翻訳は日本語に惑わされないことが大切

今日は、翻訳をする上でのヒントを書いてみたいと思います。

本日のキーワード

「データで送る」

実はある人から以前受けた質問なのですが、この短い日本語を英語で短く言うにはどんな表現がいいかなあというものでした。

ああそう言えば、何気にこの言葉よく使うよなあと思いました。

紙や写真などのハードコピーではなくて、Word や PDF や JPEG のデータを送付するときに、つい使いそうな言葉です。

この場合のシチュエーションですが、ある製品のポスターの制作を業者に頼んでいて、実際に印刷した試作品を何度か送ってもらい、やりとりしていたらしいです。ポスターの色の出具合は、現物を必ず見てチェックしますからね。それで、上司のOKが出たので、印刷の手配をしなくてはならなくなりました。そこで、その業者に「そのポスターをデータで送ってほしい」と一筆書きたいのだということでした。

彼女は最初、こんな英文を書きました。
Could you send the poster by data?

「データで送る」と書きたかったから、この英文にしたんですね。日本語をそのまま英語にしたのがよくわかります。まあ、意味は通じますから私はこれでいいと思いました。上手な英文にこしたことはありませんが、日本人の書くビジネス文書です。誰も完璧など求めていません。

そのあと彼女は「いやいや by data より with data がいいかな。それとも on data?」と考え始めました。ああ、何故か前置詞に深いこだわりがある模様。(;^_^A

この「データで送る」という日本語が頭にこびりついているため「で」に相当する前置詞をあれやこれや考えめぐらしたようです。

これはおそらく多くの日本人の英語学習者のかたがそうかもしれません。どうしても日本語の「てにをは」に引きずられて英文を作りがちになります。だから、意味は通じるけどなんか変な英語になってしまうということが多々あるようです。

そうならないためには、英作文では、できるだけ自然な文にするために多角的に検討することが大切です。英文がうまくできなかったら、本来、この日本語が言いたいことは何なのかを考えてみることが大切です。そうすると、はっとひらめくことがあるのです。

さて、この場合の「データで送る」という日本語が意味することは何なのか。よく考えるとわかりますが「データ 送る」なんですね。彼女が送ってほしいものは、そのポスターが電子化されたデータなのです。

ということは、データは前置詞句でなく、直接目的語にすれば明瞭な英文ができます。

彼女の英文 Could you send the poster by data?
これの後半を書き換えて Could you send the data of the poster?

目的語が poster から data に変わりましたね。
この方がわかりやすく、ズバリ言い当てていると思いませんか。

ただ、この文にはもう少し付け加えたい気がします。ドキュメントの多くは編集用のアプリケーションを使います。少し専門的になりますが、取説だったらInDesign や FrameMaker が主流です。ポスターだったらおそらく、Illustrator でしょうか。これらのデータを送ってほしい場合があります。あとで自分たちでPC上で修整することがあるためです。

その場合は、作成元のデータを意味する original data を使って
Could you send the original data of the poster? と書けます。

また、データを PDFの形式にして送ってほしい場合もあります。そのときは、
Could you send the data of the poster in PDF format? と書くと良さそうです。

どの場合もやっぱり data が目的語です。

日本語は「データで送る」だけど、英文が書きにくい。結局、ぶっちゃけた話何が言いたいの?と考えると光が見えてきます。これは大学入試の英作文でも同じことですね。

英文を作るときは頭をやわらか~くしてね。

というお話でした。

では。(^^)
by ladysatin | 2013-07-12 07:20 | 日英 Translation | Comments(0)