listen と hear - 本当の違いって何だろう?

今日は語法のお話です。

今さらですが、語りつくされている listen と hear の違いについて考えてみます。

この二つの単語は中学生で学びます。基本的な単語なので自分では理解したつもりではいたけれど、最近になってこういう簡単な単語ほど奥深いなと思っています。

listen と hear の違いって何?って言われたら皆さんは何と答えますか?

私は中学生の頃に英語の先生に listen と hear の違いを質問した記憶があります。

先生はきっぱりとこう言われました。

「いい質問だ。 listen は意識的に聞く行為であるのに対しhear は自然に聞こえることをいう。
能動的か受動的かの違いだな。」


私はなるほどと納得すると同時に、こんなにスッパリと解説してくれる先生ってすごいわぁと思ったものでした。実際にネットで検索するとポピュラーな話題のようで、いろんな英語のサイトでも取り上げられています。案の定、この先生の解説とほぼ同じものばかりです。ということは、これが一般的な見方なのでしょう。

能動的か受動的かという違いは決して間違ってはいないように思います。中学生や高校生には単純明快な説明がありがたいものです。しかし一方で、英語に触れる機会が多くなり listen と hear の様々な用例に出くわすと、「そんな簡単に片づけられるものではないやろう~」と思うことが多くなってくるようです。

実際に listen と hear の違いを説明するのは困難なことです。何となく感覚で使い分けていたこの二つの単語だったのですが、いろいろ調べてみたところ、自分なりに思ったことがあったので皆さんとシェアしたいと思いました。

(※「聞く」と「聴く」の違いは微妙なので、ここでは「聞く」の方の漢字で統一します。)

以前こんなことがありました。よく洋楽のロックコンサートに行っていたころのことです。
大好きなミュージシャンが曲と曲の間に言ったのです。

What do you wanna hear?

「次はどの曲が聞きたい?」という意味ですが、私はこれを聞いて不思議に思いました。私の頭の中には先生の説明が刷り込まれていますから、hearは受動的なものなのです。それを彼はなぜ使う?だって誰でも好きなミュージシャンのコンサートに行ったら隅々まで音楽を堪能したいに決まっています。

コンサートは能動的かつ積極的に聞くものでしょう?
「音楽を聞く」は listen to music と言いますよね。

しかし、What do you want to listen to? と言うミュージシャンはいないのです。

なぜだろう?

いったんこれを置いときまして、まず、広辞苑で「聞く」を調べてみることに。
★「聞く」の第一義 - 言語・声・音などに対し、聴覚器官が反応を示し活動する。

次にランダムハウスでこの2語を調べてみることにしました。この2語の違いを次のように記載しています。
★hear - perceive by the ear 聴覚で音声を感知する
★listen - 音を聞いてその意味を理解しようと注意を傾ける意


この説明で再確認できたのは、listen は確かに「意識的で能動的」なものなんだということです。
一方の hear について私が思ったことは「聴覚で音声を感知する」ということは、必ずしも受動的なものではないのではないかということでした。

次に英英辞典を調べてみました。
Oxford Advanced Learners Dictionary から抜粋です。

★hear の定義
①to be aware of sounds with your ears
②to listen or pay attention to someone/something

★listen の定義
to pay attention to someone/something that you can hear

これを読んで私は「やっぱり」と思いました。(*'-'*)

①はランダムハウスの hear の説明と同じで納得ですが、hear の②はの定義は listen の③と同じなんです。pay attention とはまさしく積極的な行為にほかなりません。

ということは。。。
hear を受動的なものと決め付けることはできないことがこれで明確になりました。(*'-')b

一方、hear と listen は互換可能かというと、だめな場合が結構ありそう。

例えば、母親が子供にお小言をいうときに使うのは Listen! ですよね。Hear! なんて言わないし。この場合の Listen! は「私の話を聞きなさい。」ということで、話す内容に注意が注がれます。

このあたりで少しわかってきました。

彼がなぜ What do you wanna hear? と言ったのか?
私達は、その曲の詞の内容を聞き取りたいのではなく、大好きなミュージシャンの音に酔いしれたいのです。まさにランダムハウスにあるように「聴覚で音声を感知する」ということなのです。(^0^ゞ

ここでかなりスッキリ!です。^^

もうちょっと調べてみたら Michael Swan の Practical English Usage にも「演奏、公園、音楽、放送などを聞く場合は、普通 hear を用いる」と書いてあるようです。

しかしながら Doobie Brothers の大ヒット曲のタイトルは Listen to the music です。これはどうなんだ?と思って久々に聞いてみたら music に定冠詞がついているのは「僕たちの音楽」という意味のよう。「僕たちの音楽を聞けばハッピーになるよ。」って感じです。音楽に込められたメッセージ、すなわち内容を聞けということなのだろうか?そう考えたら listen とした理由がわかるなあと思う次第。

こう見てくると listen と hear の違いは想像以上に難しいようです。
ただひとつ強く思うのは「能動的・受動的」という分け方はちょっと違うんじゃないかということ。

072.gif「聞く対象として「音」を重視にしているのが hear、内容を重視しているのが listen」
という説明の方がよさそうに思います。

またここで思い出しましたが、昔はリスニングテストでなくヒヤリングテストと言っていたんです。能動的な行為だからリスニングテストという言い方に変わったという説明が主流でした。しかし、ヒヤリングテストはだめかというとそうとは思えません。

●リスニングテストは、内容をしっかりきくということ。
●ヒヤリングテストは、聴覚をとぎすまして、音声をつかまえるということ。


このようにみていくと、両者の意味の違いがよくわかると同時に、どちらのテストも能動的にしっかり聞くという意図は同じだと考えられるのではないでしょうか。

簡単な単語に見えて listen と hear はとっても難しい単語だと思いました。
Commented by anonymous at 2016-09-18 02:02 x
本質的な解説ありがとうございます。とても勉強になりました。
Commented by ladysatin at 2016-09-18 12:27
anonymous さん
コメントをありがとうございます。

listen と hear の違いを一概に説明するのは簡単ではないと思うのですが、辞書を調べるだけでもニュアンスの違いが少しわかりました。ネィティブの人達は、感覚的に使い分けができているのでしょうね。
Commented by ikutchan at 2016-09-27 15:24 x
365日紙飛行機(英訳)から本日初めてここに来ました。
listenとhearの違いを深く知ることができました。
今まで避けてきましたが、英英辞典は必要のようですね。
日本人で一番の苦手は冠詞と前置詞と思っていますが、
これについても書かれているようなので、読ませていただく予定です。
Commented by ladysatin at 2016-09-27 21:34
ikutchan さん
コメントをありがとうございます。

英英辞典は言葉のニュアンスを知るのに、大変役に立つと思います。
今ではオンライン辞書も手軽に利用できますし、便利な世の中になったと思います。

冠詞は私の中では最難関です。いまだに a にすべきか、the にすべきか悩みます。
冠詞については少しだけ書いています。参考になるようでしたらうれしいです。
by ladysatin | 2013-11-15 21:17 | 語法_English Usage | Comments(4)