の意味は名詞の reward から大体推測がつきますね。
英和辞典を引いてみました。

Rewarding の意味
★ジーニアス英和大辞典
(…する)価値のある、有益な、ためになる、謝礼としての
用例:a rewarding job (もうけは多くないが)やりがいのある仕事

★ウィズダム英和辞典
<仕事・経験などが>やりがい[価値]のある;<本などが>ためになる

★英辞郎(辞書ではないけれど^^)
報いのある、報いる、報われる、得るところのある、かいのある、実りある、報酬の良い、働きがいのある、読み応えのある、読みがいのある

このように英和辞典の意味はどれも似たり寄ったりですが、概ね「何かをすることで何らかの見返り(心理的または物理的なもの)をもたらす」という含みが rewarding にはあるように思います。

ところが、英英辞典の定義ではニュアンスがかなり違うようです。
調べてみて勉強になったので書いておきます。

★Longman
making you feel happy and satisfied because you feel you are doing something useful or important, even if you do not earn much money
多額の報酬を得るわけではなくとも、有益あるいは重要なことに取り組んでいると自分が感じるため、幸福感や満足感が得られるということ

★COBUILD
An experience or action that is rewarding gives you satisfaction or brings you benefits.
rewarding な経験や行動は、あなたに満足感を与え利益をもたらす

この二つの辞書の定義を見て何か気づきませんか?
英和辞書にある「価値のある、やりがいのある」 に相当する記述がないのです。むしろ satisfied, satisfaction つまり「満足が得られる= satisfying」 の意味が強いように思います。

英和辞典では「満足」という言葉自体、rewarding の定義の中には入っていないんですね。もちろん、この場合の満足は、やりがいがあるまたは有益であるからこその満足なのですが、英英と英和での定義の違いには驚きました。

もうひとつ OXFORD も調べてみました。
★OXFORD
worth doing; that makes you happy because you think it is useful or important
やりがいのある; 有益あるいは重要だと自分が思うので幸福感が得られる

OXFORD には「worth doing やりがいのある」の記載があります。また rewarding は satisfying の類語の1つとして挙げられていました。

もうひとつ fulfilling も含めて類語として使い分けのヒントの記載もあったので記しておきます。

--------------------------
satisfying, rewarding or fulfilling?
Almost any experience, important or very brief, can be satisfying. Rewarding and fulfilling are used more for longer, more serious activities, such as jobs or careers. Satisfying and fulfilling are more about your personal satisfaction or happiness; rewarding is more about your sense of doing something important and being useful to others. (Oxford Learner's Dictionary より引用ここまで)

重要な経験やと短い経験に関係なく、ほとんどの経験は満足を与えうるものだ。rewarding と fulfilling は、仕事や職業など長期的で重要度の高い活動に多く使われる。satisfying と fulfilling は、個人的な満足感や幸福感に関するものである。rewarding は、重要なことを行っているという感覚、あるいは他人にとって有益となっているという感覚についていう。
---------------------------

このように見てくると、同じ満足感を得るという意味でも、状況によって適切な単語を選択する必要があることがわかります。

このことを友人と話していたら、友人はオーレックス英和辞典の記載を教えてくれました。
こう書いてあったらしいです。
rewarding:①満足[利益]が得られる,報われる,(…する)価値がある ②報酬の,返礼の

おっと、オーレックスでは最初に「満足」がきていますね。友人所有のオーレックスは、2013年発行のものだそうです。辞書は新しいものがいいといいますが、もしかしたらそれも関係しているのかもしれません。

いずれにしても、単語の意味を考察するにはいくつかの辞書を見比べてみるということが大切だと思います。
辞書を何冊も買うのも費用がかかりますが、今の時代、多くの辞書はインターネットでフリー検索できます。
英和辞典と英英辞典の両方をうまく活用していきたいです。

では。
by ladysatin | 2014-06-28 14:27 | 語法_English Usage | Comments(4)

compensate の用法

今日は compensate という単語の使い方にフォーカスです。

またまたお友達からの質問。
こんな英文がある参考書に載っていたらしい。

① He compensated him for his lack of experience with the effort.
 彼は自身の経験不足を努力で補った。

compensate には「(損失・欠点などを)相殺する、埋め合わせをする」という意味があります。

compensate には他動詞と自動詞の用法がありますが、この英文では him が目的語にきていますので、ここではもちろん compensate は他動詞として使われています。

そこで、compensate を自動詞として使えば、him はなくてもよいのではないかと質問されたのです。
しかも、この文では He と him は同一人物であることは明らかです。him はとっちゃっていいでしょって。

というのも、英辞郎には compensate の直後に for がきている例があるとのこと。

抜粋します。
★compensate for 「~を償う、~を相殺する」
② You don't need to compensate me for this. : 弁償は結構です。
③ Reading often compensates for lack of knowledge. : 読書はしばしば知識不足を埋め合わせる。

なるほど。②の compensate は他動詞用法で me を目的語としています。
一方、③は自動詞用法で compensate for となっています。

ということは、自動詞用法にすればいいことにして①から him をとってみよう。
①’ He compensated for his lack of experience with the effort.

③がよかったから①’も良さそうですが、この文はおかしいんです。

では検討します。
③ Reading often compensates for lack of knowledge.
この文においては、Reading というものが lack of knowledge を補完すると言っています。わかりやすく言えば、知識全体を100としたときに、今現在はその知識は70しかない。そこで残りの不足した知識30を Reading で補うのです。

この理屈を①’に当てはめるとおかしなことになってしまいます。
①’ He compensated for his lack of experience with the effort.
経験全体を100としたときに、今は70しかない。残りの不足分の経験を He で補うと解釈されるため論理が破綻します。さらに、with the effort は何なのさって話になります。

結論として、①’は非文になるでしょう。him は省略できません。

元に戻って①の英文を見てみます。
① He compensated him for his lack of experience with the effort.

この文から him を省略することはできないことはわかりました。
ただし、他動詞用法であれば、his lack of experience を直接目的語にすれば①と同じ意味になります。
= He compensated his lack of experience with the effort.

さらに、同じ意味を表すために compensate を自動詞として使って書くことはできるかと言われたら、もちろんできます。
= The effort compensated for his lack of experience.
経験全体を100としたときに、今は70しかない。残りの不足分の経験を The effort で補うという意味になりますから、③のReading...と全く同じ考え方です。

compensate の用法はもちろんのこと辞書に書いてあるのですが、前置詞の使い方ひとつで大きな間違いになるという典型的な例ではないかと思いました。

ではまた。
by ladysatin | 2014-06-21 20:35 | 語法_English Usage | Comments(9)

よく考えるとわかる話

今日はおもしろい質問を受けました。

大したことではないのでだらだら書きます。

読みにくかったらごめんなさいね~。 (*^-^*)

まずは以下のやりとりから。

How much is this pen? 「このペンいくら?」
It's 100 yen. 「100円だよ。」

小学生でもわかる内容ですみません。
実はこの普通のやりとりに疑問をもった人がいました。

「It’s 100 yen. の 100 yen の品詞って何なんですか?」って聞かれたんです。

私は答えました。
名詞だと思いますよ。」 (^-^)

するとその方いわく。。。
「It = This pen ですから、This pen is 100 yen. ですよね。そしたら This pen = 100 yen になっちゃいます。これって I am chicken. と同じ理屈で変だと思います。 名詞だったら The price of this pen is 100 yen. または Its price is 100 yen. としないと変です。」

さらにその方はこう続けました。
「ということは。。。It’s 100 yen. の 100 yen は形容詞でしょう!」 (^0^)

私。。。ぽかん。。。(゚∇゚ ;)

その後、彼女は少し自信をなくし。。。
「えっと、い、いえ。。。形容詞と断言していいのかわからないんですけど、名詞が形容詞的に使われているんじゃないかと。。。」

以上がやりとりなのですが、何かおもしろいこと考える人がいますね~。
こういうの大好き。(o^-^o)

彼女がこのことを疑問に思った理由は、以下の文からです。

How old are you?
I am 20 years old.


この文では 20 years old の old はまぎれもなく形容詞で「私は20歳です。= 私は20年古い。」だから、It's 100 yen. も「それは100円です。=それは100円の価値がある。」といった具合に、100円に「価値がある」という形容詞的な意味まで含まれているんじゃないかと彼女は思ったわけなんです。

一応、英語ができる何人かの人に聞いてみたらしく、100円は形容詞、補語の副詞、数詞。。。などなど色んな意見があったらしいです。

う~ん。そこまで考えますか。。。と私は思いました。
これってそんなに複雑なんでしょうか?
そんなことないですよね。

★ It’s 100 yen. の 100 yen は、名詞です。(それ以外にない。)

しかし、名詞だったら I am chicken. の理屈になってしまうからおかしいというのですね?
だったら、100 yen のあとに何らかの形容詞が省略されていると考えるといいです。

その形容詞って何?って聞かれたら 。。。

答えは much 。。。でしょ?

つまり

How much is this pen? と聞かれたら

It’s 100 yen. と通常は答えるけれども、本来は

It’s 100 yen much. なのです。

なぜならばすべて同じ構造で説明がつきますから。

まず、How old are you? I am 20 years old. のケースはすぐわかります。
疑問文の old に対応して、答えにも old が入っているだけ。
年齢を答えるときは old を省略しないことが多いだけのこと。

How long is this string? の場合も同じように、答えに long を入れて It is 50 cm long.
この場合は long は省略して It is 50 cm. とすることも多いですね。

重さの場合も同じ。
How heavy is this desk? にたいして It is 10 kg heavy.
この場合も heavy はあったりなかったり。

元に戻って
How much is this pen? に対しては It's 100 yen much.
ただ、値段を聞くときは、まず much を入れて答えることは、まずないというだけのこと。

質問された方は、It's 100 yen. が普通の表現だから、その裏に隠れている much が見えなくなっちゃったのですね。

私にはこの質問をしてくださった方の視点がとても新鮮でした。

今回のように、考えたことがなかったことを何かのきっかけで考えてみる機会があります。

言葉っておもしろいです。

だからやめられません。英語の勉強。

058.gif
by ladysatin | 2014-06-17 21:25 | 英語と私といろいろ | Comments(0)

今日は Lionheart の考察をします。
Kate Bush のファンの方が検索してここにたどりついてくださることを期待して。(^^)

前回の Lionheart の和訳の記事から是非お読みください。
→ 訳詞の世界~Oh England My Lionheart – Kate Bush(和訳)

さて、この曲の舞台はタイトルにもある通り、イングランドです。

今さらだけど。。。イングランドとイギリスの違いを簡単にまとめておきます。

イギリスの正式名称は、「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」ですね。そして、その連合王国は、「イングランド England、ウェールズWales、スコットランド Scotland、北アイルランド Northern Ireland」の四つの国の集合体です。単に 「連合王国 United Kingdom UK」とも呼ばれています。

なんかややこしいですが、Kate Bush は、イギリスの中のイングランドに特化して曲を作ったということでしょう。実際、詞の中に出てくる London Bridge, Kensington Park, Thames などはロンドンにありますものね。

前回の記事で私は、Lionheart の詞は、第二次世界大戦で命を落としていく兵士の視点から綴られていると書きました。何度も読んでみたのですが、登場人物は一人だけのような感じがしています。無事で帰れなかった兵士の無念さと祖国イングランドへの愛がいっぱい詰まっているようです。

考察していく中で、ひとつ特徴的なことを見つけました。
詞の中に「死」に言及する内容がいくつかあるんです。
具体的には「die 死ぬ」の代わりに、違う単語を Kate は使っています。
それも3つ。。。


その単語とは何でしょうか。
今回も謎解きを楽しんでね。

ではいきましょう。

*********************
Oh, England, my Lionheart
I'm in your garden, fading fast in your arms

ああイングランド
私のライオンハート
あなたの庭で
あなたの腕に抱かれ
私は固くなり息絶える
*********************

★Oh, England, my Lionheart
ここは England と my Lionheart が同格になっています。
つまり、イングランド=勇猛な心です。

★I'm in your garden, fading fast in your arms
ここでの fading fast は分詞構文になっていて、I’m in your garden からつながっています。
fading の主語は「I = 私」です。

実は die の代わりに使ってある単語の一つ目が fade です。

fade には、文語体で「死ぬ」という意味があります。まさにその通りの内容だと思います。そして fast はこの場合は「速く」はそぐわない感じがします。辞書を引くと、fast にも文語体で「固く hard」の意味がありました。

fading fast = 私は固くなり息絶える
素直につながるように思いますがどうかな。

*********************
The soldiers soften, the war is over
The air raid shelters are blooming clover
Flapping umbrellas fill the lanes
My London Bridge in rain again

兵士たちは和らぐ
戦争は終わったのだ
防空壕にはクローバーが茂り
傘の花が路地を埋める
再び雨にけむる私のロンドン橋
*********************

★The soldiers soften, the war is over
やっと戦争が終わり、緊張感から解放された兵士の様子が読み取れます。

★Flapping umbrellas fill the lanes
flap は「パタパタと揺れる、はためく」という意味があります。
人が歩くたびに傘が揺れている風景を思い浮かべます。
そして、lanes は路地。street よりもっと小さい通りです。
単語の選び方ひとつにしても、Kate の感性の豊かさを感じます。

★My London Bridge in rain again
ロンドンは雨が多いと聞きます。
いつもの光景 - また今日もロンドン橋に雨が降っている。

*********************
Oh, England, my Lionheart
Peter Pan steals the kids in Kensington Park
You read me Shakespeare on the rolling Thames
That old river poet that never, ever ends

ああイングランド
私のライオンハート
ケンジントン公園でピーターパンが子供たちをさらう
渦巻くテムズ川でシェークスピアを読んでくれた君よ
あの古い川辺の詩人に決して死は訪れない
*********************

★Peter Pan steals the kids in Kensington Park

ピーターパンはイギリス・スコットランドの作家 James Matthew Barrie による戯曲・小説の主人公ですね。私は、ロンドンに行ったことはないのでネットで調べただけですが、ケンジントン公園にはピーターパンの像があると知りました。

ところでなぜ、ピーターパンはケンジントン公園で子供達をさらうのでしょう?

ためしに、Peter Pan kidnapper で検索するとたくさんのサイトがヒットします。海外のサイトでは、ピーターパンのことはあまりよく書かれていないようです。ピーターパンは愛すべき子供なんかではなく悪党だと書かれている記事が結構ありました。あるサイトでは、原作では、ピーターだけが不死として描かれていて、永遠に不死を享受できるように、それと引き換えに思春期の人間の子を誘拐して殺したのだと書かれてありました。

私はピーターパンについては詳しくないので、正直なところよくわかりませんが、ピーターパンが子供をさらうということは周知の事実だったようです。知らなかった私はもしかして小数派?

考えてみると、ピーターパンがもつ「immortality 不死」は、兵士の死とは対極位置にあるんですね。
Kate が示唆したのはこのことだったのではないかと思いました。

★You read me Shakespeare on the rolling Thames
rolling Thames...テムズ川についても渦を巻くのが特徴だと今頃知りました。(恥)

★That old river poet that never, ever ends
That old river poet はその前の Shakespeare を指しています。

ここで出てきました。
die の代わりに使ってある単語の二つ目・・・ end

主語は「poet 詩人」ですから、ends の意味は「終わる」ではなく「死ぬ」にならないと意味が通りません。
end の古英語の用法です。Shakespeare の魂は死ぬことはないと言っているのではと思いました。

*********************
Our thumping hearts hold the ravens in
And keep the tower from tumbling

音を立てるほどの私たちの心臓の鼓動は
ワタリガラスを制し
塔を崩壊から守るのだ
*********************
ravens はワタリガラス、tower はロンドン塔のことです。

Wikipediaにそのものズバリの解説がありましたので引用します。
-------------------------------
ロンドン塔には、世界最大級の大きさであるワタリガラス(Raven)が一定数飼育されている。ワタリガラスは大型で雑食の鳥で、1666年に発生したロンドン大火で出た大量の焼死者の腐肉を餌に大いに増えたともいわれている(しかし、実際に記録されているロンドン大火で死者は5名だけである)。当然、ロンドン塔にも多数住み着いたが、チャールズ2世が駆除を考えていた所、占い師に「カラスがいなくなるとロンドン塔が崩れ、ロンドン塔を失った英国が滅びる」と予言され、それ以来、ロンドン塔では、一定数のワタリガラスを飼育する風習が始まったとされる。(引用ここまで)
--------------------------------

hold the ravens in の hold in は成句です。
hold in - <動物>を制する (ジーニアスより)

ravens はまさに動物です。こんな使い方があったんですね。

*********************
Oh, England, my Lionheart
I don't want to go

ああイングランド
私のライオンハート
私は逝きたくない
*********************

die の代わりに使ってある単語の三つ目・・・ go

fade, end, go ...この歌の中には「die 死ぬ」の婉曲表現にあたる単語が3つも使われていたんですね。

*********************
Oh, England, my Lionheart
Dropped from my black Spitfire to my funeral barge

ああイングランド
私のライオンハート
黒のスピットファイアから
私は葬儀のはしけに落とされた
*********************

ここででてくる Spitfire は第二次世界大戦で使われたイギリス製の戦闘機です。

funeral barge は「葬儀のはしけ」と直訳しましたが、調べてみると funeral barge について、以下のような記載がありました。

●A funeral barge is a boat that ancient Egyptians used to send dead bodies down the river.
「葬儀のはしけ」は古代のエジプト人が死体を川から運ぶのに使ったボートのことである。


このフレーズ funeral barge を Kate がいれたのは、きっとエジプトへの造詣が深かったからでしょう。
実際、Kate の歌の中に Egypt という曲があります。
その中で彼女は、I’m in love with Egypt と歌っています。

ちなみに funeral barge を画像検索したらたくさんでてきました。
こんな感じです。

f0307478_17344523.jpg









*********************
Give me one kiss in apple-blossom
Give me one wish, and I'd be wassailing
In the orchard, my English rose
Or with my shepherd, who'll bring me home

りんごの花咲く中でキスをひとつくれないか
願いごとをひとつかなえてくれないか
そしたら乾杯しよう
果樹園で。。。
イングリッシュローズとともに
あるいは私を家へと導く羊飼いとともに
*********************

★Give me one wish, and I'd be wassailing
wassail という単語は知りませんでした。古英語で「乾杯する」という意味です。

★Or with my shepherd, who'll bring me home
ここでの home は「家」としましたが、「祖国」の方がよいかもしれません。
shepherd はイエス・キリストのことでしょう。
Kotobank には、イエス・キリストの象徴的な呼称として「善き羊飼い Good Shepherd」が載っています。

以上で lionheart の考察は終わりです。

この曲を Kate Bush が書いたのは、二十歳の頃だったんです。
何という感性をもった人なんだろうと、今さらながらに思います。

お読みくださった皆様
ありがとうございました。

001.gif
by ladysatin | 2014-06-14 17:10 | Music & English_3 | Comments(2)

今日は私の青春時代の憧れだった人を取り上げたいと思います。

Kate Bush がデビューしたのは1978年でした。

f0307478_23424840.jpg












「彗星のごとく」という形容は彼女のためにあるようでした。
ピンクフロイドのデイブ・ギルモアに見出されたという19歳の美少女。

ラジオで初めて Wuthering Height 嵐が丘 を聴いたときの感動を忘れることができません。
今まで聴いたことのないような不思議なメロディと独特の歌声。
それが実に耳に心地よかったのでした。

実際、彼女の書く曲は誰とも似ていませんでした。

本国イギリスではあっという間にチャートを駆け上がりデビューアルバムは大成功。
日本でもすぐに人気に火がついて、来日してくれるといいなあって思っていました。

Kate は本国イギリスとヨーロッパの国では時々コンサートをやっていたようです。
日本には東京音楽祭で Moving を1曲歌いに来ただけで、コンサートは一度もやっていません。
アメリカですらやってないと思う。

イギリスであれだけ人気があればアメリカ進出は当たり前なのに、彼女はそうしませんでした。

「なぜ、アメリカに進出しないの?」
当時、インタビュアーから質問されたときの彼女の答えを鮮明に覚えています。
日本の音楽雑誌だったから、日本語に訳されたものしかないのですが、彼女はこう答えたんです。

私の歌を聴いてくれる人は私の国にたくさんいるわ。
それなのに何故、アメリカに行く必要があるの?


これを読んで、すごい人だなあって思いました。
アメリカで成功することなど、彼女の眼中にはもともとなかったんです。
それでも彼女のアルバムはアメリカでも支持され、ビルボードのかなり上位にいったと思う。

私はますます Kate のファンになりました。
Kate Bush が作った曲の数々は、私の感性を大いに刺激しました。
ただ楽しむだけではなくて、短い詞の中に込められたメッセージを読み解きたいという思いにかられるような。

本日の Oh England My Lionheart も示唆に富んだ素晴らしい作品だと思います。
この曲は Kate の セカンドアルバムに入っています。

lionheart を辞書で調べてみると、形容詞の「lionhearted 勇猛な」が載っています。

この曲の Lionheart は名詞形なので「勇猛な心= England」という意味で Kate は使ったのかもしれません。また、イングランド王リチャード1世(1157-1199)の異称が、Richard the Lionheart なのでそこから由来しているのでしょう。リチャード1世は、中世ヨーロッパの騎士の模範とたたえられたです。Richard the Lionheart は、日本語では「獅子心王」と訳されています。

詞の中には、Lionheart 以外にも、イングランドに直接関係する表現が多くでてきます。

London bridge
Peter Pan
Kensington park
Shakespeare
Thames
Spitfire...


第二次大戦で命を落としていく兵士の視点から綴られた詞の中から、イングランドへの愛と深い悲しみを読み取ることができます。

次の記事でこの曲を深く考察しています。
是非読んでいただけるとうれしいです。
こちらです。→ Oh England My Lionheart – Kate Bush 訳詞考察



メロディと歌声が胸にひびきます。
それと若い頃の Kate 。。。やっぱりきれい。

************************************

Oh England My Lionheart

Oh, England, my Lionheart
I'm in your garden, fading fast in your arms


ああイングランド
私のライオンハート
あなたの庭で
あなたの腕に抱かれ
私は固くなり息絶える

The soldiers soften, the war is over
The air raid shelters are blooming clover
Flapping umbrellas fill the lanes
My London Bridge in rain again


兵士たちは和らぐ
戦争は終わったのだ
防空壕にはクローバーが茂り
傘の花が路地を埋める
再び雨にけむる私のロンドン橋

Oh, England, my Lionheart
Peter Pan steals the kids in Kensington Park
You read me Shakespeare on the rolling Thames
That old river poet that never, ever ends


ああイングランド
私のライオンハート
ケンジントン公園でピーターパンが子供たちをさらう
渦巻くテムズ川でシェークスピアを読んでくれた君よ
あの古い川辺の詩人に決して死は訪れない

Our thumping hearts hold the ravens in
And keep the tower from tumbling


音を立てるほどの私たちの心臓の鼓動は
ワタリガラスを制し
塔を崩壊から守るのだ

Oh, England, my Lionheart
I don't want to go


ああイングランド
私のライオンハート
私は逝きたくない

Oh, England, my Lionheart
Dropped from my black Spitfire to my funeral barge


ああイングランド
私のライオンハート
黒のスピットファイアから
私は葬儀のはしけに落とされた

Give me one kiss in apple-blossom
Give me one wish, and I'd be wassailing
In the orchard, my English rose
Or with my shepherd, who'll bring me home


りんごの花咲く中でキスをひとつくれないか
願いごとをひとつかなえてくれないか
そしたら乾杯しよう
果樹園で。。。
イングリッシュローズとともに
あるいは私を家へと導く羊飼いとともに

Oh England, my Lionheart
I don't want to go


ああイングランド
私のライオンハート
私は逝きたくない
by ladysatin | 2014-06-07 16:14 | Music & English_3 | Comments(0)

最近あるところで見た質問ですが、興味深いので取り上げてみたいと思います。

こんな英文が TOEIC の公式問題集にあったらしいです。

Less expensive laundry detergents can be just as effective as the more expensive products.
それほど高くない洗濯洗剤にも、より高い製品と全く同じ効果がありえる。

この文で、最初の lessの 前には The がないのに、more の前には the がついている。これは何故なのかということなんです。同じ比較級なのに the が付くものと付かないものがあるのが不思議だということでした。

確かに。この文をぱっと見るとそんな印象を受けますね。

さて、考えてみましょう。

まず、この文における the more expensive products の the ですが、比較級の more に付いているのではないんですね。この the は more ではなくて more expensive products 全体にかかっています。一語選ぶとすれば products にかかっていると考えるべきところです。

ここからなんですが、二つのカテゴリーをを対比させる言い方で、すぐ思いつくものとして、one ..., the other(s) という構造がありますね。今回の英文もそれの応用と考えてよいと思います。

Less expensive laundry detergents に対比して、the more expensive products という構造になっています。

ただし、ここで終わってはもったいない。
この文はもっと深いんですよ。001.gif

もう一度書きましょう。
Less expensive laundry detergents can be just as effective as the more expensive products.

さて、二者を比較する文においては漠然としたもの同士は比較できません。当然ですが、「それほど高くない洗剤 = less expensive detergents」には主観が入りますね。1000円の洗剤を高いと思う人もいれば、それほど高いと思わない人もいると思います。こういったものを比較の対象にすることは、通常は考えられません。

しかし、この文では可能なのです。それは、この文における less expensive laundry detergents は「市場で売られている洗剤の平均的な価格より安い」という意味ではなくて、the more expensive products との対比において安いことを表しているからなんですね。逆に言えば the more expensive products は less expensive laundry detergents より値段が高いということです。

つまり、less expensive laundry detergents が100円だったら、101円以上のものが the more expensive products であり、1000円だったら1001円以上のものになります。

ということは、the more expensive products は、常に、最初の基準値である less expensive laundry detergents の 拘束を受ける ということが言えると思います。漠然としたものでなく、具体的にそれ以上の価格の洗剤を指すということですね。だから the を抜かすわけにはいかないということです。

では less expensive laundry detergent にはなぜ the がつかないのかという話になりますが、less expensive laundry detergent の価格は 任意 だからです。100円、1000円、10000円など何でもかまいません。比較の対象より安い洗剤であれば何でもよいので、こちらには the は付けられないですよね。

この英文のおもしろいところは、as...as の同等比較構文であり、かつその比較の対象となるものに比較級が使われ、そのことで絶対的なものではなく、相対的なものを比較しているという点でした。

こんな英文は文法書には絶対出てきません。(>▽<)

英語って深いな~。064.gif


 
by ladysatin | 2014-06-01 15:41 | 英文法_English Grammar | Comments(2)