接続詞の where

久しぶりに文法のトピックです。

先日、知人から受けた質問なんですが、興味深いものだったので、皆さんとシェアしたいと思います。
よろしかったらお付き合いください

以下の英文が、何かの参考書に載っていたらしいです。
★We have to rent a car where we are visiting next week.
「来週の訪問地では、車を借りなくてはなりません。」

「ふむふむ。それでどうした?」って思ったのですが、知人から「この where は何なの?」と質問されました。彼女は最初、この where は「関係副詞の先行詞省略」だと思ったそうですが、馴染みのある先行詞省略の形じゃないというのです。例えば、This is where I live. とか Stay away from where a fire is occurring. などとは違うと。それで、関係副詞ではないのではと思ったというんですね。

皆さんはどう思いますか?

私の答え…

この where は接続詞では?

知人にそう言ったところ、「where が接続詞?」と驚いていました。それもそのはずで、高校英語では学習しないため、where に接続詞の用法があることを知らない人が多いんです。また文法書でも、where の接続詞の用法については、あまり詳しく書かれていません。Forest では案の定、スパッと割愛されています。この用法は、ちょっと盲点かもしれません。

実はこの問題における where の用法については、関係副詞という考え方と接続詞という考え方があります。私自身は、この where を関係副詞でないと断言することまではできないのですが、接続詞と考えるのが妥当だと思っています。というのは、接続詞と考えたほうが論理的に説明でき、また英語を学ぶ人にとっても納得しやすいと思うからなんです。

では、なぜ上の文の where が関係副詞の先行詞省略ではなくて、接続詞と考えるのが妥当だと思うのかを説明させていただきます。その前に関係副詞についてちょっとおさらいしますね。

関係副詞 where の例
a. This is the house where I was born. ここは私が生まれた家です。
この文では言わずもがな where が関係副詞で the house が先行詞です。
関係副詞の where で導かれる節 where I was born は、先行詞 the house を修飾する形容詞節ですね。

次に、関係副詞 where の先行詞が一般的な場所を示す the place のとき、先行詞を省略できることはよく知られています。
b-1. This is the place where I was born.
b-2. This is where I was born.
(先行詞 the place を省略した形)

b-1 = b-2 ですね。先行詞を省略しない b-1 では、where 以下の節は a の例と同じく形容詞節です。一方で、先行詞を省略した b-2 は、where 以下は名詞節となっています。

実はここが重要で、先行詞を省略した where 以下の節は名詞節になるのだということ。
ここをおさえておく必要があります。

最初の方で、私の知人が「馴染みのある先行詞省略の形」としてあげた、This is where I live. や Stay away from where a fire is occurring. なども、where 以下は名詞節になっています。

----------------------------------
●ロイヤル英文法 P657 より引用
先行詞が the time, the place, the reason などのときは、これらは一般に省略される。先行詞が省略されると、関係詞は名詞節を導くことになる。

●現代英文法講義 P201 より引用
when, where, why, how: <略式体>では、関係副詞の先行詞を省略することが普通である。このようにして派生された自由関係副詞節は、名詞節としての機能をもち、特に be 動詞の補語節、前置詞の目的語節として用いられることが多い。
----------------------------------

では元の英文に戻りましょう。
★We have to rent a car where we are visiting next week.

ここの where 以下は何でしょうか?名詞節という考え方はできないですね。We have to rent a car で一旦、文が完結していて、そのあとに名詞節がつながるという形はありえません。この時点で、この where は、いわゆる先行詞を省略した関係副詞でのルールに沿っていないといえると思います。

その一方で、関係副詞の先行詞省略だと主張する人もいます。つまり、先行詞を省略しない形は以下の文だという主張です。
We have to rent a car (at the place) where we are visiting next week.

なるほど at the place が省略されたものと考えたんですね。
しかし、これはよく見ると変ではありませんか?

この文の先行詞は the place です。しかし、その前に前置詞の at があります。この at は先行詞ではありません。確かに at the place が省略されているという考えには賛成です。しかし、これは先行詞の省略ではなく、「前置詞 + 先行詞の省略」になります。ということは、これも関係副詞の先行詞省略とはいえないと思います。

----------------------------------
●ロイヤル英文法 P658 より引用
He found his camera where he had left it. (彼は自分が置き忘れたところにカメラがあるのを見つけた)というような文では、where は in [at] the place where の意味で、<前置詞 + 先行詞>が省略されている。この場合は where 以下は場所を表す副詞節として働いているので、where を接続詞として扱うのがふつうである。
----------------------------------

上記検討してきた結果、以下のように考えられると思います。
◎先行詞が省略された where → 関係副詞
◎前置詞 + 先行詞が省略された where → 接続詞


もう一度英文を書きます。
★We have to rent a car where we are visiting next week.
この文の where の前には at the place (前置詞 + 先行詞)が省略されているため、where は接続詞と考えました。となると、where 以下は副詞節で、We have to rent a car が主節です。このことから where we are visiting next week は、文頭にもってくることが可能になりますね。以下の文です。

Where we are visiting next week, we have to rent a car.
「来週の訪問地では、車を借りなくてはなりません。」

where が副詞節を導く接続詞なので、このように前後を入れ替えても意味は全く同じです。

一方、先行詞を省略した関係副詞 where の文は前後を入れ替えることができません。
意味が変わるという以前に、文として成立しなくなります。
This is where I live. → X Where I live, this is. (非文)
Stay away from where a fire is occurring → X Where a fire is occurring, stay away from. (非文)


このように考察した結果、接続詞の where は、先行詞を省略した関係副詞 whereとは、別個のものだと考えるのが妥当だと私は考えます。

この文も接続詞 where の例です。
Where there is a will, there is a way.
意志あるところに道あり

---------------------------------------------

最後に、問題の文の where について、関係副詞という考え方もあると先に述べました。いくつかの文法書の記載例をあげておきます。

ロイヤル P658 では、「<前置詞 + 先行詞>が省略されている where は接続詞と考えるのがふつう」だと記載されてはいるものの、同書 P614 では、「where を、先行詞を含んだ in [at] the place where という意味の関係副詞とする見方もある」とも記載があります。

また、英文法解説では、この where を接続詞に含めておらず、関係副詞の項目の先行詞のない用法の中に「副詞節を導く例」として記載してあります。

現代英文法講義では、接続詞の章の P604 に「場所の副詞節」として分類されている一方、同書の P201 では自由関係副詞の項目の「副詞節を導く場合」にも記載があります。

このように where を関係副詞に入れているケースもあるのですが、ここで私が気になるのは「副詞節を導く場合」という表現です。関係詞というものは、そもそも形容詞節を導くものです。よって、例外として副詞節を導くものもあるという説明は、学習者を混乱させるだけだと思うのです。

英語学習については、できるだけ学習者の胸にストンと落ちる解釈であるに越したことはありません。そう考えると、where 以下が形容詞節の場合が関係副詞、副詞節の場合が接続詞と考える方が、すっきりと理解できるものと思います。

今回は、接続詞の where について考えてみました。

おわり 001.gif
Commented by ただの大学生 at 2016-08-20 11:34 x
初めまして
最近このブログをみつけたのですが、内容がとても面白いです

これからも読ませていただきます。
Commented by ladysatin at 2016-08-20 14:40
ただの大学生さん
初めまして。コメントをありがとうございます。

内容がおもしろいと言ってくださりうれしいです。
更新は不定期なのですが、いつでも遊びにいらしてくださいね。
Commented by 紀子 at 2016-09-05 10:28 x
はじめまして。
最近こちらのブログを知り、とても丁寧な解説に感心しています。
また、質問にも親切に答えてくださっているので
厚かましくも、教えていただきたいことがあり、コメントしようと思いました。

 I must finish this work before life finds out where I live.

この文章は、年を取った作者が「最近身近な人々が亡くなっていくので、自分も仕事を早く片づけないと
いけない」という思いを書いたものです。
私がわからないところは、life finds out のところで、「寿命というものが自分を探し出す?」みたいな
ニュアンスで合っているのかどうか、ということなんです。
もしよかったら、うまく訳していただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
Commented by ladysatin at 2016-09-05 16:27
紀子さん
初めまして。コメントをありがとうございます。
丁寧な解説と言っていただき、大変うれしく存じます。

I must finish this work before life finds out where I live.

この文は謎めいた書き方がされていますね。遠回しな表現のようです。

>「最近身近な人々が亡くなっていくので、自分も仕事を早く片づけないといけない」という思い
そうですか。ということは、書いた方の死生観が反映されたものなのかもしれませんね。

ここでの life は「寿命」ではないと思います。「寿命」の意味では可算名詞になるので冠詞がつきます。この life は「生きていること」、すなわち「生」を指していると思います。

直訳すると「生が、私の生きる場所を見つけてくれる前に、私はこの仕事を終わらせなくてはならない。」になるでしょう。

「私の生きる場所」とは「天国」のことです。人は死が訪れるその瞬間まで生きていますが、死の瞬間にたどり着くまでに天国を見つけておかないと、死んだときに魂が行き場を失ってしまいます。誰が天国を見つけるのか。「生」です。「生」が天国を見つけた瞬間に、「生」から「死」へと変わるということだと思います。

「生」が語ります。「君が生きていく場所を見つけたよ。今、行っていいんだよ。」と。

I must finish this work before life finds out where I live.
=「生が、私の生きる場所を見つけてくれる前に、私はこの仕事を終わらせなくてはならない。」
=「生が、天国を見つけてくれる前に、私はこの仕事を終わらせなくてはならない。」
=「死ぬ前にこの仕事を終わらせなくちゃ。」

★before life finds out where I live = before I die

以上、私見です。ご参考になりますでしょうか。
Commented by 紀子 at 2016-09-05 17:12 x
わあ~!! 早速回答していただき、どうもありがとうございます。
そういうことなんですね。納得です。
うまく英語を訳するのは、なかなか奥が深いとあらためて感じました。
この文章の作者はクリスチャンなので、「天国へ行く」という概念も
そのとおりだと思います。
私は最後の where I live が今現在の事だと思い込んでいました。
だからこういう発想に行き着かなかったのでしょう。
どうも ありがとうございました。
(作者は私の好きな JOURNEY というバンドにいた Steve Perry です。
 ご存じなら さらにうれしいです。)
Commented by ladysatin at 2016-09-06 14:27
こちらこそ、そんなに喜んでいただけてうれしいです。

Steve Perry の言葉だったんですね。私も Journey は大好きです。全盛期の頃にコンサートに行きました。Steve の歌は、声量といい声といい、それはそれは素晴らしかったです。今、病気療養中と聞きました。早く元気になってほしいです。

Journey は曲も覚えやすくて一緒に歌いたくなる曲ばかりですね。
定番ですが Open Arms と Don’t Stop Believin’ はいつ聴いてもいいです。
Commented by makoro at 2017-08-05 16:59 x
分かりやすい説明をありがとうございます。このwhereの使い方はずっと気になっていました。
ただ、He now lives where he used to.  The book is where you left it. などはどうなるのでしょうか。これも where は in /at the place in which の意味だと思いますが、文の最初に持ってくることもできませんし、接続詞と考えるのは無理があると思うのですが。
Commented by ladysatin at 2017-08-06 21:58
makoro さん
コメントをありがとうございます。

お示しの where は、おっしゃる通り接続詞ではないと思います。もう少し詳しく書きたいと思いますが、今週は業務が立て込んでいますので、来週お返事したく存じます。お待ちいただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。
Commented by ladysatin at 2017-08-14 02:03
makoro さん
お返事が遅くなりすみません。

He now lives where he used to.
The book is where you left it.

この二つの文における where は接続詞ではないと思います。接続詞は、主節と従属節をつなぐものです。しかし、上の文における where he used to と where you left it は、主節の中の付加語として機能しています。live も is も完全自動詞ですが、これらに付随する付加語は、文の要素ではないけれども、取り去ると文として成立しなくなります。

例えば、He now lives in Tokyo. における in Tokyo は副詞句であり、付加語です。in Tokyo をとってしまうと、文が成立しません。この in Tokyo の代わりに where he used to があると考えるとよいと思います。従って where he used to は副詞節になると考えます。The book is where you left it. も同じ考え方です。

ただ、where he used to と where you left it を文頭に置くことはできないとは、私には断言できません。確かに、文末に置いた方が、座りがよいのは事実です。しかし、副詞は基本的に移動が自由であることを考えると、強調するために文頭に置くことは可能だと思います。
by ladysatin | 2016-08-16 21:53 | 英文法_English Grammar | Comments(9)