またまたお友達からおもしろい質問が。

友 「なあなあ。seem to の使い方なんやけど。。。」
私 「ナンデッか?」
友 「seem to の後ろにくる動詞は状態を表す動詞だよね?」
私 「普通はそうやろうけど、動作を表す動詞もくるよ。」

と言って、ジーニアスの例文をあげました。

★ジーニアス先生の説明
(seem to do の使い方)
動作を表す動詞の場合は、進行形・完了形にする。
He seems to move to Osaka.は不可であるが、It seems that he will move to move to Osaka. He seems to be moving [have moved] to Osaka. (彼は大阪に引っ越す[した]ようだ)は可。

そしたら彼女はこんな文を持ってきよったのです。
He can never seem to finish this task
「彼はこの任務を終わらせることができないようだ。」

友いわく
「finish は動作を表す動詞なのに to の後ろに動詞の原形が来ているのおかしくない?
to be finishing にすべきよね?」

なるほど。ジーニアスに書かれていることと矛盾します。
さて、どうしよう?
この文は正しい?正しくない?

そう、正しいですよね。
確かにジーニアスには上のように書いてあるのですが、この場合は seem to ではなく、cannot seem to の使い方になります。

cannot seem to do の意味 - 「することができないように思われる」
つまりこの意味において to 以下は動作を表す動詞を使うことができます。

なぜでしょうか?
それは 「can できる」が状態だけでなく、動作も言及することができるからなのですね。
ジーニアスには can を使った用例までは載ってなかったみたい。

プログレッシブ英和中辞典には記載があるようです。
→ http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/1/1na/064122000/
「can't seem to do」では非状態的動詞を自由に用いる:
I can't seem to solve the problem. 「その問題が解けそうにない。」

solve は動作を表す動詞ですが、全く問題なし。

友人も納得してくれました。

さてこの質問を受けて思ったことがあります。

ほんの少しの違いで語法が変わることがあるということ。
一つ覚えたことがすべてにあてはまらないことが、英語を勉強していく中で多々出てきます。
だから英語の勉強は面白いのですが、これがいやになる人は挫折することもあります。

友人はとてもまじめな人です。彼女は先に、「seem to の後ろにくる動詞は状態を表す動詞」という決まりを学習したので、cannot seem to do の場合もその規則にあてはめて考えたのです。辞書には嘘はもちろん書かれていないわけですが、すべての情報を網羅しているわけではありません。だから、一つ一つを根気よく調べて自分のものにしていかなくてはならないということなのでしょう。

言葉というものは生き物なので、ひとくくりに出来ない場面が多くでてきます。だから、すべてのケースを網羅した書物を作ること自体が不可能ですよね。

この件で友人は「英語の勉強の仕方がようわからん」と言っていましたが、わからなくていいんです。一つ一つ出てきた問題を真剣に調べてみて、ちょっとずつ自分のものにしていくことが、結局、自力をつけることにつながります。

私はこれまでそうしてきたし、間違っていなかったと思っています。

英語の習得に魔法のような方法なんてないです。
教材はデジタルになっても、人間の脳みそはアナログのまま。

地道な努力しかないですよね。
by ladysatin | 2013-06-28 22:54 | 英文法_English Grammar | Comments(0)

preferable vs. desirable

今日は語法のお話です。

日本語では同じような意味に思えるのに、ニュアンスが違う単語って英語には結構ありますよね。

その一例として preferabledesirable をみてみます。
どちらも概ね「望ましい」と訳すことが多いと思います。

以前、ある人から質問がありました。
契約書関係では「~することが望ましい」というときに、It is preferable は出てきても、It is desirable はあまり出てこないとのことで、なぜでしょうということでした。

例えば、「当該の情報の利用は業務従事者に限定することが望ましい」という文です。

こういうときニュアンスの違いを確かめるには、英英辞典を調べると一発でわかるときがあります。

040.gifLongman で調べてみました。
すると、言外の意味が異なることに気づきました。
以下が記載文です。

★ preferable
better or more suitable

例文)For this dish, fresh herbs and garlic are preferable.
この料理には、新鮮なハーブやにんにくが望ましい(=より適している)。

★ desirable
Something that is desirable is worth having or doing.

例文)The ability to speak a foreign language is highly desirable.
外国語を話す能力は非常に望ましいものだ(=もっている価値がある)。

このように preferable には元々比較の意味があり「(より)望ましい、(より)適している」という意味になるのに対し、desirable は何かとの比較の意味合いはなく「望ましい」という意味の裏に「~の価値がある」という含意があるのですね。

したがって元の文「当該の情報の利用は業務従事者に限定することが望ましい」に関しては、「業務従事者」とその他の「利用者」を比較していると考えられるので、preferable が適切と考えて良さそうです。

一つの単語を選ぶのにも一苦労しますが、困ったときの英英辞典は頼もしい助っ人です。
by ladysatin | 2013-06-27 22:53 | 語法_English Usage | Comments(0)

お客様のための翻訳

私の勤務先は、家電や工業用機械の取説やサービスマニュアルの制作を主にやっているので、翻訳業務もその系列が多いです。こういう取説の翻訳には Trados(トラドス)という翻訳のアプリケーションを使うのですが、これがないと大量の翻訳は無理だなあといつも思っています。

Trados については翻訳者の方や翻訳者を志望している方はご存知だと思います。
またいつかの機会に Trados のことは書こうかなと思っています。

さて、今日は翻訳をしていて、これ今日の記事のトピックにしようかなと思った題材があったので、書いてみます。

仕事で以下の日本文を英文にしなくてはなりませんでした。

●microSD カードスロットのカバーを閉じていない状態で、充電池パックを無理に挿入しないでください。
 microSD カードスロットを損傷することがあります。


何だかよく目にする文ですね。パソコン関連、モバイル関連の取説に出てきそうな文言です。
さて、これをどう料理しようかと思いました。(-_-)ウーム

一番最初に思いつくのは、やっぱり直訳かな。
以下のように3つのパートに分けるといいかなと思います。

①microSD カードスロットのカバーを閉じていない状態で
②充電池パックを無理に挿入しないでください。
③microSD カードスロットを損傷することがあります。


ではやってみましょう。

①microSD カードスロットのカバーを閉じていない状態で
ここは付帯状況のwithを使うとよさそうです。すると...
With the microSD card slot cover not closed (closedは過去分詞)

付帯状況は高校で勉強しますね。
「窓を開けた状態で」 with the window open (このopenは形容詞)
「プログラムを走らせた状態で」 with the program running (runningは現在分詞)

「with + 人・物 + (現在分詞・過去分詞・形容詞)」で表します。
とっても大切な文法項目です。

②充電池パックを無理に挿入しないでください。
この構文自体は中学英語です。ただの命令形ですから素直に書けばいいですね。
do not forcibly insert the rechargeable battery pack.

③microSD カードスロットを損傷することがあります。
これも受動態のシンプルな形でいい。
The microSD card slot may be damaged.

「~することがあります」は may や can を使うと簡単。
取説では may が圧倒的に多いです。

ここまでできたら、①+②+③をそのままつなげます。
With the microSD card slot cover not closed, do not forcibly insert the rechargeable battery pack.
The microSD card slot may be damaged.


このように二つの文がきれいにできました。
バッチリです。
素直な文です。

しかし。。。"o(-_-;*) ウゥム…

私はこの文では満足できず、構文自体をごろっと変えてしまいました。

さてなぜでしょうか?

実はこのまま使おうかなと思ったのですが、ちょっと不満な点がありました。
それは「この文は一体何を言いたいのか」ということです。
見ればわかる通り、これはお客様への注意喚起の文なんですね。

「microSDカードを閉じていない状態で」とは「開けた状態で」と同じ意味ではないですか。それなのに、なぜ、日本語を作った人は、こんなまどろっこしい言い方にしたのだろうと思ったのです。さらに、そのあと「挿入しないでください。」となっていて、否定語が2回も出てくるのがウザイですよね。

「閉じていない」「挿入しない」
こういう言いかたせずに肯定文でかきゃーいいじゃん!... と思ったのです。

なので、私は以下の文に書き換えました。

Make sure to close the microSD card slot cover before inserting the rechargeable battery pack.
Otherwise, the microSD card slot may be damaged.


この文の意味はこうなります。
●充電池パックを挿入する前に、必ず、 microSD カードスロットのカバーを閉じてください。
 そうしないと、microSD カードスロットが損傷することがあります。


元の日本文と言いたいことは同じです。しかし、書き方の違いがあるんです。
「~しないで~しないでください。」

「~してください」
の違い。

どちらがストレートにお客様に伝わるかと考えたときに、私は後者だと思いました。
お客様が知りたいのは「じゃあどうすればいいの?」ということです。
この場合は「カバーを閉めてね」ということ。

取説というのは、お客様の頭を混乱させてはいけないのです。
ストレートに「こうするんでっせ」と言われることがお客様は一番ありがたい。

確かに直訳は基本です。私は、すべて翻訳は直訳からと思っています。
しかし、改良の余地があると思ったら、意味が全く同じであれば、わかりやすい方を選ぶべきだと思っています。

きれいにちゃちゃっと英文書いてそれで終わりでもよいかもしれません。
しかし、解読に時間がかかる取説ほど読みたくないものはありません。

英語のネィティブの人が読む取説ですから、「これ、へったくその日本人が書いた英文やな~」と思われないように、出来る限りの知恵は働かせようと思います。

いつも思うのは、自己満足になってはいけないということです。
これでいいと思ったら、そこから先の成長はないんじゃないかって思う。
もっと上手な翻訳がしたいし、もっと英語と深く付き合っていきたいと思っています。

001.gif
by ladysatin | 2013-06-24 22:08 | 日英 Translation | Comments(22)

Let me know when you arrive.

今日は文法のお話です。

Let me know when you arrive.

単純な英文ですが、この意味って何だろう?

以前、生徒から質問を受けたのです。
太郎君としましょう。

太郎は、この英文は二通りに解釈できると言うのです。
彼が言うには下記の①②なんですと。。。

①「着いたら教えてね。」
②「いつ着くか教えてね。」


お~、なるほど。
①はwhen you arriveを副詞節としてとらえていますね。
②はwhen you arriveは名詞節という解釈です。

なんか、両方とも正しいような気がします。
皆さんはどう思います?

この答えは①はOK。(^0^ゞ

しかし

②は。。。バツです。 (T∇T )

①が正しいのはわかりますよね。

問題は、なぜ②がだめなのかということ。

②の意味「いつ着くか教えてね。」にするには
Let me know when you will arrive.
としなければなりません。

なぜか?

2文に分けて考えるといいです。
Let me know.
When will you arrive?


これを合体させますので will は生きたままなのです。

皆さんの辞書に書いてあります。
間接疑問の名詞句(節)を導く用法です。

ジーニアス先生の例文は
I don't know when she will begin next time.
「彼女が今度いつ始めるのかは知らない」
....she begins ...は不可。(ブーっ)

とのことです。

ただし例外もあるでしょう。
定期的な話であればwhen以下を現在形にして名詞節にすることも可能だと思います。

例文)
Do you know when she usually arrives at school?
「彼女が普通はいつ学校に着いているか知ってる?」

ただ、この場合はwhenよりwhat timeを使って
Do you know what time she usually arrives at school?

とする方が自然ですね。035.gif


by ladysatin | 2013-06-14 22:46 | 英文法_English Grammar | Comments(0)

今日は文法書のお話です。
ちょっと前に「文法書の選び方についての私見」というタイトルで記事を書きました。

私は仕事柄、おすすめの文法書は何ですかとよく聞かれます。

この質問への回答は結構難しい。上の記事でも書きましたが、文法書や参考書の類は、個人との相性があると思っています。なので、結論、書店で手にとって直感で選ぶのが一番かなと思います。というのは、日本で売られている文法書はどれも立派な先生方が書かれていますので、内容として「これはあかん」というものはないです。

それでもやっぱりどれか一つ選んでほしいと言われるときがあります。
そのとき、私がいつもお勧めするのが「桐原書店の Forest」です。

「ああ、定番ですなあ」という声が聞こえてきそう。

定番は定番なのですが、この定番の文法書を、あまり言及されてこなかった視点で今から考察してみたいと思います。

Forest という文法書は1999年に初版が出ました。当時の英語教育業界では、Forest はかなり好意的に迎えられたようです。それまであった文法書のイメージは「堅苦しい、わかりにくい、面白くない」など、ページを開きたい気持ちにならないものだったのですが、Forest は違っていました。文法事項がわかりやすく記載されていることに加え、イラスト入り、カラー刷り、ソフトカバーといういでたちで登場したものだから、売れないわけがなかったのかなと思います。元々は高校生用に作られたものだと思いますが、今では社会人にも広く認知され、売上300万部を突破したという、文法書では他を寄せつけない人気と実力を兼ね備えています。

なので、私がここで宣伝する必要もない本なのですが、この本が何故売れるのかという理由については、内容の良さもあるのでしょうが、他にもあると思っています。

実は、Forest には他の文法書と全く違うところがあるのです。

それは「改訂の頻度」です。

現在の Forest は第6版。ということは、初版が1999年に出て以来、5回もの改訂を行っているということです。たかが改訂と思う方が多いかもしれませんがこれは驚くべきことだと思います。

いわゆる文法書というものは、めったに改訂されません。改訂されたとしても数十年後にあるかないか。それは考えてみればわかることなのですが、文法書を執筆している先生方というのは、一流どころの大学の先生がほとんどです。こういった権威のある先生方が、自らの名前を出して出版するからには、途中で中身をころころ変えるわけにはいきません。初版を完成形で出すのが基本なのですね。

Forest は同志社大学名誉教授の石黒先生が監修されていますが、ご本人は著者9名の中に名を連ねていません。著者9名の方々の経歴はわかりませんが、ここで推測できることは、Forest は他の文法書と制作のコンセプトが全く違うのであろうということです。専門家によるプロジェクトチームのような形で作られているものと察しています。

短期のスパンで改訂されているという事実が意味すること、それは「常に内容の見直しが行われている」ということでしょう。

改訂とは中身を変えることですから、刷り増しや重版と異なり、コストがかかります。改訂しなくても Forest はだまって本屋さんにおいていれば売れる本です。にもかかわらず改訂するのは「お客様のために常に進化」という思いが込められているからだと言えるのではないでしょうか。(実際に、桐原の採用にあたっての応募資格として「変革に積極的に取り組める方」という記載があります。)

私が Forest をお勧めする理由は「売上にあぐらをかかない、常に良いものをという物作りの精神」を感じるからです。文法書に迷ったら Forest を買えば間違いないと思っています。英検1級、TOEIC900超えくらいを目指すのであれば Forest で十分です。Forest と完全準拠問題集「解いてトレーニング」を一緒に勉強したら、文法の勉強はこれで終わりです。

Forest では物足らないのよとおっしゃる方はもっと分厚いのを買ってもいいと思いますが、Forest を一冊制覇するのも並大抵のことではないです。ましてや、予備校の先生を目指していない限り、これ以上文法の勉強に時間を費やす必要はありません。

英語の学習は文法だけではありません。ほかにすべきことがたくさんあります。

ついでながら、桐原書店という出版社(株式会社ピアソン桐原)は、高校や大学の英語教材を出版している会社で、高校英語の教科書も制作しています。あの英英辞典の Longman を出版するピアソン社の傘下に入り、2010年には正式に合併しています。

さて、私が今回このような記事を書いたのには、もう一つの理由があります。

昨今の奇をてらったようなタイトルや副題で、売上を狙う本や出版社も多いのが現状です。ちょっと前にも真面目な英語教育者や英語学習者を揶揄するような本が出ました。本が売れない時代だからといって、中身が何もなく、売るためには何を書いてもいいという風潮があるのは、とても残念なことだと思っています。

その一方で、英語教育に真摯に向かい合い、英文法に悩む人々を救うべく良書を作り続けている会社があることに、英語に携わるものとして、私はとても気持ちが救われる思いがしています。
by ladysatin | 2013-06-11 22:50 | 英語学習のヒント_Tips | Comments(0)

deep な関係詞

今日は関係詞のお話です。^^

関係詞というと、まず最初に関係代名詞を学習すると思います。
今、関係代名詞って何年生で習うものなんでしょう?
中2?中3?
いつ習ったか私はもう覚えていません。
高校じゃないですよね。。。

ま、それはさておき。。。

この文から見てくださいね。

1) You can choose books which you want to read.

この文は見てわかるとおり、関係代名詞の目的格ですね。

この文をちょっといじってみましょう。
books whichをひっくり返したらどうなるかな?

こんな文ができますね。

2) You can choose which books you want to read.

この文は正しいでしょうか?という問題です。( ̄ー ̄?).....??

ところで、「which+名詞」の形は、普通はこんな風に使われます。
Which book do you want? どの本がほしいのですか?
Which girl was that? それはどちらの女の子でしたか?

これは文法用語でいうと「疑問形容詞」ですね。

この疑問形容詞を平叙文の中で使うのは次のようなときです。
I know which apartment she lives in.
「彼女がどのアパートに住んでいるのか知っています。」
I was told which book I can borrow.
「どの本を借りることができるか教えてもらいました。」

そこで、疑問形容詞だと考えて2)の文に意味をあてはめてみましょう。
2) You can choose which books you want to read.
「どの本を読みたいか、あなたは選ぶことができる。」
となりますが、へんてこりんな意味になってしまいましたね。
ということは2)は誤用なのでしょうか?

これもかつて生徒から質問された問題でした。

実は、この文は正しいのです。
「which+名詞」の形は、疑問形容詞としてだけでなく「複合関係詞」としての用法があるのです。
「複合関係詞」ってなんかややこしそうですが、要はwhicheverの代用としての用法なんですね。

ランダムハウスを調べてみたところ「強意の複合関係詞」と書かれてありました。
例文a)Use which method you prefer. どれでも君のいい方法でやりなさい。
例文b)You may take which book you like. どれでも好きな本を取ってよろしい。

上記例文aと例文bのwhichはwhicheverと置き換えて使うことができます。

ただし、訳は異なります。

では最初の文に戻って比較してみます。

1) You can choose books which you want to read. 
「あなたは読みたい本を選ぶことができる。」

2) You can choose which books you want to read. 
「あなたは読みたい本をどれでも選ぶことができる。」

「どれでも」のところが「強意」になるので、ランダムハウスは「強意の複合関係詞」という説明をしているのですね。

この使い方は英字新聞などではよく出てきますので、注意した方がいいかなって思ったので今日のトピックとしました。
by ladysatin | 2013-06-10 22:47 | 英文法_English Grammar | Comments(0)