新幹線のアナウンス

以前勤めていたところでは、出張が多かったです。移動は新幹線がほとんどでした。フリーランスになってからは、新幹線に乗ることもさっぱりなくなりました。先日、半年ぶりくらいに所用で新幹線に乗りました。なんだかうれしかった。

その時久しぶりに聞いたアナウンスです。

We will be stopping at Shin-Kobe station before arriving at Shin-Osaka terminal.
「新大阪に着く前に、新神戸に停まります。」という意味ですね。

さて will be stopping に注目してみましょう。

We will stop でも We are going to stop でもない。
なぜ、We will be stopping なんだろうって思いませんか。

ここでは、未来を表すのに will be stopping と表現されているのです。

ということで、今日は未来表現について少しだけ書いてみたいと思います。

新幹線のアナウンスで使われている will be stopping は、形の上では未来進行形になりますが、ここに進行の意味はありません。

これについて現代英文法講義では、以下のように解説されています。
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個人の意思とは無関係に、自然の成り行きで(as a matter of course)出来事が起こるという意味を表す。この場合は、進行相の含意はない。ひと口で言えば、<予定>を表すとしてもよい。(引用ここまで)
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この記載でいえば「自然の成り行きで(as a matter of course)」というのがポイントかなと思います。

① We will be stopping at Shin-Kobe station before arriving at Shin-Osaka terminal.
この文では、Shin-Kobe しか書いていませんが、他にも駅名を入れることができます。

①’ We will be stopping at Kokura, Hiroshima, Okayama and Shin-Kobe stations before arriving at Shin-Osaka terminal.
つまり、新大阪に着く前に、小倉、広島、岡山、新神戸に、自然の成り行きで停車しますよということが言いたいのです。

では、その他の未来表現を使うとどうなるんでしょう。
思いついただけでもこれだけあります。↓

② We are stopping at Shin-Kobe station.
③ We will stop at Shin-Kobe station.
④ We are going to stop at Shin-Kobe station.
⓹ We are to stop at Shin-Kobe station.
⑥ We stop at Shin-Kobe station.

それぞれのニュアンスの違いを考えてみたいと思います。

② We are stopping at Shin-Kobe station.
この文は近接未来を表しています。「まもなく新神戸に停車します。」という意味です。

これについて現代英文法講義には、stop という動詞の性質に切り込んだ記載があります。

まず、動詞には、大きく分けて状態的動詞と非状態的動詞があり、非状態動詞は完結的動詞と非完結的動詞に分けられます。さらに、完結的動詞は瞬時的動詞と非瞬時的動詞に分けられます。そして、同書には、瞬時的動詞の例として jump、非瞬時的動詞の例として stop の例文が上げられています。

引用します。
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He was jumping for joy. (彼は喜んで(何度も)はね回っていた)[瞬時的]
The bus is stopping. (バスは止まりかけている)[非瞬時的]
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このように、瞬時的動詞と非瞬時的動詞は、進行形になったときに、明らかな意味の違いがあるんですね。瞬時的動詞の jump が反復を表すのに対し、非瞬時的動詞の stop は「…しかけている」という意味になります。

また同書には「非瞬時的動詞は進行形になったとき、「推移的」(transitional)な意味を獲得する」とあります。

②の文に戻ると、「新幹線は速度を落としながら、新神戸に到着しつつある」というイメージがわいてくるのではないでしょうか。

このように見てくると、①‘のWe will be stopping を We are stopping に変えると、意味が変わるというより非文になってしまいますね。小倉、広島、岡山、新神戸の4つの駅に同時に到着しつつあるという意味になってしまうからです。

③ We will stop at Shin-Kobe station.
will を使った文は中学生のときに習いますね。
単純未来と意志未来の二通りに解釈することが可能です。

●単純未来
話者や主語の意志に関係なく、未来に起こると予測される事柄を表します。
③の will stop には、will be stopping のように「自然の成り行きで」という含意はありませんが、①や①‘を will stop にしても文として成立しますね。また、ただ未来のことを言及しているにすぎませんから、必ずしも新幹線に乗っていなくても使えます。例えば、新幹線に乗るのが今日として、1週間前の発話でも問題ないと思います。

●意志未来
話者の意志と考えると、「新神戸に停まってみせる」のような感じでしょうか。

④ We are going to stop at Shin-Kobe station.
be going to の用法については、英文法解説の記載がわかりやすいと思いました。

引用します。
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A. 近い未来の予測
通例何かが起りそうな徴候があり、その徴候から判断して近い未来に「~しそうだ」という話者の予測を表す。

B. 前もって考えていた意図
日本語の「~するつもりです」に相当し、その場で思い立ったことではなく、前から考えていた意図・計画などを表す。
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ということは、④を A に当てはめて考えると、「新神戸に停車しそうな徴候がある」ということです。どんな時に使えるかな?例えば、本来は新神戸には停車しない新幹線だけど、台風が直撃し最寄りの駅に一時停止しなくてはならなくなった場合だと be going to が適切だと思います。

B に当てはめると「新神戸に停車するつもりです」となります。例えば、ダイヤ改正で新幹線の停車駅について協議をしている場面だったら、こんな発言が出てきてもおかしくないかもしれません。

⓹ We are to stop at Shin-Kobe station.
「be to + 不定詞」は一般に、取り決めを表しますよね。この文だと「新神戸に停車することになっている」という意味になると思います。

⑥ We stop at Shin-Kobe station.
現在形の stop を使うと、確定した未来になります。変更の予定がないとき、ほぼ確実にそのことがおこる場合に使いますね。

確定した未来については、過去の記事で取り上げたことがあります。
Guns N' Roses の Sweet Child O' Mine の有名なくだりで、Where do we go? が繰り返し出てきます。
この Where do we go? の正体こそ、確定した未来なのです。

よかったら参考までに。→ Sweet Child O' Mine - Guns N' Roses 訳詞考察(2回目)

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今回は、新幹線のアナウンスをきっかけに、未来の表現について考えてみました。

ではまた。emoticon-0100-smile.gif
Commented by Smily oh yeah! at 2016-10-03 00:38 x
Dear Miss .Satin

Thank you so much for your presentation on English.

Your gramatical analysis is amazing.

You*are great instructor,directer of English.

実に緻密な解説です。
Then take car!>くだけ過ぎ,馴れ馴れし過ぎてrude impolite?
Commented by ladysatin at 2016-10-03 20:50
Dear Mr. Smily oh yeah!

Thank you for coming back here.
Your comment is very encouraging.
I would like to share my thoughts with people as much as I can.

rude じゃないですよ~。とってもフレンドリーでうれしいです。(^^)
by ladysatin | 2016-09-25 20:12 | 英文法_English Grammar | Comments(2)