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今日は元気が出る言葉について書いてみたい。

人生いろんなことがあります。
毎日がつらくなることって誰にでもありますよね。
私もたくさんありました。
長い人生ですからねっ。^^

私の場合、悩み事があっても人に相談することってほとんどなかったような気がします。もちろん社会に出てからの話ですが。大概のことは自分で考え悩み、最後は自分で答えを出してきました。

人に相談しないタイプの私が結構頼ってしまうのが、言葉です。
世の中には勇気や希望を与えてくれるよい言葉がたくさんありますね。
このブログでも、以前書いた Today is a gift という言葉、大好きです。
もう一つ好きな言葉が、本日のタイトルの Tomorrow is another day です。

Tomorrow is another day

「風と共に去りぬ」の最後のシーンでスカーレット・オハラが言うセリフです。
あのシーンでスカーレットは、「そうよ、タラに帰りましょう。帰ってから、レットを取り戻す方法を考えましょう。」と言い After all, tomorrow is another day. で幕を閉じます。

長いこと遠ざかっていたフレーズでしたが、今日はこの言葉について書いてみます。

20年ほど前のこと。以前務めていた会社の上司が大好きだと言っていた言葉です。

Tomorrow is another day は、直訳すると「明日は別の日なのだ」となります。この言葉の解釈にはいろいろな説があるのですが、「明日は明日の風が吹く」という訳が従来から定着しているように思います。

「明日は明日の風が吹く」
広辞苑によると「明日はまた別のなりゆきになる。世の中は何とかなるもので、先を思い煩うことはない。」とあります。「流れに身を任せて生きる」という意味合いをもつこの言葉は、私にとって共感できるものではありませんでした。そのときはむしろ嫌いな言葉だったと思います。

ところが、私の上司の解釈はちょっと違っていました。

その意味とは「今がどんなにつらくても、明日という日は必ず来る、だからけっしてあきらめてはいけない、希望をもって生きようという、生への強い意志の表れなんだ。」

つまり
Tomorrow is another day = Tomorrow is sure to come
の意味なのだとおっしゃったのです。

「風と共に去りぬ」はずいぶん前に見たので、すべてのストーリーを覚えてはいないのですが、スカーレットという人の激しい気性や生きざまを考えると、エンディングの言葉としては、やはり希望に満ちたものでなければならないはず。彼女は力強く生きていく女性です。

「何があっても私は負けへんで!」という思いがこの言葉に集約されているのではないか。上司の言葉にはとても説得力がありました。それ以来、この言葉は私の大好きな言葉の一つになりました。

Tomorrow is another day には色んな解釈があるのかもしれませんが、私にとっては人生を前向きに考えるための応援メッセージという感じです。

**********************************************************

いいことばかりじゃない毎日
失敗もするし傷つくこともある
それでも明日はやってくるのだから
今日よりもっと良い日にしようと思う
明日は「明るい日」
希望に満ちている日です
また、明日も頑張ろうと気持ちを新たにして

Tomorrow is another day.
by ladysatin | 2013-11-30 19:43 | 英語と私といろいろ | Comments(6)

come with me vs. go with me

今日は「おお、そうだったのか (*'0'*)」と思っていただける内容。。。かな?

come と go の違いについてです。

なあんだ。そんなの知ってるよ~とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

今日書くのは
参考書にはほとんど載っていない come とgo の違いです。(^0^ゞ

じゃ行きま~す。

一般に come と go の違いはこんな説明がされますね。
「come は話し手・聞き手のいる場所に近づく場合を表し go は話し手・聞き手のいる場所ではない別の方向へ遠ざかることを表す。」

言い換えると、目的地に聞き手がいる場合は come、いない場合は go ということになるのだけれど、果たして常にその通りなのかな?

下記の2つの文を見てみましょう。
1) Come with me to see the movie.
2) I'll come with you to the store.


これらの文について質問してきた人がいました。
「この2つの文では、聞き手は同伴していて、目的地には特定の対象者がいない。ゆえに go を使うべきではないか。」というものです。

なるほど、上記の理屈からいえば、1)と2)の文は go の方がよさそうに思えます。しかし、口に出してしゃべってみると、英会話に慣れ親しんでいる人にはわかるでしょう。

come with me
go with me
come with you
go with you


4つのフレーズをあげましたが、おそらくどれも違和感ないはず。

結論から言えば、目的地に特定の対象者がいるのかいないのかは関係ないのです。この場合は、何を重視しているかによって come でも go でも実は使えるんです。

come with と go with について、はっきりと説明してくれている辞書がありました。

プログレッシブ和英中辞典です。リンク貼っておきます。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/3/2na/04483600/

<例文>
I'll go with you as far as San Francisco. (サンフランシスコまでは、ご一緒に行きます。)

<解説>
「一緒に行く」という場合、同行することに重点を置いている時は come、目的地を主として考えている時は go を用いる。


まとめると
come with は、同伴者重視

go with は、目的地重視


きわめて明快。これ、覚えておくといいと思います。

もう一つ例をあげてみます。

I'll go to New York. Wanna come with me?

に対して

Yes, I'll come with you to New York. 「あなたとニューヨークに行くわ」
Yes, I'll go with you to New York 「一緒にニューヨークに行くわ」

こんな風に重点の置き方でニュアンスも変わるということなんですね。

(*^^*)
by ladysatin | 2013-11-29 21:11 | 語法_English Usage | Comments(0)

今日は angel の考察の最終回です。

書きたいことがたくさんありすぎて長くなっちゃった。
ではいきま~す。(^^)

全訳はこちらにあります。読まれてない方はここからスタート。

訳詞の世界~Angel – Sarah McLachlan

続きです。

********************************
So tired of the straight line
And everywhere you turn
There's vultures and thieves at your back

まっすぐな道を歩くのにうんざりして
後ろを振り返ったと思ったら
どこを見ても他人を食い物にしたり
盗みをはたらく人ばかりね
********************************

tired of は「疲れて」ではなくて「うんざりして」ですね。
学校で習ったと思いますが tired from が「疲れて」という意味です。
日本人がよく間違うミスだから気をつけて。
ちなみに tired of は fed up with で言い換えられますね。

straight lines は難しい。「まっすぐな道」としましたが、この場合の「まっすぐ」はもちろん精神的な意味です。straight には様々な意味がありますが、ランダムハウスにはこんな記載があります。

★straight
(精神的に)まっすぐな(upright)、正直な(honest)、りっぱな(honorable)
straight conduct まっすぐな行い
keep straight 正直にやっていく(暮らす)


それと line には「職業・商売(job)」という意味があるんです。
What line is he in? 「彼は何の職業についているのか。」

こうやって調べるとついつい深みにはまっていきます。。。
「ミュージシャンとしての職業を(悪いことに手をださずに)りっぱにやっていくことにうんざりして」と言っているのかもしれませんね。

vulture はハゲワシのことですが、「(弱いものを食い物にする)強欲な人、冷血なやつ(ジーニアスより)という意味で、しばしば比ゆ的に用いられます。

ここで、文法ミスをひとつ発見しました。
↓ ↓ ↓
There's vultures and thieves at your back

vultures and thieves は複数ですから、ここは There are であるべきですよね。
しかし、Angel の歌詞をいろんなところで見てみましたが There's すなわち There is でした。
サラの発音も There's です。
そしてわかったことは、会話で使われるとのこと。

Wiktionary 英語版から引用します。
ここ→ http://ejje.weblio.jp/content/There's

There's
Although grammatically incorrect, often used in place of "there are", almost universally in spoken English, even when "there is" would sound incorrect.
「文法的には正しくないがthere areのかわりに会話で用いられる。また there is が正しくない響きがする場合でも用いられる」

訳詞をしていると、こうやって新たな発見があるんです。何だか得した気分♪

***************************
The storm keeps on twisting
You keep on building the lies
That you make up for all that you lack

嵐のような日々があなたにつきまとい
あなたは自分に欠けているものすべてを補いたくて
自分で作り上げた嘘を積み重ねていくの
****************************

ここでの twist を私は「(何かの回りに)巻きつく、からまる、からみつく(ランダムハウスより)」の意味がよさそうと思い「あなたにつきまとい」と訳してみました。

そして、次のところは 1文に関係代名詞が2個 出てきます。
★You keep on building the lies that you make up for all that you lack

関係代名詞の目的格です。これを分解して3文にするとこうなりますね。
You keep on building the lies.
You make up the lies for all.
You lack all.

では、残りのパートで彼の語りをききましょう。

******************************
It don't make no difference
Escaping one last time
It's easier to believe in this sweet madness
Oh, this glorious sadness
That brings me to my knees

状況は何も変わらないんだ
最後にもう一度だけと思って逃避してみると
この甘美な狂気、ああ、この美しき悲しみを
信じることのほうがたやすいことなのだとわかる
僕はそれにさからうことはできない
******************************

★It don't make no difference
ここの don't も本来は doesn't になるべきですが、ロックやポップスの詞には三人称なのに don't をあえて使う場合が多いですね。ここで doesn't にしちゃうと字余りになっちゃいますものね~。

しかし、英語を学習する皆様は、私も含めてですが、こういう英文は書かないようにしてくださいね。ネィティブだから許せても、日本人がわざと文法を崩した文を書いたり話したりすると、ただ単に「教養がない」としか思われませんから。

★Escaping one last time
この one last time には注意した方がいいと思いました。
「最後には逃げる」ではなく「最後にもう一度だけ逃げる」という意味です。
「やめなければいけないことはわかっている。もう一度だけやってやめよう。」という彼の苦しい思いです。

英辞郎に使い方が載っています。
クリック→ one last time

one last time: 最後にもう一度(だけ)
We kissed one last time. : 最後にもう一度キスした。

「最後にもう一度だけ別れた彼に会いたい」というときも使えますよ。^^
I want to see him one last time.
ね。便利な表現だと思いませんか?

最後の3行はひとつの文です。
★It's easier to believe in this sweet madness, oh, this glorious sadness that brings me to my knees.

this sweet madness, oh, this glorious sadness
ここも 同格 になっています。
「甘美な狂気」すなわち「この美しき悲しみ」となります。
同格だから単数扱い。したがってこれを先行詞とする that 以下の関係代名詞節の動詞は brings と単数で受けていますね。

believe in にはいくつか意味があります。
ランダムハウスより引用
(1)...の存在を信じる
(2)...を信頼する
(3)...をよいと信じる、の価値を認める

この場合はもちろん(3)の意味です。
最後にもう一度だけと言っていたのに、彼は this sweet madness, oh, this glorious sadness をよいと信じてしまうことの方が簡単だと思ってしまいます。この時点で彼は負けたのです。

とどめは
that brings me to my knees
この that は sweet madness, oh, this glorious sadness を先行詞とする関係代名詞の主格です。

bring someone to one's knees - (人)をひざまずかせる、(人)を屈服させる(ランダムハウスより)

彼は完全に屈してしまったのです。。。とても悲しい詞です。

あとはサビのコーラスが続きます。

************************************************

さて、Angelの解説は以上です。

参考までに、以下のサイトではネィティブスピーカーの皆さんが、この曲についての感想を語っています。
↓ ↓ ↓
Songfacts - Angel by Sarah McLachlan

お時間のある方は読んでいただければと思いますが、美しい曲だという人がいる半面、この Angel とはヘロインのことで不吉な歌だと主張する人も少なからずいます。

しかし、私には「Angel = Guardian Angel 守護天使・守り神」のことだとしか思えません。サラ・マクラクランが書く歌ですもの。彼女の歌はどれをとっても美しい情感にあふれていると思います。本物のアーティストと呼ぶにふさわしい人です。

このシリーズをお読みくださった皆様
Thank you so much.
by ladysatin | 2013-11-28 21:25 | Music & English_3 | Comments(8)

今日は「あなた= you」と言って語りかけているのが Angel だとわかるところを解説します。

全訳はこちらにあります。読まれてない方はここからスタート。

訳詞の世界~Angel – Sarah McLachlan

Angel の語りかけに対して彼が反応します。

*************************
I need some distraction
Oh, beautiful release
Memories seep from my veins

僕には気晴らしが必要なんだ
そう、美しい解放感がね
記憶が僕の血管から染み出ていくような
*************************

この箇所ではポイントが二つあります。

★I need some distraction, Oh, beautiful release
この文では some distraction と beautiful release が 同格 になっています。
「some distraction=何らかの気晴らし」すなわち言い換えると「beautiful release=美しい解放感」という構造です。

★Memories seep from my veins
seep fromは「~漏れる」という意味です。じわじわっと記憶が血管から漏れ出すという感じでしょう。
veinは一般に血管を表す単語ですが、医学的には静脈をさします。
彼の苦しみの元は何なのかを考えると、veinをこの詞の中で使った理由がよくわかりますね。
苦しみの元とは、そう使ってはいけないものです。

************************
Let me be empty
Oh, and weightless
And maybe I'll find some peace tonight

僕が空っぽな状態に
そう、そして無重力な状態になることを許してほしい
そうすれば今夜
心の平安を見つけることができるだろうから
************************

ここで使われている Let は Let me do it. の Let と同じですから「僕を空っぽにしてください」とか「空っぽになりたい」という意味ではないです。「僕には美しい解放感が必要だから、空っぽになることを(自分に)させてください」とお願いしているのです。

※Let の第一義をランダムハウスはこう説明しています。
(阻止せずに人・動物に欲する行為を)することを許す、させてやる(allow, permit)

「してはならないことをせずにはおれない、僕がそれをすることを止めないで」という思いが凝縮されています。

次の And は「そうすれば結果として」と解釈すればいいですね。

だんだんストーリーがつかめてきたでしょうか。
私は単に直訳しているだけですが、翻訳の基本は直訳です。
辞書とにらめっこして訳してみると、真理が見えてくるという事実。
あとは自分の文法・語法の知識を総動員してがんばるのみ。

さて、いよいよ核心に迫ります。
「あなた=you」と言って語りかけているのが Angel でした。」この意味がわかるところです。

なぜそうなるのかを書いていきます。

**********************************
①In the arms of the angel
Fly away from here
From this dark, cold hotel room
And the endlessness that you fear

天使の腕に抱かれて
ここから飛び立つといいわ
この暗くて冷たいホテルの部屋から
そしてあなたが恐れる悪循環から
***********************************

①In the arms of the angel
ここの In the arms of the angel は 文ではなくて句、すなわちフレーズ なんですね。
だから「天使の腕に抱かれて」でいいですね。ほかはそんなに難しくない。

「天使の腕に抱かれて、飛び立ちなさい」と言っています。

★And the endlessness that you fear
この that は関係代名詞の目的格ですから、「終わりのない恐怖」ではなく「あなたが恐れる終わりのなさ」となります。

さらには、endless というのは、終わりのないというよりも「(鎖など、端と端がつながって)輪になっている、循環の(ランダムハウス英和大辞典より)」という意味がぴったりきます。どこへ行っても結局は元に戻ってしまうループの中。

すなわち、この場合の endlessness はまさに vicious circle(悪循環)と同義で使われていると思います。

***********************************
You are pulled from the wreckage
Of your silent reverie
②You're in the arms of the angel
③May you find some comfort here


あなたの中の静かなる幻想の残骸
そこから助け出されるわ
天使の腕の中にあなたはいるの
ここで安らぎを見つけられますように
***********************************

問題の箇所は②と③です。
まず、②の文をみてください。
You're in the arms of the angel

ここは前述の①In the arms of the angelとは違い 完全文 です。
だから①と同じように「天使の腕にだかれて安らぎをみつけられますように」と訳してはならず、完全文として訳さなければ意味が通りません。

すなわち「あなたは Angel の腕の中にいるのですよ。(安心しなさい)」が正しい解釈です。

ここのところは In the arms of the angel と歌っても字足らずにはなりません。
しかし、サラはいかなるときも必ず You're を入れて歌っています。このことからも、この一文がいかに重要な意味をもっていることがわかります。

この②を受けて③の文があります。
★語っているのが Angel であることを決定的に物語る箇所です。

③May you find some comfort here

ここで here となっています。この here は何?
その前文から in the arms of the angel のことだとわかりますね。

here であって there ではないことに注目。

この場面において
「Angel の腕の中で=in the arms of the angel」
を「ここで=here」と言える人は Angel しかいない
ですね。

Angel でない第3者が語っているのであれば、here でなく there にならなくては論理が破綻します。

here でも there でも大した違いはなさそうに思いますが、登場人物が全く違ってくるんです。ここをもし、サラが there にしていたなら。。。Angel とは別の人が語っていることになります。そして、この箇所までこなければ、Angel が語っているのだとはわからないのです。

ということで、ここでの here は Angel を解読する上で最も重要な箇所だったのです。

とてもとても奥深い訳詞の世界ですね。

次回は最終回です。
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by ladysatin | 2013-11-27 20:30 | Music & English_3 | Comments(0)

今日からAngelを考察していきます。
文法・語法・解釈の仕方を徹底解剖しましょう。

今日はまず考察の1回目です。

全訳はこちらにありますのでよかったらご覧ください。
 ↓
訳詞の世界~Angel – Sarah McLachlan

Sarah McLachlanという人の曲を私が初めて聴いたのは1998年のことでした。当時WOWOWでやっていた「Felicityの青春」というドラマで彼女の曲が数多く使われていたんです。いままでに聴いたことのないようなメロディと美しい声に魅せられて買った CD が Surfacing...

どれも素晴らしい曲でしたが、中でも Angel はひときわ美しい曲だと思いました。Surfacing はアメリカだけで800万枚も売れたとか。1998年にはグラミー賞も受賞しました。

この曲をサラが書いたのは Rolling Stone 誌に載っていた、あるミュージシャンの死に関する記事を見てからだそうです。 それは Smashing Pumpkins というグループの1996年のツアーに同行していた Jonathan Melvoin がヘロインの過剰摂取で死亡したという記事でした。そのことを VH1 Storytellers という音楽番組にサラが出演したときに語ったということでした。

詞を読んでいくと確かに麻薬常習者に関する内容のように思えます。「私= I」の部分は苦しくてどうしようもない心情を吐露している彼の姿が目に見えるようです。死が近づいていた彼の元へ Angel が現れ、彼を救ってあげたという内容のように思います。

この曲はそういう経緯の中で書かれたことはアメリカなどでは周知の事実なのですが、受け止め方は人それぞれのようです。病気などで愛する人を亡くした人々が、この曲を聴いて涙するというお話をよくききます。だからでしょうか。お葬式の時によく流されるらしいです。

夜寝る前にきくと、すうっと心が落ち着く曲です。

先日の記事で「あなた= you」と言って語りかけているのが Angel でしたと書きました。なぜ、そう断言できるのかと思われた方もいらっしゃると思います。実は、それを示唆する決定的な箇所があるんです。さてそこはどこか。その箇所のところで解説しますので、もう少しご辛抱を。

今回の一連の Angel のシリーズは、Sarah McLachlan に興味がないかたにはつまらないものかもしれませんが、英語の勉強にはとても良い教材です。言い回しなど覚えておくといいかなと思うところを解説していきますので、よかったら読んでくださいね。

まず冒頭の部分に注目。

************************
Spend all your time waiting
For that second chance
For a break that would make it okay

ずっとそうやって待ち続けているのね
もう一度チャンスがやってくるのを
それをつかめる幸運を
************************

★Spend all your time waiting
この Spend を命令形だと思う人はいないと思います。そう、頭に You が省略されています。Sarah のコンサートのDVDでは You spend...とはっきり発音されています。

2行目と3行目の For は waiting for のことですね。

★For a break that would make it okay
ここの break をCD に入っていた訳詞では翻訳者の方が「きっかけ」と訳されていましたが、それは誤訳です。break に「きっかけ」という意味はありません。雰囲気で訳してはだめ。

breakthrough には「突破口」という意味がありますが、これも「きっかけ」とは違いますね。
この場合にぴったりくる訳は「幸運」になるでしょう。

※ジーニアス英和大辞典には次のように記載されています。
[通例 a break] 運、幸運、機会、好機(chance)

これまでやり直したいと思ってきたけれど、それができなかった。もう一度元に戻れる幸運を待っているのでしょうとAngelが語りかけている部分です。

次のフレーズです。Angel が続けて語ります。

**************************
There's always some reason
To feel not good enough
And it's hard, at the end of the day

十分に心が満たされないと感じてしまうのには
いつだって何らかの理由があるのでしょう
だから一日の終わりは辛いのね
***************************

最初の2行は、続けて書くとこういう文です。not の位置に注目してみてね。
★There's always some reason to feel not good enough.

ここで「おやっ」と思うかどうかが運命の分かれ道?。。。とまではいかないけれど、普通はto不定詞を打ち消す場合は「not to + 動詞」に私達は慣れ親しんでいると思います。実は 分離不定詞 というものがあって「to not + 動詞」という言い方もできます。「not to + 動詞」と「to not + 動詞」は厳密にはニュアンスが異なるのですが、今回はその件は割愛します。ただし、この両者は動詞を打ち消しているという点では同じです。

一方、この詞においては「to + 動詞 + not」の順になっていますね。
何故なのかと考えました。

否定語の not の基本的な考え方は、直後の言葉を打ち消すというものです。
not をここであえて good enough の前にもってきたのには意味があります。
次の文を日本語にしてみるとわかります。

①I do not feel good enough.
「十分に気分がよいと感じない」 つまり、「感じる feel」という動詞を打ち消しているのです。

②I feel not good enough.
この文は good enough を打ち消しますから「十分によい気持ちではないと感じる」となります。

この二つの文は意味的には同じことを言っています。しかし、ニュアンスは当然のことながら変わるでしょう。①が素直な文ですが、あえて not を good enough の前にもってきているということは、以下のように考えるとわかりやすいでしょう。

I feel so so good, but not good enough.
「気分はまあまあよいけど、十分によくはない。」つまり、まだ「十分ではないんです」ということを強調していると考えられます。

別にどっちでもええやんと言ってしまうとそれまでなのですが、私はこういうところに非常にこだわってしまうのです。翻訳者の悲しい性ですね。

そういうわけで、私の訳は「十分に心が満たされないと感じてしまうのには」となったのです。

最初の Angel の語りかけはここまでです。次は彼が心情を吐露する番です。

See you next time.
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by ladysatin | 2013-11-26 21:08 | Music & English_3 | Comments(0)

この曲は Angel と「彼」とのダイヤログ(対話)だったようです。
登場人物とストーリー展開、点と点がつながりました。

このシリーズは全部で4回あります。
残りの3回は訳詞の考察です。
以下をクリックしてくださいね。
→ Angel - Sarah McLachlan 訳詞考察(1回目)
→ Angel - Sarah McLachlan 訳詞考察(2回目)
→ Angel - Sarah McLachlan 訳詞考察(3回目) 


実は数年前にこの曲の訳を試みたのですが、理解できない部分がありました。それはこの曲には一人称の I と二人称の you が出てくるのですが、これがどういう関係なのかということでした。

ひとりの人物が「私」として存在し、別の誰かに「あなた」と語りかけているのかなと思っていたのです。しかし、そう考えると意味をなさないところが出てきてしまい、あきらめの境地でした。

今回、もう一度この曲と向き合って目を見開いてよく読んでみました。そしたらわかりました。

「私=I」というのは何らかの問題を抱えていて天に召されようとしている人です。
その人に対して「あなた=you」と言って語りかけているのが Angel です。

この曲を訳するにあたり、様々な文献を見て、実際に Sarah が言及した言葉もよく読みました。
疑問点がほぼクリアになり、自分でもつじつまが合う訳ができたように思います。


では訳詞にいく前に Wikipedia に書かれていた内容を引用します。

*********************************
●Wikipediaより
It was inspired by articles that she read in Rolling Stone about musicians turning to heroin to cope with the pressures of the music industry and subsequently overdosing. She said that she identified with the feelings that might lead someone to use heroin: "I've been in that place where you've messed up and you're so lost that you don't know who you are anymore, and you're miserable—and here's this escape route. I've never done heroin, but I've done plenty of other things to escape."

She said that the song is about "trying not to take responsibility for other people's problems and trying to love yourself at the same time".


●訳してみましょう。
Angelは、Rolling Stone紙に掲載されてあった記事を読みインスパイアされてサラが書いた曲です。その記事とは、音楽業界におけるプレッシャーに耐えていくためにヘロインに手を出し、しだいに過剰摂取になってしまったミュージシャンについてのものでした。彼女は、ヘロインを使うにいたる気持ちに共感したと語っています。「とても混乱して、身も心もぼろぼろになり、自分が誰なのかもわからなくなり、とっても自分がみじめに思えてしまう。そんな状況に私はずっといました。そしてここに逃げ道があるんです。私はヘロインに手を出したことはないけれど、逃げるためにほかのことをたくさんしてきました。」

彼女がこの曲で言いたかったこと - 「他人が問題をもっているからといって、自分がその責任を引き受けようなどとはしないこと。同時に自分自身を愛そうとすること。」
(引用ここまで)

*********************************



City of Angelsという映画の挿入歌でした。
メグ・ライアンとニコラス・ケイジのラブストーリー

最後は悲しい結末でした。

*************************************

Angel

※以下、青文字は Angel の言葉、黒文字は主人公の言葉です。
二人の対話を聞いてください。。。

Spend all your time waiting
For that second chance
For a break that would make it okay

ずっとそうやって待ち続けているのね
もう一度チャンスがやってくるのを
それをつかめる幸運を

There's always some reason
To feel not good enough
And it's hard, at the end of the day

十分に心が満たされないと感じてしまうのには
いつだって何らかの理由があるのでしょう
だから一日の終わりは辛いのね


I need some distraction
Oh, beautiful release
Memories seep from my veins

僕には気晴らしが必要なんだ
そう、美しい解放感がね
記憶が僕の血管から染み出ていくような

Let me be empty
Oh, and weightless
And maybe I'll find some peace tonight

僕が空っぽな状態に
そう、そして無重力な状態になることを許してほしい
そうすれば今夜
心の平安を見つけることができるだろうから

In the arms of the angel
Fly away from here
From this dark, cold hotel room
And the endlessness that you fear

天使の腕に抱かれて
ここから飛び立つといいわ
この暗くて冷たいホテルの部屋から
そしてあなたが恐れる悪循環から

You are pulled from the wreckage
Of your silent reverie
You're in the arms of the angel
May you find some comfort here

あなたの中の静かなる幻想の残骸
そこから助け出されるわ
天使の腕の中にあなたはいるの
ここで安らぎを見つけられますように

So tired of the straight line
And everywhere you turn
There's vultures and thieves at your back

真っ直ぐな道を歩くのにうんざりして
後ろを振り返ったと思ったら
どこを見ても他人を食い物にしたり
盗みをはたらく人ばかりね

The storm keeps on twisting
You keep on building the lies
That you make up for all that you lack

嵐のような日々があなたにつきまとい
あなたは自分に欠けているものすべてを補いたくて
自分で作り上げた嘘を積み重ねていくの


It don't make no difference
Escaping one last time
It's easier to believe in this sweet madness
Oh, this glorious sadness
That brings me to my knees

状況は何も変わらないんだ
最後にもう一度だけと思って逃避してみると
この甘美な狂気、ああ、この美しき悲しみを
信じることのほうがたやすいことなのだとわかる
僕はそれにさからうことはできない

In the arms of the angel
Fly away from here
From this dark, cold hotel room
And the endlessness that you fear

天使の腕に抱かれて
ここから飛び立つといいわ
この暗くて冷たいホテルの部屋から
そしてあなたが恐れる悪循環から

You are pulled from the wreckage
Of your silent reverie
You're in the arms of the angel
May you find some comfort here

あなたの中の静かなる幻想の残骸
そこから助け出されるわ
天使の腕の中にあなたはいるの
ここで安らぎを見つけられますように


**********************************

次回からは Angel を深く考察しています。
なぜ「 Angel と「彼」とのダイヤログ(対話)だった」と考えた経緯についても解説していますので、よかったら読んでくださいね。上の方にリンクを貼っております。
by ladysatin | 2013-11-24 16:45 | Music & English_3 | Comments(4)

理由を表す and

今日は小学生でも知っている and のお話です。

and には、今さらですが「そして」という意味があります。しかし、ほかにも使えます。

この and はおりこうさんで「理由」を表すことができるというすぐれものです。
これについてちょっと書いてみますね。

以下は、ある技術文書の教本に出ている対訳です。

(英文)
This approach will improve the strength of the pipe and eliminate gas leakage from the pipe.

(訳文)
この方法を採用することで、パイプの強度が増すので、パイプからのガス漏れを防ぐことができる。

そして「なぜ、この and が「そして」ではなく「ので」になっちゃうの?」という質問を受けたのです。

なるほど、とても自然な質問ですね。
でもね、これは、そんなに難しく考えなくてもいいの。
and は並列だけでなく理由をあらわすことも可能です。辞書を引くと載っています。

※ランダムハウス英和大辞典の説明
(当然の帰結・成行きを示して)…ので、…だから

「パイプの強度が増す」ので、その当然の帰結として「パイプからのガス漏れを防ぐことができる。」
このように考えると自然だと思います。

※ジーニアス英和大辞典の説明
[理由・結果]を表す。
例)The clock is accurate and dependable.
「その時計は正確で、それゆえに当てにできる。」

※Longmanの説明
“and” is used to say that something is caused by something else:
例)I missed supper and I'm starving!
例)She fell downstairs and broke her leg.

ちなみに技術文書では時系列に書くことが多いのでこのような書き方(原因→結果)をよくします。私自身もこういう文を日英翻訳する場合に、あえて because などを使わずに and を使うことがあります。

and は「そして」だけじゃないのよ~っていうことを、今日は書いてみました。

これ、実はけっこう盲点だと思うのですが、どうでしょう。
(^ー^* )
by ladysatin | 2013-11-23 20:01 | 語法_English Usage | Comments(0)

1980年代はなぜかハードロックバンドが次から次に出てきて、ヘアーメタルというカテゴリーが出来ていたころがありました。L.A. 出身のグループが多かったから L.A. メタルとも言われていました。

ルックスはまあまあ、でもほとんどのバンドは実力はなかったので、90年に入ると Guns N’ Roses 以外は、ほぼ淘汰されていきました。そんな中、最後の L.A. メタルと言われてデビューしたのが Warrant でした。

Warrant はルックスだけじゃなくて、曲自体がよかったのでかなり売れて、最初の2枚のアルバムはプラチナディスクになりました。私はボーカルの Jani Lane の少しハスキーな声が大好きで、セカンドアルバムを買いました。今でもよく聴いています。

日本でも人気絶頂のときにコンサートに来ました。ぴあの電話回線はパンク状態でなかなかつながらず、やっと手に入れたチケットは大阪厚生年金会館大ホールの2階席だったけど、素晴らしいコンサートでした。
1991年のことです。

あの頃の映像がないかなと思って YouTube で検索していたら、ボーカルの Jani がお亡くなりになっていたことを知りました。2011年の8月11日だったそうです。もう解散して結構たつと思うので日本では話題になることもなかったのだけれど、そのことを全く知らなかった私は、「Jani ごめんよ~」と言いたい気持ちでいっぱいです。まだ47才だったそうです。

I Saw Redという曲は、1991年に出たセカンドアルバムに入っているバラードです。
その頃の私は see red の意味を知らず、辞書を引いて「激怒する」という意味のイディオムだと知りました。

I Saw Red は Jani の実話をもとに書かれています。愛する人と親友に同時に裏切られたナイーブな青年の心情をつづった名曲です。

この映像は当時のプロモーションビデオなんですが、なつかしいです。。。

今日は Jani のことを思いながら I Saw Red を訳しました。
天国の Jani に届くといいなあ。




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I Saw Red

Ooh, it must be magic
How inside your eyes I see my destiny
Every time we kiss,
I feel you breathe your love so deep inside of me

マジックに違いない
僕の運命が君の瞳の中に見えるなんて
キスをするたびに感じるんだ
君の愛が僕の心の奥深くに息づいているのをね

If the moon and stars should fall
They'd be easy to replace
I would lift you up to Heaven
And you would take their place

もし月と星がなくなったとしても
その代わりは簡単に見つかるよね
僕が君を天まで届けてあげるよ
そしたら君が月と星の代わりになってくれるだろう

Then I saw red
When I opened up the door
I saw red
My heart just spilled onto the floor
And I didn't need to see his face
I saw yours
I saw red and then I closed the door

Well I don't think I'm gonna love you anymore

そのとき僕はカッとなったんだ
ドアを開けた瞬間
怒りがこみあげて、心が床の上に砕け散った
あいつの顔を見るまでもなかった
君の顔を見たら、僕は怒りでいっぱいになって
そしてドアを閉めた

もう君を愛することはないだろう

Every day I wake up
I thank God that you are still a part of me
We've opened up the door, to which
So many people never find the key


毎日目覚めるたびに
君が今も僕の一部であることを神に感謝する
僕たちはドアを開けたんだよ
多くの人はその鍵を決して見つけることはないのに


And if the sun should ever fail to send its light
We would burn a thousand candles
And make everything alright

そして太陽が光りを送りこむことができなくなっても
二人で千個のキャンドルを灯せば
何も心配することはないよね

Then I saw red
When I opened up the door
I saw red
My heart just spilled onto the floor
And I didn't need to see his face
I saw yours
I saw red and then I closed the door

Well I don't think I'm gonna love you anymore

そのとき僕はカッとなったんだ
ドアを開けた瞬間
怒りがこみあげて、心が床の上に砕け散った
あいつの顔を見るまでもなかった
君の顔を見たら、僕は怒りでいっぱいになって
そしてドアを閉めた

もう君を愛することはないだろう

And I've been hurt and I've been blind
Well I'm not sure that I'll be fine
I never thought it would end this way

僕は傷ついて、ずっと闇の中にいる
元の僕に戻れるのだろうか
こんな終わり方をするとは思いもしなかったよ

Ooh, it must be magic
きっとマジックに違いない。。。


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ここからはおまけ。(^^)

I Saw Red の詞の中にある see red「激怒する」という意味のイディオムだと書きました。
ジーニアスを調べてみたら「闘牛の赤布」が由来らしいです。
わかりやすいですね。

ついでながら、あの曲の詞の中にもう一つ覚えておくとよいかもと思うフレーズがあったので書いておきます。

「ドアのカギ」と言いたいとき
key (   ) the door

となるのだけれど、さてかっこの中には前置詞は何を入れましょうか?
中学生に質問したらまず間違いなく「of で~す^^」と返ってくるでしょう。

key of the door ... なんかよさそう...しかし...ブーですね。

正解は。。。key to the door

へえっ。何か新鮮じゃないです?
実はこの to は[付加・付属]の意味で使われる to なんですね。

★ジーニアス英和大辞典より
[付加・付属]...に属する、...の、...に加えて


例です。
the key to (for も可) the door ドアのかぎ
a room to oneself 自分一人だけの部屋
the US ambassador to Japan 駐日米国大使

定番表現のこれも同じく[付加・付属]を意味する to の用法です。
There are two sides to everything. 何事にも両面がある。

さてI Saw Redの歌詞のどこにこの用法が出てくるかというと、ここでした。
We've opened up the door, to which so many people never find the key

見てわかるとおり、この文は関係代名詞の文です。非制限用法と考えてコンマを入れましたが、コンマなしの制限用法で訳しても問題ないですね。
to which の to が key to the door の to のことね。

そういえば、「社長秘書」というときも I'm a secretary to the president. ですね。

なのに secretary が wife になると I'm the wife of the president. と of になるからややこしい。

やっぱり洋楽って英語の勉強になるでしょう?(^^)
by ladysatin | 2013-11-22 23:07 | Music & English_1 | Comments(10)

will が能力を表すとき

今日は will のお話です。

私のブログでは、こういうの大切なんだけど、あまり文法書や参考書に載っていないなあと思うものを書きたいと思っています。

will と言えば意志未来と単純未来なんていう言葉を思い出す人も多いかと思います。
学校では主に、この二つを習いますよね。

I will do it.だったら「私はやるぞ~。」という強い意志を表しますし、It will rain tomorrow.だと「明日は雨だろう。」で単純未来という説明をします。

今日はそれ以外によく使われる「能力」を表す will に注目してみました。
以前、以下の英文についてこんな質問がありました。

The AROMA coffee maker will make coffee and cappuccino.

ご質問者いわく
「どうして未来形(will make)が使われているのですか。現在形(makes)は誤りなのでしょうか。」

なるほどっ。(゚○゚)!
素晴らしい着眼点ですね。

現在形で書いてみると
The AROMA coffee maker makes coffee and cappuccino.
「AROMA社のコーヒーメーカーは、コーヒーとカプチーノを作ります。」
この英文と日本文には、何らおかしなところはないですね。

なぜ will make にする必要があったのでしょうか。
ということで will を辞書で引いてみます。

★ジーニアス英和大辞典を見るとwillの下の方にあります。
[能力]<物が>・・・できる(can)
例文)The hotel will accommodate five hundred.
「このホテルには500人が宿泊できる。」

★ランダムハウス英和大辞典も下の方にあります。
(能力)・・・できる(be capable of, can)
The back seat will hold three passengers.
後ろの座席に3人乗れます。
The tree will live without water for three months.
この木は水なしでも3か月は枯れない。

英英辞典もついでに見てみます。
★Collins COBUILDを調べていたら同じような記載がありました。
 "Will" is sometimes used to say that someone or something is able to do something.
例文)This will cure anything.

そのように考えると以下のような意味になるのでしょう。
The AROMA coffee maker will make coffee and cappuccino.
「AROMA社のコーヒーメーカーでコーヒーとカプチーノが作れますよ。」


これを「…コーヒーとカプチーノを作るでしょう。」と訳したら誤訳になります。

will の下の方に出てくる用法だから、そんなに重要ではないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この用法は頻出ですので、是非、注目していただきたいと思っています。

ついでながら、この will の用法では主語に「人」は普通はきません。
Collins COBUILDには"someone or something"とありますが、ジーニアスには「物が」と明記されています。

典型的な「無生物主語構文(物主構文)」を作る will の用法と考えてよいかと思います。

元に戻って、人を主語にして書くと以下のようになります。
We can make coffee and cappuccino with the AROMA coffee maker.

「無生物主語構文」は日本人がとても苦手とするものですが、論文やエッセーなどを書く際に、「物」を主語にした書き方に慣れると、タイトでしまった文章にすることができます。

洗練された英文を書くのはとても難しいことですが、私は英文を書く際に、常に「物」を主語にできないかなと考えます。「あ、これは物を主語にできるね。」という発見をすることもまた楽しいものです。

では。 001.gif
by ladysatin | 2013-11-21 22:01 | 語法_English Usage | Comments(0)

Tears の意味が「涙」でなく「深い悲しみ」になる理由について書きたいと思います。

Tears in Heaven の記事は全部で3回あります。
下記、最初の訳詞の記事から読んでいただけるとうれしいです。
こちらです。→ 訳詞の世界~Tears in Heaven – Eric Clapton

最後の方に there'll be no more tears in heaven (天国にはもう tears はない)というフレーズがあります。実はここに出てくる tearsを「涙」とすると不都合ではないかということを以前から思っていました。というのは、「涙」は悲しい時の出番がもちろん多いわけですが、感涙、うれし泣きなど、良い時の涙もあるからです。

「天国にはもう涙はない」とすると、こういった positive な涙まで排除してしまうことになるのです。こんなことをいうと、「まあ、それは屁理屈というもので、ここでは悲しみの涙に決まってるでしょ。」と言われそうですね。

では、そもそも「涙」とはなんなのかというところから。

広辞苑にはこう書いてあります。―「眼球の上外側の涙腺から分泌される液体。。。」

もう少し説明は続いていますが、日本語の「涙」の定義には、悲しさや嬉しさなどの感情を伴う表現は、全くありません。「涙」は日本語では neutral な名詞なのです。そう考えたときに、この場合の tears に「涙」という訳をつけることに違和感を覚えてしまうのです。

そこで私は、もっと適切な訳はないかと思い、改めて tears の意味を調べてみました。するとランダムハウスに、tears の複数形の用法を発見しました。

<ランダムハウスの記載>
tears -「嘆き、悲しみ、悲哀 (grief, sorrow)」


tears にこのような意味があるとは今まで知りませんでした。さらに、カッコ書きの grief の意味も今さらながらに調べてみました。

grief の1番目の意味は。。。「(不幸・喪失などに対する)深い苦悩、深い悲しみ、悲痛、悲嘆 (sharp sorrow, painful regret)」、さらに3番目の意味は「不運な出来事、災難、事故(mishap, accident)」。。。

これを見たとき、ちょっとした驚きでした。なぜならこれらの意味は、まさに、Eric Clapton さんのケースに当てはまるではないですか。そして、tears = grief から、Tears in Heaven = Grief in Heaven が導かれます。Grief in Heaven ではあまりにも直接的すぎるのでタイトルには不向きです。代わりに同じ意味をもつ Tears に置き換えることで美しく透き通ったイメージを呼び起こします。同じ意味でも歌にするには語感の美しい方を当然ながら選びます。

別の視点からもみてみましょう。

「涙」とは感情の一時的な発露であり、それは恒久的なものではありません。愛する人を亡くした時、人は涙します。しかし、残された人にとって耐えがたいのは、そのあと長期に渡り継続する「喪失感」です。昨日まで近くにいた人が突然いなくなり、永遠に帰ってくることはないことを認識するとき、どうやってこれから生きていこうと途方にくれる。涙は枯れ果てても、その思いがずっとその人につきまとうのです。それは「grief 深い苦悩・悲しみ」以外の何物でもありません。

つまり、本当は Grief in Heaven なのだけれど、Tears in Heaven にあえてしたのだろうと。
このように考え、私は tears を「涙」ではなく「深い悲しみ」と訳したのです。

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Time can bring you down
Time can bend your knee
Time can break your heart
Have you begging please
Begging please

時の経過は
お前を落ち込ませるだろう
お前を神の前にひざまずかせるだろう
お前の心を打ち砕くだろう
そしてお前を神に請わせるようになるだろう
どうかお願い...と
********************************

ここでは息子を助けてやれなかった父親が、自分自身に語っているようです。Begging please(どうかお願い)で終わっていますが、このあとに Forgive me (許してください)が続いているのではというのが私の推測です。

さて、この箇所の Time は「時」ですが、ただの「時」ではありません。これもランダムハウスに良い説明がありました。

time ― (あとに続いているしばしば長い)時間
この意味がぴったりだと思い「時の経過」という訳をつけています。


<ランダムハウスの例文>
Time will tell if what we have done here today was right.
今日ここでやったことが正しかったかどうか、時がたてばわかるだろう。
Time does not always heal old sore.
時がたっても必ずしも古傷はいえはしない。

★Have you begging please の構文について。。。
ここは、前文の流れから Time can が省略されていることがわかります。

省略せずに書くとこうなります。
①Time can have you begging please. (have + O + 現在分詞)
「時の経過はお前を懇願させる」という意味の使役構文です。

高校英語で学ぶ使役の用法は原形不定詞を使うものです。
②Time can have you beg please. (have + O + 原形不定詞)

①と②の違いの根底にあるのは、②が一度の行為に言及するのに対し、①では ingをとっていることから、動作の一定期間の継続を表していることだと考えられます。つまり1度だけの懇願ではなく、「お願いだ」という思いが続いたというニュアンスになるかと思います。

人を目的語にした have の使役は原形不定詞が主ですが、①の形も頻出ですので重要な構文だと思います。

さて、最後です。

******************************
Beyond the door
There's peace I'm sure.
And I know there'll be no more...
Tears in heaven

扉を超えたところには
きっと平穏がある
そして僕にはわかる
天国にはもう深い悲しみなど存在しないのだということを
*******************************

Tears の意味については先に説明した通りです。

さて、この節は何を示唆しているのでしょう?「天国にはもう深い悲しみなど存在しない」ということは、裏返せば「天国に行くまでこの悲しみは続くのだ」ということになります。「僕はこの苦しみと一緒に生きていかなくてはならない。」という痛切な思いが込められていると思いました。前向きに生きていこうという清々しさはなく、今の心の苦しさを歌わずにはいられなかったのではないか。そして、歌うたびに彼は、息子に詫びていたに違いないと思うのです。

この私の解釈は、おそらく多くの方がこの曲についてもっておられた印象とは違うかもしれません。私自身もかつては、「息子の死を乗りこえた、あるいは乗りこえようと頑張っている前向きな歌」だと思っていました。しかし、考察が進むにつれその考えはくつがえされました。

言葉とは何と奥が深いものなのでしょう。
私はまた、たくさんのことを勉強したようです。

さて Time can bring you down の節は、実は Eric は書いていません。最も彼の苦悩を表しているこの箇所は、Will Jennings さんが書いています。この方は、Titanic のテーマソングの My Heart Will Go On を書かれた有名なソングライターです。Eric は Time can bring you down の箇所を書いてほしいとWill Jennings さんにお願いしたということです。

では、そのお話を最後に Tears in Heaven の考察を終わります。

読んでくださったみなさん、ありがとうございました。

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- Quoted from Wikipedia -
In an interview, Will Jennings said: "Eric and I were engaged to write a song for a movie called Rush. We wrote a song called 'Help Me Up' for the end of the movie... then Eric saw another place in the movie for a song and he said to me, 'I want to write a song about my boy.' Eric had the first verse of the song written, which, to me, is all the song, but he wanted me to write the rest of the verse lines and the release ('Time can bring you down, time can bend your knees...'), even though I told him that it was so personal he should write everything himself. He told me that he had admired the work I did with Steve Winwood and finally there was nothing else but to do as he requested, despite the sensitivity of the subject. This is a song so personal and so sad that it is unique in my experience of writing songs."


- My translation -
インタビューで Will Jennings はこう語っている。「Eric と僕は Rush という映画の曲を制作していたんだ。映画の最後のシーン用に "Help Me Up" という曲を書いたんだよ。そしたら Eric は映画の中の別の箇所を見て僕に言った。「息子についての歌を書きたい。」と。Eric は1回目の詞を書いて、僕はそれがすべてだと思ったんだ。そしたら彼は、残りの詞とつなぎのところ("Time can bring you down, time can bend your knees...")を書いてくれないかって。僕は、とても個人的な内容だし、君自身で書けよって言ったんだけれどもね。彼は、僕が Steve Winwood とやったときの作品がとてもよかったと言っていた。だから、繊細な内容ではあったけれど、最終的には彼の要望通りにするしかなかったよ。この曲はとても個人的な内容でとても悲しいものだ。それゆえに僕のこれまでの曲作りの中で他と一線を画すものになったんだ。


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by ladysatin | 2013-11-20 21:12 | Music & English_2 | Comments(19)