使い方に気をつけたい単語

この頃は facebook で色んな情報を集めています。

私の場合は翻訳に関係するページを見ることが多いのですが、日本語のページより英語圏のページが多いですね。その中でコメントを書くこともあります。英語で書くわけですが、自分が疑問に思っていることに対し、遠い国の会ったこともない人が答えてくれることもあります。またその逆もあります。こんなやりとりは、私にとっては結構新鮮に写っています。

Google で検索するのとはまた違う面白さが facebook にはあるんだなとわかり、情報集めという点ではなかなか重宝しています。

海外のミュージシャンのページもよく見ます。ファンの人達が書いているコメントを読むこともあります。やはりコメントを書くのはアメリカやイギリスなど英語圏の人が多いですね。英語圏の人達は joke を交えながら普通に英文を書いています。内容は大したことはなくても、ネィティブのようにサラッと英語が書けるといいですね。

日本人で英語でコメントを書く人は、まだまだ数が少ないという印象があります。ミュージシャンの一つの投稿に対して「いいね」を押す人は多いのですが、ほとんどの日本人はコメントを書きません。様々な国の人が集まる有名人のページに英語でコメントを書くということは、大げさに言えば全世界に自分の書いた英語がさらされることですから、勇気をともなうことでもあるのかもしれません。

そんな中で英語でコメントを書いている人もいらっしゃいます。英語の専門職の人ならいざ知らず、一般の人は高等教育までで英語の学習は終わっているわけですから、英文法や冠詞の使い方まできちっと出来ている人はほとんどいません。しかし、そんなことは問題ではなく、ファンの一人として自分の気持ちを伝えたいからコメントを書くということが、とても素敵な事だと思っています。

ただ、ちょっとこの使い方はどうかな?と思うことも時々あります。

これは最近見た日本人が書いた英語のコメントなんですが、同じ英単語について二人の日本人の方が間違った使い方をしておられたんです。立て続けに見たので、この単語は誤用が多いのかもしれないと思い、今日取り上げようと思いました。

072.gifその単語とは disappoint です。

disappoint は高校英語で出てくる単語です。英和辞典を調べると「失望させる、がっかりさせる」という意味が載っていますね。これはこれでいいのですが、disappoint の語感はどうでしょうか。

この単語は英検準2級レベルですから、英語学習者の中での習熟度は高いと思います。しかし、軽々しく使うのは避けたい単語です。私が今まで英語を使って生きてきた中で、disappoint を使ったことはほんの数回しかありません。かなり語感がきついのです。このことを予め知って使った方がいいと思い、今日は老婆心で書いています。

●まず一つ目の例です。

あるミュージシャンの投稿で、彼の尊敬するベーシストの死亡への悲しみが綴られていました。病死でした。コメントも多く寄せられていて、Sad news. I’m sad. など、sad を使った表現が目立ちました。私も好きなベーシストだったのでコメントを書きました。

そんな中で、ある日本人の男性が書いたコメントが目を引きました。
その人が書いたコメントはこれでした。

Very very disappointed.

この方は外資系の企業に勤めている方なので、英語は出来る方だと思います。ここで disappointed をこの方が使われたのは「彼が死んで落胆している → 僕は悲しい」ということを表現したかったからだろうと思います。

しかし、この場面における Very very disappointed. はとても違和感があります。書いた本人の真意とは逆に、イヤミに受け止められる可能性もあります。人が死んだことに対して、disappointed という感想を書いたら、死んだ人を責めているような響きが出てしまいます。「彼が死ぬとは、俺はがっかりだよ」という感じですね。さらに very の二重使いなので「なんてことしてくれたんだよ」という強調が追加されます。

一方で、「病気が治らなかった」という事実に対して disappointed ならありかもしれないとも思いました。しかし、それでもやはり言葉足らずになってしまっています。Very very disappointed. に対し、素直に「その通りだ」と読み手が理解できる前提が必要ですね。そのベーシストの死に対し、その他大勢が sad と書いているコメントの中で、このコメントだけがかなり浮いていました。おそらく書いたご本人は何とも思っていないでしょう。

●次に二つ目の例です。

これは別のミュージシャンの投稿に対しての日本人女性のコメントでした。彼女は早く新譜が聴きたいとの思いでコメントを書いていました。

まず I’m looking forward to your new album.(新しいアルバムを楽しみにしています。)と書いていました。いい感じですね。しかし、そのあとのコメントがちょっとまずかったかな。彼女はこう書いていました。

Don’t disappoint us!

私はこれを見て、ぎょっとしました。Oh. My God! という感じです。

私はかつて外国人50人を管轄していた経験があるのですが、その時一度だけ、ある不真面目な外国人の部下に Don’t disappoint me. と言ったことがあります。その時の状況はこんな感じでした。

その外国人部下は勤務態度が良くなかったんですね。だから、次年度の契約更改はしないと私は彼に伝えたんです。そしたら彼は、何でもするからもう一度だけチャンスをくれと言ってきました。私は彼に、今後、我社で働くにあたりどんな貢献ができるのか、またこれまでの自分の勤務態度をどのように改めていくのかレポートに書けと言ったんです。その内容によっては、契約更改について考え直してやると。

そして、最後に言ったセリフが Don’t disappoint me. でした。「私を失望させるんじゃないわよ。」という、上から目線のこのフレーズは、上司である私だから言えたセリフです。かなりきつい言い方になるので、よほどのことがないと言わないです。

元に戻って、大好きなミュージシャンに対し、彼女が Don’t disappoint us! と書いたのは「とても楽しみにしているので、ファンをがっかりさせないでね」くらいの軽い気持ちだったのだろうと思います。しかし、読む側にしてみれば、「あなた何様のつもり?」って言いたくなるような、とっても失礼な表現と言わざるをえません。

私は上のお二人に対しメッセージを送ろうかとも思いましたが、見ず知らずの人なのでやめました。

言葉の使い方ってとても難しいですね。日本語でも間違うわけですから、英語となると尚更です。また英語の場合は、自分で間違いに気づくには相当の場数が必要です。使って相手の反応を見て、この場合にはふさわしくない表現だったとわかるわけですから、経験値がものをいいます。近くにネィティブの友人がいれば「その表現は変だよ」って教えてくれるかもしれませんが、まあそんな幸運な人なんてごくわずかでしょう。

私自身もおかしな英語を使っていて、随分あとになってそれは実はとっても変な言い方だったことを知ったという経験がいくらでもあります。こればかりは仕方がありません。単語の意味は辞書が教えてくれますが、語感はすぐには身につかないものです。だから英語は使ってなんぼなんです。

今回は disappoint の誤用について書きました。何かのご縁でこの記事をご覧になった方の中で、disappoint にはそんな語感があったことを知らなかった方がいらっしゃったとしたら、その方々のお役に立てたのではないかと思います。

小さなことかからコツコツと、言葉の勉強続けていきたいですね。

--------------------------------------------
※参考までに以下 Longman より引用しておきます。

disappointed
: unhappy because something you hoped for did not happen, or because someone or something was not as good as you expected
希望していたことが起らなかった、または、人あるいは物事が期待していたほどではなかったため unhappy である

disappoint
: to make someone feel unhappy because something they hoped for did not happen or was not as good as they expected:
希望していたことが起らなかった、または、期待していたほどではなかったため、人を unhappy にする

ではまた。001.gif
by ladysatin | 2015-05-31 21:26 | 英語と私といろいろ | Comments(0)