2015年 07月 12日
助言を表す want + to 不定詞
中学生のとき習うのが had better でしょうか。
●You had better do it.(あなたはそうした方がよい。)
ただし、had better は「~した方がよい」と習うんだけど、この表現はすごくきついから目上の人なんかに使うのはご法度だということは、皆さんご存じだと思います。
had better より should の方が忠告としては穏やかになりますね。
●You should do it.
語感をさらに弱くするために頭に Maybe を置くこともあります
●Maybe you should do it.
しかしながら、should の根底には「義務」があるので、場合によっては相手の気分を害することもあります。
should も使い方に注意が必要であることにかわりはありません。
もっと気軽に、当たり障りのない助言をしたいときに使える表現はないかな?
ということで、今日のテーマ want + to 不定詞 です。
「~した方がいいんじゃない?~するといいよ」って気軽に言いたいときがありますよね。
そんな時に「want + to 不定詞」を使って表現できます。
●You might want to do it.(そうしたらどうかな。そうするといいと思うよ。)
このように助動詞 might (or may) + want to do の形で使うことが多いですね。
人にアドバイスするときは、相手が気持よく受け止められる表現にこしたことはありません。
ネィティブがよく使う言い回しですので、覚えておくと便利だと思います。
もう少し掘り下げてみましょう。
皆さんは不思議だと思いませんか?
You might want to do it. は直訳すれば「あなたはそうしたいかもしれない」になりそうなもの。
なぜ、助言の意味になるんでしょうか?
ということで調べてみると、これもちゃんと辞書に載ってました。
want to do と言えば「~したい」のように願望を表すと多くの人が思うわけですが、主語が二人称・三人称になると意味が変わってくるんです。これって want の盲点じゃないかしら。
◆ジーニアスにはこう書いてあります
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(略式)[二・三人称主語で] ...しなければならない、...すべきである:[否定文で]...する必要がない[すべきでない]
≪時に非難・忠告を表す≫
例文)You want [He wants] to go to a doctor.
君[彼]は医者に行った方がいいよ。
(=you [He] ought to...)
Come on: you don’t want to keep them all waiting.
さあ、みんなを待たせておくんじゃないよ。
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なるほど、want には元々「忠告」の意味があったんですね。
このジーニアスの例は、助動詞の may/might が使われていないので、忠告としてはストレートに響きますね。
◆現代英語語法辞典も調べてみました。
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want to do は、「...したい」と「...する必要がある、...しなければならない」の意味があり、The man wants to watch. は曖昧で、He desires to watch. と It would be a good thing for him to watch. の両方が可能 [Fowler-Burchfield (1996)]。後者は、特に、should や ought to の意味で、助言や忠告を与えるのに用いられる: If possible, you want to avoid alcohol.
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そうか。He のような三人称になると「願望」か「助言」か、その時の状況で判断しないといけないのですね。
◆もうひとつ Collins COBUILD も引用
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If you tell someone that they want to do a particular thing, you are advising them to do it. (INFORMAL)
例文)
You want to be very careful not to have a man like Crevecoeur for an enemy.
クレーブクールのような人を敵にしないように気を付けたほうがいい。
You want to look where you’re going, mate.
おい、よく見て歩いた方がいいぞ。
= ought to
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以上、3つの文献を見たところで大体わかってきました。
「二人称・三人称 + want to do」は ought to do とほぼ同義。使うのはインフォーマルな場。
日常会話で may や might を挟むことで、より一層やわらかな忠告になると考えてよさそうです。
この形は否定文でももちろん使えます。
You don’t want to do it. あなたはそうしない方がいい。
might を使ってもっとやわらかく
You might not want to do it. そうしない方がいいかもよ。
ということで、今日は「助言を表す want + to 不定詞」の使い方をちょっぴりやってみました。
ではまた。
ありがとうございます。
Shira さんは色んな言い回しをご存じだろうなあと思いました。
たしかに might want to は相手を立てる感じがしますね。
押しつけがましくないので、忠告というよりちょっとした提案という感じかもしれません。
実例をたまたま聞きましたのでご報告まで。
BBC World Service "Science in Action" より:
叫び声の機能についての放送で、叫び声の実例を流す前に
"If you are listening to the radio quite loud, you might want to turn it down just a little bit."
と言っていました。
こんにちは。
早速の実例をありがとうございます。
「...するといいかもね」の雰囲気がよく出ていますね。
might want to はさりげなく使えて本当に便利な表現ですね。
コメントをありがとうございます。
お役に立ててうれしいです。