訳詞の世界~Oh England My Lionheart – Kate Bush(和訳)

今日は私の青春時代の憧れだった人を取り上げたいと思います。

Kate Bush がデビューしたのは1978年でした。

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「彗星のごとく」という形容は彼女のためにあるようでした。
ピンクフロイドのデイブ・ギルモアに見出されたという19歳の美少女。

ラジオで初めて Wuthering Height 嵐が丘 を聴いたときの感動を忘れることができません。
今まで聴いたことのないような不思議なメロディと独特の歌声。
それが実に耳に心地よかったのでした。

実際、彼女の書く曲は誰とも似ていませんでした。

本国イギリスではあっという間にチャートを駆け上がりデビューアルバムは大成功。
日本でもすぐに人気に火がついて、来日してくれるといいなあって思っていました。

Kate は本国イギリスとヨーロッパの国では時々コンサートをやっていたようです。
日本には東京音楽祭で Moving を1曲歌いに来ただけで、コンサートは一度もやっていません。
アメリカですらやってないと思う。

イギリスであれだけ人気があればアメリカ進出は当たり前なのに、彼女はそうしませんでした。

「なぜ、アメリカに進出しないの?」
当時、インタビュアーから質問されたときの彼女の答えを鮮明に覚えています。
日本の音楽雑誌だったから、日本語に訳されたものしかないのですが、彼女はこう答えたんです。

私の歌を聴いてくれる人は私の国にたくさんいるわ。
それなのに何故、アメリカに行く必要があるの?


これを読んで、すごい人だなあって思いました。
アメリカで成功することなど、彼女の眼中にはもともとなかったんです。
それでも彼女のアルバムはアメリカでも支持され、ビルボードのかなり上位にいったと思う。

私はますます Kate のファンになりました。
Kate Bush が作った曲の数々は、私の感性を大いに刺激しました。
ただ楽しむだけではなくて、短い詞の中に込められたメッセージを読み解きたいという思いにかられるような。

本日の Oh England My Lionheart も示唆に富んだ素晴らしい作品だと思います。
この曲は Kate の セカンドアルバムに入っています。

lionheart を辞書で調べてみると、形容詞の「lionhearted 勇猛な」が載っています。

この曲の Lionheart は名詞形なので「勇猛な心= England」という意味で Kate は使ったのかもしれません。また、イングランド王リチャード1世(1157-1199)の異称が、Richard the Lionheart なのでそこから由来しているのでしょう。リチャード1世は、中世ヨーロッパの騎士の模範とたたえられたです。Richard the Lionheart は、日本語では「獅子心王」と訳されています。

詞の中には、Lionheart 以外にも、イングランドに直接関係する表現が多くでてきます。

London bridge
Peter Pan
Kensington park
Shakespeare
Thames
Spitfire...


第二次大戦で命を落としていく兵士の視点から綴られた詞の中から、イングランドへの愛と深い悲しみを読み取ることができます。

次の記事でこの曲を深く考察しています。
是非読んでいただけるとうれしいです。
こちらです。→ Oh England My Lionheart – Kate Bush 訳詞考察



メロディと歌声が胸にひびきます。
それと若い頃の Kate 。。。やっぱりきれい。

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Oh England My Lionheart

Oh, England, my Lionheart
I'm in your garden, fading fast in your arms


ああイングランド
私のライオンハート
あなたの庭で
あなたの腕に抱かれ
私は固くなり息絶える

The soldiers soften, the war is over
The air raid shelters are blooming clover
Flapping umbrellas fill the lanes
My London Bridge in rain again


兵士たちは和らぐ
戦争は終わったのだ
防空壕にはクローバーが茂り
傘の花が路地を埋める
再び雨にけむる私のロンドン橋

Oh, England, my Lionheart
Peter Pan steals the kids in Kensington Park
You read me Shakespeare on the rolling Thames
That old river poet that never, ever ends


ああイングランド
私のライオンハート
ケンジントン公園でピーターパンが子供たちをさらう
渦巻くテムズ川でシェークスピアを読んでくれた君よ
あの古い川辺の詩人に決して死は訪れない

Our thumping hearts hold the ravens in
And keep the tower from tumbling


音を立てるほどの私たちの心臓の鼓動は
ワタリガラスを制し
塔を崩壊から守るのだ

Oh, England, my Lionheart
I don't want to go


ああイングランド
私のライオンハート
私は逝きたくない

Oh, England, my Lionheart
Dropped from my black Spitfire to my funeral barge


ああイングランド
私のライオンハート
黒のスピットファイアから
私は葬儀のはしけに落とされた

Give me one kiss in apple-blossom
Give me one wish, and I'd be wassailing
In the orchard, my English rose
Or with my shepherd, who'll bring me home


りんごの花咲く中でキスをひとつくれないか
願いごとをひとつかなえてくれないか
そしたら乾杯しよう
果樹園で。。。
イングリッシュローズとともに
あるいは私を家へと導く羊飼いとともに

Oh England, my Lionheart
I don't want to go


ああイングランド
私のライオンハート
私は逝きたくない
by ladysatin | 2014-06-07 16:14 | Music & English_3 | Comments(0)