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experience に関する一考察

以前、同格の that 節がとれない名詞についての考察 という記事を書きました。


この記事で私は、「case がなぜ同格の that 節をとれないのか」について考察しました。


今日は、もうひとつ、experience が同格の that 節をとれないのはなぜなのか」について、考えてみたいと思います。

これは、私にとって長年の疑問なのですが、なぜダメなのかを解説してある文献が、全くありません。


experience は同格の that 節をとれないのだと、機械的に覚えるのもよいと思います。しかし、ダメには何か理由があるはず。そう思うとやはり追求したくなります。

私は一技術翻訳者にすぎないので、この記事でその答えを解明するまでには至らないかもしれません。しかし、考える価値のある問題だと思います。何故ならば「experience + that 節」の誤用は至る所で見るからです。それほど違和感なく使われている(特に日本人の英語学習者の間で)といってよい思います。


この記事は、experience が同格の that 節をとれないのはこの理由ではないかと、私個人が考察した内容を記述するものです。皆様にも考えていただければ幸いです。


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同格について(ロイヤル英文法 P130 より引用)

名詞または名詞相当語句をほかの名詞または名詞相当語句と並べて補足的説明を加えることがある。この関係を同格と呼ぶ。(引用ここまで)

では、ここから具体的な英文を作ってみます。

「私は英語を5年間教えた経験がある。」を英文にします。
I have the experience of teaching English for five years. – 正 〇
I have the experience that I taught English for five years. – 誤 ×

が正しくは間違いです。
...をした経験がある」というときは experience of 動名詞 の形にしなくてはなりません。
しかし、
のようにexperience + that 節」の誤用は、実際多く見受けられます。

同格の that 節の用法とは、「先行する名詞の内容を、それに続く that 節が説明する」というものです。したがって、
が成立するには、the experience の内容を that 節が説明している必要があります。

そこで、私はこう考えてみました。

<②がダメなのは、the experience の内容を that 節が説明していないからだろう。これを証明できれば、 experience が that 節を従えることができない理由が導き出せるのではないか。>

そこで、experience の定義を、英英辞書で調べました。
そしたらちょっと面白いことがわかりました。

experience
には様々な用例がありますが、以下は、
の英文に当てはまると思われる説明文です。
いずれも不可算名詞 [uncountable] の用法です。

●Longman
の記載
experience: knowledge or skill that you gain from doing a job or activity, or the process of doing this
仕事や活動、またはこれを行なう過程から得る知識や技能

e.g.) You’ve got a lot of experience of lecturing.
e.g.) He had no
previous experience of managing a farm.

●Merriam-Webster
の記載
experience: skill or knowledge that you get by doing something
何かを行なうことで得る技能や知識

e.g.) She gained/acquired a lot of experience at that job.

●Collins COBUILD の記載
Experience is
knowledge or skill in a particular job or activity, which you have gained because you have done that job or activity for a long time.
experience
とは、ある特定の仕事や活動の中で、それらを長期間行ったがゆえに得た知識や技能のことである。


e.g.) He has also had managerial experience on every level.

以上が、辞書の定義です。

072.gifこれらを見て、英英辞典の記載に共通点があることがわかりました。

それは、experience
とは knowledge(知識)でありskill(技能)だということです。
しかも、gainする(得る)ものだということなのです。

experience
は日本語で「経験」と訳されますが、私達が「経験」というとき、「過去に自分がしたこと」と捉えがちではないでしょうか。少なくとも私はそうでした。しかし、今考えると、それは私が浅はかだったというより他はありません。なぜなら、日本語の「経験」にも「知識や技能」が意味として含まれているからです。

●広辞苑における「経験」の定義の一つにこう書かれています。
「何事かに直接にぶつかり、そこから技能・知識を得ること」

このように、英語の experience に対し、日本語の「経験」を訳語にあてることは全く正しいことがわかります。

そして、ここまで見てきてようやく私は思いました。
experience
は同格の that 節をとることはできないであろうと。

なぜならば、experience の中身を that 節で説明などしていないからです。
もう一度、
の文を見てみましょう。
I have the experience of teaching English for five years.

この文は「私は英語を5年間教えた経験がある。」と訳してかまいませんよね。

しかし、この文がもつ本来の意味は、「私は、5年間英語を教えたことから得た知識や技能をもっています。」ということです。これは、上の辞書の定義からも明らかであろうと思います。

つまり、ここで使われている the experience とは、「得たもの」すなわち「成果物」というとらえ方ができるのではないでしょうか。5年間英語を教えたことを通して、the experience が生じたということです。だから、同格になりようがないのではないかと、私は思うに至りました。

違う視点から見てみます。
以下は、同格の that 節を使った典型的な文です。

I was surprised at the news that she won the game.
彼女が試合に勝ったという知らせを聞いて驚いた。

that 以下(彼女が試合に勝った)は、 the news(知らせ)の内容を具体的に説明しています。

一方、
の文をもう一度見てみます。
I have the experience that I taught English for five years.

②の文は、that 以下は the experience を説明していません。that 以下は the experience を得るために行った内容です。つまり the experience をもたらした要素と考えることができると思います。だから、同格とみなすことはできない。故に、同格の that 節を使うわけにはいかないということではないかと、私は思うに至ったのです。

皆様はいかが思われるでしょうか。

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最後に、このサイトの記述を取り上げたいと思います。

→ http://www.ravco.jp/cat/view.php?cat_id=5022


(ここから引用)

○ Tom had the sad experience of losing her wife.
× Tom had the sad experience that he lost her wife.


同格の of は、「行為」「経験」「習慣」等の意味を表すような名詞の説明によく使われます。一方、同格のthat 節は、「伝達」「考え」「認識」の意味を表すような名詞の説明によく使われます(名詞節の同格の項を参照)。上記の experience 以外にも、下記の名詞は、同格のof を使用し、that 節は原則的に使用しません。(引用ここまで)

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このサイトによると experience は 同格の of を使い、同格の that 節は使わないと書かれています。しかし、私はこの記載には納得できないでいます。というのは、ここの記載は明らかに、「experience of 動名詞」を同格表現として説明しているからです。一方私は、experience は「of 動名詞」を要素とする成果物だと考え、同格表現とはとらえていません。理由は上に述べた通りです。


このように、この of は同格の of ではなく、[材料・構成要素]を表す of と考えるのが妥当ではないかと、私は思いました。


●ジーニアス英和大辞典で of を引くと、9a にあります。

[材料・構成要素] …で作った、・・・から成る

これに当てはめて考えると、①は「英語を5年間教えたことで出来上がった experience」のような感じです。


以上、experience について考察しました。


ご感想やご意見がありましたら、コメント欄にお願いいたします。075.gif



by ladysatin | 2017-01-29 16:22 | 英文法_English Grammar | Comments(10)

新幹線のアナウンス

以前勤めていたところでは、出張が多かったです。移動は新幹線がほとんどでした。フリーランスになってからは、新幹線に乗ることもさっぱりなくなりました。先日、半年ぶりくらいに所用で新幹線に乗りました。なんだかうれしかった。

その時久しぶりに聞いたアナウンスです。

We will be stopping at Shin-Kobe station before arriving at Shin-Osaka terminal.
「新大阪に着く前に、新神戸に停まります。」という意味ですね。

さて will be stopping に注目してみましょう。

We will stop でも We are going to stop でもない。
なぜ、We will be stopping なんだろうって思いませんか。

ここでは、未来を表すのに will be stopping と表現されているのです。

ということで、今日は未来表現について少しだけ書いてみたいと思います。

新幹線のアナウンスで使われている will be stopping は、形の上では未来進行形になりますが、ここに進行の意味はありません。

これについて現代英文法講義では、以下のように解説されています。
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個人の意思とは無関係に、自然の成り行きで(as a matter of course)出来事が起こるという意味を表す。この場合は、進行相の含意はない。ひと口で言えば、<予定>を表すとしてもよい。(引用ここまで)
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この記載でいえば「自然の成り行きで(as a matter of course)」というのがポイントかなと思います。

① We will be stopping at Shin-Kobe station before arriving at Shin-Osaka terminal.
この文では、Shin-Kobe しか書いていませんが、他にも駅名を入れることができます。

①’ We will be stopping at Kokura, Hiroshima, Okayama and Shin-Kobe stations before arriving at Shin-Osaka terminal.
つまり、新大阪に着く前に、小倉、広島、岡山、新神戸に、自然の成り行きで停車しますよということが言いたいのです。

では、その他の未来表現を使うとどうなるんでしょう。
思いついただけでもこれだけあります。↓

② We are stopping at Shin-Kobe station.
③ We will stop at Shin-Kobe station.
④ We are going to stop at Shin-Kobe station.
⓹ We are to stop at Shin-Kobe station.
⑥ We stop at Shin-Kobe station.

それぞれのニュアンスの違いを考えてみたいと思います。

② We are stopping at Shin-Kobe station.
この文は近接未来を表しています。「まもなく新神戸に停車します。」という意味です。

これについて現代英文法講義には、stop という動詞の性質に切り込んだ記載があります。

まず、動詞には、大きく分けて状態的動詞と非状態的動詞があり、非状態動詞は完結的動詞と非完結的動詞に分けられます。さらに、完結的動詞は瞬時的動詞と非瞬時的動詞に分けられます。そして、同書には、瞬時的動詞の例として jump、非瞬時的動詞の例として stop の例文が上げられています。

引用します。
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He was jumping for joy. (彼は喜んで(何度も)はね回っていた)[瞬時的]
The bus is stopping. (バスは止まりかけている)[非瞬時的]
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このように、瞬時的動詞と非瞬時的動詞は、進行形になったときに、明らかな意味の違いがあるんですね。瞬時的動詞の jump が反復を表すのに対し、非瞬時的動詞の stop は「…しかけている」という意味になります。

また同書には「非瞬時的動詞は進行形になったとき、「推移的」(transitional)な意味を獲得する」とあります。

②の文に戻ると、「新幹線は速度を落としながら、新神戸に到着しつつある」というイメージがわいてくるのではないでしょうか。

このように見てくると、①‘のWe will be stopping を We are stopping に変えると、意味が変わるというより非文になってしまいますね。小倉、広島、岡山、新神戸の4つの駅に同時に到着しつつあるという意味になってしまうからです。

③ We will stop at Shin-Kobe station.
will を使った文は中学生のときに習いますね。
単純未来と意志未来の二通りに解釈することが可能です。

●単純未来
話者や主語の意志に関係なく、未来に起こると予測される事柄を表します。
③の will stop には、will be stopping のように「自然の成り行きで」という含意はありませんが、①や①‘を will stop にしても文として成立しますね。また、ただ未来のことを言及しているにすぎませんから、必ずしも新幹線に乗っていなくても使えます。例えば、新幹線に乗るのが今日として、1週間前の発話でも問題ないと思います。

●意志未来
話者の意志と考えると、「新神戸に停まってみせる」のような感じでしょうか。

④ We are going to stop at Shin-Kobe station.
be going to の用法については、英文法解説の記載がわかりやすいと思いました。

引用します。
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A. 近い未来の予測
通例何かが起りそうな徴候があり、その徴候から判断して近い未来に「~しそうだ」という話者の予測を表す。

B. 前もって考えていた意図
日本語の「~するつもりです」に相当し、その場で思い立ったことではなく、前から考えていた意図・計画などを表す。
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ということは、④を A に当てはめて考えると、「新神戸に停車しそうな徴候がある」ということです。どんな時に使えるかな?例えば、本来は新神戸には停車しない新幹線だけど、台風が直撃し最寄りの駅に一時停止しなくてはならなくなった場合だと be going to が適切だと思います。

B に当てはめると「新神戸に停車するつもりです」となります。例えば、ダイヤ改正で新幹線の停車駅について協議をしている場面だったら、こんな発言が出てきてもおかしくないかもしれません。

⓹ We are to stop at Shin-Kobe station.
「be to + 不定詞」は一般に、取り決めを表しますよね。この文だと「新神戸に停車することになっている」という意味になると思います。

⑥ We stop at Shin-Kobe station.
現在形の stop を使うと、確定した未来になります。変更の予定がないとき、ほぼ確実にそのことがおこる場合に使いますね。

確定した未来については、過去の記事で取り上げたことがあります。
Guns N' Roses の Sweet Child O' Mine の有名なくだりで、Where do we go? が繰り返し出てきます。
この Where do we go? の正体こそ、確定した未来なのです。

よかったら参考までに。→ Sweet Child O' Mine - Guns N' Roses 訳詞考察(2回目)

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今回は、新幹線のアナウンスをきっかけに、未来の表現について考えてみました。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2016-09-25 20:12 | 英文法_English Grammar | Comments(2)

接続詞の where

久しぶりに文法のトピックです。

先日、知人から受けた質問なんですが、興味深いものだったので、皆さんとシェアしたいと思います。
よろしかったらお付き合いください

以下の英文が、何かの参考書に載っていたらしいです。
★We have to rent a car where we are visiting next week.
「来週の訪問地では、車を借りなくてはなりません。」

「ふむふむ。それでどうした?」って思ったのですが、知人から「この where は何なの?」と質問されました。彼女は最初、この where は「関係副詞の先行詞省略」だと思ったそうですが、馴染みのある先行詞省略の形じゃないというのです。例えば、This is where I live. とか Stay away from where a fire is occurring. などとは違うと。それで、関係副詞ではないのではと思ったというんですね。

皆さんはどう思いますか?

私の答え…

この where は接続詞では?

知人にそう言ったところ、「where が接続詞?」と驚いていました。それもそのはずで、高校英語では学習しないため、where に接続詞の用法があることを知らない人が多いんです。また文法書でも、where の接続詞の用法については、あまり詳しく書かれていません。Forest では案の定、スパッと割愛されています。この用法は、ちょっと盲点かもしれません。

実はこの問題における where の用法については、関係副詞という考え方と接続詞という考え方があります。私自身は、この where を関係副詞でないと断言することまではできないのですが、接続詞と考えるのが妥当だと思っています。というのは、接続詞と考えたほうが論理的に説明でき、また英語を学ぶ人にとっても納得しやすいと思うからなんです。

では、なぜ上の文の where が関係副詞の先行詞省略ではなくて、接続詞と考えるのが妥当だと思うのかを説明させていただきます。その前に関係副詞についてちょっとおさらいしますね。

関係副詞 where の例
a. This is the house where I was born. ここは私が生まれた家です。
この文では言わずもがな where が関係副詞で the house が先行詞です。
関係副詞の where で導かれる節 where I was born は、先行詞 the house を修飾する形容詞節ですね。

次に、関係副詞 where の先行詞が一般的な場所を示す the place のとき、先行詞を省略できることはよく知られています。
b-1. This is the place where I was born.
b-2. This is where I was born.
(先行詞 the place を省略した形)

b-1 = b-2 ですね。先行詞を省略しない b-1 では、where 以下の節は a の例と同じく形容詞節です。一方で、先行詞を省略した b-2 は、where 以下は名詞節となっています。

実はここが重要で、先行詞を省略した where 以下の節は名詞節になるのだということ。
ここをおさえておく必要があります。

最初の方で、私の知人が「馴染みのある先行詞省略の形」としてあげた、This is where I live. や Stay away from where a fire is occurring. なども、where 以下は名詞節になっています。

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●ロイヤル英文法 P657 より引用
先行詞が the time, the place, the reason などのときは、これらは一般に省略される。先行詞が省略されると、関係詞は名詞節を導くことになる。

●現代英文法講義 P201 より引用
when, where, why, how: <略式体>では、関係副詞の先行詞を省略することが普通である。このようにして派生された自由関係副詞節は、名詞節としての機能をもち、特に be 動詞の補語節、前置詞の目的語節として用いられることが多い。
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では元の英文に戻りましょう。
★We have to rent a car where we are visiting next week.

ここの where 以下は何でしょうか?名詞節という考え方はできないですね。We have to rent a car で一旦、文が完結していて、そのあとに名詞節がつながるという形はありえません。この時点で、この where は、いわゆる先行詞を省略した関係副詞でのルールに沿っていないといえると思います。

その一方で、関係副詞の先行詞省略だと主張する人もいます。つまり、先行詞を省略しない形は以下の文だという主張です。
We have to rent a car (at the place) where we are visiting next week.

なるほど at the place が省略されたものと考えたんですね。
しかし、これはよく見ると変ではありませんか?

この文の先行詞は the place です。しかし、その前に前置詞の at があります。この at は先行詞ではありません。確かに at the place が省略されているという考えには賛成です。しかし、これは先行詞の省略ではなく、「前置詞 + 先行詞の省略」になります。ということは、これも関係副詞の先行詞省略とはいえないと思います。

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●ロイヤル英文法 P658 より引用
He found his camera where he had left it. (彼は自分が置き忘れたところにカメラがあるのを見つけた)というような文では、where は in [at] the place where の意味で、<前置詞 + 先行詞>が省略されている。この場合は where 以下は場所を表す副詞節として働いているので、where を接続詞として扱うのがふつうである。
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上記検討してきた結果、以下のように考えられると思います。
◎先行詞が省略された where → 関係副詞
◎前置詞 + 先行詞が省略された where → 接続詞


もう一度英文を書きます。
★We have to rent a car where we are visiting next week.
この文の where の前には at the place (前置詞 + 先行詞)が省略されているため、where は接続詞と考えました。となると、where 以下は副詞節で、We have to rent a car が主節です。このことから where we are visiting next week は、文頭にもってくることが可能になりますね。以下の文です。

Where we are visiting next week, we have to rent a car.
「来週の訪問地では、車を借りなくてはなりません。」

where が副詞節を導く接続詞なので、このように前後を入れ替えても意味は全く同じです。

一方、先行詞を省略した関係副詞 where の文は前後を入れ替えることができません。
意味が変わるという以前に、文として成立しなくなります。
This is where I live. → X Where I live, this is. (非文)
Stay away from where a fire is occurring → X Where a fire is occurring, stay away from. (非文)


このように考察した結果、接続詞の where は、先行詞を省略した関係副詞 whereとは、別個のものだと考えるのが妥当だと私は考えます。

この文も接続詞 where の例です。
Where there is a will, there is a way.
意志あるところに道あり

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最後に、問題の文の where について、関係副詞という考え方もあると先に述べました。いくつかの文法書の記載例をあげておきます。

ロイヤル P658 では、「<前置詞 + 先行詞>が省略されている where は接続詞と考えるのがふつう」だと記載されてはいるものの、同書 P614 では、「where を、先行詞を含んだ in [at] the place where という意味の関係副詞とする見方もある」とも記載があります。

また、英文法解説では、この where を接続詞に含めておらず、関係副詞の項目の先行詞のない用法の中に「副詞節を導く例」として記載してあります。

現代英文法講義では、接続詞の章の P604 に「場所の副詞節」として分類されている一方、同書の P201 では自由関係副詞の項目の「副詞節を導く場合」にも記載があります。

このように where を関係副詞に入れているケースもあるのですが、ここで私が気になるのは「副詞節を導く場合」という表現です。関係詞というものは、そもそも形容詞節を導くものです。よって、例外として副詞節を導くものもあるという説明は、学習者を混乱させるだけだと思うのです。

英語学習については、できるだけ学習者の胸にストンと落ちる解釈であるに越したことはありません。そう考えると、where 以下が形容詞節の場合が関係副詞、副詞節の場合が接続詞と考える方が、すっきりと理解できるものと思います。

今回は、接続詞の where について考えてみました。

おわり 001.gif
by ladysatin | 2016-08-16 21:53 | 英文法_English Grammar | Comments(6)

関係副詞 where の盲点

関係副詞といえば、when, where, why, how がすぐに思いつきますね。
あと that も前述の関係副詞の代わりに用いられることがあります。

今日は関係副詞の where について書きたいと思います。

早速ですが、以下の文をちょっと見てください。
①Sometimes I have a moment where I feel happier than I used to.

意味は「時々、私は以前より幸せだと感じる時がある」となるでしょう。moment は「時」ですよね。

さて、この英文を見て皆さんはどう思いますか?
先行詞 a moment に対し関係副詞 の where が使われています。

ということで、またある人から質問をいただきました。
072.gifa moment は「時」を表していますが、なぜ関係副詞の when ではないのでしょうか。

ええ、確かに when でよさそうです。では、when を入れてみます。
②Sometimes I have a moment when I feel happier than I used to.

これも意味は「時々、私は以前より幸せだと感じる時がある」でいいでしょうね。
全くおかしなところはありません。

では、moment where は間違いなんでしょうか?

ちなみに moment when でググると 33,900,000件、moment where だと 3,570,000件という結果でした。moment when の方が圧倒的に多いです。しかし、Google の件数の差からどちらが正しいなどと、短絡的に結論づけることはできないです。意味に違いがあるときに件数で比較しても何の意味もありませんから。moment を「一点の時」と考えたら moment when しかありえません。ここで調べたのは、moment where がごく普通に使われている表現だということを知るためです。moment where の3,570,000件という数字はそれを物語っています。

ということは、①と②の英文はどちらも正しいといえると思います。ただ意味が違う。
その違いを探りたいと思います。

まず、when を使った場合は、まさに「時」を表します。
moment なので「瞬間」でもかまいません。「幸せと感じる瞬間」でも意味は通じます。

では where はどうでしょう。辞書を見てみます。
すると、関係副詞の where は「場所」以外を先行詞とすることができることがわかります。

ジーニアスより引用します。
●where
[制限用法;場所・場合、時に局面・時代などを表す語句を先行詞にして] ...するところの
《◆ in [at, to] which で置き換え可能》

例1)There are cases where no treatment can be of any avail.
どんな治療もまったくききめのない症例もある。

例2)We live in an age where traveler's checks and credit cards are the norms for most international travelers.
今やトラベラーズチェックやクレジットカードがたいていの国際旅行者の規範となっているご時世である。

moment についても調べてみました。こちらもジーニアスから。
●moment
[通例 a/the ~](特定の)時、次期;好機、大切な時期;(...する/...の)時、場合(to do/for)

このように、where で「場合」を表す語句を先行詞とするとあり、moment にはまさに「場合」の意味があることから、moment where は正しい用法であることがわかります。

moment を「場合」の意味で使っている例文がありました。
例3)There’s not a [one] moment to lose.
ぐずぐずしているひまはない。(=ぐずぐずしている場合ではない)

ではもう一度①を見てみましょう。
①Sometimes I have a moment where I feel happier than I used to.

初めに「時々、私は以前より幸せだと感じる時がある」と訳しましたが、上記の考察から、この英文は「時々、私は以前より幸せだと感じる場合がある」とした方がより適切だと思われます。

「より適切」としたのは、「幸せと感じる時」でも意味がとれると思うからです。つまり、この moment を「時間的な空間」と考えると、「時」という訳語を付けることに不都合はありません。かつ「空間」なので where を使ったというロジックも成立します。

<まとめ>
このように見てくると、moment に対し when を使うのは、「時」といっても「瞬時から比較的短い時間」に言及するときという考え方ができると思われます。一方の where は時間の概念は根底にはあるものの「さまざまな場面や場合(occasion)」に言及する際に使うというニュアンスの違いがあるように思います。

ついでながら、The Phantom of the Opera の中の The Point of No Return という歌の中に、こんなくだりがあります。
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You have brought me to that moment where words run dry,
to that moment where speech disappears into silence, silence...

あなたは、言葉が尽きてしまうその時へと私をいざなった
話された言葉が静寂の中へと消えていくその時へと...
-----------------------------------------

ここでも「時」という訳語をつけましたが、真意は「時間的な空間」なのだろうと思っています。

いずれにせよ、moment where はごく普通に使われる表現だということを知っておくとよいと思います。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-09-26 15:23 | 英文法_English Grammar | Comments(4)

今日は中学生から受けた質問を取り上げたいと思います。

これは父が私に買ってくれた時計です。

この日本語を「関係代名詞 which を使って英語にしなさい」という問題があります。
皆さんだったらどう書きますか?

英語が得意なマリコさんはこう書きました。
A) This is the watch which my father bought me.

しかし、解答を見てみるとちょっと違っていました。その英文がこれです。
B) This is the watch which my father bought for me.

ほぉ...解答では for が入っていますね。
この問題集には特に解説がなく、この解答だけ載せてありました。

これを見たマリコ子さんは、for が入っている問題集の解答が正しいのはわかったとのこと。しかし、自分の答えも正しいはずだと思ったそうです。というのは A と B は元になっている英文が違うだけで、表している意味は同じだというのが彼女の考えなのです。

つまりこういうことです。

関係代名詞は2つの文をつなぐ役割を果たしますよね。
A と B を関係代名詞を使わず、2文にしてみましよう。
するとこうなります。

A) This is the watch. + My father bought me the watch.
B) This is the watch. + My father bought the watch for me.


どうでしょう。どちらも正しい英文ですね。
ということはマリコさんの英文も正しいということでいいんでしょうか?

さて、皆さんはどう思いますか?早速、検討してみましょう。

A では後半が SVOO の二重目的語構文になっています。
B の後半は A を書き替えた形です。

学校英語では
My father bought me the watch. = My father bought the watch for me.
と習います。

ということは、関係代名詞でつないでも意味は同じになるように思われます。

しかし...

これはやはり問題集にあった B が正しく、A は間違い(もしくは非文法的)になるでしょう。

もう一度A を見てみます。
A) This is the watch which my father bought me.

この英文には二つの問題があります。

まず、関係代名詞節というのは、元の英文の一部が先行詞として前に出ているため、不完全文になりますよね。例えば This is the book which I bought yesterday. という文は I bought the book yesterday. の the book を先行詞として前に出した文です。よって、関係代名詞節の I bought yesterday は目的語が欠落しています。この欠落感というものが関係代名詞節にはあるんですね。

しかし、A の文の関係代名詞節は my father bought me となっていて、あたかも文が完結しているかのように見えます。実際に「私の父が私を買った」と解釈する人はいないでしょうが、見た目は SVO の形になっており、関係代名詞節に特有の欠落感がないということです。これが一つ問題だと思います。

もう一つの問題は、関係代名詞節における my father bought me の me は、二重目的語構文における間接目的語であるにもかかわらず、文が SVO で完結しているように見えるため、間接目的語であることが認知されにくいということです。言い換えると、与格が認知されにくくなっているということになります。

二重目的語構文においては、間接目的語と直接目的語が2つ並ぶことで、与格(~に)と対格(~を)という格付与がなされます。My father bought me the book. という文においては、me(私に)が与格、the book(本を)が対格です。しかし、This is the watch which my father bought me. においては、与格と対格の位置が分断されているため、この両者が見えにくいのです。その結果、my father bought me のところだけ見ると me は SVO におけるただの目的格のように見えてしまうのですね。これはちょっと問題かなと思います。

また、文の意味からいうならば、二重目的語構文では「間接目的語が直接目的語を所有する」という含意がありますが、A の文ではこの意図が伝わりにくくなってしまっています。

一方のBの文はどうでしょう。
B) This is the watch which my father bought for me

関係代名詞節には目的語が欠落しており、先行詞の位置に移動していることが明確です。
また、for を入れることで、me が受益者であることも明確です。

このように見た結果、A の文は不適切となり、B が正しいと判断せざるをえないと思います。

記事のタイトルにも書きましたが、言葉は方程式ではないということなんですね。
そのほんの一例を今回は取り上げてみました。

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さて、せっかくなのでもう少し考察を深めたいと思います。
二重目的語構文の書き替えについてです。

John gave Mary the pen という SVOO の二重目的語構文は、John gave the pen to Mary. というSVO の to 与格構文に書き替えることができると、学校英語で学びますね。しかし、この2つの文は本当に同じ意味なんでしょうか?

実はこの2文は言いたいことが少し違うようなんです。
疑問文にしてみるとその違いが見えてきます。
C) Did John give Mary the pen?
D) Did John give the pen to Mary?


普通はこれらの疑問文では文末が上がって発音されます。言い換えると、文末が強調されるということです。ということは、C においては the pen が、D においては Mary が疑問の対象となっていると考えることが可能です。

つまり、C の意味は「John が Mary にあげたのはペンなのか?」となり、D は「John がペンをあげたのは Mary になのか?」という違いがあることが明確になります。

このように考えると、単純に「二重目的語構文を to 与格構文に書き替える(またはその逆)」と安易に言えなくなるのではと私は思うのです。

皆さんはいかが思われるでしょうか?

あと、二重目的語構文でも与格構文にできない場合も多々あります。
これについてはまた別の機会に書きたいと思います。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-09-12 15:35 | 英文法_English Grammar | Comments(0)

主節が完了形で、それに since 節が続く場合、since 節の時制はどうなる?
おそらくほとんどの人が since 節は過去形になると習ったのではと思います。

たとえば...
He has been working since he left school. 学校を出て以来、彼は働いている。

この文では since he left school の箇所が過去形になっていますね。

そこで最近受けた質問です。
英検の準2級の過去問にこんな問題があったとか。

A: Has Julie phoned you recently?
B: No, it has been a month ( ). She must be working a lot these days.

上記の ( ) 内に以下の語群を正しく並べて入れます。
[her, since, from, heard, I've]

すると答えは since I've heard from her になりますね。
与えられた語群をすべて使うので、これ以外は考えられません。

★It has been a month since I have heard from her.

そこで、この文の since I have heard from her は正しいの?
since I heard from her と過去形にすべきなんじゃないの?という質問なんです。

さてこれはどう考えたらいいでしょう。
●ジーニアスを調べてみました。
------------------------------------------------
[it is C ~... ] ...してから...になる
《◆ (1) C は期間を表す語 (2) 通例主節は現在形で、since 節は過去形 (3) since 節は否定形不可》

例文)It is [has been] two years since I saw Tom last.

I haven't seen Tom for two years. との混同から、It is two years since I have seen Tom. のように
since 節に完了時制を使うことがある
------------------------------------------------

ジーニアスには since 節は過去形と明記されていますが、「完了時制を使うことがある」とあります。しかし、「混同から」というのは私は理解に苦しみます。混同だから完了形はやはり間違いと言っているようにとれますね。

●次に現代英語語法辞典を見てみました。It be...since...の構文を説明している箇所に以下の記載がありました。
------------------------------------------------
since 節では通例、過去形が用いられるが、since 節の現在完了形が過去から現在までの期間中に当該の事態が1度も起らなかったという否定の含みをもつ場合には、現在完了形が用いられる。

例文)It’s been a longtime since I’ve seen Gerald.(ジェラルドに会ってからずいぶん経つ)
------------------------------------------------

これも説明文がややこしいですが、ここで言っているのはこういうことでしょう。
例文の since 節を過去形にして書いてみます。

It’s been a longtime since I saw Gerald.

この文では、過去に私がジェラルドに何度か会ったとして、いつの時点からのことを言っているのかがはっきりしません。今年の3月1日、4月1日、5月1日に会ったとして、最後の5月1日から会っていないという意味になるとは限りません。3月1日からという解釈もできる文なのです。

普通は最後に会った5月1日からと考えるので混乱はないのでしょうが、英文として見たときに、不具合があるということです。よって、完了形にすれば最後に会った時からということが明確になるという訳ですね。そのことが書かれているのです。

では since 節は過去形では書けないのかというと、もちろん書けます。
最後に会ってからということが明確になればよいわけですから、last を付ければいい。

It’s been a longtime since I saw Gerald last.

これが一番、私たちが目にするパターンですね。

ということは、同じ意味を表すのに2通りの書き方ができるということです。
It’s been a longtime since I've seen Gerald.
= It’s been a longtime since I saw Gerald last.


英検の問題も同様に考えます。
It has been a month since I have heard from her.
= It has been a month since I heard from her last.


以上は、It is/has been ... since の構文の場合の例です。

ついでながら since 節が完了形になるのは、It is/has been ... since の構文以外にも多くあります。
それは、since 節の内容が現在まで継続している場合です。この例を見てみましょう。

Practical English Usage (Michael Swan) には「since 節は意味によって完了形や過去形になりうる」とあります。
例文を引用します。
------------------------------------------------
① I’ve known her since we were at school together.
② I’ve known her since I’ve lived in this street.

③You’ve drunk about ten cups of tea since you arrived.
④You’ve drunk about ten cups of tea since you’ve been sitting here.

⑤We visit my parents every week since we bought the car.
⑥We visit my parents every week since we’ve had the car.
------------------------------------------------

上の例文についての解説は載っていませんでしたが、こういうことでしょう。
①学校に通っていたのは過去のことであり、今は通っていないので過去形。
②今もこの通りに住んでいるので完了形。

③arrive は動作動詞で一時点の行為しか表さないので、過去形が使われている。
 これを完了形にすると arrive が現在まで続いていることになり意味をなさない。
④sit は状態動詞であり、since 節で完了形との共起が可能。

⑤buy も動作動詞で一時点の行為しか表さないので過去形。
⑥have は状態動詞であり、since 節で完了形との共起が可能。

このように、since 節は必ずしも過去形というわけではなく、完了形にせざるをえない場合も多々あるということがわかります。

ということで、今回は since 節の完了形の用法について取り上げてみました。

それにしても英検準2級の問題は侮れないですね。
ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-08-30 16:08 | 英文法_English Grammar | Comments(0)

How many more...? の答え方

今日は比較級のおもしろい問題です。

こんな英文があります。
★How many more foreign students are there now at your school than there were five years ago?

直訳してみます。
「あなたの学校の留学生は、5年前よりも今何人多いですか?」

さて、これに具体的な数を入れてみます。
留学生の人数・・・5年前10人、現在30人

すると答えはこうなるでしょう。
There are 20 more students.

ここまで問題ないと思います。

この英文は、TOEIC の勉強をしている知人の問題集にあったものなのです。
なんてことはない問題のようですが...

しかし問題なんです。

20 (or Twenty)という選択肢がどこにもありません。 (>_<)

その代わりにあった選択肢は...
(A) One-third (B) Double, (C) Three times, (D) Thirty

さて困った。
皆さんはどれを選びますか?
ファイナルアンサープリーズ (^_-)-☆

***************************

答えにいきたいと思います。
まず、(A) One-third と (D) Thirty は問題外ですね。

おそらく皆さんは (B) Double か (C) Three times で迷われたのではないでしょうか。

072.gif正解は (C) Three times です。

私の知人は (B) Double を選び間違えました。
彼女が言うには、「人数で答えたら増加分の20人になる。しかし、選択肢に Twenty はない。そこで考え方を変えると、元の10人の2倍 (Double) が20人だから、(B) Double が正しいと思った。」ということです。

なるほど、なんとなく理屈は合うような気がしますね。

では、なぜ (B) Double が間違いで (C) Three times が正しくなるのでしょうか?

これもちょっとだけ視点を変えるとわかりやすくなります。
もう一度質問の英文を見てみましょう。

How many more foreign students are there now at your school than there were five years ago?

実はこの英文は以下2つの解釈が可能です。
①何人生徒が増えたか(増分)
②生徒数が何倍になったか(倍数)

この文に対して増分で答えるとこうなります。
①There are twenty more foreign students now.

How many more に対して、twenty more が対応しています。

では倍数で書いてみましょう。すると...
②There are three times more foreign students now.

あら不思議。全く違和感はありません。
How many more に対して、 three times more が対応しています。

質問の英文に対する、②のロジックもおかしいところはないですね。

より厳密にいえば、質問には times が省略されていると考えられます。つまりこの文です。
How many (times) more foreign students are there now at your school than there were five years ago?

もし、times を入れたとすると、答え方は「倍数」に限定されてしまいます。times を入れずに How many more foreign students...? とすることにより、答え方のバリエーションが増えると考えるとよいかもしれません。

この質問をもってきた知人はその後、ネィティブに聞いたとのこと。すると、そのネィティブの方は、増分で答えるときはTwenty、倍数で答えるときは Three times と答えるといっていたそうです。

このあたりの感覚もネィティブならではのものなのでしょうか。

ではまた。001.gif

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追記)2015年8月3日
ここまで読んでくださった皆さん
この記事の内容について、コメントをくださった方から重要なご指摘をいただきました。

厳密には3倍ではなく4倍になるとのこと。
取り急ぎ下記、コメントをくださったかたなさんのコメントをお読みください。

●かたなさんのご指摘●
この three times more という表現は厳密に言えば3倍ではなくて、4倍という意味になります。厳密に言えば、というところがミソです。調べ尽くして、ネイティブにも確認をしました。

A is three times as big as B. は、A は B の3倍の大きさ、B が1なら A は3です。

A is three times bigger than B. は、本来は A は B に B の3倍を足した大きさ、つまり、A = B + 3B という意味であり、B が1なら A は4ということになります。

しかし、ネイティブスピーカーは、この2つを同じ意味として使うことがよくあります。

厳密に言えば three times bigger は4倍だけれど、多くの人は深く考えず3倍の意味で使っています。ですからあるサイトでは3倍と言いたい時は、誤解のないように three times as big as を使うべきと書いてありました。調べるとそういう記述に行き当たると思います。

もし語法的に厳密な意味を当てはめると、three times は誤りということになります。(引用ここまで)

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追記)2015年8月5日

There are three times more foreign students now.

今回の記事に関するご指摘を受け、私の方でもネィティブの知識人数名に確認をとりました。
その結果、一般的な会話では3倍の意味で使うと言っていましたが、よく考えたら4倍だよねと言っていました。ネィティブの人達でも、やはり間違って3倍の意味で使うことがあるようです。それで通用するということは、あまり深く考えずに使っているのかもしれません。私自身も自然に読めてしまいました。(>_<)

しかし、正規の文法にのっとって考えると4倍が正しいです。
この点をご指摘くださったかたなさんに感謝いたします。

---------------------------------
最後に、安藤貞雄著「現代英文法講義」のP576を引用します。

倍数の表し方: X times as ... as の形式を使う。ただし、「2倍」は、two times としないで twice as ... as とし、「半分」は、half as ... as とする。

I am about twice as old as you are.
John spends half as much money as Mary (does).
Bill has three times as many books as John (has/does).

「X times + 比較級 + than」の構文は、普通、倍数表現には用いないで、次のような誇張表現で用いる。
This book is twenty times better than that.
(この本は、その本の20倍もすぐれている)

(引用ここまで)
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by ladysatin | 2015-08-02 14:58 | 英文法_English Grammar | Comments(10)

悩ましい過去完了形

今日は過去完了形のお話です。

完了形と言えば、現在・過去・未来とあるわけですが、どれが一番ややこしいですか?と聞くと、過去完了形と答える人が多いです。基本的には、現在完了を過去にずらしたものと考えればよいわけですが、現在完了が理解できていても過去完了はそんなに単純じゃないです。

一つには、完了の意味はないのに、過去の過去を表す「大過去」が同じ形(had + 過去分詞)をしているということが、学習者を混乱させる一因となっています。このことは以前にも記事に書いていますので、読んでみてくださいね。
(早速、下のキーワード検索ボックスが使えます。「過去完了」で検索すると出てきます。)

さて本日は、また別の英文で過去完了が使われているものを取り上げます。
最近質問を受けたものなのですが、これがまた難儀な問題でした。

★英文整序問題です。
以下の日本文になるような英文を作りなさいというもの。
よかったら皆さんも考えてくださいね。

----------------------------
マリコがその本を読み終わらないうちに、ビルが戻ってきた。(一語不要)
Mariko (before / book / came / reading / finished / had / back / Bill / not/ when / the).

----------------------------

さてさて結果は?
この先の解説は、後で書きますね。
今日の晩か明日になります。

またこの記事に戻ってきてくださいね。

See you later.



ということで数時間経過しました...

続きを書きます。
早速、チャレンジしてくださった方がいらっしゃいます。Thank you. うれしい。❤

さて、皆さんがこの問題をやってみて悩んだのは when なのか before なのかという点ではなかったでしょうか?
一語不要というのは when か before のいずれかです。まさにこの問題の真髄はそこでした。

書いてみましょう。

●マリコがその本を読み終わらないうちに、ビルが戻ってきた。
A. Mariko had not finished reading the book when Bill came back.
B. Mariko had not finished reading the book before Bill came back.


なんだか A も B も良さそうな気がします。
どっちを選びましょう?

正解は... when を使った A でした。
before を使った B は間違いです。

おそらく多くの方が B を選んだのではと思います。
なぜ B は間違いになるのでしょう?

私に質問してきた方がいうには、Bill が戻ってくる前に Mariko はまだ本を読み終えていないわけだから、この論理でいけば before になるはずだというのです。そう言われてみるとそんな気もします。

ではここで、元の日本文を見てみましょう。
●マリコがその本を読み終わらないうちに、ビルが戻ってきた。

ここで「マリコがその本を読み終わらないうちに」が示しているのは、「読み終えていない」すなわち「完了していない」ということです。大過去ではないですね。「完了していない = 未完了」を言いたいわけなので、完了形が示す「完了・結果・継続・経験」の中の「完了」の用法です。ここはポイントの一つだと思います。

さて、過去完了について少しだけおさらいしておきます。

過去完了を使う際には、必ず「過去のある時」という具体的なイメージがなされていなくてはなりません。過去のある時までの完了、経験、継続を表すために過去完了は用いられます。このことはどの文法書でも書かれていることですね。現代英文法講義(安藤貞雄著)では、「過去の基準時」(P147)という表現がされています。

★では、今回の問題における「過去のある時」「過去の気準時」とは何なのか。
 →それは、ビルが戻ってきた時です。

A. Mariko had not finished reading the book when Bill came back.
正しい英文です。この文が述べているのは「ビルが戻ってきた時、その時点において、マリコはその本を読み終えていない」ということです。when は明確に「過去のある時」を示していますね。

B. Mariko had not finished reading the book before Bill came back.
この文は間違いですが、その話に行く前にこれを見てください。↓

以下の英文は before を使っていますが正しいです。
C. Mariko had already finished reading the book before Bill came back.
ビルが戻る前に、マリコはすでにその本を読み終えていた。

見ていただくとわかるように、B の文を肯定文にしたのが C の文です。
C の英文は「ビルが戻ってきた時」を基準にして、それ以前のどこかでマリコはその本を読み終えていたという事実に言及しています。マリコが読み終えたのは何時かわかりませんが、基準時より以前であることは確かです。

では、元に戻って B の文も C と同じように過去完了と before を使っているのに、否定文になるとなぜ間違いとなるのでしょう。「ビルが戻ってきた時」という基準は同じです。

●具体的な時間を入れて考えるとわかりやすいです。
 ビルが家を出たのが午前10時
 マリコが本を読み始めたのが午後1時
 ビルが戻ってきたのが午後5時

ということは、マリコは1時から5時まで「本を読んでいる = 読み終えていない」わけですから、この間は「読み終えるという行為が未完了」ということです。

一方、before はビルが戻る前のどこか任意の時点を指しますが、本を読み終えていない未完了の時点は、一つではなく、1時から5時までの間であれば無数にあります。

すなわち、B の文が意味するのは、「ビルが戻る前の午後1時から午後5時の間のいずれかの時点で、マリコはその本を読み終えていなかった」ということになり、何を意図した英文なのか全くわからないものになってしまうんです。

完了したという事実は、それだけで気準時以前のどこかの一点を示すので、before を使っても問題ありません。しかし、未完了に before を使うと、1時から5時までの間のどこで未完了だったのかという疑問がわきます。

これは、動詞が finish であることも関係します。finish は瞬間的に動作が完結するので、時間軸のある一点を問題にします。だから、どの時点で未完了なのかを明確に表す when が適切ということになるのだと思います。

この一週間、このことをずっと考えていて had not finished と before が頭の中をぐるぐる回っていました。いかがだったでしょうか。上記はあれこれ調べたあげく私見として思うところを書いています。違う意見をお持ちの方はお知らせください。

--------------------------------------

ところで、上の例から、主節が否定文のときは before は使えないとバッサリいきたいところなんですが、そういう短絡的な見方もできないんです。

以下は、ある参考書にあった文です。
I had not waited there long before he showed up.
私がそれほど待たないうちに彼は現れた。

この文も主節が否定文で before が使われていますが正しい文です。
ここでの動詞は wait が使われています。wait は finish と違い、それ自体が継続的な動作を示します。
つまり時間軸の一点を問題にしません。だから before と共起することに違和感はないですよね。

このようにみてくると、過去完了形は一筋縄ではいかないということが身にしみてわかります。動詞の性質、時を表す副詞節における接続詞のもつ意味、主節が肯定否定か、など様々な要素が絡み合っているんですね。

ということで、今回の when が正しくて before が間違いなのは何故なのかという問題について検討しました。

皆様の参考になれば幸いです。
by ladysatin | 2015-06-27 16:43 | 英文法_English Grammar | Comments(7)

This is the first time のあと

少し前に、disappoint の使い方には注意した方がいいという記事を書きました。

今日は、起こしやすい文法ミスについて書きたいと思います。

英作文の問題です。
★テニスをするのは今回が初めてです。

これを英語にします。皆さんはどう書きますか?
This is the first time のあとがポイントです。

この英作文に対し以下のように書く人が多いのですが...
× This is the first time (for me) to play tennis.
× This is my first time to play tennis.


これらの英文は間違いです。

「えっ?どこが間違ってるの?きれいな英文ですよ~」という声が聞こえてきそうです。

しかし

072.gifThis is the first time の後ろに [to 不定詞] を続けることはできません。

実はこれ、かなり英語力の高い人でも間違って書いているのをみます。
いままで [to 不定詞] を使っていた方はこれからはお気を付け下さい。

では、どう書く?

2つ考えられます。
①This is the first time I have played tennis.
②This is my first time playing tennis.


①は the first time の後に現在完了形が続いています。
②は my first time の後に動名詞がきています。

このように完了形か動名詞を使って書きます。
ここでの完了形は経験の用法になりますね。

-----------------------------------------
これについて Oxford Learner’s Dictionaries で説明されています。
リンクを貼っておきますね。
http://oald8.oxfordlearnersdictionaries.com/dictionary/time

time の8番目の項目にあります。
To talk about the first or the last time you do something, use the first/last time (that) I…:
This is the first time (that) I’ve been to London. This is the first time for me to go to London.
That was the last time (that) I saw her.


動名詞が可能なことは『ウィズダム英和辞典 第3版』に載っています。
This is the first time I have visited London.
≒ This is my first time visiting London [my first visit in London].

This is my first time to visit London. や This is the first time (for me) to visit London. としない。
-----------------------------------------

ということで to 不定詞は本来使ってはいけないのですが、日本人だけでなくネィティブもよく間違います。
実際、インターネットで検索すると [to 不定詞] を使った英文がたくさん出てきます。

では、This is the first time ときたら [to 不定詞] を使って続けたい気持ちになるのは何故なんでしょうか。

おそらく、これと混同する人が多いのではないかと。
以下を見てください。

-----------------------------------------
ジーニアス英和大辞典より引用します。

3番目の項目「(...する)暇、余裕、(...するための)時間」
●I [You] have no time to lose. = There is no time to lose.
 ぐずぐずしている暇はない。
●The work will take a lot of time to do.
 その仕事をするにはずいぶん時間がかかるでしょう。
●There’s still time for us to see the film.
 まだ映画を見る時間はあります。

6番目の項目「(...するのに)適したとき、(...する)時機、機会」
●Now is the time to say something about it.
 今がチャンスだ。抗議しろよ。
●This is not [hardly] the time to offer.
 今は申し出をする時機ではない。
-----------------------------------------

上記のように time のあとに to 不定詞がくる時も多くあります。
しかし、これらは用法が異なりますね。

This is the first time における time は「...回、度」を表す用法です。


本日は time の間違いやすい使い方を取り上げてみました。

ではまた。001.gif

-----------------------------
追記)2015年6月23日

この記事の内容についてご質問をいただきました。
皆様と共有させていただきます。

<ご質問の内容>
-----------------------
>テニスをするのは今回が初めてです。
>①This is the first time I have played tennis.
>②This is my first time playing tennis.
に関連した質問ですが、①は完了形なので実際テニスをやってみての発言だと思うのですが、まだプレーをする前に、例えばテニススクールで申し込みの手続き中などの会話だとしたら、少し変わってくるのでしょうか。This is my first try. とかI’ve never played tennis. などと言うのでしょうか。また②についてはどうなのでしょうか。日本語では、同じ文がどちらの状況でも言えますよね。
-----------------------

上記の質問に回答します。
①は完了形ですが、実際にテニスをやってみての発言だけでなく、プレーの前で使ってももちろんOKです。

現在完了形というのは、過去形とは全く異なるものです。現在完了形は「今」のことを言っています。完了形には have (or has) がつきものですが、これは本来の「持っている」という意味の表れなんですね。

例えば I have visited London twice. は「ロンドンに2回訪れたことがある。」と普通は訳します。これはこれでよいのですが、この英文が意味するのは「ロンドンに2回訪れたという事実を、今、私は持っている。」ということなんです。

ここから①の英文をこのように解釈できます。
「私がこれまでにテニスをしたという事実を持つのは今回が初めてということになる。」
日本語としては変ですが、言いたいことはおわかりいただけるかと思います。

ですから、友達とテニスクラブに行く途中で「私、テニスするの今日が初めてなの。わくわくするわ。」というときにも①は使えるのです。

②の英文は動名詞が使われています。動名詞は名詞。名詞には時制はありません。
だから時制を気にすることなく使えるんですね。

以上、簡単ではございますが回答させていただきました。
この問題を考えるときに、完了形のところから入りましたが、かなりはしょっています。
わかりにくかったらお知らせください。

さらに、この問題は深くて This will be the first time だったらどうなるんだという発展問題もあるんです。
今日は割愛します。またの機会に別の記事でとりあげることができればと思います。
by ladysatin | 2015-06-21 15:45 | 英文法_English Grammar | Comments(13)

完了進行形の盲点

今日は文法のお話です。

以下のような英文があり、カッコ内を適当な形に変えなさいという問題があります。

When I arrived, everybody was sitting round the table and talking. Their mouths were empty, but their stomachs were full. They (eat).

選択肢は以下の通りです。

A: were eating
B: had eaten
C: had been eating


さてA, B, C のうちどれが正解でしょうか。
皆さんのファイナルアンサーは?

まず A: were eating は問題外ですね。
残りは B と C です。

では正解から先に書きますね。

072.gif問題集の答えは C: had been eating でした。

えっ何で?って思った方もいらっしゃるかもしれません。
B: had eaten が答えでしょって。実は私の友人の疑問がそれでした。

これは結構大切な問題かもしれません。

分割して書いてみましょう。
・When I arrived, - 私が到着したとき
・everybody was sitting round the table and talking. - 皆、テーブルを囲んで座って話していた
・Their mouths were empty, - 彼らの口の中は空っぽだった
・but their stomachs were full. - しかし、胃の中は満たされていた

ということは、 私が到着したときはすでに食べ終わっているということになりますね。だったら大過去の B: had eaten になるべきだと友人は言います。C: had been eating だと When I arrived の時点でも継続して食べ続けていることになるから間違いだと。

「サテンもそう思うでしょ?」と同意を求められました...

しかし、私の答えは C: had been eating でした。迷うことなく。

ではその理由にいきます。

たしかに、完了進行形は、現在までの継続を表し、今後も続くであろうという含みをもっていると学びますね。おそらくその認識の方が多いかもしれません。しかし、完了進行形にはもう一つの用法があります。これはあまり知られていませんが「最近の過去」を示すというものです。

上の文をもう一度書いてみましょう。
When I arrived, everybody was sitting round the table and talking. Their mouths were empty, but their stomachs were full. They had been eating.

ここで使われている They had been eating. が示すのは、「今現在(この場合は私の到着時)まで食べ続けている」ということではありません。「ついさっきまで食べていたのだ」ということなんです「最近の過去」を示すとはこういうことでした。だから正しいんです。

これについて2つの文献から引用したいと思います。

-------------------------------
★英文法解説(江川泰一郎著)
P241 §162現在完了進行形」の項目
少し前に終わった動作 - その結果がまだ明らかに残っている

●He shouldn’t drive this evening. He has been drinking.
彼は今晩は車の運転はよすべきだ。ずっと酒を飲んでいたのだから

●I don’t feel like going out this evening. I’ve been working in the garden all day.
今晩は外出したくありません。一日じゅう庭仕事をしてい[て疲れ]ました。

★現代英文法講義(安藤貞雄著)
P157 10.1. 現在完了進行形 10.1.2. 最近の過去
現在完了進行形は動作が発話時に終わっていても、結果が現在に残っていると感じられる場合には使用することができる。この用法は「最近の過去」(recent past) を表すと説明されることもあるが、話しての意識としては、発話時まで動作が継続しているかのように感じられているのだ、と考えられる。

P158 10.2. 過去完了進行形 10.1.2. 最近の過去
次の諸例では、過去の気準時の直前に出来事は終わっているのだが、その結果が残っているので、あたかも<継続>しているかのように表現されている。この用法は、「最近の過去」を表す現在完了進行形(§10.1.2)の用法と並行するものである。

●Banford’s eyes were red, she had evidently been crying.
バンフォードの目は赤くなっていた。いままで泣いていたのは明らかだった
---------------------------------

上記2つの書物に共通して書かれてある「結果が残っている」という箇所が重要な点だと思います。問題集の英文も同様で、私が到着した時点では食事は終わっていて、テーブルを囲んで談笑している場面です。まだ食べ終わったお皿がテーブルの上にあるかもしれません。つまり、今まで食べていたという結果が残っています。この状況だからこそ、They had been eating. は実に自然な表現だと言えるんです。

この完了進行形が「最近の過去」を表す用法は、英語力の高い人でも知らない人が多いです。盲点だと思います。

さて、もう一つの選択肢 B: had eaten を使って They had eaten. はどうかという問題が残っています。

これを間違いだとバッサリ切り捨てることができるかと言われると、私にはできないです。しかし、They had been eating. に比べると不自然さが漂います。もし、食事が終わっていたということを過去完了で表すのであれば、They had already finished the dinner. のように書く方が自然だと思います。They had eaten. はとても唐突な印象を受けます。せめて already を入れて They had already eaten. あたりにしたいところです。もちろんこれは私見の範囲を超えるものではありませんが、自然な英文という観点から見ると、やはり They had been eating. に軍配が上がると考えています。

以上、気になった文法問題を取り上げてみました。

完了形は奥が深いですね。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-05-24 17:30 | 英文法_English Grammar | Comments(2)