恩を返す

昨日、浅田真央さんの引退のニュースを知りました。
今日もずっと浅田真央さんのことがテレビやネットで流れていました。
本当に日本中の人から愛されていたんですね。

以下は、2014年 02月 22日に、浅田真央さんについて書いた記事です。
まだブログの読者が少なかった頃の記事なので、読んだ人はあまりいないと思います。
今回のニュースを受けてトップに移動しました。

ソチオリンピックのショートプログラムで16位と出遅れながらも、フリーで完璧な演技を遂げた浅田真央さん。
鮮やかすぎる復活の裏に何があったのでしょうか。
今読み返すと、また心に響くものがあります。

毎日新聞の英語版です。
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2014年 02月 22日

今日は、久しぶりに英文精読の話題です。

英字新聞を読むのはまだ苦手という方も、旬の話題だと興味がわくかな?と思いまして、浅田真央選手に関する記事を選んでみました。

英文を読むときに、背景知識のある内容かそうでないかによって、読むスピードは全く変わってきます。長文を読む力をつけるとともに語彙力を付ける方法のひとつが、こうした直近の話題の記事を読むことだと思います。

ところで、浅田選手のフリーの演技は、多くの人々に感動を与えてくれました。私ももちろんテレビで観まして、この人は別格だと思いました。他のスケーターの方々もそれぞれに素晴らしいのですが、浅田選手はどこか別次元にいる人のように思えました。神がかりといったら大げさかもしれませんが、後光がさしているかのように輝いていました。

浅田選手はフリーのあとのインタビューで「私なりに恩返しができたと思います。」と言いました。

まだ20代前半の浅田選手が「恩返し」という言葉を発したのを聞いて、ちょっとどきっとしました。

「恩を返す」という言葉は簡単には使いません。「感謝」という言葉はよく使われますが、「恩返し」は「感謝」の先にある言葉です。よほどのことをしていただいたという思いが、彼女の中にあったのでしょう。

「皆さまが私のためにしてくださったことの数々、それらに報いるにふさわしい内容の演技で、私は皆さまにお返しいたしました。」

その思いが浅田選手の「恩返し」という言葉となって出たのでしょう。

さて、以下の英文記事の中にも「恩返し」が英語で出てきます。
どんな英語になっているでしょう。
一緒に読んでみませんか。

以下、毎日新聞の英文記事から抜粋します。
http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20140221p2a00m0sp012000c.html

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Mao Asada cries tears of joy despite 6th place finish
浅田真央 - 6位でも喜びの涙


SOCHI, Russia -- Mao Asada finished her performance with her head held high. Then she lowered her gaze and tears welled up in her eyes. As the crowd at the Sochi Winter Olympics roared and applauded, she couldn't stop sobbing.

ソチ・ロシア - 浅田真央選手は、頭を高く上げ演技を終えた。その後、視線を落とすと、涙がこみ上げてきた。冬季オリンピックのソチの観衆の歓喜の声と拍手の中で、彼女は泣くしかなかった。

Back in 2010, Asada had won silver at the Vancouver Olympics but was not satisfied with her performance, which had left her frustrated. She had spent the next four years honing her skills.

2010年を振り返ると、浅田はバンクーバーオリンピックで銀メダルを獲得したものの、自身の演技に満足できてはおらず、そのことが彼女の心にわだかまりを残していた。その後4年をかけ自分の技術を磨いてきたのだ。

After the short program at the Sochi Games, she placed a disappointing 16th. But in a brilliant comeback in the free skate, she lifted her position to come third and finish sixth overall. One episode after another came to her mind and she started to cry.

ソチのショートプログラムの結果は期待はずれの16位。しかし、フリースケートでの見事な復活で3位まで順位を上げ、最終的には6位だった。これまでの出来事が次々に思い出され、彼女は泣き始めた。

Asada began to remember the many emails she received the previous night from people who wrote that they wanted to see her smiling face. She smiled through her tears of joy: The free skate on Feb. 20 was her personal best.

浅田は、前の晩に届いた多くのメールを思い起こし始めた。それは彼女の笑顔が見たいと書いてきた人々からのものだった。喜びの涙を通して彼女は笑顔を見せた。2月20日のフリーは自己最高のスコアだった。

A night before, Asada had been on the same ice at Iceberg Skating Palace, finding herself in the depths of despair due to a stumbling short program performance. "My body didn't move," she recalled. During official morning training, she was in the same mood.

前の晩、浅田は同じアイスバーグ・スケート・パレスいた。ショートプログラムの演技での転倒を受け、深い絶望感の中にいた。「身体が動かなかった。」ことを彼女は思いおこした。朝の公式練習では、同じ思いを引きずっていた。

Her coach Nobuo Sato, 72, raised his voice. "The short program is about getting 70 points; the free program is about getting 140. Give it everything you've got!" he bellowed.

佐藤信夫コーチ(72)は声を荒げ、「ショートは70点。フリーは140点ある。持っている力をすべて出しなさい!」と怒鳴った。

After morning practice, Sato started talking about Mitsuru Matsumura, 56, who was one of his students and who competed in the 1980 Lake Placid Olympics. "His tonsils flared up after the short program but he proceeded to compete in the free program although he could not practice or eat," Sato told Asada. "I told him, 'If you collapse, I will rush into the rink to help you. Skate until you fall down.' He gave the best performance in the free program."

午前中の練習の後、佐藤コーチは、自身の教え子で1980年のレイクプラシッドオリンピックに出場した松村充氏(56)のことを話し始めた。「彼はショートプログラムの後で扁桃腺が悪化し、練習をすることも食べることもできなかった。しかし、フリープログラムを全うした。」と。「彼に言ったんだよ。『君が倒れたら、私がリンクまで走って助けに行く。倒れるまで滑るんだ』と。彼はフリーで最高の演技をしたよ。」と、佐藤コーチは浅田に言った。

Sato's talk had a sobering effect on Asada.
佐藤コーチの話は、浅田の気持ちを落ち着かせる効果があった。

"I'm not sick. I definitely can do it," she thought.
「私は病気じゃない。絶対できるはず。」と、彼女は思った。

"I could not produce a result in the form of a medal but managed to perform to the fullest. I was able to return the favor in my own way." Asada said, reflecting upon her success in translating her coach's advice into her brilliant performance.

コーチのアドバイスが彼女の素晴らしい演技につながったことを振り返りながら、浅田はこう言った。「メダルという形の結果を残すことはできませんでしたが、全力で演じきりました。私なりの恩返しができました。と。

February 21, 2014 (Mainichi Japan)
2014年2月21日(毎日新聞)

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以上です。
日本のメディアで報道されている内容ばかりなので、わかりやすかったかと思います。

私は、こういう大きなニュースのあとで英字新聞をチェックするのが好きです。大体翌日には、日本の報道と同じ内容の英文記事が出ています。その日英の記事を比較すると、直訳ではなく自然な英語が学べることがあります。

例えば、以下は実際に浅田選手がインタビューで答えた言葉です。

「こういうオリンピックという大きな舞台で、日本代表としてメダルを持って帰ることは出来なかったと思うんですけど、自分が目指しているフリーの演技が今日できた。結果としては良くなかったと思うけど、私なりの恩返しができたかなと思います。」

「結果としては良くなかった」を直訳すると The result was not good. とか It was not good as a result.になりますが、ネィティブのライターの文は、上にあるように I could not produce a result.ですね。

なるほど、result を目的語にして動詞は produce が使えるのだなとわかりますね。日本語をそのままではなくて、英語では発想を転換して考えてみる。そういう習慣を付けることで、より自然な英語力もつきます。

「私なりの恩返しができた」 - これは難しいと思いました。

ネィティブのライターはこう訳しました。
私なりに - in my own way
恩返し – return the favor


「恩返し」については、他の新聞記事では pay back を使っているところもありましたが、私は毎日新聞と同じ return the favor を真っ先に思いつきました。pay back も間違いとまでは言えませんが、pay という単語のもつ語感がどうもそぐわない気がするのです。個人的感覚なので、表現の好みの問題かもしれません。

余談ですが、昔、一緒に勤めていた外国人の部下が、帰国する前に手紙をくれました。その手紙の最後に、"I hope to return the favor someday."と書いてくれていました。そのときのことを思い出しました。return the favor というフレーズは、日本語の「恩返し」に一番近いような気がしています。

最後は、浅田選手の美しい笑顔を見ることができて、本当によかったですね。

浅田真央さん、ありがとうございます。
by ladysatin | 2017-04-11 23:01 | 英文精読_Reading | Comments(4)

オバマ大統領の広島スピーチの話題を2本書きました。
もう一つだけ原爆関連の記事を書きたいと思います。

4月の先進7か国 (G7) 外相会合の際に、アメリカの現職閣僚として初めて、広島市の原爆資料館をケリー国務長官が見学したことは、大きなニュースになりました。そのケリー国務長官から5月中旬に、原爆資料館の志賀賢治館長に感謝の思いを綴った手紙が届いたとのことです。手紙の日付は5月3日ですが、実際に届いたのはオバマ大統領が広島を訪れた翌日だったそうです。その内容は各新聞に報じられていると思いますが、全訳は今のところ見たことがありません。

実際には何が書いてあったのか、知りたい方もいらっしゃることと思います。
早速ですが、テレビのニュース画像から手紙のキャプチャをとって文字を起こしました。
短い手紙ですが、ケリー長官の人柄を垣間見る文面です。

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文面は以下の通りです。
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Thank you for hosting us at the Hiroshima Peace Memorial Museum during the G7 Foreign Ministers’ meeting.

G7 外相会合の期間中、私達を広島平和記念資料館にておもてなしくださり、ありがとうございました。

As I noted in the guestbook, visiting the memorial and remembering the stark realities of war affirm the importance of our work forward peace in a world free from the threat of nuclear weapons.

芳名録に記帳しましたように、資料館を訪れ、戦争の容赦ない現実に思いを寄せると、核兵器の脅威のない世界において、平和に向かって我々が取り組んでいくことの重要性を確信します。

The partnership between our two countries is a testament to the power of the deeply rooted values and interests that we share today.

我々2国間におけるパートナーシップは、我々が今日共有する、深く根付いた価値と利益の結集の証です。

Thank you also for the Spirit of Hiroshima book, a reminder of the powerful experience I had at the museum.

また、図録「ヒロシマを世界に The Spirit of Hiroshima」を贈呈いただきありがとうございました。この本を見ると、資料館での強烈な体験が思い出されます。

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以上です。ケリー長官の手紙は、難しい言い回しもなくわかりやすい英語ですが、訳しにくいところがあります。the power of the deeply rooted values の power を「力」とするとどうしても馴染めず、「結集」という言葉を使いました。「結集」することで「力」となると思ったからなのですが、自分ではまだ納得のいく訳ではありません。

手紙にあった ”the Spirit of Hiroshima book” とはおそらくこの本のことだと思います。
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原爆資料館の志賀館長は、図録を贈ったことについて、海外の来賓からお礼の手紙を受け取ったのは初めてだと話されたとのことです。このことからも、いかにケリー長官が、資料館の見学で衝撃を受けたかがわかるような気がします。また、ケリー長官の資料館訪問がなかったら、オバマ大統領の広島訪問も実現していなかったかもしれません。

またあの夏の日がやってきます。
今年の夏は少し違う夏になるような気がしています。
by ladysatin | 2016-06-09 23:03 | 英文精読_Reading | Comments(4)

前回のオバマ大統領の広島スピーチに関する記事は、想像以上に多くの方に読んでいただいているようです。ありがとうございます。その中で the arc of that terrible war arc をキーワードに検索をかけて、記事を読みに来ていただいている方が多いようです。この arc は何のことでしょうかと質問を受け、前回の記事でコメント欄に回答しましたが、記載箇所がわかりにくいこともあって、この件については記事を独立させることにしました。

前回の記事はこちらです。
オバマ大統領の広島スピーチ(全文・日本語訳)

arc の訳は英和辞典にある通り「弧」になります。しかし、この訳が新聞などの訳には出ていないため、疑問に思われている方が多いようです。この arc は、「弧」として明確に訳出する必要があると思います。

もう一度この箇所のあるパラグラフを見てみましょう。前回の記事の試訳です。
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9) That is why we come to this place. We stand here, in the middle of this city, and force ourselves to imagine the moment the bomb fell. We force ourselves to feel the dread of children confused by what they see. We listen to a silent cry. We remember all the innocents killed across the arc of that terrible war, and the wars that came before, and the wars that would follow.

だからこそ我々は、この場所に来るのです。我々は、ここ、この都市の中心に立ち、我々自身に、爆弾が投下されたときの瞬間を想像することを強いるのです。目の当たりにした光景に混乱した子供たちの恐怖を感じることを、我々自身に強いるのです。我々は、無言の泣き声に耳を傾けます。我々は、あの恐ろしい戦争の弧の中で、またその前の戦争、そしてその後起こったの戦争の中で殺された、全ての罪なき人々を追悼します。
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ここから先は解説です。お断りしておくと、私は地政学についての知識はありません。ですので、下に書いた内容は、あちこち調べて、こういうことであろうと行き着いた内容です。

across the arc of that terrible war は比喩表現で、the arc はこの場合、戦争が起こった地域を指していると思います。arc は地政学における概念で、イギリスの地理学者のマッキンダーが、アフリカ、バルカン半島から中東を通って、東南アジア、朝鮮半島に至る、帯状の紛争の地域を「危機の弧 arc of crisis」と定義したのが、この用語 arc が使われた起源のようです。これになぞらえて、アメリカは油田のあるアフリカ北部を「チャンスの弧 arc of opportunity」、治安と経済が安定しているヨーロッパを「安定の弧 arc of stability」として、アメリカの世界戦略基盤と考えています。また、紛争地域を「不安定の弧 arc of instability」と呼ぶようです。

これら一連の表現から the arc of that terrible war という表現をオバマ大統領は使っているのだと思いました。
the がついているのは、世界大戦に関わった国々も地域も特定されているからです。

ところで、「なぜ弧というのか」という疑問も出てくるかと思います。これはおそらく形状のことだと思います。調べてみたのですが、arc of XXX という表現はよく使われているようです。先に述べた「不安定の弧 arc of instability」は、まっすぐに伸びているものではなく、弧の形であらわされています。

以下のサイトで地図上に、ARC OF INSTABILITY を弧で示してあります。
http://www.tlaxcala-int.org/article.asp?reference=14134
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また、以下のサイトでは、ARC OF TENSION がやはり弧状に地図に示されています。
https://www.americanprogress.org/issues/security/report/2012/04/18/11439/climate-change-migration-and-conflict-in-northwest-africa/
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こちらは ARC OF DEFORESTATION の地図です。
http://www.economist.com/node/21541033

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上記3つの例のように、なだらかなカーブを描く帯状の地帯を「arc 弧」と表現すると考えてよいと思います。

また、第一次安倍内閣のときに麻生外務大臣が提唱した「自由と繁栄の弧 (the arc of freedom and prosperity)」の指す地域は、「北欧諸国から始まって、バルト諸国、中・東欧、中央アジア・コーカサス、中東、インド亜大陸、さらに東南アジアを通って北東アジアにつながる地域(Wiki より引用)」です。これも形状が弧の形です。

このようにみてくると、the arc of that terrible war も同様に、 that terrible war が指す地域を弧状ととらえて、この表現がなされているのではないかと思います。
by ladysatin | 2016-06-06 23:53 | 英文精読_Reading | Comments(8)

今回は予定を変更して、先日のオバマ大統領のスピーチについて書きたいと思います。

テレビでは同時通訳者の声がかぶさって、大統領の声が聞きとりにくかったこともあり、ホワイトハウスの HP からスピーチ全文を入手しました。この歴史的なスピーチをを訳してみたいと思います。

全部で21パラグラフあります。私の翻訳の方針として、できるかぎり原文に忠実に訳すようにしています。意訳は意図しておりませんので、流れるような日本語ではないかもしれません。ご了承ください。新聞などの掲載訳と比較して、訳が異なっていると疑問をもたれた方は、コメント欄にご記入ください。お返事させていただきます。また、「ここの訳おかしいのでは?」って思われた方はご指摘ください。誤訳がある場合は速やかに訂正いたします。

Remarks by President Obama at Hiroshima Peace Memorial

翻訳最終更新日:2016年6月10日

1) Seventy-one years ago, on a bright, cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed. A flash of light and a wall of fire destroyed a city and demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself.

71年前、雲ひとつない明るい朝、死が空から降ってきました。そして世界は変わりました。閃光と火柱が町を破壊し、人類が己自身を破壊するための手段をもっていることを、証明したのです。

2) Why do we come to this place, to Hiroshima? We come to ponder a terrible force unleashed in a not so distant past. We come to mourn the dead, including over 100,000 in Japanese men, women and children; thousands of Koreans; a dozen Americans held prisoner. Their souls speak to us. They ask us to look inward, to take stock of who we are and what we might become.

なぜ、我々はこの場所、広島に来るのでしょうか?それは、そう遠くない過去に解き放たれた恐ろしい力について、沈思するためです。10万人を超える日本人の男性、女性、そして子供、何千人もの朝鮮半島出身者、十数人の米国人捕虜を含む死者を追悼するためです。彼らの魂が、我々に語りかけます。彼らは我々に、内なる心に目を向けよと、そして今の我々の姿と将来なりうる我々の姿というものを、熟考せよと訴えます。

3) It is not the fact of war that sets Hiroshima apart. Artifacts tell us that violent conflict appeared with the very first man. Our early ancestors, having learned to make blades from flint and spears from wood, used these tools not just for hunting, but against their own kind. On every continent, the history of civilization is filled with war, whether driven by scarcity of grain or hunger for gold; compelled by nationalist fervor or religious zeal. Empires have risen and fallen. Peoples have been subjugated and liberated. And at each juncture, innocents have suffered, a countless toll, their names forgotten by time.

広島を他から際立たせているのは戦争という事実ではありません。歴史的遺物が、我々に教えてくれます。暴力的紛争は最初の人類とともに出現していたのだと。我々の初期の祖先は、火打ち石から刃物を、そして木からやりを作ることを学び、これらの道具を、狩猟だけでなく同じ人間に対しても使いました。どの大陸においても、文明の歴史は戦争で満ちています。穀物不足や黄金への欲望に突き動かされ、また民族主義者の熱情や宗教上の熱情が、戦争を余儀ないものにしてきたのです。帝国は台頭しては衰退してきました。人々は従属させられ、解放されてきました。そして、それぞれの転機において、罪のない人々が苦しみ、無数の犠牲者を生み、彼らの名前は時の経過とともに忘れ去られてきたのです。

4) The World War that reached its brutal end in Hiroshima and Nagasaki was fought among the wealthiest and most powerful of nations. Their civilizations had given the world great cities and magnificent art. Their thinkers had advanced ideas of justice and harmony and truth. And yet, the war grew out of the same base instinct for domination or conquest that had caused conflicts among the simplest tribes; an old pattern amplified by new capabilities and without new constraints. In the span of a few years, some 60 million people would die -- men, women, children no different than us, shot, beaten, marched, bombed, jailed, starved, gassed to death.

広島と長崎で残酷な結末を迎えた世界大戦は、最も豊かかつ強盛大国間で行なわれた戦争でした。それまで彼らの文明は、世界の偉大な都市と壮大な芸術をもたらしてきました。彼らの思想家達は、正義と調和、そして真実についての概念を前進させました。しかし、この戦争は、最も単純な形態の部族間における争いの原因となったのと同じく、支配や征服に対する基本本能に起因していたのです。つまり古いパターンが、新たな能力によって増幅したということです。かつ新たな制約もなく。数年の間に、およそ6千万人が死んだことになります。我々と何ら変わらない男性、女性、子供たちが、撃たれ、殴られ、連行され、爆弾を落とされ、投獄され、飢えさせられ、毒ガスをまかれるなどして殺されたのです。

5) There are many sites around the world that chronicle this war -- memorials that tell stories of courage and heroism; graves and empty camps that echo of unspeakable depravity. Yet in the image of a mushroom cloud that rose into these skies, we are most starkly reminded of humanity’s core contradiction; how the very spark that marks us as a species -- our thoughts, our imagination, our language, our tool-making, our ability to set ourselves apart from nature and bend it to our will -- those very things also give us the capacity for unmatched destruction.

世界中の多くの場所で、この戦争が記録されています。勇気や勇敢な行動を物語る記念碑や、言うに耐えないほどの悪行を代弁する墓や無人の収容所などがあります。しかし、この空に上っていったきのこ雲のイメージは、我々に、人間の核心にある矛盾をこれ以上にないほどに思い起こさせます。我々を人類たらしめる特性、すなわち我々の思想、想像、言語、道具製作や、自然と我々を区別する能力、そして自然を我々の意志に屈服させる能力 - こういったものこそが我々に、比類なき破壊をもたらす能力をも与えたのです。

6) How often does material advancement or social innovation blind us to this truth. How easily we learn to justify violence in the name of some higher cause. Every great religion promises a pathway to love and peace and righteousness, and yet no religion has been spared from believers who have claimed their faith as a license to kill. Nations arise, telling a story that binds people together in sacrifice and cooperation, allowing for remarkable feats, but those same stories have so often been used to oppress and dehumanize those who are different.

物質的進歩や社会革新が、この真実に対する我々の判断力を奪ってしまうことが、いかに多いことでしょうか。また、何か高潔な大義の名のもとに、我々が暴力の正当性を学習することはいかに簡単なことでしょうか。あらゆる偉大な宗教は、愛と平和、そして正義への道を約束します。しかし、いかなる宗教も、自分の信仰は殺人を許可していると主張する信者の存在を、免れたことはないのです。国家は、驚くべき偉業を見越しつつ、犠牲と協力の中で人々を結束させる物語とともに発展します。しかし、それと同じ物語が、自分たちとは異なる人々の抑圧や人間性を奪うために、頻繁に使われてきました。

7) Science allows us to communicate across the seas and fly above the clouds; to cure disease and understand the cosmos. But those same discoveries can be turned into ever-more efficient killing machines.

科学によって、我々は海を越えた通信が可能になり、雲の上を飛行し、病気を治し、宇宙を理解することが可能になります。しかし同じ発見を、より効率的な殺人機械へと変貌させることも可能なのです。

8) The wars of the modern age teach this truth. Hiroshima teaches this truth. Technological progress without an equivalent progress in human institutions can doom us. The scientific revolution that led to the splitting of an atom requires a moral revolution, as well.

近代の戦争はこの真実をわれわれに教えます。広島がこの真実を教えるのです。技術の進歩は、人間社会における同等の進歩がなければ、我々を破滅の運命にいたらしめることもできます。原子の分裂をもたらした科学の革命は、道徳上の革命も求めています。

9) That is why we come to this place. We stand here, in the middle of this city, and force ourselves to imagine the moment the bomb fell. We force ourselves to feel the dread of children confused by what they see. We listen to a silent cry. We remember all the innocents killed across the arc of that terrible war, and the wars that came before, and the wars that would follow.

だからこそ我々は、この場所に来るのです。我々は、ここ、この都市の中心に立ち、我々自身に、爆弾が投下されたときの瞬間を想像することを強いるのです。目の当たりにした光景に混乱した子供たちの恐怖を感じることを、我々自身に強いるのです。我々は、無言の泣き声に耳を傾けます。我々は、あの恐ろしい戦争の弧の中で、またその前の戦争、そしてその後起こった戦争の中で殺された、全ての罪なき人々を追悼します。

10) Mere words cannot give voice to such suffering, but we have a shared responsibility to look directly into the eye of history and ask what we must do differently to curb such suffering again. Someday the voices of the hibakusha will no longer be with us to bear witness. But the memory of the morning of August 6th, 1945 must never fade. That memory allows us to fight complacency. It fuels our moral imagination. It allows us to change.

単なる言葉でそのような苦しみを表現することはできません。しかし、我々は、歴史の目を直視し、その苦しみを繰り返さないために、これまでと違って何をすべきなのかを問う共通の責任があります。いつの日か、生き証人としての被爆者の声は聞こえなくなるでしょう。しかし、1945年8月6日の朝の記憶は、決して風化させてはなりません。その記憶を糧に、我々は現状への満足と戦うことができるのです。記憶が我々の道徳に対する想像力を掻き立て、我々に変革をもたらしてくれるのです。

11) And since that fateful day, we have made choices that give us hope. The United States and Japan forged not only an alliance, but a friendship that has won far more for our people than we could ever claim through war. The nations of Europe built a Union that replaced battlefields with bonds of commerce and democracy. Oppressed peoples and nations won liberation. An international community established institutions and treaties that worked to avoid war and aspire to restrict and roll back, and ultimately eliminate the existence of nuclear weapons.

そして、あの運命の日以来、我々は、己自身に希望をもたらす選択をしてきました。米国と日本は同盟関係を築くだけでなく友情をも築き、その友情が、戦争を通じて得られるものよりも、もっと多くのものを我々の国民にもたらしてきたのです。欧州の国々は連合を築き、戦場を交易や民主主義の絆に変えました。抑圧された人々や国々は自由を勝ち取りました。国際社会は、戦争を回避し、核兵器の存在を制限、削減し、最終的には廃絶を目指す機関を設立し、条約を結びました。

12) Still, every act of aggression between nations; every act of terror and corruption and cruelty and oppression that we see around the world shows our work is never done. We may not be able to eliminate man’s capacity to do evil, so nations –- and the alliances that we’ve formed -– must possess the means to defend ourselves. But among those nations like my own that hold nuclear stockpiles, we must have the courage to escape the logic of fear, and pursue a world without them.

それでもなお、世界中でみられる国家間の武力による侵略や、テロ、腐敗、残虐行為や抑圧などの行為すべてが示すのは、我々の仕事には終わりがないということです。我々は、人間が悪事を働く能力を除去することはできないかもしれません。故に、国家や我々が作り上げてきた同盟は、自分らを守る手段を保持しなければなりません。しかし、わが国を含む核保有国において、我々は恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を達成しようという勇気を持たなければなりません。

13) We may not realize this goal in my lifetime. But persistent effort can roll back the possibility of catastrophe. We can chart a course that leads to the destruction of these stockpiles. We can stop the spread to new nations, and secure deadly materials from fanatics.

この目標は私の生きている間には実現しないかもしれません。しかし、粘り強く取り組むことによって、惨劇の可能性を引き下げることができます。我々は、これらの保有核兵器を廃絶に至らしめる道筋を決めることができます。我々は、新しい国への核拡散を阻止し、また、死に至らしめる物質を狂信者の手から確保するができます。

14) And yet that is not enough. For we see around the world today how even the crudest rifles and barrel bombs can serve up violence on a terrible scale. We must change our mindset about war itself –- to prevent conflict through diplomacy, and strive to end conflicts after they’ve begun; to see our growing interdependence as a cause for peaceful cooperation and not violent competition; to define our nations not by our capacity to destroy, but by what we build.

しかし、まだそれでは十分ではありません。なぜなら、我々は今日、最も原始的なライフルや樽爆弾でさえ、恐ろしいスケールの暴力を生み出すことができることを、世界中で目の当たりにしているからです。我々は、戦争そのものに対する考え方を変えなければなりません。それにより、外交を通じて紛争を防ぎ、始まってしまった紛争を終わらせる努力をしなくてはなりません。深まる我々の相互依存関係を、暴力的な競争でなく平和的な協力の大義として理解しなくてはなりません。そして、破壊する能力によってではなく、我々が築くものによって我々の国家を定義するのです。

15) And perhaps above all, we must reimagine our connection to one another as members of one human race. For this, too, is what makes our species unique. We’re not bound by genetic code to repeat the mistakes of the past. We can learn. We can choose. We can tell our children a different story –- one that describes a common humanity; one that makes war less likely and cruelty less easily accepted.

そして、おそらく何にもまして、我々は、一つの人類の人員として、お互いのつながりを再考しなければなりません。なぜならこれもまた、我々人類を独自なものにするものだからです。我々は、過去の過ちを繰り返す遺伝情報に縛られてなどいないのです。学ぶことも、選択することもできるのです。我々は、子供たちに異なる物語を教えることができます。それは、共通の人間性を描き出す物語であり、戦争を今より少なくする物語であり、そして残酷さが簡単に受け入れられなくなるような物語なのです。

16) We see these stories in the hibakusha –- the woman who forgave a pilot who flew the plane that dropped the atomic bomb, because she recognized that what she really hated was war itself; the man who sought out families of Americans killed here, because he believed their loss was equal to his own.

我々は、これらの物語を被爆者の中に見ます。原爆を投下した飛行機を操縦したパイロットを許した女性は、本当に憎むべきは戦争そのものであることに気付き許したのです。また、日本で殺された米国人の家族を探し出した男性は、その喪失感は、自分自身が経験したものと同じであると思ったから探したのです。

17) My own nation’s story began with simple words: All men are created equal, and endowed by our Creator with certain unalienable rights, including life, liberty and the pursuit of happiness. Realizing that ideal has never been easy, even within our own borders, even among our own citizens.

私の国の物語は、簡潔な言葉で始まりました。「すべての人間は平等で、創造主によって、生命や自由、そして幸福を追求するなどの、奪うことのできない権利を与えられている」。この理想を実現することは、米国内であっても、米国民の中であっても、これまで決して簡単だったということはありません。

18) But staying true to that story is worth the effort. It is an ideal to be strived for; an ideal that extends across continents, and across oceans. The irreducible worth of every person, the insistence that every life is precious; the radical and necessary notion that we are part of a single human family -– that is the story that we all must tell.

しかし、その物語に忠実であり続けるということは、努力に値するものです。それは努力すべき理想であり、大陸をこえ、海をこえて広がる理想です。全ての人にとってこれ以上削りようのない価値、全ての命が大切であるという主張、我々は人類という一つの家族の一員であるという根本的で必要不可欠な概念。それが、我々すべてが伝えていかなくてはならない物語なのです。

19) That is why we come to Hiroshima. So that we might think of people we love -- the first smile from our children in the morning; the gentle touch from a spouse over the kitchen table; the comforting embrace of a parent –- we can think of those things and know that those same precious moments took place here seventy-one years ago. Those who died -– they are like us. Ordinary people understand this, I think. They do not want more war. They would rather that the wonders of science be focused on improving life, and not eliminating it.

だからこそ、我々は広島に来るのです。その結果、我々は、我々の愛する人々のことを考えるでしょう。朝一番の子供たちの笑顔、食卓越しの配偶者との優しいふれあい、親の温かい抱擁。我々がこれらのことを思うことができれば、71年前にもここで、同じように貴重な時間があったのだとわかります。亡くなった人々は、我々と同様の人々なのです。普通の人であれば、このことを理解すると私は思います。彼らは、これ以上の戦争を望んではいないのです。むしろ、科学の驚異は生活を奪うことにではなく、生活を向上させることに集中すべきであると思っているのです。

20) When the choices made by nations, when the choices made by leaders reflect this simple wisdom, then the lesson of Hiroshima is done.

国家や指導者たちが行う選択が、この単純な分別を反映したものであるとき、広島の教訓は生かされたことになります。

21) The world was forever changed here. But today, the children of this city will go through their day in peace. What a precious thing that is. It is worth protecting, and then extending to every child. That is the future we can choose -– a future in which Hiroshima and Nagasaki are known not as the dawn of atomic warfare, but as the start of our own moral awakening. (Applause.)

世界はここで永遠に変わりました。しかし今日、この市の子供たちは、平和に日々を過ごしていきます。なんと尊いことでしょうか。それは守るに値することであり、すべての子供たちに広げていくに値することです。これこそが、我々が選択できる未来なのです。広島と長崎が、核戦争の夜明けとしてではなく、我々の道徳的な目覚めの始まりとして知られる、そんな未来を我々は選択できるのです。(拍手)

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the arc of that terrible war については、別途記事を書いております。
戦争の弧 - the arc of that terrible war

●新聞等メディアの訳の中で、気付いた点をあげたいと思います。

パラグラフ2) Why do we come to this place, to Hiroshima? のところを「なぜ、我々は広島に来たのか?」と過去形で訳されているものがありますが、ここは現在形なので、「来るのか?」と現在形の訳にすべきと思います。オバマ大統領は、「私と側近がなぜここに来たのか?」とアメリカの事情に言及しているのではなく、普遍的な話をしていると思います。この箇所は、スピーチの中で極めて重要なメッセージになります。

パラグラフ19) be focused on improving life, and not eliminating it の箇所で、新聞等で、life と it を「生活、生命」や「人生、命」のように訳し分けているものがありました。しかし、it は 先行する名詞を指します。つまり、life = it です。従って、日本語で訳し分けをすべきではないと思います。どちらでも意味が通じるものとしては「生活」がよいのではと思います。

●同時通訳者の訳を首相官邸HPの動画で拝聴しました。
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0527hiroshima.html

厳密には同時通訳ではなく、スピーチの原稿を見ながら訳されているようです。大統領の言葉より、明らかに通訳者の訳の方が早い箇所がいくつかあります。直前に原稿を渡されたのでしょうか。ベテランの通訳者だとは思いますが、ここは訳としてどうかと思う箇所がいくつかありましたのであげておきます。

パラグラフ5) spark を「火花」と訳されましたが、意味をなさないように思います。この spark は a quality of intelligence(知性という特性)のことだと思います。

パラグラフ8) modern age を「現代」と訳されましたが、第二次世界大戦を境に近代と現代の線引きがされるという認識から、私は「近代」を使いました。The wars of the modern age teach this truth. のあとに Hiroshima teaches this truth. とあるので、ここでの modern age は Hiroshima の原爆投下を含むものと思うのです。しかし、現代においても戦争が起こっている地域はあるので、近代を含めた「現代」が訳としてふさわしいものなのか、ここは悩みます。

パラグラフ9) We remember を「記憶しております」と訳されましたが、remember には「追悼する」という意味があります。こちらが相応しいのではと思います。

パラグラフ18) radical を「革新的」と訳されましたが、オバマ大統領は「根本的」の意味合いで使われているのではと思います。

※まだ書きたいことはあるのですが、一つの記事につき、文字数13,000文字という制限があるため、本文にはこれ以上文字を入れることはできなくなりました。コメント欄はOKです。
by ladysatin | 2016-05-29 00:42 | 英文精読_Reading | Comments(46)

参院選の記事を英文精読

参院選明けの今日、海外ではこのニュースどう取り上げてるのかなと思って、お昼休みにインターネットで英文記事を読んでいました。ネィティブのライターの英文を読むと自分が英文書くときのヒントになります。

今日読んでいた記事なのですが、大学入試に出してもよさそうな、なかなかいい内容だったので、取り上げてみます。考えてみたら、ブログを始めてまだ一度も英文読解のトピックってやったことがなかったのです。

この記事は覚えておくとよい表現が結構あるようです。
リンクはここ → Japan's Abe has chance to show true colors after big election win

まずタイトルのところです。
Japan's Abe has chance to show true colors after big election win

ここはポイントが二つあります。
true colors って何でしょう?

「本当の色」って?実は、color には「本性・性質」という意味があります。辞書にもちゃんと載ってます。すなわち true colors の意味するところは、〔人や物の〕本来の性格になるでしょう。

★show someone's true color  
  →(人)の本性を現す(英辞郎より)

これがそのまま記事のタイトルになっていますね。
ただし、この意味においては、複数形の colors が普通です。
記事のタイトルは複数形になっています。

そして、この場合の chance ですが、普通に私達が使う「機会・好機」の意味ではありません。この意味になるのは可算名詞のときだけです。今回の chance は冠詞が何もありませんから「見込み・可能性」になると思います。ただ、この場合 of doing または that 節が来るのが普通なのですが、この文は to不定詞が使われていますね。

ここを押さえてタイトルを直訳すると。。。
「日本の安倍首相は、選挙の大勝利のあとで本性を現す可能性がある」
という意味になるでしょう。どんな本性なんでしょうね。そのことに言及した内容が本文に書かれてあります。

最初のところだけちょっとやってみます。

TOKYO (Reuters) - Japanese Prime Minister Shinzo Abe's ruling coalition scored a decisive victory in an election on Sunday - so big that there are suspicions he will lose interest in difficult economic reforms and pursue his nationalist agenda instead.

試訳(なるべく直訳しています。)
「東京(ロイター)- 日本の安倍晋三首相率いる連立与党は、日曜日の選挙で決定的な勝利を納めた。それは非常に大きな勝利だったので、首相が困難な経済改革に興味をなくし、かわりに国粋主義者としての計略を推し進めていくのではないかという疑念がもたれている。」

★ruling coalition 連立与党、連立政権
似たような表現でこれも押さえておいては - coalition government 連立政権[内閣]、連合政権

★score 〔勝利・成功などを〕得る、納める
scoreにはこんな意味もあるんですね。本文も scored a decisive victory (決定的な勝利を納めた)とあります。定番表現として覚えておくとよさそう。

さて、この文では an election と不定冠詞がついています。参院選ってわかりきっているのに、どうして定冠詞の the がつかないんだろう?この記事が、日本人に向けて書かれたものであれば the が付くはずです。しかし、これはアメリカのヤフーの記事ですから、日本人以外の人に向けて書かれたものなのですね。だから不定冠詞の an を付けて「ある選挙」という書き方をしているのでしょう。

★so big that はおなじみの so ... that ...の構文です。ハイフンでつなげて主語を省略してあるよ。The victory was so big that ... と解釈すればいいですね。

★nationalist 「国粋主義者」という表現が出ています。なぜこういうことを書いたのか?

安倍首相は、5月のアメリカ議会調査局の日米関係に関する報告書で「安倍首相の歴史認識はアメリカの国益を損なう」と指摘されました。「ストロング・ナショナリスト(強固な国粋主義者)」と書かれているのです。これはおそらく4月の「侵略という定義は学会的にも国際的にも定まってないといっていい」という首相の発言が尾を引いてのことなのかもしれないですね。

★agenda は「議題」という意味で使われることが多いのですが、ここでは「計略」がよさそうです。

Longman には以下の定義が書かれています。
agenda - the ideas that a political party thinks are important and the things that party aims to achieve - 政党が重要だと考えている計画・もくろみ、また達成することを目的とした事柄

こんなに長くなってしまった。最初のとこだけで。。。

本当は次のパラグラフまでやりたかったのですが、今日はここまでにしておきます。

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7/23 の追記

次のパラグラフまでやっておきますね。

The victory in the vote for parliament's upper house gives Abe a stronger mandate for his prescription for reviving the stagnant economy. Ironically perhaps, it could also give lawmakers in his own party, some of whom have little appetite for painful but vital reforms, more clout to resist change.

試訳
「参議院選挙における投票結果の勝利により、安倍首相は、停滞した経済を蘇らせるにあたっての彼の処方箋に対し、より強力な信認を得たことになる。また皮肉なことにおそらく、その勝利は、彼が率いる党の議員にとっては、その一部議員には痛みを伴いつつ不可欠な改革にほとんど意欲を示さない者がいるのだが、変化に抵抗するための影響力を増すものであるかもしれない。」

このパラグラフは、直訳ではおかしな日本語になりますので、上記のような訳になりました。実に日本語にしにくい英文です。無生物が主語になっているので、そこをどう処理していくかがポイントです。わかりやすい日本語にしつつ、書かれている情報はすべて網羅しなくてはなりません。

ここは2文からなっていますが、動詞に give を使い、構造は全く同じです。

①The victory in the vote for parliament's upper house give Abe a stronger mandate for his prescription for reviving the stagnant economy.

参議院選挙における投票結果の勝利により、安倍首相は、停滞した経済を蘇らせるにあたっての彼の処方箋に対し、より強力な信認を得たことになる。

★give someone a mandate 人に信認(権限)を与える
★prescription 処方箋、命令、指示


stangnant economy はこのまま覚えてね。「停滞した経済」という意味です。どよ~んと止まっている感じ。sluggish economy という言い方もしますが、sluggish だとまだ少し動いている感じです。stagnant までひどくないです。

②Ironically perhaps, it could also give lawmakers in his own party, some of whom have little appetite for painful but vital reforms, more clout to resist change.

また皮肉なことにおそらく、その勝利は彼が率いる党の議員にとっては、その一部議員には痛みを伴いつつ不可欠な改革にほとんど意欲を示さない者がいるのだが、変化に抵抗するための影響力を増すものであるかもしれない。

緑でハイライトした some of whom は挿入節になっています。関係代名詞の非制限用法です。

★give someone a clout  (人)をポカリと殴る、一撃する

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久々に、受験英語の日本語訳の問題に取り組んだみたい。
なめらかな日本語にするって本当に難しいですね。

たまには精読のトピックもいいかもしれません。

皆さん、精読は英語力向上には不可欠です。

また、良い記事があったらご紹介しますネ。

では 029.gif
by ladysatin | 2013-07-22 07:16 | 英文精読_Reading | Comments(0)