まだあった「試験に出る英単語」

最近、本屋さんで見つけた本です。

まだあったんや~と感激したのが「試験に出る英単語」

ああ、なつかしい。高校のときにお世話になったぞ。
たしか西では「シケ単」、東では「でる単」という相性で親しまれていたはず。

ということで、今日はなつかしい「試験に出る英単語」にまつわる私の思い出話です。

良書との出会いは英語学習への動機づけとなります。私も学生時代には英語関係の本をたくさん読み、良い本にもめぐりあってきたように思います。しかし、その時の流行りの教授法や流行りの英語教育者の本というのは、ただ面白かったというだけで、振り返ってみるとほとんど記憶に残っていないようです。

よく見渡してみると、時代に左右されず普遍的な価値をもった本というのは、実はそれほど多くないように思います。そして数少ないながらもロングセラーとなり、いつの世になっても人々に支持される本があります。そういう本はまさに良書と呼ぶにふさわしい本と言えるでしょう。何十年も前の話ですが、私はそんな一冊の本に出会いました。

森一郎著 「試験に出る英単語」という本でした。

私はセンター試験の前の共通一試験の世代です。
(またしても自分から年をばらしてしまう。ははっ)

高2の後半だったでしょうか。共通一次試験に向けてマークシート問題に慣れるために、福武書店(現在のベネッセ)が主催する進研模試を毎週受けなくてはならなくなりました。それまで記述式問題の英語しか経験はなかったのですが、いつも成績は上位でした。しかし、マークシートになった途端、点数がとれなくなり毎回散々な結果に遭遇するはめに。どうしようもない挫折を味わいました。

英語で点数がとれなかったら私の点数の稼ぎどころはないわけですから、当人にとっては深刻な事態でした。学校の先生も私の成績の落ち込みぶりに驚きを隠せない様子でした。そこで、先生と話をしていくうちに、私の単語力が足らないため、マークシートの長文問題、すなわち要旨把握問題に対応できていないという結論にいたりました。そこで先生は「これを買ってすべて暗記しなさい。」とおっしゃったのです。それが「試験にでる英単語」でした。

「何てうさんくさいタイトルなんだ。」と思いつつも、ほかに手立てがないので先生のいうまま1カ月かけてできるかぎり暗記しました。高校の頃は頭の吸収がよいのでスムーズにいくかとおもいきやそんなことはなく、見たこともない抽象名詞の数々に圧倒される思いでした。しかし、努力の甲斐あってか数カ月後には見事に私の英語力は復活し、マークシートにも対応できるようになりました。まさに、この本なくしては沼から抜け出すことはできなかったでしょう。

森一郎先生のコンセプトは明快でした。「試験に出る英単語というのは頻度が高い単語ではなく、その単語を知らなければ長文全体を読み解くことはできないという極めて重要度の高い単語である。」といった内容だったかと思います。さらに「物質名詞でなく、抽象名詞を覚えなくてはなりませんよ」と書いてあったように記憶しています。これらの発想は私には斬新であり、頭を殴られたような思いがありました。

この本が教えてくれたのは「長文読解のためにはキーワードは何かを意識的に考えながら読め」ということではなかったかと思います。この本に抽出してある選りすぐりの1300語は、その時代だけ必要な単語ではなく普遍性の高いものばかりでした。

今、TIMEやNewsweekを読む際にも、この単語は「試験に出る英単語」で出てきたなあと思うものが多くあります。今となっては派手なタイトルの本の影にかくれてあまり話題にもされませんが、この本は大学受験英語のくくりではなく総合英語力をつけるための本だといえます。だからこそ、1500万部という他を寄せつけない発行部数を誇り、ビジネスマンからも支持される所以なのでしょう。

もう手元にはないのだけれど、この本の冒頭、最重要単語の1番目に出てきた単語は intellect だったことを覚えています。ただ単語が羅列してあるだけの本です。読者を話術で引き付ける本ではありません。覚え方は自分で考えなくてはなりません。目からうろこなど出ません。考え方によっては不親切な本です。

しかし、思うにこれが本来の英語学習というものなのかもしれません。

intellect を学習すると intelligence との違いは何かを知りたくなりました。 prejudice という単語は racism の問題を私に考えさせました。たったの1300語ですが、吟味された単語であるがゆえにそこから派生する興味は尽きませんでした。

一つの良書が教えてくれたこと。

それは英語の学習とは地道な作業であるということ。

とてもとてもあたりまえなことでした。
by ladysatin | 2013-09-19 21:58 | 英語と私といろいろ | Comments(0)