カテゴリ:語法_English Usage( 49 )

ただ今ブログをお休み中ですが、すごく気になることがあって書いています。
この記事は、2013年に書いた記事です。

まず記事全文を載せますのでお読みくださいね。

日付:2013年10月1日
記事タイトル:after 30 minutes? in 30 minutes? どっちを使う?
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今日は時を表す前置詞について考えたいと思います。

「30分後に会いましょう」

と言うとき

① I will see you in 30 minutes.
② I will see you after 30 minutes.

皆さんはどっちを使いますか?
どちらかが正しくて、どちらかが間違っているのでしょうか。

未来形の場合は in を使うことが多いですね。after は過去形で用いることが多いとされています。上記の文は in 30 minutes のほうがしっくりくるみたい。私も普通は①の言い方をします。

しかし、実際に調べてみると、②も間違いではなさそうです。
after は、現在形や未来形での用例も多くあるんです。

ただ in と after ではニュアンスが変わります。

英英辞典を調べてみました。
Longman にこんな風に説明されていました。

after = when a particular amount of time has passed
in = at the end of a period of time


つまり、after を使うと時間の経過が強調されるということです。上の例では「30分が経過したら」というニュアンスですね。一方、in を使うと「その期間の終わりに」というニュアンスですから、時の経過は重視されません。結論は同じことを言っていますが微妙に違うことがわかります。

今日はこのニュアンスの違いに注目し、記事にしてみました。

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記事はここまでです。2013年はブログを開始した年ですが、初期の頃はこんな短い記事も結構書いていました。今の私からは想像できませんが。

さて、この記事について、私はとんだ嘘を書いたのかもしれないと思い、あせったことがつい最近あったのです。
そのことについて書きます。

「一億人の英文法」というベストセラーの文法書があります。私のブログの読者の中にも、この本をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。遅ればせながら、私も最近購入して全部読ませていただきました。その中で以下のような記載に遭遇したのです。

「一億人の英文法」大西泰斗 ポール・マクベイ 共著 P394より引用
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●「~後」と after
誤用が集中するポイントです。この時点をあらわす「~後」というケース、実は after は使えません。
× I'll be back after 10 minutes.
〇 I'll be back after lunch.

after はできごとの順序をあらわす前置詞。「ランチの後にくる」とは言えても「10分の後にくる」とは言えません。「10分」はできごとじゃないからね。「~後」は in の専売特許。しっかり練習してくださいね。(引用終わり)
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これを読んで「大西先生、そうなんですか~」と泣きそうになりました。私の間違いだったら訂正しないといけません。

しかし...

調べてみるとやっぱり after は使えるみたいなんですよ。

「表現のための実践ロイヤル英文法」綿貫 陽 マーク・ピーターセン 共著 P302より引用
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また、現在や未来のある時点に視点を置いて、「~後に・・・する」の意味で after を使うこともできる。
Remove the cake from the oven after 10 minutes.
(10分たったら、ケーキをオーブンから取り出しなさい)

「今から~たったら」の意味で、in と同じようにも使える。
The bomb will explode after 5 minutes.
(その爆弾は、5分後に爆発する)

●未来に関する場合は、in を用いるほうが自然であり、用例も圧倒的に多い。厳密にいえば in 5 minutes は「5分のうちに」、after 5 minutes は「5分たったら」であるが、日常会話ではどちらを使ってもそう大した差はない。(引用終わり)
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つまり、一億人の英文法の例文に当てはめていえば、I'll be back in 10 minutes. の方が自然だけれども、I'll be back after 10 minutes. は間違いとは言えないということが読み取れると思うのです。

一億人の英文法には「after はできごとの順序をあらわす前置詞」とあります。それはそれでよいと思うのですが、after 〇〇 minutes が間違いと断言する理由にはならないのではと思います。ただこの本を読む限り、大西先生は「この場合はこれだよ」のように、割とスパッと書く傾向がおありのようなんですね。これは英文法が苦手な学習者を混乱させないようにという配慮なのかもしれません。I'll be back ときたら in 〇〇 minutes と覚えておけば間違いないとおっしゃっているのかもしれないです。実際、それが自然だと実践ロイヤル英文法にもありますものね。

最後に WordReference.com で質問してみようと思ったんです。そしたらすでに同じ質問が過去にあがっていました。
リンクを貼りますね。

3名のネィティブの方が回答されています。それによると、in の文と after の文の意味は同じだが、in の方が much more common とのことです。

以上、考察した結果の私見を述べると...

言葉は文脈で決まると私は思います。一般的には I'll be back in 30 minutes. が自然。「30分で戻るよ」って軽く言うときは in がよさそう。でも特定の状況では I'll be back after 30 minutes. が適していることもあると思います。時の経過に重点が置かれていて、例えば、30分間はどうしても宿題に時間を割かなければならないことが頭にあるときは after もありではないでしょうか。

ということで、過去の記事に追記しました。

ではまた。180.png180.png180.png

by ladysatin | 2017-07-22 19:50 | 語法_English Usage | Comments(1)

「盛り土」の英語

このところ、豊洲市場の盛り土の問題が毎日のように報道されていますね。
今後どうなっていくのでしょう。東京都民でなくても気になります。

今日は「盛り土」という言葉に注目してみました。

送り仮名なしの「盛土」も使われるようですが、今回の報道では「り」が入っているものが多いようなので、「盛り土」を使いますね。

「盛り土」というと、私は河川の堤防や鉄道の区間の盛り土を思い起こします。
英語で表現すると、embankmentbanking を使って表現できます。

また、埋め立ての場合の盛り土には landfill filling が適語だと思います

一方、豊洲市場の盛り土は敷地造成のためのものなので、違う表現をする必要があると思います。
調べていくと raising the ground level という表現を Weblio で見つけました。

この raising the ground level は「地表面を上げる」という意味なので、これであれば、豊洲の盛り土を表すことができるように思ったのですが、これにあてはめると疑問に思う点が出てきました。

報道によると、当初の計画では、地表面から下2.0mの部分をきれいな土と入れ替えて、次に上2.5mの部分にきれいな土を盛ることになっていました。そして、この合計4.5mを盛り土として報道しているようです。以下は、今回の報道でよく見る形式の図です。

f0307478_2213783.jpg















一方、raising the ground level は、当初の ground level をゼロとしたときに、それを raise するという意味になります。ということは、この英語では、もとあった地表面から上の 2.5mの部分だけしか言い表せないので、豊洲のケースを正確に表すことができないと思いました。

さて今度は、英字新聞報道では盛り土のことをどのように表現がされているのか、いくつか見てみました。すると、こんな表現がされていました。

land elevation という表現です。

朝日新聞と読売新聞の英語版では、盛り土を land elevation と表現しています。二つの新聞が同じ表現を使っていて新鮮に思いましたが、land elevation は英辞郎にも載っていて、「土盛り」の訳語があてられていました。なるほど。land elevation だと「土地を高くする」という意味になり、raising the ground level ほどの厳密さは感じません。また、たったの2語で表現でき、簡潔です。

というわけで

盛り土 = land elevation

はい、大いに納得しました。

最後に読売と朝日の記事リンクを貼ります。
読売新聞10/1の記事 http://the-japan-news.com/news/article/0003253683
朝日新聞9/16の記事 http://www.asahi.com/ajw/articles/AJ201609160042.html

以下 land elevation の箇所を抜粋します。

●読売新聞
第2パラグラフ
Tokyo Gov. Yuriko Koike has received the results of an internal investigation regarding the problem of the decision not to conduct land elevation work under building sites at the Toyosu market. The investigation could not specify who made the important change to the original plan without even asking the opinion of experts.

小池都知事は、豊洲市場の建物の下に盛り土をしないと決定した問題で、内部調査の結果報告を受けた。この調査では、専門家の意見を聞くこともなしに、一体誰が当初の計画を変更したのかについては特定できていない。

●朝日新聞
第8パラグラフ
To deal with the problem of contamination, the experts’ council, set up by the metropolitan government from Ishihara's idea, decided on soil replacement and land elevation throughout the entire compound at a meeting on May 19, 2008.

土壌汚染対策として、石原前知事の意向で東京都が立ち上げた有識者による専門家会議は、2008年5月19日の会議で、全敷地に対し土壌の入れ替えと、盛り土をおこなうことを決定した。

第14パラグラフ
As for the fact that soil replacement and land elevation was not conducted beneath major buildings, Ishihara said, “I have no knowledge about construction methods. My subordinates decided on them by consulting a design office.”

主要な建物の下の土壌の入れ替えと盛り土がされなかった事実について、石原氏は、「私は建築方法についての知識はありません。私の部下が設計事務所とやりとりして決めたことです。」と述べた。

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上にあるように、land elevation を目的語にとる場合の動詞は、読売も朝日も conduct を使っていますね。ここもしっかり押さえておきたいと思いました。

盛り土をする = conduct land elevation

ではまた。001.gif

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追記)2016年10月23日
land elevation 以外に「盛り土」を表す表現を見つけました。
The Japan Times では soil layer plansoil layers という表現を使っていました。
これらはまさに「盛り土」そのものをさしているように思います。

色んな言い方があるんですね。(^_^)
by ladysatin | 2016-10-04 22:58 | 語法_English Usage | Comments(4)

Otherwise

皆さんがお持ちの電化製品には、どれにでも取扱説明書がついていると思います。

取説をめくると、まず「安全上のご注意」が記載されていますね。製品によって内容は様々ですが、4ページくらい割いてあるものもあります。読んでます?たぶんほとんどの方は、「安全上のご注意」は飛ばして、使い方のページを読まれると思います。

「濡れた手で触るな」とか「熱くなったら電源を切る」とか、まあ当たり前でしょって思う注意文が延々と書かれていて、あまり読む気になれませんよね。でもあれってメーカー側には記載義務があるんですね。「安全上のご注意」が記載されていないと、「製品欠陥」の扱いを受け、製造物責任法=PL法(Product Liability Law)に抵触してしまう可能性があるんです。

その「安全上のご注意」ですが、もちろん英語バージョンもあります。英語では Safety Precautions が一般的な呼び方です。取説の翻訳では、この Safety Precautions の中身を訳することも多いです。生死にかかわる内容もあるので、心して正確に訳さないといけません。

今日はその中からちょっとだけ、私が訳する場合のこだわりについてお話ししたいと思います。

日本語で例えばこんな警告文をよくみます。
●付属のACアダプターを必ず使用してください。感電のおそれがあります。

これを英文にします。
●Be sure to use the supplied AC adapter. Otherwise, an electric shock may occur.

単語の選び方は色々あります。occur を result にしてもいし、supplied は included でもかまいません。

ここで注意してほしいのは 二つ目の文の頭にある Otherwise です。この場合の otherwise は「さもなくば、さもないと、そうしないと」のような意味です。日本語は「感電のおそれがあります。」とあり、「さもないと」という表現はありませんが、英訳する場合は、裏にある「さもないと」を読み取って、otherwise で表現するというわけです。

ジーニアス英和大辞典 otherwise の2番目の用法より引用
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[接続詞的に] さもなければ (or else);もしそうでなければ (if not) 《♦ (1) A が起らなければ B は起る [らない] だろうという場合に用いる。(2) 通例節の初めで用いる;関係詞節では助動詞の後または節の終りで用いる》

例文)
Help your partner whenever and whatever you can. Otherwise his or her stress will become your own.
できるかぎりいつでもどんな事でもパートナーの手助けをしなさい。さもないと、その人のストレスが自分のストレスになりますよ。
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最初の取説の例文をもう少し見ます。
●Be sure to use the supplied AC adapter. Otherwise, an electric shock may occur.

この文の otherwise は use the supplied AC adapter を受けているように見えます。
つまり、「付属のACアダプターを使うということ → さもないと、感電するかもしれないよ」という展開です。

さて、ここからが問題。

次に否定の命令を使った文を作ります。
●傷んだ電源コードを使わないでください。感電の恐れがあります。

これを otherwise を使って英文を作ります。
●Do not use a damaged power cord. Otherwise, an electric shock may occur.

この英文は正しいですか?

otherwise は「さもないと」ですよね。肯定の命令文に続く「さもないと」の「さも」は、上述の英文では、「付属のACアダプターを使うこと」になります。ということは、否定の命令文に続く「さもないと」の「さも」は、「傷んだ電源コードを使わないこと」になってしまいます。

それがどうしたと言われそうですが、実は私、以前このことを考えていて、頭がこんがらがったことがあるのです。検索すると、否定の命令のあとにも otherwise は普通に使われています。でも本当に otherwise を否定の命令のあとに使えるのか、その時はまだ確信がもてませんでした。というのは、否定文のあとに otherwise を使うと「使わないのでないならば」と二重否定になってしまうからです。

ネィティブは、一回否定して、もう一回否定して、結論は肯定の意味にとるというプロセスを、頭の中で処理することに違和感はないのだろうかと疑問に思ったのです(今も疑問に思ってる)。考え方としては実にまどろっこしいと思うのです。

しかし、調べた結果、否定文のあとの otherwise の用例が載っている辞書がありました。
研究社 新英和中辞典より引用します。
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[命令文などの後で接続詞的に] さもなければ

例文)
Don't be naughty, otherwise you'll get a spanking.
いたずらはやめなさい。さもないとお尻をたたきますよ。
-------------------------------------------------------------

はい、辞書に載っているということは、やはり使えるんでしょうね。
ということは、otherwise の訳「さもないと」の「さも」は、否定語も含めていると考えられますね。

●Do not use a damaged power cord. Otherwise, an electric shock may occur.
つまり、この英文における otherwise は「傷んだ電源コードを使わないのでないならば」という意味の二重否定だということです。二重否定は肯定の意味だから、「傷んだ電源コードを使うのであれば」が言いたいことです。

「そんなこと知ってたよ」という人もいるかもしれませんが、私はまだ納得していないのです。

実は私、否定の命令文のあとは、otherwise を絶対に使わない主義なのです。

その理由は、二重否定になってしまうことに強い抵抗があるから。

じゃあどうする?そこで…

上記の英文は、以下のように書き換えることができます。
●Do not use a damaged power cord. Doing so may cause an electric shock.

私は、Otherwise の代わりに、Doing so を使います。Doing so は「そうすると」の意味です。受けているのは use a damaged power cord です。否定語の not は受けていません。そして副詞の otherwise と違い、Doing so は主語をなしています。だから文自体も構造が変わってきます。

Otherwise, an electric shock may occur. (an electric shock は主語)
Doing so may cause an electric shock. (an electric shock は目的語)


この二文は意味は同じですが、私は二重否定の形をとらない Doing so の形の方が、英文として優れていると思っています。だから、否定の命令の後には、絶対に otherwise を使わないんです。ここは私の中のお約束でありこだわりです。

でもね。あるときお客様から、「肯定文のときと同じく否定文でも otherwise を使ってもらえませんかね?」って翻訳を返されたことがあるんですよ。

その時の私の反応。
「otherwise を使ってもいいですよ。ただし、それは私の翻訳ではなくなってしまいます。私はその訳文には責任をもつことはできかねますがよろしいでしょうか。」

するとお客様はこうおっしゃいました。
「ええっ。そうなんですか。いや、そこまで強い希望ではないので、そのままでいいです。」

一翻訳者の分際で偉そうなことを言っていると思われるかもしれません。しかし、私はプロとして自分の仕事に誇りをもっているので、簡単にお客様の要望に従うわけにはいかないのです。私が納品するものには、「自信をもってお使いください」という気持ちを込めています。

ちょっとした表現の違いで、どっちを使ってもいいという考え方もあります。だけど、私は言葉にこだわりたい。なぜ、この単語を使ったのか、なぜこの表現にしたのか。プロとして仕事をしている以上、すべてに答えられなければならないと思っています。

これから先もずっとその気持ちを持ち続けていたいです。
by ladysatin | 2016-09-02 13:49 | 語法_English Usage | Comments(11)

「復興」を表す英語

この記事は4年前に書いたものです。
このところ急にアクセスが増えてきたのでトップページに移動しました。

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投稿日:2012年3月1日

以前、ある方から相談を受けた内容です。

東日本大震災に関係するもので、報告書の訳文を作成しているのだが、「復興」に当たる訳語は recovery と reconstruction のどちらがいいですかというものでした。海外の文献は recovery の使用例が多く、日本人の書いた文章では reconstruction がやや多く使われているようだとのことでした。

私も一緒に考えてみました。

recover と reconstruct は synonym(類義語)になるでしょう。似ているけれど微妙にニュアンスが違います。この場合の「復興」という意味では、書く側の思い如何によってどちらでも使えそうです。

recover は「一度悪くなった状況を元に戻す、回復する」という意味で使われますね。病気から回復するときや、停電から復旧したときは recover が使われます。国の場合も震災以前の日本に回復させるという意図であれば recover でよさそうですね。

reconstruct は「損傷を受けたものを再度機能させる」という意味だけでなく、「これまでのシステムを見直し再構築する」という意味もあります。日本をより良い国にしていこう、東北を蘇らせようという強い意志、未来への希望を感じるのは reconstruct です。

日本人が書いた文に reconstruct が多く使われているのは、同じ国に住む者としての強い同胞意識の表れなのかもしれません。同じ「復興」と言っても、書く人の思いはさまざまです。英文を書くとき、どの単語を選択するかにより、その文が読者に与えるインパクトも変わってきます。

言葉の選択にこだわるということは、言葉を大切にするということでもあります。

ところで、「復興」を表す英語はほかにもありそうです。

今度は、別の人から rejuvenation はどうでしょう?という質問をいただきました。

rejuvenation...

なるほど。知的でよい表現だと思います。

類義語のニュアンスを知るには、英英辞典が欠かせません。早速 Longman のオンライン辞書で調べてみました。ジーニアス英和大辞典の定義と併記して recover, rejuvenate, reconstruct の意味を比較してみましょう。

●recover
Longman - to return to a normal condition after a period of trouble or difficulty:
ジーニアス -(人が)(通例思い病気・ショックなどから)元どおりになる、回復する

●rejuvenate
Longman - to make something work much better or become much better again:
ジーニアス -(組織などを)活性化させる

●reconstruct
Longman - to build something again after it has been destroyed or damaged:
ジーニアス -(建物などを)再建する、改築する:(国など)復興する:(組織などを)再編成する

このように見てみると、
recover + rejuvenate = reconstruct
すべて辞書に書いてあったことがわかりました。

微妙なニュアンスの違いもわかってよかった。

もうひとつおまけに「文芸復興」は renaissance ですね。

今頃気付きましたが、上記の単語全てに、「再び」を表す接頭辞 re- が当てられていますね。

他の方の質問や疑問から自分も学び、新たな知識が身につくということがあります。
こういう時ってとてもうれしいと思いませんか。
by ladysatin | 2016-04-29 13:30 | 語法_English Usage | Comments(0)

私の本業は日英翻訳ですが、その傍らで、時々、ビジネスメールの代筆を頼まれることがあります。

今日は、最近依頼された英文メールについて書きたいと思います。

そのメールの中で、相手先に送信する前に語法の誤りに気付いて、慌てて修正した箇所がありました。それがけっこう日本人が引っ掛かりやすいところなんです。

ということで、また皆様と共有したいと思いました。よかったらお付き合いください。

私に英文メールの代筆を依頼してきた会社を A社とします。A社は XYZ社から翻訳を含めた制作物を受注しています。英語から他言語に展開する場合、通常、A社は、自分のところで使っている翻訳会社に翻訳を依頼しています。しかし、XYZ社からその翻訳会社の質が悪いとクレームがあり、そこは使わないでくれと言われました。そこで、XYZ社から、過去に直接取引をしていた B という翻訳会社を紹介され、B社を使わねばならなくなりました。A社が B社にコンタクトをとるのは今回が初めてです。

そこで私に回ってきたのは、B社との取引開始打診のメールです。
私は A社の担当者としてメールを書くことになりました。

では、修正前の実際の英文を書いてみましょう。実際は A4に一枚程度の長さでしたが、問題の箇所はメールの最初の方にあります。そこだけ抜粋します。

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I’m sending this e-mail through our client, XYZ Corporation based in Japan. We have researched reliable translation companies over the years, and recently, we were introduced to your company by XYZ. They offer positive assessment on your company’s overall services including translation quality. If conditions are met, we would like to begin business with your company.
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下線部の箇所を見てくださいね。
We were introduced to your company by XYZ.
ここで私が言いたいことは、「当社は XYZ 社から御社を紹介していただきました。」ということです。
しかし、この英文には語法の誤りがあります。

★introduced はここでは使えませんよね。

なぜ?「紹介された」だから introduced でいいでしょう?
「紹介する」は introduce なんですからって思いません?

「紹介する」を英語にせよといわれたら、条件反射のように introduce と答えてしまう人はとても多いです。
しかし、言わんとすることによっては、使えないんですね。

なんで使えないんでしょうね。前半はここまで。

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後半にいきます。
あ~ん、もうすでに3名の方からコメントがはいっちゃってる σ(^_^;)

もう一度、文を書きます。
We were introduced to your company by XYZ.

この文自体は正しい英文なんです。文法上の間違いは何もありません。
意味は「当社は、XYZ社によって御社へ紹介されました。(当社→御社)」ということです。

一方、私が言いたかったことは「当社は XYZ 社から御社を紹介していただきました。(御社→当社)」ということなので、そもそも目的語のとらえ方が間違っていますね。「誰を→誰に」紹介するのかという矢印の向きが逆ですから、この時点でダメな英文です。

しかし、ここでの問題はそれだけではありません。
もっと大きな問題があるんです。

話を簡単にするため、会社ではなく人物を例にして書きます。
I was introduced to John by Mariko.
能動態にするとこうなります。
= Mariko introduced me to John. マリ子は私をジョンに紹介した。

この例では、「マリ子、私、ジョン」という3人の当事者がいます。
この3人は今、どういう状況なんでしょうか。

マリ子が私をジョンに紹介したとき、当事者の3人全員がその場にいます。マリ子は「この方が○○さんです」と言って、ジョンに私を紹介しました。ここから想像できるのは、私とジョンは Nice to meet you. と言葉を交わして握手などをしたであろうということです。

元の英文に戻って検討します。
We were introduced to your company by XYZ.

we = A社、your company = B社、そして XYZ社という3社が当事者になります。ここでおわかりになるかと思いますが、この文が意味するところは、過去のある時点で、A社は XYZ社から B社に紹介されたのだということ、すなわち、A社と B社は面識があるということなんです。(※A社、B社、XYZ社は組織ですが、当然、ここでは擬人化して表現しています。)

ということは、もし、この英文のままメールを送信したとして、B社の担当者がそれを読んだら、「いつ XYZ社から A社をうちの会社に紹介されたっけ?覚えがないなあ。」と思ってしまう英文なんです。初めてコンタクトをとる会社に対して We were introduced to your company なんて書くと、もう以前に紹介済みの話になるので辻褄が合わなくなってしまうんですね。

じゃあ、どうしましょってことなんですが、introduced を 別の単語に変えたらおみごとな英文になるんです。

後半第2部につづく。

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佳境に入ってきましたよ~ん。
この時点でコメント下さった方は4名になりました。
うれしいやらあせるやらですが、最後のパートにいきます。

introduced を別の単語に変えます。その単語とは…

referred でございます。

★ We were referred to your company by XYZ.
これが正しい文です。「当社は XYZ社から御社を紹介していただきました。」という意味です。
この文であれば、初めてコンタクトをとる会社へのメールで堂々と使えます。

ところで何で referred なんでしょう?

現在形は refer ですが、refer は単体ではほとんど使われず、refer to という phrasal verb として使うことがほとんどではないでしょうか。私自身も refer は to を伴った用例しか知りません。上記の文も referred to となっていますね。そして、refer は使い方が結構難しい単語です。

私が仕事上で refer to を使うのは、ほぼ決まって参照ページに誘導するときの文言としてです。
例) Refer to page 35. (35ページをご覧ください。)

では今回の英文における refer to の用法は何なのか、ここは英英辞典で確認しておきます。
Longman のオンライン辞書で referを見てみましょう。
http://www.ldoceonline.com/dictionary/refer

4番目の項目が今回の用法になります。(以下引用)
refer somebody/something to somebody
to send someone or something to a person or organization to be helped or dealt with
人または物を、人または組織に送って、手助けまたは対応してもらうこと

う~む。「紹介」に相当するような言葉はなさそうです。しかし、「当社は XYZ 社から御社を紹介していただきました。」が意味することと合致します。当社は、XYZ社から B社に送られたんです。送られたのは、B社に対応してもらうことを期待してですよね。

ついでに例文も引用しておきます。
・My doctor is referring me to a dermatologist.
かかりつけの医者から皮膚科医を紹介してもらっている。

・My complaint was referred to the manufacturers.
メーカーに私の苦情を伝え対応してもらった。

ちなみに "we were referred to your company" でgoogle してみてください。
そのものズバリの用例がたくさんでてきます。

introduce についてもおさらいしておきます。こちらも Longman を見てみましょう。
http://www.ldoceonline.com/dictionary/introduce

見てみると、Longman は introduce を8つの用例に分けて記載しています。
今回のメールの introduce は「紹介」という日本語が固定観念としてあるために、1番目の用法を間違って使ってしまったものです。

[WHEN PEOPLE MEET]
If you introduce someone to another person, you tell them each other's names for the first time.
この文からわかるように、当事者である you, someone & another person はすべてその場にいるんですね。

もう一つ、皆様の中で疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれないと思う用法についても書いておきます。同じく Longman の introduce の4番目の項目を見てみましょう。

[NEW EXPERIENCE]
to show someone something or tell them about it for the first time
このように「人に何か新しいことを紹介する」という場合にも introduce は使います。ということは、今回のメールはこの用例に該当するのではないかという疑問がよぎるかもしれません。つまり、この用例に則したら初めてコンタクトする相手に対しても introduce が使えるのではということです。

どうでしょう。やっぱり使えませんね。今回の件で refer を使うのは、この単語に「A社を B社に対応してもらう to be helped or dealt with」という明確な含意があるからです。

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今回の記事では、日本語の「紹介する」を introduce に直結してしまったがゆえに、おかしな英語になりましたという例をとりあげました。自分では翻訳をする際に、元の日本語は何を言わんとしているのかを常に考えなければならないと言い聞かせているつもりです。しかし、こういうミスをするということは、頭のどこかに思い込みや固定観念があるということなんですね。大いに反省しなければならないと思っています。

ほかにもこんな例はたくさんあります。例えば、「反映する」と聞いたら reflect を思い浮かべる方が多いと思います。これも要注意です。いつでも reflect は使えませんよね?という話をまたいつかしたいと思います。

今回はこれにて。
読んでくださった皆さん、ありがとうございます。 001.gif
by ladysatin | 2016-04-06 14:10 | 語法_English Usage | Comments(13)

英語で助言や忠告をする際の表現って色々ありますね。

中学生のとき習うのが had better でしょうか。

●You had better do it.(あなたはそうした方がよい。)

ただし、had better は「~した方がよい」と習うんだけど、この表現はすごくきついから目上の人なんかに使うのはご法度だということは、皆さんご存じだと思います。

had better より should の方が忠告としては穏やかになりますね。

●You should do it.

語感をさらに弱くするために頭に Maybe を置くこともあります

Maybe you should do it.

しかしながら、should の根底には「義務」があるので、場合によっては相手の気分を害することもあります。
should も使い方に注意が必要であることにかわりはありません。

もっと気軽に、当たり障りのない助言をしたいときに使える表現はないかな?

ということで、今日のテーマ want + to 不定詞 です。

「~した方がいいんじゃない?~するといいよ」って気軽に言いたいときがありますよね。
そんな時に「want + to 不定詞」を使って表現できます。

●You might want to do it.(そうしたらどうかな。そうするといいと思うよ。)

このように助動詞 might (or may) + want to do の形で使うことが多いですね。
人にアドバイスするときは、相手が気持よく受け止められる表現にこしたことはありません。
ネィティブがよく使う言い回しですので、覚えておくと便利だと思います。

もう少し掘り下げてみましょう。

072.gif皆さんは不思議だと思いませんか?

You might want to do it. は直訳すれば「あなたはそうしたいかもしれない」になりそうなもの。
なぜ、助言の意味になるんでしょうか?

ということで調べてみると、これもちゃんと辞書に載ってました。

want to do と言えば「~したい」のように願望を表すと多くの人が思うわけですが、主語が二人称・三人称になると意味が変わってくるんです。これって want の盲点じゃないかしら。

◆ジーニアスにはこう書いてあります
-----------------------------------------
(略式)[二・三人称主語で] ...しなければならない、...すべきである:[否定文で]...する必要がない[すべきでない]
 ≪時に非難・忠告を表す≫

例文)You want [He wants] to go to a doctor.
   君[彼]は医者に行った方がいいよ。
   (=you [He] ought to...)

   Come on: you don’t want to keep them all waiting.
   さあ、みんなを待たせておくんじゃないよ。
-----------------------------------------

なるほど、want には元々「忠告」の意味があったんですね。
このジーニアスの例は、助動詞の may/might が使われていないので、忠告としてはストレートに響きますね。

◆現代英語語法辞典も調べてみました。
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want to do は、「...したい」と「...する必要がある、...しなければならない」の意味があり、The man wants to watch. は曖昧で、He desires to watch. と It would be a good thing for him to watch. の両方が可能 [Fowler-Burchfield (1996)]。後者は、特に、should や ought to の意味で、助言や忠告を与えるのに用いられる: If possible, you want to avoid alcohol.
-----------------------------------------

そうか。He のような三人称になると「願望」か「助言」か、その時の状況で判断しないといけないのですね。

◆もうひとつ Collins COBUILD も引用
-----------------------------------------
If you tell someone that they want to do a particular thing, you are advising them to do it. (INFORMAL)

例文)
You want to be very careful not to have a man like Crevecoeur for an enemy.
クレーブクールのような人を敵にしないように気を付けたほうがいい。

You want to look where you’re going, mate.
おい、よく見て歩いた方がいいぞ。

= ought to
-----------------------------------------

以上、3つの文献を見たところで大体わかってきました。

「二人称・三人称 + want to do」は ought to do とほぼ同義。使うのはインフォーマルな場。
日常会話で may や might を挟むことで、より一層やわらかな忠告になると考えてよさそうです。


この形は否定文でももちろん使えます。
You don’t want to do it. あなたはそうしない方がいい。

might を使ってもっとやわらかく
You might not want to do it. そうしない方がいいかもよ。


ということで、今日は「助言を表す want + to 不定詞」の使い方をちょっぴりやってみました。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-07-12 18:59 | 語法_English Usage | Comments(4)

冠詞が決め手になるとき

先日、TOEFL の文法問題をやりました。今日は TOEIC の問題集から語法の問題を取り上げたいと思います。

これまたトリッキーな問題です。
カッコ [ ] に入れるものを A~D から選んでくださいというものです。
Let's challenge!

英文
There will be a short introductory session [ ] the empowering women seminar that is scheduled to take place later this month.

選択肢
A. to
B. about
C. within
D during


この問題の正解は B の about でした。読んでみましょう。
There will be a short introductory session [about] the empowering women seminar that is scheduled to take place later this month.

正解の about を使ってきれいな英文が出来上がりましたね。訳してみます。
「今月の後半に予定されている、女性に活力を与えるセミナーについての、短い導入セッションがあります。」

さてここからです。
「during はなぜ間違いになるのでしょうか?」という質問を受けたのです。
その方曰く「during でもきれいに意味が通ると思うんですよ」

あらほんまですか。(゚∇゚ ;)
では during を入れて文を作ってみましょう。

There will be a short introductory session [during] the empowering women seminar that is scheduled to take place later this month.

ご質問者の主張はこうです。
--------------------------
このように during を入れた英文だと、「セミナーの期間中に短い導入セッションがある」と解釈できます。これはセミナーの形式のパターンとしては考えられるので、全く問題ないと思います。during も正解にしないとおかしいです。
--------------------------

なるほど。確かにセミナーのスケジューリングによっては、セミナーとは別個に導入セッションをやったり、セミナーの期間中に導入セッションをやったり、色々ありますよね~。

しかし...問題はそういうことではないんです。

during は間違いです。(>_<)

さて、今回の問題も深いですよ。

●まず、正解の文が正しいところから見ていきましょう。
There will be a short introductory session [about] the empowering women seminar that is scheduled to take place later this month.

まず最初に There will be a short introductory session とあります。short introductory session には不定冠詞の a が付いていますね。なぜでしょうか?

はい、それは新情報だからですね。

女性に活力を与えるセミナーというものがあって、それについての導入セッションがひとつありますということです。どんな導入セッションか内容はわかりませんが、とにかく導入セッションがあるんですよと言ってます。

●では during を使った文を検討しましょう。
There will be a short introductory session [during] the empowering women seminar that is scheduled to take place later this month.

この文がまずいのは about では問題なかった a short introductory session についている不定冠詞の a です。

これも同じく新情報だからよさそうなんですがだめなの。よく考えたらわかります。まず、女性に活力を与えるセミナーの期間中にある導入セッションというのは限定されたものです。つまり、セミナーに関するセッションであることは明白な事実ですから、それに関連付けるためには定冠詞の the を付けなくてはなりません。

不定冠詞の a を付けると、女性に活力を与えるセミナーの期間中に、あるひとつの導入セッションがあるという意味になり、セミナーとは無関係の何かの導入セッションがあるかのような意味になってしまいますよね。何のセッションのこと?って感じです。だから during にしたかったら定冠詞の the を使って、セミナーの導入セッションのことだと受け手に知らせる必要があります。

There will be the short introductory session [during] the empowering women seminar that is scheduled to take place later this month.
こうすることで「セミナーの期間中に、それに関する導入セッションがある」という意味を引き出すことができます。

あれえ?...じゃあなぜ正解の about の文は不定冠詞の a を使うことができるんですかって思いますよね。
また戻ってみてみましょう。

There will be a short introductory session [about] the empowering women seminar that is scheduled to take place later this month.

この文における a short introductory session は the empowering women seminar と無関係ではもちろんありません。関連付けは about によってすでになされていますよね。関連付けがされた上で、「セミナーについての何らかのセッション」と言いたい。だから a でいいんです。

about の文では定冠詞の the を使って the short introductory session にしても大丈夫です。ただし、この場合は、新情報でなく旧情報であるような印象になります。「さっき述べた導入セッション」を指しているかのような感じです。

ややこしいですね。
ちょっと簡単な例を書いてみます。

I bought a book about Shakespeare.
シェイクスピアに関する本を一冊買った。a book は新情報
I bought the book about Shakespeare.
シェイクスピアに関するその本を買った。the book は旧情報(既知の情報)

このように英文を読むときに見落としてしまいがちなのが冠詞です。適当に a とか the を振っているのではないんですね。全部に意味があります。during のケースでは、不定冠詞の a を使うと、文としての整合性がとれなくなってしまいますということなんですね。

たかが冠詞、されど冠詞。
今回の問題は、またしても冠詞の重要性をヒシッと感じる問題でした。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2014-12-14 19:48 | 語法_English Usage | Comments(0)

副詞句考察(2回目)

少し前に 場所を表す副詞句 について考察しました。今日はその2回目です。

前回は、場所の面積・スケールを考慮するというものでしたが、今回はまた違った視点で考えてみたいと思います。

こんな英文があります。
This method permits moving the instrument in a straight line for smooth operation.

これを訳しなさいという問題なのです。この中の副詞句 in a straight line が今回の主役です。

まず、この解答例はこれでした。
①この方法を用いると、器具を直線的に動かしてスムーズに作業できます。

この訳はいいですよね。私も同じように訳すと思います。

さてさて、これに対して違う訳を付けた人がいました。
②この方法を用いると、直線上にある器具を動かしてスムーズに作業できます。

ご覧の通り、①と②では in a straight line のかかり方が違います。

①in a straight line 直線的に → moving 動かして
②in a straight line 直線上にある → the instrument 器具


どうでしょう。①と②は in a straight line が修飾するものが違うので意味が全く変わってきます。
両方とも解釈が可能なんでしょうか?文脈次第?

私も考えてみましたが...
結論として、①は正しく②は不可になると思いました。

今回のポイントは in a straight line で使われている冠詞の a になるんじゃないかと。

英文をもう一度書きます。
This method permits moving the instrument in a straight line for smooth operation.

①は まず the instrument で特定の器具を指しています。それを未知の in a straight line に動かすという流れです。a straight line ですから「ある直線」です。特定のものではなくてこれから準備する「ある直線」ということですね。特定な直線でなくてどんなんでも直線ならよい。だから「器具を直線的に動かして」というかかりが違和感なく読めます。

②は「直線上にある器具を動かして」という訳ですが、これをもっと直訳すると「ある直線上にある特定の器具を動かして」となります。この訳が不思議なのは、器具は特定されているのに直線が特定されていないことです。②の意味を採用するのであれば、目の前あるいは頭の中に特定された器具があるわけですから、直線も特定されるべきものですよね。

つまり、②の意味にどうしても取りたいというのであれば、定冠詞の the をつけるのが必須になると思うんですね。the instrument in the straight line であればその解釈は成立するのではないかと。しかし、この場合であっても、もちろん①の解釈も不都合なく成立します。未知の直線がそこにある直線に変わっただけですから。

ということでまとめると、a straight line であれば①のみ成立し、the straight line であれば①と②の可能性があると考えます。

もうひとつ考慮したいのは、前置詞 in の用法です。in は誰もが知っている「中に」という意味のほかに、運動や方向を表す用法があります。

ジーニアスより引用します。
-------------------------
[in と into]・・・ in は「中に[で]」という位置を表し、通例運動の方向を示さないが、それ自身が運動・動作を表す dive, fall, jump, put, throw, thrust;break, cut, divide, fold などの動詞と共に用いると into の代わりに in が用いられることがある。この場合、動作よりも結果としての状態に重点がある。たとえば jump in the river は jump (into the river and be) in the river の圧縮表現と考えられる。
-------------------------

これを読んで、今回の文における move もまさしく運動を示す動詞と考えてよいと思いました。

This method permits moving the instrument in a straight line for smooth operation.
①この方法を用いると、器具を直線的に動かしてスムーズに作業できます。


この訳例は、まさに in を運動の方向ととらえたものと考えることができますね。

副詞句が修飾する場所は、定冠詞か不定冠詞かということを考慮することで特定できる場合があります。
また、もう一度原点に戻り、場所を表す前置詞(今回は in )の意味を辞書で調べてみるなどすると、新たな発見につながることがあるようです。

本当に英語って奥が深いですね。001.gif

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追記)2015年7月15日

This method permits moving the instrument in a straight line for smooth operation.

先日、「この英文中の for smooth operation がかかっているのはどこでしょうか」とご質問をいただきました。
せっかくなので皆さんと共有したいと思います。

パッと見た感じでは for smooth operation がかかっている場所はわかりにくいですね。
でもちょっと視点を変えると見えてくると思います。

では検討します。

まず、この英文では、 moving 以下全体が permits の目的語になっていることに注目しましょう。

カッコでくくるとわかりやすいかな。
This method permits (moving the instrument in a straight line for smooth operation).

このようにカッコ内がひと固まりになっています。この問題を考えるにあたり、カッコの外にある This method permits はとりましょう。そして、move を動詞にして単文を作ってみます。こうすることで、骨組みがシンプルになりわかりやすくなります。

すると一例ですがこんな文ができます。
● You can move the instrument in a straight line for smooth operation.

この意味するところですが、二通り考えられるでしょう。
①for smooth operation を「結果」と解釈すると
→器具を直線的に動かしてスムーズに作業できます。(※元の英文の訳例も結果として訳してありますね。)

②for smooth operation は「目的」と解釈することもできます。すると
→スムーズに作業するために器具を直線的に動かすことができます。

結果と目的は表裏一体ですから、①と②の解釈については問題ありませんね。

さて、結果と目的と言えば、不定詞を思い出しませんか?
そう、この for smooth operation は不定詞を使って、同じ意味を表すことができます。

不定詞で書き換えてみます。
● You can move the instrument in a straight line to perform smooth operation.

⇒ for smooth operation = to perform smooth operation

ここまでわかったら答えがでます。

072.gif目的を表す不定詞の副詞的用法は、動詞を修飾します。(※お手持ちの文法書で確認してくださいね。)
  I studied hard to pass the exam.
  この英文では、to pass the exam が修飾するのは studied です。

ということは、to perform smooth operation が修飾するのも同じく、動詞の move になると考えていいですね。
元々の英文は動名詞の moving が使われていました。

すなわち、for smooth operation がかかっているのは moving になると考えられます。
by ladysatin | 2014-10-18 18:36 | 語法_English Usage | Comments(7)

副詞句考察(1回目)

英文を読んでいて、この副詞(句)はどこにかかっているのかなと悩んだことはありませんか?

今日は「場所を表す副詞句」について考えたいと思います。
よかったらお付き合いください。

まずこの文から。

500 billion plastic bags are manufactured each year for numerous products in more than 100 countries.

この英文は、ある教本に載っていたものです。
この文を訳しなさいと言われたら、皆さんはどのように訳しますか?

対訳はこうでした。
①毎年、100カ国を超える国で、5000億枚のプラスチック製の袋が、非常に多くの製品のために生産されている

これについては特に問題ありませんね。私も同じように訳すと思います

さて、これについて別の訳を考えた人がいました。
その人の訳はこうです。
②毎年、100カ国を超える国にある非常に多くの製品のために、5000億枚のプラスチック製の袋が生産されている。

(;^_^A  いかがでしょうか皆さん。

①と②の違いは、in more than 100 countries がかかる場所です。

①は in more than 100 countries 100カ国を超える国で → are manufactured 生産されている
②は in more than 100 countries 100カ国を超える国にある → for numerous products 非常に多くの製品のために

ほとんどの方が①で訳されたと思いますが、②は、かかり方が違うだけで文法的に間違っていませんね。

ということで、②で解釈することも可能ではないですか?という問題提起なのです。

事実関係としては、「100カ国を超える国で、5000億枚のプラスチック製の袋が生産されている。」ので①が正しいです。ちょっとそれはおいといて、英文としてみたときの話をしたいと思います。

まず、②の解釈は可能かどうかと言われたら、可能だと思います。
間違いだと否定できる要素がないのです。

しかし...

②はとっても不自然だと思う人がほとんどだと思います。
実際にこの英文を何人かの人に見せて意見をきいたところ、全員の解釈が①でした。

では、なぜ不自然なんでしょうか?ときくと「何となくしっくりこない。座りが悪い。どちらかと言えば①を選ぶ」と、皆さんおっしゃるんですね。

なぜ皆さんが不自然だと思うのか。そこに切り込みます。

もう一度英文を見てみましょう。
500 billion plastic bags are manufactured each year for numerous products in more than 100 countries.

①毎年、100カ国を超える国で、5000億枚のプラスチック製の袋が、非常に多くの製品のために生産されている
②毎年、100カ国を超える国にある非常に多くの製品のために、5000億枚のプラスチック製の袋が生産されている。

②の解釈は in more than 100 countries が for numerous products にかかります。ということは、being を補っても同じ意味になります。
→ 500 billion plastic bags are manufactured each year for numerous products being in more than 100 countries.

ここから以下の文が導き出されます。
→ Numerous products are in more than 100 countries.

この文自体に文法的誤りはありません。きれいな英文として成立しています。

しかし、この文は奇異に感じます。
なぜなんでしょう?

おそらくその理由は、numerous products に対し more than 100 countries のスケール(面積)が大きすぎるからだと思います。多くの人が何となく②は不自然だと感じるのは、この理由からではないでしょうか。

●少し be 動詞の観点から見ていきたいと思います。

場所を表す in と be 動詞を一緒に使う場合は、訳は「(その場所に)存在する(ある、いる)」になりますが、その場所の大きさや特殊性を考慮する必要があります。一般的に in のあとに続く場所(空間)が広くなるにつれ、be 動詞ではなく、行為を特定する一般動詞を使う確率が高くなり、かつ自然な英文になります。

次の文を作ってみました。

a) Some products are in the box.

「いくつかの製品が箱の中にあります。」- この文を見て変な文だと思う人はいないでしょう。箱は狭く閉ざされた空間であり、この中では製品は存在しているだけです。他の行為(例えば修理する、販売する)が及ぼされることは考えられません。

b) The products are manufactured in the factory.

factory は box より広く、特殊な目的をもった場所です。products はそこでは存在するだけでなく他の行為が及ぼされます。manufactured, repaired, packed, etc. つまり be 動詞以外の選択肢が広がり、行為を特定する確率が高くなります。

c) The products are sold in many countries.

さらに面積を広くして「多くの国々」にすると、factory で可能な行為の種類をはるかに超える数の行為が可能となるので、一般動詞を使用する頻度が高くなります。box の中では products は身動きせずただそこに存在するだけですが、多くの国々では products はただ存在することが目的ではなく、何らかの行為を加えられるために存在しています。故に「be動詞 + 一般動詞の受動態」で表現する方が自然になります。

元に戻って、in more than 100 countries を どうしても for numerous products にかかるように解釈したいというのであれば、一般動詞の受動態をかませるというひと手間が必要になると思います。

たとえば
500 billion plastic bags are manufactured each year for numerous products sold in more than 100 countries.
毎年、100カ国を超える国で販売されている非常に多くの製品のために、5000億枚のプラスチック製の袋が生産されている。

sold という一般動詞の受動態を入れることで、不自然さが消えました。つまり、products は more than 100 countries という広大な空間においては、黙って be 動詞として存在しているのではなく、一般動詞による行為を受けて存在しているということです。

極端に言えば、There is a book in the bag.(一冊の本がバッグの中にある。) はOKだけど、There is a book in Japan.(一冊の本が日本にある)は変よねってことなんですね。

副詞句のかかる場所を特定するのが難しいとき、こんな考え方もあるんだということで、ひとつの参考にしていただければと思いました。

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by ladysatin | 2014-09-27 17:03 | 語法_English Usage | Comments(0)

nothing special の意味

ずっと以前に、ある人から聞かれました。

nothing special nothing in particular の意味の違いとは何ぞや?

で、これについてはそのとき答えたのですが、つい最近別の人から同じ質問を受けました。
もしかしてポピュラーな疑問なんでしょうか。

ということで、今日はこの2つの違いにフォーカスです。

nothing special と nothing in particular は一見よく似ていますね。

ではこんな質問を作ってみましょう。

●Do you have any plans for this weekend?
週末の計画は何かありますか?

これに対する答えとして、この2つを比較してみたいと思います。

●nothing in particular
このフレーズは難しくないと思います。
nothing 何もない + in particular 特に = 特に何もない

この場合、in particular は副詞句なので、ただの飾りです。

●nothing special
これはちょっと注意を要します。
構造を考える必要がありますね。

nothing は no + thing のことです。本来は2語であったものが1語になったんですね。
ということは、no special thing が元の語順でした。
no ない + special thing 特別なこと = 特別なことはない

このように見てくると special が thing を修飾していることがわかります。本来は special は thing の前にあるべきものなんですが、nothing は one word なので分解できません。だから後ろにもってくるしかないのです。

★まとめると...

●Do you have any plans for this weekend?
週末の計画は何かありますか?

①Nothing in particular.
特に何もありません。つまり、何の計画もありませんということです。

②Nothing special. = No special plan(s).
特別な計画はありません。special が plan にかかっているので、特別な計画はないが、何かの計画がある可能性は大いにあります。

質問は、 Do you have any plans for this weekend? ですから、special plan があるのかと聞いているわけではありません。ということは②Nothing special. は聞かれていないことを答えたとも考えられますね。

本来は Do you have any special plans for this weekend? に対する答えが、Nothing special. になると思います。とはいえ、会話として考えたときに nothing special と nothing in particular を厳密に使い分けているひとはあまりいないかもしれません。ただ、根本的には違うのだと知っておくことは無駄なことではないと思います。

以前、これに似た内容の記事を書いたことがあります。
よかったらこちらも参考までに。
→ some place new? some new place?

ではまた。
by ladysatin | 2014-09-21 18:25 | 語法_English Usage | Comments(0)