墓穴を掘る – dig your own grave

今日は最近ネットで話題になっていることを取り上げてみたいと思います。

私のブログでは人に焦点をあてた記事は書かないようにしています。
有名人に対してであっても批判的なことを書くのは気持ちのよいことではないですから。
でも今日は思いがあって書くことにしました。

吉松育美さんというミス・インターナショナルの慰安婦発言についてです。

吉松さんの3月29日のCBSラジオでの発言のことはネットでとても話題になっていて、相当な非難をあびているようです。
Google で検索すればたくさんでてきますが、ご存じない方のためにひとつだけリンクを貼っておきます。
→ 「慰安婦に謝罪する必要ないという考えは恥ずかしい」 ミス世界一・吉松育美さんの発言に批判殺到

慰安婦に関する問題は、極めてデリケートなことです。
発言するには相当の勉強をし、歴史に対する深い認識と洞察力が求められることはいうまでもありません。

しかし、吉松さんの発言は実に軽率なものでした。
慰安婦問題について、彼女は自身の無知をさらけだしました。
私は彼女が無知であったことは批判しません。
知らないことは誰にでもあることなのですからそれはいいのです。

素直に不適切な発言だったと謝罪すればそれですむことです。

彼女は確かにブログで謝りました。
しかし、その内容はとてもひどいものでした。

自分が英語で話した内容を日本語に訳した翻訳者のせいにしたのです。

私が今回、吉松さんのことを記事にした理由は、この人を応援するがゆえに、非常に配慮をして翻訳した方を侮辱する内容であったからです。

吉松さんのラジオでの発言のいきさつです。
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吉松さんの「ストーカーゼロキャンペーン」について、安倍首相の夫人が協力してくれているという話から、世界的に有名なフェミニストである Robin Morgan 氏が質問しました。その内容は、安倍首相がいわゆる「従軍慰安婦」に謝罪する立場を取っているのは昭恵夫人の働きかけによるものなのかというものでした。その中で Morgan 氏は sexual slaves(性の奴隷)という言葉を使って吉松さんに質問しました。

それについて吉松さんが答えた英語を起こしたものが以下です。
この箇所はこちらで5分頃から聞けます。→ 吉松育美さん ラジオ出演でのご発言(26.3.29)

Yes, I think so. And well...it seems that the opinion of some people in the Japanese right wing...is that, these women were common prostitutes. And all 80,000 to 200,000 of them. So they are not owed an apology. But the testimonies of the women who survived, provide them wrong, and as a Japanese I am embarrassed and ashamed of these comments, and as women, I am outraged that apologizing is even an issue.

この放送をきいて、吉松さんを応援する方が日本語に訳したものがこれです。

はい、そうですね。日本の右側の人たちの意見の中には、当時の約8万人~20万人の女性はみんな売春婦だったので謝罪する必要はないという意見が出ているようです。しかし、生き残った方の実際の証言を聞くとそうではなかったという意見も出ているようです。様々な違った意見がありますが、実際に当時このような立場に置かれた女性達がいたことは間違いなく、日本人としてこれらのコメントに対して恥ずかしく、一女性としてこの謝罪が問題視されていること自体悲しく思います。

これを訳した方は善意であったであろうと思います。
Japanese right wing を「右翼」ではなく「右側」と訳し、さらには吉松さんの最後のコメント I am outraged を「悲しく思います」と訳されています。

●outrage の意味
to make someone feel very angry and shocked (Longman より引用)

つまり、I am outraged は I am angry などと比較にならないほどの怒りを表す表現なのです。本来は、「一女性としてこの謝罪が問題視されていることに大きな憤りを感じます。」と訳さなくてはならないところを、翻訳した方はあえてソフトに訳しているのです。おそらく、翻訳した方は、これをそのまま訳すとまずいのではないかと、機転を利かせたのでしょう。これは吉松さんへの配慮以外にないと思います。

すぐに、このことが問題発言として取り上げられ、吉松さんはとても狼狽したのでしょう。自分の発言した内容は youtube で流れていますし、今さらそんなことは言ってませんとは言えません。そこで、知性派で売りたい彼女は、自分の無知が知られないように、責任を翻訳者に転嫁しました。

吉松さんのブログの本文です。
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先日のCBSラジオでの一部翻訳により皆さんに誤解と混乱を招いた事をお詫び申し上げます。みなさんが参考にしている翻訳は応援して下さる日本の方々が分かるようにとボランティアで第三者が作成したものであります。翻訳を作成してくださった方も英語と日本語という違う言語を一生懸命に伝えようとしてくれていたはずです。しかし、言葉とニュアンスの違いにより誤解を招くような表現となっていたため私からもお詫び致します。100人いれば100通りの意見や考えがあり、それを表現また発言する自由は100人全員に与えられています。それぞれの意見を批判や否定をするつもりも、私の意見を押し付けるような思いも一切ありません。また、どんなことでも関心をよせ、自分自身の意見をしっかり持つことは素晴らしいと思います。色んな意見を寄せてくださった方、ありがとうございます。
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私はこれを読んで唖然としました。
何と言う傲慢さでしょうか。

「私からもお詫び致します」って、自分の部下の失態を詫びている上司のような口調です。

自分の発言のいたらなさを翻訳者のせいにするとは。
もし私がこれを訳していた本人だったなら、とても許せないと思いました。

結局、彼女への批判は収まらず、彼女は facebook でも謝罪を試みました。
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慰安婦問題について。ブログでも謝罪を申し上げましたが、今回の発言には勉強不足、かつ英語でのインタビューで言葉足らずな部分もあり、皆さんに大変な混乱と誤解を招きましたことお詫び申し上げます。私は、女性がいきいきと生きていける社会になってほしいと願っています。ただ慰安婦という女性の生き方、またそのような状況に身を置かなければならなかった女性がいたことに対して、悲しく感じているのです。
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私はとても不思議です。
なぜ素直に謝らないのか。

「まだこのことを語るには勉強する必要があったにもかかわらず、大変軽率な発言をいたしました。」

これだけでよかったのです。しかし、どうしてもプライドを捨て切れないので、何とか自分をきれいに見せようとする。そうすればするほどに、自分で自分を陥れていきます。

この慰安婦発言があるまで、私は吉松さんを応援していました。ストーカーにあっても毅然とした態度をとる彼女は気骨のある女性だと思っていました。それゆえに、とても残念でした。

墓穴を掘る - 滅びる原因を自ら作ってしまう。(広辞苑より)

英語では dig your own grave と言います。
全く日本語と英語が同じ発想であることが興味深いですね。

●dig your own grave
to do something that will cause serious problems for you in the future
将来、あなたにとって重大な問題を引き起こすであろうことをすること


先の音楽家の人といい、科学者の女性といい、さらにはこの方といい、「墓穴を掘る」人が多いと感じているのは私だけでしょうか。

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追記)
やっぱりこういう内容は私のブログには合わないかな。
たぶんあとで消すかな。。。と思いながら翻訳者の方が不憫で書いてしまった。

次回はいつもの私に戻って英語のベンキョーです。(^^)
Commented by Yu at 2014-04-17 22:35 x
こんばんは。お元気ですか。私は4月から1年生の担任になり、何かと忙しい日々が続いています。ただ、1年生と接していると、この子たちを守らなければという気持ちになります。生徒も少しずつ打ち解けてきて、楽しく生活しています。

さて、今回の件ですが、確かに軽率だと感じました。そういう敏感な問題について話すには十分な勉強が必要なのは当然ですし、英語が話せる人であっても通訳を頼むなどするべきだったように思いました。自分が話している英語の意味を分かっているのに、国内で騒がれたので悪いのは自分ではないと言っているだけに聞こえます。
Commented by ladysatin at 2014-04-18 20:58
こんばんは。お疲れ様です^^
ちょっと暗い内容のお話にコメントをありがとうございました。こういう内容を書くのはどうかと思ったのですが、翻訳が関係していたので、自分がその人と同じ立場だったら、とてもショックだろうと思ったのです。その翻訳者の方は、直訳したらまずいのではと思ったのではないでしょうか。だからあんなふうにソフトに書いたのでしょう。吉松さんはミス・インターナショナルとして発言するわけですから日本を代表しています。社会派でいくのであれば、もっと勉強しないとだめですね。

Yuさんは新学期を迎えられたのですね。生徒さんが変わると、新生活という気持ちが強いでしょう。私は会社勤めなのでいつもと何も変わりませんが。昨年は勤め先もよい業績ではありませんでしたが、今年度は少し上向いてきてほしいです。

Yuさんも先生としていろいろご苦労があろうかと思います。
どうか頑張ってくださいね。
by ladysatin | 2014-04-02 22:01 | 英語と私といろいろ | Comments(2)