2013年 09月 30日
前置詞ひとつで意味が変わるんだなあ
ある人からの質問です。こんな英文が本に載っていたらしいのです。
It was embarrassing for him to make a speech in English at the contest.
「彼はコンテストで英語でスピーチをするのが恥ずかしかった。」
これは本に書いてあった訳だそうですが、別におかしくないよね?
しかし、質問してきた彼女にはこんな疑問が。。。
「この訳では恥ずかしく思ったのは彼だけど、第三者が彼のスピーチを見て恥ずかしく思ったと解釈できないの?例えば、母親が自分の息子のスピーチがひどいのでは恥ずかしく思ったとは考えられないのかな?」
これをきいて私は「するどいなあ」と思いました。
しかし、これは。。。どうかな?
第三者が恥ずかしいと思ったことにはならないよね。
ここは for him が大切なのですが、「彼にとって」と考えたらいいと思います。
すなわち「彼にとって英語でスピーチをすることは恥ずかしいことだった」となります。
こう説明したあとで彼女はさらなる質問をしてきました。
「じゃあ、第三者が恥ずかしいと思った文はどう書いたらいいかなあ?」
あうっ、突っ込まれてしまった。さて、どうしましょう。
実はこれ簡単なんです。前置詞を変えるだけでいいの。
for を of に変えたらいいよ。
It was embarrassing of him to make a speech in English at the contest.
「彼がコンテストで英語でスピーチをするとは恥ずかしかったわ。」
なぜ、こんな風に意味ががらりと変わるのでしょう。
それは「形容詞 + of + 人」で人の性質や評価を表すことができるからなんですね。
for を of に変えることで、話をしている人の気持ちを表すことができます。
例をあげてみると。。。
①It is kind of him to carry my baggage.
「私の荷物を運んでくれるとは、彼は親切な人だ。」
②It was careless of you to leave the door unlocked.
「ドアに鍵をかけないままにするとは、あなたは不注意だったね。」
ね。①も②も話者の気持ちを表しています。
このほかにも、good, stupid, thoughtful, honest、clever など、人の性質や評価、人柄を表す形容詞には、いろいろありますね。embarrassing も同様に考えてよいと思います。
ちょっと面白いと思ったので書いてみました。
ついでながら、embarrassing は普通は行為などが主語に来ます。
→ His speech was embarrassing. (彼のスピーチは恥ずかしいものだった。)
人を主語にすると人の性質を表します。
→ You are embarrassing.(あなたって恥ずかしい人ね。)
とうことで、今日は、前置詞を変えたら意味が変わってしまう面白い例をあげてみました。