2013年 12月 04日
これですっきり?no more/less than と not more/less than
no more/less than と not more/less than について解説してみましょう。
先日、no と not のちょっとした違いについて書きました。
今日は、それをもう少し掘り下げてみようというわけです。
目からうろことなるかどうか。(;^_^A
まず、no と not は、どちらも同じ否定語という点では同じです。
しかし、この二つはかなりニュアンスが異なると思います。
私は以前、高校生に教えていた時に、こんな説明をしていました。
「no は主観的、not は客観的」
たとえばこんな文があります。
A. This movie was not good.
B. This movie was no good.
ひどい映画を見たあとに使う表現として、「あなたならどっちを使う?」と聞かれたら、大抵の人は B と答えるのではと思います。A は淡々とした文ですが、B における no good は「良いなんてとんでもない」というニュアンスです。先日の記事でも書きましたが、no が強意になるので、おのずと主観が入ります。
このように「no は主観的、not は客観的」という違いがベースにあるということを理解した上で考えると、no more than と not more than は意味が違って当然、すなわち互換不可となると言えるのではないかと思います。
ところで no more than と not more than が出てくるとどっちがどっちだっけと思いませんか。
さらに no less than と not less than がこれに加わると、「あ~ん、わけわからへん!」となるよね。
このあたりも「主観的・客観的」で区別するとわかりやすいですよ。
考え方としては、まず no more/less than と not more/less than でわけますね。
①主観的な no more/less than では、期待している数値と現実の数値にギャップがあります。
C. He paid me no more than 1000 yen for the work.
私が彼に期待していたのは5000円だったんですね。でも実際は1000円でした。そりゃがっかりです。
「たったの1000円かよ~」という気持ちが表れています。
D. He paid me no less than 1000 yen for the work.
これは C と逆で、私が彼に期待していたのは500円だったのに、実際は1000円でした。
「わ~い、1000円もくれた」という気持ちです。
②客観的な not more/less than は数値の上限と下限を表します。
E. There were not more than 5 passengers on the bus.
考えられる人数は5人が限度なんですね。
つまり「5人より多くない」→「せいぜい5人」という解釈です。
F. There were not less than 5 passengers on the bus.
考えられる最低の人数が5人です。
「5人より少なくない」→「少なくとも5人」という解釈です。
E と F は客観的な見たままの事実を述べていますね。
このように考えていくと、やはり no more than と not more thanを 入れ替えることはできないという結論になります。
ただ、ネイティブの講師数名に以前、この違いを聞いてみたところ、あまり意味の違いはわからないと。。。no more than の方をよく使うと言っている人が多かったような気がします。
ネィティブの意見はとりあえず参考にします。しかし、no と not の否定の度合いの違いを考えると、no more than と not more than についてもおのずとニュアンスは異なるというのが自然な考え方ではと思っています。
少しお役に立ったでしょうか。
jё_ёjj ♪