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私の仕事

フリーランスの翻訳者になって2か月ほど経ちました。

仕事は、おかげさまで休む間もなく入ってきてありがたいと思っているのですが、不都合なこともいろいろ出てきました。

まず、手持ちの PC は業務に対応できるスペックではなく、複数のアプリを立ち上げるとパンクしてしまい、仕事が思うように進まない事態に。涙…。

そこで長年連れ添った VAIO に別れを告げ、つい先日、新しい PC に変えました。それが素晴らしい PC でして、仕事が倍速ではかどり、いたく感激している次第です。

それがこちら↓
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NEC LAVIE の2016年春モデルなので、発売ほやほやなんです~。

業務用にハイスペックにしてもらってカスタムメイドで購入しました。自慢の CPU は Intel Core i7-6500 で超高速。メモリは16GBなので、アプリを5つ同時に立ち上げても、さくさく動くという至福の時を与えてくれるのです。しかもこの大画面は、外枠のギリギリまで液晶があるという代物なんですよ。

自慢しちゃいました。ごめりんこ。(>_<)



出費は結構きつかったのですが、今後を考えるとやむをえずですね。

PC 以外の不都合は、会社で使っていたアプリケーションを購入しなくてはならなくなったことです。Trados2015 はもっていましたが、DTP 用のアプリは全くもっていなかったので、Adobe Creative Cloud のメンバーシップの契約をしました。使っているアプリは、InDesign, Illustrator & Photoshopです。会社やめると色々お金かかりますなあ。

前置きが長くなりましたが、今日は私のお仕事について書きたいと思います。(^_^)

私のブログの読者の中には、翻訳者の方や翻訳の勉強をされている方もおられると思いますので、ご興味がある方に読んでいただければ。

まず、一口に翻訳といっても分野がいろいろあるので、必要とされる機材やアプリは翻訳者の業務内容によってさまざまだと思います。

私の翻訳業務は技術翻訳が主なのですが、仕事内容はかなりユニークだと思います。
というのも 翻訳プラス DTP (Desktop Publishing) という二足の草鞋を履いているから。

「えっ DTP ってなあに?」って思われた方にすこしだけ説明しますと…。

DTP はいわゆる編集業務になります。Desktop Publishing を文字通り訳すと「印刷物を机の上で作ること」です。文字や絵・写真を DTP 用のアプリケーションで編集し、印刷に回せる状態にする作業です。DTP は、それだけで一つの職種として成立しているので、DTP オペレーターとして企業で働いている人も多くいらっしゃいます。

私の場合は、翻訳がメインですが DTP もやっていますので、仕事を依頼する側は、翻訳に A さん、DTP に B さんと別々に依頼する必要がなくなり、私に依頼すると一貫生産ができるというメリットがあるんです。依頼主のコレポンが一本化されるとそれだけで仕事の効率化になります。

翻訳も DTP もできるなんてすごいですねって思われるかもしれませんが、DTP のスキルはここ数年で習得したものなんです。先だって退職した会社には DTP 専門のオペレーターが数名いたのですが、人員が不足していました。しかし、経費節減で会社はこれ以上人件費を増やしたくない(そうでしょうとも)。で、「サテンさ~ん、DTP もやってみませんか?」と話が来たんですね。

私は「やります♪」と言いました。もともと好奇心旺盛な性格なので、未知の世界に踏み込むことに迷いはありませんでした。最初は右も左もわからない状態でしたから、編集の先輩に一から教えてもらいました。最初の一年間は失敗の連続で、周りの人に迷惑をかけたこともあったのですが、必死で勉強した成果が出て、一年後には誰の手伝いなくとも、一人で仕事をこなせるまでになりました。DTP で一人前になったことはとてもうれしく、自分でも「やればできるじゃん」と自信もつきました。

今思うのは、「会社をやめる前に DTP のスキルを身に着けておいて本当によかったなあ」ということです。ほとんどの翻訳者は翻訳しかしません。それが普通で、DTP までできる人はまれなのです。

ここからは、少し具体的なお話をします。

私の場合は、英語から日本語への翻訳ではなく、日本語から英語に翻訳する仕事が今では100%です。そして機械・自動車・ソフトウェア・家電関係の取説を作る仕事がほとんどです。そこで、まずこれらの商品には日本語の取説というものがあるんです。取説は Adobe の InDesign や FrameMaker という DTP 専用のアプリを使って作ります。昨今では InDesign が主流です。

そこで、一つの例として、InDesign で作った48ページものの日本語の取説があるとします。それを、英語に翻訳してくださいと依頼があるんです。私が翻訳するときは Trados2015 を使いますが、InDesign のデータをそのまま Trados に読み込むことができません。48ページの取説を翻訳するときは、そのInDesign の生データをもらって、データに不備がないか確認し、不備のある個所は修正します。そしてidml という中間ファイルに書き出します。

次に idml を Trados で吸い上げて、英語に翻訳します。翻訳が終わったら、それを英語の idml ファイルに戻します。

次に、英語の idml を InDesign で読み込みます。すると日本語の取説のレイアウトはそのままで、日本語だった箇所が翻訳された英語に置き換わっているんですね。しかし、日本語と英語では、当然ながら文の長さが違います。欧州言語はアジア言語より長いです。なので、テキストボックスに収まらず、オーバーフローしてしまうことが多々あります。そのオーバーフローを修正するという手間がかかります。行間を狭くしたり、文字のポイントを変えたりするんです。これを整型といいます。この整型作業がすべて終わって初めて英語版が完成します。

そして、完成した InDesign のデータを依頼主に納品します。私の仕事はここまでです。

★まとめるとこんな感じです。
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①依頼主から InDesign の日本語データを支給してもらう。
②そのデータを私の環境の InDesign で開き、データを修正。 ひとつの文に改行が入っている場合はすべてとる。
③idml ファイルに書き出す。
④Trados で 日本語の idml を英語に翻訳し、訳文生成。英語の idml ファイルを作る。
⑤InDesign で英語の idml ファイルを開き、整型作業をおこない、英語版を完成させる。
⑥完成した InDesign のデータを依頼主に納品する。
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以上が私の仕事の手順です。一般的には、翻訳者は依頼主(主に翻訳会社)から、日本語の idml を支給してもらってそれを翻訳し、英語の idmlを作って依頼主に納品します。つまり上のステップ④のみが普通の翻訳者の仕事です。

翻訳の仕事というと日本語から英語、英語から日本語に訳する仕事というイメージをおもちの方がほとんどだと思います。それが本業ですし、本業のみに注力するのが一般的だと思います。しかし、時代は常に動いていて、新しいソフトウェアは次々に開発され、翻訳のあり方も変わっていっているように思います。

日英翻訳は英語を書く能力がすべてです。それ以外にない。その力を常に磨き続ける努力をしていかなくてはなりません。その一方で、翻訳に関連する技術を習得すると、自分の仕事の幅が広がります。それもまたやりがいにつながるのではないかと思います。翻訳と DTP がこんなに密接な関係があって、DTP のスキルは翻訳者にとっての付加価値になるんだねって思っていただけたら、この記事を書いた意義もあったかなと思います。参考になれば幸いです。

ついでながら、以下は私の作業部屋の机です。
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机の上には必要なものしか置いていません。

先日買った LAVIE の左横には、ノートパソコンが一台。主にデータのバックアップ用です。そのうしろにあるのは32型のテレビです。引っ越しの際に廃棄処理しようとしましたが、ノートパソコンと HDMI ケーブルでつないだら拡張モニターになるなあと思いつきました。モニターとしては大きすぎますが、有効利用できてよかった。

ご覧の通り、とっても殺風景な作業環境ですが、私のオアシスなのです。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2016-02-14 01:29 | Introduction | Comments(16)

人を理解するための言葉

先日、遅ればせながらの自己紹介をさせていただきました。

自分のことを書くのは恥ずかしいですね。実名を出しているわけではなくても何となく。

さて、前回の記事で「私にとって言葉を学ぶということは、人について学び、人を理解するということです」と書きました。何かわれながらカッコつけた文だと思ってしまいます。でも、これが偽らざる気持ちです。今日は、このことについてだらだら書きたいと思います。(^^ゞ

「言葉はコミュニケーションの道具」…このフレーズは何度聞いたかわかりません。皆さんもそうではありませんか。コミュニケーションの道具として英語を学ぶ。それはそれで一理ありますね。英語が話せないと英語圏の人とはコミュニケートできないわけですから。しかし、それが語学の究極の目的なのかと考えたときに、私はそうではないような気がしています。

私のブログを読んでくださっている方はご存知だと思いますが、大体、5回に1回は訳詞の記事を書いています。そして、ひとつの曲を掘り下げていくのが好きです。訳詞をしてブログにアップする人はとても多いわけですが、私のように「ここの文法はこうで、何が言いたくて…」としつこく書く人なんていません。でも私はそれをしたいのです。

なぜかというと、訳詞をしてその内容を考察したあと、その曲を歌うアーティストや曲を書いた人のことを、ますます好きになっているのがわかるから。

うん?と思われるかもしれませんが、これってすごいことだと自分では思ってるんですよ。

私が訳詞をする対象は、大好きで思い入れがたくさん詰まっている曲がほとんどです。訳詞を目的としたブログではないので、量はこなしません。そのかわりそれぞれの詞を深く吟味します。意味がわからない箇所は徹底的に調べます。

すると、あるときふわ~っと謎が解決する瞬間が来るんです。そのときの感動はなかなかのものです。そして、思う存分考察が終わった私の中に残った感情は、大好きだったその曲がもっと好きになったという気持ちと、この曲を書いた人を前よりももっと理解できたという喜びなんです。

ひとつ例をあげてみますね。

昨年、The Eagles の Desperado を訳して2回に渡って考察しました。私のすべての記事の中でアクセス数が一番多く、毎日300近いアクセスがあります。シングルカットされてもいないこの曲がこんな多くの人に愛されているという事実にも驚くわけですが、それだけ思い入れをもった人々が多いということですね。

この曲を考察していく中で、You been out ridin’ fences for so long now の ride fences は、sit [stand] on the fence の変化形だということがわかり、さらには、最後の It may be rainin' にかかっていたということまでわかりました。その結論にたどり着く過程は長くて、ただ辞書を引いてこれだと決めつけたわけではありません。sit と ride は動詞の性格が違うことは当然知っていますし、ネィティブのサイトでは色んな議論がされていることも読んだ上での結論でした。だから、いろいろ調べたあげくにこのことがわかったときは、とてもうれしかったです。

しかし、これで終わりではありませんでした。コメントをくださった方が「西部の荒くれ者のイメージから sit を馬を駆る ride に置き換えたんですね」と書いてくださったんです。私などよりずっとこの曲に思いをもっておられて、アルバム全体に思い入れのある方のコメントでしたので、本当に説得力がありました。

この曲の詞への理解が深まるということは、書いた人すなわち Don Henley と Glenn Frey への理解が深まるということです。何故なら自分の思いをミュージシャンは言葉にするわけですから。ここまでくると会ったこともない作者がとても身近に感じられ、とても良い気持ちに包まれます。素晴らしいミュージシャンだと今までも思って来たけれど、こんな素晴らしい曲を作って世に出してくれた方々のことを、素敵な人達だなと思いました。

訳詞をすることで、作った人達のことを今以上に好きになるのは、たとえばこういうこと...

まず、作った人が自分の中で吟味して選択したフレーズがあって、それを詞の中に入れたという前提があります。一方、曲というのはメロディをともなうので、日本人である私達はまずメロディの良さから入るのが普通です。そこで、「ああいい曲だな」という思いが生まれて、そこで終わる場合もあれば、詞の中で何を言ってるんだろうという思いから、詞を読んでみようという気持ちになる。そして「内容もいいね」って思う。

そこで終わってもいいんだけど、私の場合はもっと知りたい気持ちにかられます。ある人が発する言葉を、聞いたり読んだりすることで、その人を理解したと思う。でも、それはもしかしたら表面を知っただけなのかもしれない。私が訳詞をしながら考えることは「なぜ、この言葉でなくてはならなかったのか」ということなのです。そして、それがわかったとき、作った人への理解が深まったことを感じます。そして、理解が深まるほどにその人を好きになります。これは他のアーティストの曲を訳すときも同じです。

「私にとって言葉を学ぶということは、人について学び、人を理解するということです」と書いたのは、人を理解することでその人を好きになり、最終的に自分自身の心に良い影響を与え、心が豊かになることを感じるからです。

「好きになる」...「人を好くと」いう感情は、「愛する」とは違いますよね。誰かを好きだと思う気持ちは、とてもポジティブなものです。そんなポジティブな感情が自分の中にたくさんあると、自然に笑みがこぼれます。笑みがこぼれるということは、幸せなんですよね。

逆に「好き」とは反対の嫌悪や憎悪という感情はできる限りもちたくない。それらは負のエネルギーしか生まなくて、自分の活力を奪ってしまうような気がします。もちろん、嫌だなって思うことは日々あるわけだけど、負のエネルギーをできるだけポジティブなものに変える努力はしていきたい。

日常生活だったら、誰かが発した言葉がぶっきらぼうだと不安になりますよね。例えば、会社で上司から「これやっといて」ってつっけんどんに言われたら、「いやな人だ」と思うかもしれない。でも、その上司がなぜそういう言い方をしたんだろうかと考えてみると、大事な会議の前でイライラしていたのかもしれないと思う。そうするとちょっと許せる気持ちになる。その人をすぐ好きになるわけではないけど、上司がなぜそんな言い方をしたのか理解できる。

一歩下がって相手を理解することってそう簡単なことではないです。誰にでもエゴがあるわけですから。でも、相手を理解する努力はしなくてはならないと思うんです。そのために言葉を学ぶという考え方もありなんじゃないかと思っています。何故なら、最終的には自分が幸せになることだから。

世界のいくつかの地域では紛争が絶えない。自分のことしか考えない人達がいます。なぜお互いを理解しようとしないのでしょうね。そのために言葉があるのに...そう思うと悲しくなります。

今日は少し深い話になってしまいましたが、自分の考えをまとめておきたかったので書いてみました。
皆さんにとって言葉を学ぶってどんなことでしょうか。

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-02-15 20:17 | Introduction | Comments(4)

Welcome to Lady Satin's Blog.

Thank you for reading my articles.

I am a professional translator (from Japanese to English) specialized in technical fields.

In this blog, I have been writing English-related articles focused on English grammar, usage, composition, etc., hoping to share my thoughts with readers on what I have learned over the years. Learning a language is about understanding each other, which enriches people's life, I think.

I love rock music. (^_-)-☆
Some of the articles are about my favorite songs and musicians.

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Lady Satin のブログへご訪問ありがとうございます。

~少しだけ自己紹介~ 今さらですけれど...

現在、私は技術系の翻訳のお仕事をしています。日本語から英語がメインです。機械関係の取説、技術資料、IT 関連のソフトウェア、プログラミング関連、自動車の整備書などが主な対象です。一般家庭向けの電化製品等の取説も随時翻訳しています。翻訳はすべて Trados 使用です。翻訳と関連し DTP 業務もおこなっています。アプリは主に InDesign と Illustrator。翻訳7割、DTP 3割くらいでしょうか。加えて、各国語に展開する際のコーディネーション業務などが付随します。

このブログでは週1回のペースで英語関係の記事を書いています。文法や語法について深く考えるのが大好きです。ひとつのトピックを掘り下げて書くことが多いので、大体 A4 で3枚~5枚が1本の記事量になります。

私にとって言葉を学ぶということは、人について学び、人を理解するということです。言葉を学ぶことで人生が豊かになることを実感しています。言葉の勉強は奥が深いので、市販の文法書や参考書では、到底網羅できるものではありません。自分が学ぶ過程で色んな情報を得、考え、その中から取捨選択し新たな事実が得られることが多々あります。そんなとき他の人とその内容をシェアしたくなります。このブログでそんなことができたらと思っています。

ひとつの記事にはかなり時間を費やしており、自信がないものや根拠にとぼしいものはアップしないようにしています。それぞれの記事は、主張の根拠をなるべく詳細に記載するようにしていますが、私の記事内容で「これは違うんじゃないか」と思われるケースがあるかもしれません。その場合はお知らせくださいませんか。自分が間違っていると思った場合は、速やかに訂正いたします。そのままでよいと思う場合は、その理由を説明させていただきます。

私のブログは広い読者を対象としています。どうすれば分かりやすく解説できるかを考えつつ書いているつもりですが、わかりにくいときはご指摘いただければと思います。

このブログは完全非営利ですので、広告関係の表示は一切ありません。下の方にライフログの欄で私が参考にしている書籍をあげていますが、サイドバーの欄が寂しいので、英語のブログらしいものをという理由で、飾らせていただいています。

このブログが、英語を学習される皆様にとって少しでもお役に立てるのであれば、大変うれしく思います。

Lady Satin
by ladysatin | 2015-02-09 23:05 | Introduction | Comments(7)